書名:気候変動の文明史
著者:安田 喜憲
発行所:NTT出版
発行年月日:2004/12/30
ページ:252頁
定価:1600円+ 税
15000年前~14500年前に起こった(マンモスの絶滅時期)温暖化の軌跡を追いながら温暖化するとどうなるか?地球環境を堆積物に残った花粉、縞(地層)を探ることで古代の地球の気温、温暖化、寒冷化した時期と世界の文明の推移民族の大移動、文明の崩壊などを克明に追っている。気宇壮大な物語なかなか面白い。気候、宗教、疫病、民族の移動と地球温暖化、寒冷化の関係を日本の歴史、縄文、弥生、古墳時代、奈良時代、平安時代を対比させながら、世界の歴史を眺め、相互の間にはタイムラグがあること、地域によって温暖化、寒冷化の時期が違う。今騒いでいるCO2犯人説でCO2を削減することでは何の解決にもならないことを示してくれる。IPCCが言っている5.8℃の温度上昇が本当だとすれば、15000年前のマンモスの絶滅と同じような影響が出て来る。ノアの方舟のように人類絶滅の危機になってしまう。
歴史を紐解けば見えてくることがある。著者は気候変動と人類の生活・歴史の関係を科学的に解明する「環境考古学」を提唱している。
本書より
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かつて科学的歴史学という名のもとに、一世を風靡し、反対派を根絶やしにしてきたマルクス史観がある。しかし戦後60年を振り返ってみると、マルクス史観が唯一絶対の真理ではなく、一つの歴史の解釈の仕方に過ぎなかったというより、日本人の歴史をまったく誤って解釈していたということがわかってきた。歴史科学において、自然科学のような唯一絶対の真理というのは見つけがたいのではなかろうか。