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                       ■本日の密室系の評価は☆☆☆満点


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パラサイト・関の翻訳ミステリアワー



98.10.31(土)  
・なぜか、「ふしぎ文学館」シリーズや「ミステリ名作館」でミステリファンでおなじみの出版芸術社からHPのリンク依頼のメールが来たので、喜んでリンク集に追加。既に我孫子竹丸氏の「ごった日記」でも、触れられているけれど、出来立てのほやほやみたいです。今後の展開が楽しみ。しかし、合気道の本もいっぱい出してるとは知らなんだ。
・「いまわの際に言うべき一大事はなし」読了。前回ああ書いたけど、菊地寛賞受賞の当たりとか、ごく最近の風太郎翁の動向がわかって、その部分は興味深かった。賞は嫌いだけど、受賞の打診の電話がかかってきたときに、べろべろに酔ってて「じゃ、もらいます」といってしまったというくだりなんか、いかにも、らしいです。
・びっくりしたこと。インタビュアーが「パソコン通信」の「山田風太郎ベストテン」をもっていったらしく、翁もこれをみて絶賛。「アサヒ・イブニングニュース」に載った評論とこのベストテンが自分に関する一番まともな評論といっている。これって、リンク先でもあるno name氏の「山田風太郎事典」のことですね。素晴らしい。パソコンをしない老大家にもweb上の発信が届く時代になったのだな。
・おかしかったのが、奥さんの話をしているときに急に女優の高峰秀子の話になるところ。
 忍法帖ブーム真っ最中の頃に、ある雑誌で作家夫人訪問という企画があって、敬子夫人がインタビューされている(インタビュアー十返千鶴子)。その中で、夫人は「高峰秀子さんの若いときのような小柄で可愛らしい奥さんである」と書かれているのだ。記事の写真をみると、なるほど。
 十返氏はこう続ける。
 「あとでみたある週刊誌に、風太郎氏が若いとき、高峰峰子に熱をあげ、朝から晩まで日劇の実演をみて風邪をひき、肋膜になったと書いてあったので、「なるほど、そうだったのか」と思い当たった。
ほんとうの病気になるほどの(週刊誌によれば)熱をあげたあこがれの女優さんと、まったく生き写しとまでみえる、敬子夫人を奥さんにしている風太郎氏は、つくづく幸せな男である。」
 この記事、結婚に至るまでの経緯や作家の日常がうかがわれてなかなか面白い。
 「最初、母から話をすすめられたときも、なんだかボサッとした人で、キリッとした男性的なところが、ちっともない人でした。それでも、なんだか、いい人だっていう気がして・・・」とか、御主人の小説を読んでいるのだろうかというという質問に対し、「読むな、といわれていますから、ぜんぜん・・・」など興味深い発言も多いので、またいつか、書いてみます。


98.10.29(木)
・月曜から昨日まで、秋田・大館へ出張。古本屋は見あたらなかったが、きりたんぽや比内鶏を味わってきた。
・角川春樹事務所から山田風太郎の「いまわの際に言うべき一大事はなし」というインタビュー集が出る。まだ半分くらいしか読んでないが、この前の同様の企画「コレデオシマイ。」にはまだ新しいネタがあったような気がするのに、今回は、過去のエッセイやインタヴューのネタをトレースするばかりで、なんだか無理矢理な本づくり。山田風太郎著の看板を掲げるのは、この天才に対しても失礼な話ではないか。
・やっと見つけたカー「悪魔のひじの家」(新樹社)。晩年の佳作の呼び声高く楽しみ。西澤保彦「ナイフが町に降ってくる」買う。
・野崎六助の「北米探偵小説論」の新版がインスクリプトから。旧版(青豹書房)は、2000枚で8000円。新版は、カー論など新稿1000枚が加わって5800円。絶対お得なのだが、旧版で読んだときは米共産党史当たりから拾い読みになってしまったし。購入するか思案中。
・関係ないけど、このインスクリプトという出版社のHPは、宮脇孝雄や若島正のブックレビュ−が読めて、なかなかいい。
・HMM12月号。「隔離戦線」は、笠井潔の覆面攻撃と法月綸太郎の書評家批判の余塵さめやらず。でも、それに対する反応が、みんなショボすぎる。今月号で村上編集長が謎の退社。
・ジム・トンプスン「ポップ1280」は何回連載なのか。連載開始時に明らかにすべきではなかろうか。読み始めていいやらどうやら。


