書名:華厳入門
著者:玉城康四郎
発行所:春秋社
発行年月日:1994/6/30
ページ:211頁
定価:1845 円+ 税
華厳経というお経があります。このお経は仏教では一番重要なお経と言われています。このお経は花で飾られた広大な仏教の根本的な教えが書かれています。仏教はお釈迦様の入滅後、いろいろな宗派に別れてきていますが、この華厳経は根本の教えということでお釈迦様の教えが色濃く残っているものと言われています。著者が5回に渡って行った華厳入門講座をまとめた者です。著者のお勧めは「華厳経を判っても判らなくても読む、あたまからしっぽまで全部読む」ということ。最近は少しでも判りやすい教科書、本ばかり薦めますが、読書は体でするものただ頭で読書をするのではない。体で、仏教は頭ではなく実践を重視しますね。本の読み方も頭から入るなと言っているようです。
華厳を一言で著している与謝野晶子の歌
劫初より つくりいとなむ 殿堂に われも黄金(くがね)の釘 一つ打つ
「劫初より」というのは「ずっと無限の昔から」です。
宝珠の網(存在しているものはこの網のように結び目に珠玉があってそれぞれ糸に繋がっている)そんな状態が全宇宙という。珠玉を一人一人に変えてみると、そのひとつ、一人でもそれが無かったら、この網は完成しない。その珠玉がそれぞれ互いに関連し合って存在している。それを「一即一切・一切即一」と言っている。
一即一切・一切即一」 → 「重々無尽(じゅうじゅうむじん)」
<一つのものはそのまま一切のものと関連しており、一切のものがそのまま一つ一つの命と結びついている。>
<すべてが関連しあって存在し、その繋がりは尽きることはない。>
「年を取ってくると一番に心がけることは味あう」と言うこと。「味あう」これは含蓄のある言葉ですね。世の中に向かって年寄りの冷や水で俺が俺がと、このままでは世の中はとんでもないことになると老婆心を起こすことではなく。いろいろな事象をじっくりと「味あう」これは年寄りしかできないこと。今までの経験、体験がないと真の「味あう」ことできない。一日の終わりにいろいろ楽しいこと、厭なことがあっても寝る前に、すっきりと仏様に預けておいて何も考えないで寝ること、寝る習慣をつける。長年続けると大きな差が出て来る。
たった200ページほどの本ですが、中身はなかなかのものがあります。東海道五十三次の五十三次もこの華厳経から来ていると。