書名:温暖化謀略論
著者:武田邦彦
発行所:ビジネス社
発行年月日:2010/5/21
ページ:245頁
定価:1500 円+ 税
昨日の読売新聞にも温暖化ガスを削減するために131兆円。風力発電、原子力発電、太陽光発電などに投資をと出ています。何気なくCO2削減という大儀名目を掲げていますが、いままでのように産業を引っ張っていく強力なエンジンがない。最近発明らしきものがない。そんな中で景気を良くするためには温暖化、環境、省エネと謳わざるをえなくなった。非常に政治的な行動か?
温暖化、CO2犯人説は実は政治的に意図された騒ぎ、したがって懐疑派の意見などは無視されて、IPCCの報告書が絶対正しいと今までは言っていたが、昨年11月発覚したクライメートゲート事件(IPCCの報告書のデータの中に基本的なデータが実は捏造されている。そのメールのやり取りが暴露された)のその後など見ていくと、米中など温暖化についてはそんなに心配していない。目くじら立てて理論がどうのこうのではなく、自分たちの損得だけで行動している。
たった4.5%のCO2の排出量の日本、GDP1人あたりの排出量が米国の1/2、中国1/3の日本だけがひとり張り切っている。4.5%を零にしても大差ない。1970年代は本当に公害が発生し、環境問題が発生していた。そこで環境庁が作られた。ところが1990年代になると、日本では省エネ、環境問題は解決して目に見える環境汚染はなくなった。でも世界はこれからというところだった。したがって環境庁は解散とはならなかった。
問題を発見しないと自分たちの仕事が無くなってしまうということで、温暖化という目に見えないものを作った。もともと1970年代はこれから寒冷化するといって騒いでいたはず、どこで温暖化に変わってしまったのか。そんなことはどうでも良かった。こう考えると少し見えてくるものがあるのでは?
クライメートゲート事件はネットでは早い時期から言われていたが、マスコミの話題になったのは12月、それも本の少し報道しただけ。したがって日本では知らない人も多い。
著者はかなり前から自分で調べたり考えながらIPCCの報告に異論を唱えていたが、キチガイ扱い、誹謗中傷も多かった。ところが最近、「北極の氷が溶けても海面は上昇しない」「中世は今より暖かかった」「森林はCO2を吸収するが、樹木が枯れて腐るとCO2を排出するから、プラスマイナス0である」等著者が以前言っていた時には事細かに反論、絶対間違っているというように言っていた人達が、環境の専門家たちの間では当たり前のこと。そんな事は判っていたと。まったく態度が逆転してきている。
マクロ的にはどうか判らないけれど著者の言っていることに一理ありと感じている。省力化、効率化、省エネをやるとエネルギーの消費量が減るというのはウソで、どんどん増える。これは産業革命以来の実績をみればわかる。石油、石炭がCO2を出すから、太陽光発電、原子力発電、電気自動車と短絡的にCO2が減るように宣伝しているが、ちょっと考えればそれらの設備、コンクリート建設にいやというほど石油を使う。その製造過程で発生するCO2は全く抜きにした考え方(これもトリック)
そしてCO2を削減するためには太陽光、風力などは効率が悪い。安定性がないと言い出してくるでしょう。結果原子力を推進する。1基数千億円もする設備を。これは大きな公共投資になりますね。温暖化、CO2削減と叫んでいる裏には自分の国さえ良ければという世界の国々の隠れた意図が見え隠れしていることを知るべし。それの尻馬に載せられている日本の政治家、マスコミも少しは自分で考えなさいと言っている。じっくり自分で考えるには参考になる本だと思う。
131兆円投資で温室ガス3割減…経産省試算
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100608-OYT1T00997.htm
クライメートゲート事件をまとめた渡辺正教授の論文のダウンロード先
http://www.nippyo.co.jp/download/climategate/index.php