98.10.20(火)
・網走へ日帰り出張。風の寒さに身が沁みる。「冬が来ますね」、何人もの口から聞いたこの言葉に、あの憂鬱で一種の決意がいるような北海道人の感情を思い出す。
・新刊レヴューに2作アップ。
●リスト更新情報
日影丈吉「非常階段」、飛鳥部勝則「殉教カテリナ車輪」、森博嗣「有限と微小のパン」、山田正紀「女囮捜査官3 聴覚」追加。


98.10.18(日)
・ポケミス復刊で買ったのは、とりあえずウォーの「生まれながらの犠牲者」、ロード「プレード街の殺人」、フリーマン「ダーブレイの秘密」、デイリイ「二巻の殺人」。それと、「総解説目録」。
・「アデスタを吹く風」は、珠玉の短編集なので、迷わず買いましょう。
・NHK、北村薫原作お嬢様探偵シリーズ全3話観る。ドラマを欠かさずみたのは、何年ぶりか。第2話がコロンボのニュアンスもあって一等良かったかな。でも、原作のオチのエピソードが削られていて
多少残念。
・不可能犯罪ミステリリスト海外編(長編版・翻訳あるもののみ)つくりはじめるが未読の多さに、嬉しいやら悲しいやら。カーを除くと、70編ちょっと。こんなものか。


98.10.6(水) −謎解きが終わったら−
・法月綸太郎の「謎解きが終わったら」(講談社)出る。評論集だけに売れないことを見込んでか、200頁ちょいで、1900円と、お高めの設定。内容の方も「誰が浜村龍造を殺そうとかまうものか」を除けば単行本・文庫本の解説ばかりで、やや拍子抜け。
・「本格ミステリの現在」の島田荘司論は時期が近いから仕方ないとしても、創元推理2の「大量死と密室」(未完のまま?)や現代思想95年2月「メタ・ミステリー」特集掲載の「初期クイーン論」は、是非収録してほしかったところだ。「このミス」93年版に掲載された、新本格への早すぎた埋葬歌「老いぼれる前にくたばりたい」なんてのもあったしね。
・まえがきでは、「書評家カルテルの談合まがいで定まった紋切り型のフレーズを持ち回りで手渡していくような流れ作業は、断じて批評の名に値しない」と、相変わらず一連の「論争」の反映が見られるけれど、清涼院シンドローム以降、一種の伝統回帰を果たししつつあるような最近の発言(「パズル崩壊」(講談社ノベルス)の著者のことば等参照)がダイレクトに出てないのも、最新評論集としては、どうなのか。ここは、一発書き下ろし評論が欲しかったところだ。
・いや、それよりも小説。「(仮題)生首に聞いてみろ」の完成を鶴首して待つ。


98.10.5(月)
・新刊レヴューに「実況中止」「マニアックス」
●リスト更新情報
本岡類『白い森の幽霊殺人』『赤い森の結婚殺人』『青い森の竜伝説殺人』、いしかわじゅん「そして、五十人いる」、風見潤『死んでも死ねない殺人事件』、都筑道夫「百物語」

98.9.28(月) −長さを感じさせない−
・HMM11月号やっと買う。ポケミス特集眺めて、未読の数々を読みたくなる。10月は、ポケミス月間にしようかな。
・パラサイト関既報のとおり、笠井エッセイは、覆面座談会メンバーに攻撃の手を緩めない。「ミステリ界の二大パラノの一人」(C 「天啓の器」)だけのことはある。座談会も本物の地雷を踏んでしまったらしい。「隔離戦線」の茶木氏の法月綸太郎に対する反論も、なんとなくうら悲しい。
・「EQ」郷原宏のブックレビューは相変わらずひどい。イアン・ランキンの「黒と青」に星4つをつけているのだが、コメントといえるのは、「(主人公が)どちらかといえばアメリカ的な性格類型に属する」と「二段組530ページの長さを感じさせない」だけ。後はほとんど訳者後書きからの抜粋。読み終わってからレビューしてほしい。
・「パラサイト・関」に新着。(リンゼイ・ディヴィス「白銀の誓い」評、アップ忘れEQ9月号評(2))

