書名:蜩ノ記
著者:葉室 麟
発行所:祥伝社
発行年月日:2011/2/15
ページ:327頁
定価:1600円+税
豊後・羽根藩が舞台、元郡奉行戸田秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられて向山村に幽閉中であった。奥祐筆・檀野庄三郎はちょっとした行き違いから友人と諍いを起こし城内で刃傷沙汰に及んだ。相手が家老の甥ということもあり、からくも切腹を逃れた。その処置として幽閉中の秋谷の監視と編纂補助という役目を命じられて秋谷の元へ遣わされる。
向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さ、人格に触れ、一目でその無実を信じるようになる。そして如何にすれば秋谷の無罪の証拠を集めるかに奔走する。3年後に切腹するという命を区切られた男秋谷の生き様、気高く壮絶な覚悟、家族の生き様を通じて庄三郎は日々成長していく。忠義とは何か、侍とは何か、男の生き様とは何かを問いかけてくる時代小説です。先日封切りされた「蜩ノ記」の原本です。