書名:藪枯らし純次
著者:船戸 与一
発行所:徳間書店
発行年月日:2008/1/31
ページ:621頁
定価:2100円+税
興信所の調査員・高倉は中国山地の山間にある鄙びた赤猿温泉郷にやって来た。任務はこの村に突然、舞い戻ってきた
「藪枯らし純次」という一人の男を監視する役目。興信所の社長岸谷の高校時代の友人、この村に住む宮本という男からの依頼だった。村人達はこの「藪枯らし純次」を異常に恐れている。赤猿温泉郷の場所は山口県中国山地に設定されているようです。
この村の歴史は明治維新の頃、高杉晋作の軍資金が絡んでいたり、山里の古びた、寂れ行く温泉郷を舞台に伝奇ロマンです。次々とこの村で死人が出る。でも藪枯らし純次には立派なアリバイが、事件を追えば、村のお寺の過去帳、純次の母、姉の日記にはおどろおどろしいことが書かれている。最初、高倉は仕事として謎を追っていたが、最後には自分の好奇心からこの村の歴史に興味を持っていく。長編伝奇ロマンです。長さを感じさせないでなかなか楽しませてくれます。