98.9.27(日) −酒と薔薇の日々−
・9.20(日)
 友人宅に、買ったばかりの子犬を見に行く。昼から、庭でビール。4つになる舞衣ちゃんの自作曲に爆笑。夜は、御主人の手料理でワイン。
・9.21(月)
 ダグマー・クラウゼ奇跡の札幌公演。(ヤマハ・アベニューホール)。サンプラー担当のマリー・ゴヤッティと2人のおばさんユニット。肺病病みの旦那をもつ生活に疲れたドイツ婦人のようなダグマーが登場する。おお、あれが、「ヴォイス・オブ・ハルマゲドン」「ヨーロッパ最後の歌姫」、ダグマーか。ライトが当たると、一変、白のノースリーブに、にこやかなダグマーの姿が。演目の方は、予想どおり、スラップ・ハッピーの曲はなし。バルトークらのクラシックのサンプリングのようで、こっち方面の素養がない自分には真髄がよくわからなかったが、ヨーロッパの古層からふつふつと沸き上がってくるのようなダグマーの歌声には圧倒された。往年の高音の冴えがなかったのが、多少残念。日本で最初に売り出すという、当日の演目が入ったCDを買ってきたので、しばらくは、反芻するとしよう。
 この公演を聴きに、わざわざ東京からやってきた高橋徹らと、「寄り合い」「楽屋」へ流れる。帰宅2時すぎ。
・9.22(火)
 東京から休暇で帰ってきた西葛西の巨匠・岩井を迎え、高橋将、藤井あっちゃんと飲む。このメンバーで飲むのは相当久しぶり。岩井が「ナイン・テイラーズ」を絶賛。話を聴くと、例のトリックを知らなかったらしい。年季の入ったファンでも、こんな人いるのか。で、ネタを知らないと、最後の最後で物凄く驚く、とのこと。そうなのか。(ちなみに、この本、ネタを知っていた私も☆☆☆☆☆)
 あっちゃんは東野圭吾「秘密」を激賞。「金富士」「寄り合い」「リベラ」と廻って1時すぎ帰宅。
・9.23(水・祝)
 ひたすら寝る。夕方、本屋に行くと、角川の名作復刊がズラリ。充実のセレクションだ。「悪を呼ぶ少年」と「ストレート・タイム」を買う。お値段高め。茶木則雄の解説は相変わらず、引用ばかりだ。「天啓の器」に備え、「天啓の宴」読む。
・9.24(木)
 係の宴会ですすきの。1時頃まで流れる。
・9.25(金)
 帰って寝る。「天啓の器」ゲット。
・9.26(土)
 誕生日。「天啓の器」読む。今年最大の問題作か。家で日本酒。年休までとって「塗仏の宴」を読んだサイ君の感想。「面白かった」。それだけかっ。 

・パラサイト関アップ。
・新刊レヴューに「わたしとそっくりの顔をした男」を追加。こっちも、またたまってきた。 
●リスト更新情報
仁木悦子「夢魔の爪」「赤い真珠」

98.9.20(日)
・パラサイト関のみ更新。EQ9月号評。

98.9.13(日)  
・新刊。クリスティ−「マン島の黄金」、シムノン「ドーヴィルの花売り娘」、山口雅也「マニアックス」、西澤保彦「実況中死」、メフィスト10月増刊号など買う。
・創元推理倶楽部東京分科会の有志によるHP「謎宮会」で待望の「山田風太郎」特集。風太郎リバイバルまでの軌跡を跡づけた政宗九氏「風太郎は今のうちに買い占めておけ!」、相変わらず最高におかしいヘレン・ケラー氏の「「忍法相伝73」で驚け」、web上の山田風太郎に関する言説を集めた、高橋まき氏の労作リンク集「YaMaHoo!」などなど、読みどころ満載の特集。こちらにて。
・今日の北海道新聞の読書欄に作家の佐々木譲のエッセイが載っていて、タイトルが「「山田風太郎史観」に立つ」。小渕首相や橋本前首相が司馬遼太郎の小説やエッセイを引き合いに出すことから始めて「司馬史観」の底抜けの楽天性を批判。自分は「山田風太郎史観」に立つとした上で、縄田一男が最近、雑誌に書いたという「司馬遼太郎作品の読者数と山田風太郎作品の読者数が逆転すれば、日本も変わるであろう」という一文を引用。まちがっても、自分は橋本氏や小渕氏に愛読されない
作品を書いてゆこう、と結ぶ。
・風太郎の歴史観を司馬遼太郎と歴史観と対置させるのは別に珍しくないけど、国民作家司馬遼太郎の史観を質的量的に凌駕しうる存在とした佐々木、縄田両氏はよくぞ言いにけり。読者数が逆転したときに日本はどう変わるのか。少し怖いような気もする。
・「パラサイト関」更新。黒澤明追悼にちなんで?カミンスキーの「ハワード・ヒューズ事件」評。
●リスト更新情報
 村瀬継弥「藤田先生、指一本で巨石を動かす」、谺健二「人間消失」、歌野晶午「ドア ドア」(以上「新世紀謎倶楽部」より)、荒巻義雄『石の結社』
 これで800編。


98.9.8(火)
・新刊レヴュー更新
・業務連絡。明日から金まで出張です。

98.9.6(日) 
・「パラサイト・関」更新
●リスト更新情報
 東野圭吾「探偵ガリレオ」の5編を追加。(厳密にいうと不可能犯罪物かどうか微妙だが、ページ制作者は、この点に関する明快な方針をもっていないのであった。)

98.9.3(木) −短編集シャッフル−
・このページを御覧の方なら、既にご存じのとおり、このページ制作者実に飽きっぽい。しかも、読むのが遅い。となると、積読本がたまっていくのはもちろんだが、読みかけ本という奴も同じようにたまっていく。読みかけの短編集も随分たまってしまったので。暇ネタで、それらを御紹介。
ヘンりー・カットナー「ボロゴーヴはミムジイ」(ハヤカワSFシリーズ)。北村薫「謎ギャラ(特別編)」で「ねずみ狩り」が採られて以来、なんとなくカットナー、カットナーと思ってる。ミステリ・マガジンにも何作か載っていて、懐かしいけれど、最近ほとんど聞かない名前。異色作家短編集に入っても、おかしくない作家で、まとめて読んでみたくなったところで、古本屋で本書を発見した。現実でも、夢の中でも精神分析を受けている男の話「大ちがい」、ソフトな侵略物「今見ちゃいけない」と出だしは快調。この方、美人SF作家C.L.ムーアの旦那にして、共作者だったんだよね。
スタニスワフ・レム「虚数」(国書刊行会)
 いうまでもなく、ポーランドSFの巨匠。姉妹編「完全なる真空」は、架空の本の書評集だったけど、こちらは架空の本の序文集。原書刊行以来20年ぶりの翻訳。バクテリアに英語を喋らせる試みを続けているうち、バクテリアの未来予見能力を発見した学者の著作「エルンティク」の序文がなんとも楽しく、コンピュータが創造した文学の歴史「ビット文学の歴史」に想像力の極限を見るような思い。最後の、スーパー・コンピュータGOLEMが語る「人間論」でハング・アップ中。
ジュリアン・バーンズ「海峡を越えて」(白水社)
 英国の「小説の名人」による初短編集。さまざまな時代にフランスへ渡ったイギリス人たちをめぐる10の物語。「フロベールの鸚鵡」しかよんでないけど、こちらは実に面白い小説だった。その文学探偵の手法は、北村薫の「六の宮の姫君」にも影響を与えていると思われる。作者は、別名義でスリラーも書いていて、ボケミスに2冊収録されている。冒頭の短編、クラシック作曲家の晩年を描いた「電波妨害」のみ読了。なんともコクがぁって、炉辺でウィスキーをやりながら、くつろいで読むのにふさわしい。炉辺がないので、なかなか進まないかも。
・ミステリでは「泡坂妻夫の怖い話」(新潮文庫)。怪談集だと思いこんでいて単行本のときに見逃していたが、実はごく初期からのショート・ショート集。1日1編ということで31編収録されている。ミステリ、ホラー、人情話など多彩な話が楽しめる。中くらいまで読んだ所では「解坂中腹」「固い種子」といったとこが面白い。連城三紀彦「美女」。1編目「夜光の唇」は、ドッペンゲルガー小説の秀作。2編目「喜劇女優」は、何度も書くが、ミステリ・マインドあふれる傑作。あまりの凄さにおそれをなして中断中。都筑道夫「くらやみ砂絵」。砂絵シリーズ第2集。このシリーズ、恥ずかしながら今年から読み出したという「幸せな読者」なのだ。「春狂言役者づくし」でなぜか中断中。東野圭吾「探偵ガリレオ」常識を越える不可解な犯罪を推理する現代版「怪奇大作戦」らしい。まだ、2編目までだが、読み終わった暁には、密室系リストに新たに5編追加できるでしょう。「A先生」も早く読みたいと思いつつ、遅延していってるのだが。
・何作、読み終えることができるのか、楽しみだ。

・「小林文庫」のゲストブックによると、新青年、全巻で1000万円というのは、間違いではないかという話。出所不明の話が、なんとなく伝説として定着してしまうのは、まずいですね。この件に関してはまたいずれ。
・「宮澤の探偵小説頁」によると、春陽堂文庫は、新刊を出さなくなったわけではないとのこと。(確実な情報) なんとなく嬉しい。

●リスト更新情報
 辻真先『9枚の挑戦状』、都筑道夫『朱漆の壁に血がしたたる』