■本の評価は、☆☆☆☆☆満点
☆☆が水準作
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メールコーナー
掲示板(NEW)
2001.1.4(木)
●密室系リスト追加
ミルワード・ケネディ『救いの死』、霞流一『スティームタイガーの死走』、樹下太郎『銀と青銅の差』
2001.1.3(水)
・パラサイト・関から、今世紀第1信が来たので、アップ。
・大晦日くらいから、持病の首のヘルニアのせいで、首が動かん。首の回らない今年を象徴しているのか。新世紀本始めは、「四谷怪談は面白い」でした。
2001.1.1 (月・祝)
明けましておめでとうこざいます。今年もよろしくお願いします。
12/27 ミステリ・マガジン放出告知の件ですが、希望される方から、メールをいただきましたので、募集を打ち切りたいと思います。とりあえず、お知らせまで。
12月31日(日) アディオス
・長らく手をつけていなかった山田風太郎作品リスト及びカウントダウンを更新。
・年間回顧をやって、ベスト10をやってなどと思いつつ気を失っているうちに、紅白が始まってしまいました。うっひい。
皆さま1年間ありがとうこざいました。来年も、よろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。(て、誰も見とらんよなあ)来年は、多分4日から開業。
では、アディオス、20世紀。
12月28日(木) 『天狗岬殺人事件』/『火の接吻』
・仕事納め。私事でやや安堵することあり。
・あれれ、中村さんのHP無期限更新の停止の弁。本格ミステリを中心とした丁寧で、納得のいくレヴューと、日記を楽しみにしていたのに。仕事・私生活が落ち着いたら、復帰を望む。密室調査員第3号としても活躍していただきました、というか、また是非お知らせください。
・ついに、出たっ。『山田風太郎コレクション1 天狗岬殺人事件』。原稿枚数800枚、普通の単行本、2冊分。本屋で見かけたら、是非手にとってくださいませ〜。全体は、4つのパートに別れていて、
PART1 「天狗岬殺人事件」「この罠に罪ありや」「夢幻の恋人」「二つの密室」
PART2 「パンチュウ党事件」「こりゃ変羅」「江戸にいる私」「贋金づくり」
PART3 「三人の辻音楽師」「新宿殺人事件」「赤い蜘蛛」「怪奇玄々教」「輪舞荘の水死人」
PART4 「あいつの眼」「心中見物狂」「白い夜」「真夏の夜の夢」
堂々、すべて単行本未収録短編17編(現代物)の偉観であります。PART1は本格ミステリ、PART2は奇想小説、PART3は「女探偵捕物帳」シリーズ、PART4は、トリッキーなサスペンスとバラエティに富んでおります。カバーデザインは、京極夏彦 with Fisco。
今まで単行本に収録されていない作品ばかりなので、質的には不安もないではなかったが、自分的には、とても面白い。幻想的ムードの本格「天狗岬殺人事件」、ホラー的展開をみせる「夢幻の恋人」、エラリー・ヴァンス!やヴァン・ドゥーゼン博士、フータロ探偵まで出てくるある意味究極の密室パロディ「二つの密室」、パンパンのへそばかり狙う盗賊団を扱ったナンセンス「パンチュウ党事件」、山風キャラ、マッド・サイエンティスト素広平太登場の登場歴史改変?SF「江戸にいる私」、シリーズの枠設定がブッとんでいて本格している女探偵捕物帳シリーズ、純文学誌に掲載されたトリッキーな本格でもある「白い夜」、意想外の展開が待ち受け、ある名作のトリックを先取りした「真夏の夜の夢」などは、特にいいと思う。(2編未読)こうしてみると、本当に作風の広さがわかる。
奥付の発行日が「平成12年1月10日」になっているんですが、これは誤植か。
・戸川昌子というと、ワイドショーに出てくる姉御肌や官能サスペンスの書き手というイメージが先行して、恥ずかしながら長編は1冊も読んでいなかったのだが、この度読んだ「火の接吻」は堪能した。従来から、読みの玄人筋での評価は高く、小林文庫オーナーも収集に動いているようなので(笑)、『火の接吻』の再刊を契機に、「官能サスペンス」も含め少なくない作品群に新たなスポットが当たるかも知れない。ミステリファンのみならず、いずれフェミニズム方面からも、再評価される作家ではないかという気がする。
・『火の接吻』 戸川昌子(扶桑社文庫/00.12('84) ☆☆☆★
洋画家宅から出火し、逃げ遅れた洋画家が焼死した。3人の幼稚園児の火遊びがその原因ではないかと思われたが、子供達は、「黒い蝙蝠が口から赤い火を吹いた」と証言。事件から26年が経過したとき、決まって5のつく日に現れる放火魔が跳梁し、3人は事件に絡んで意外な役回りで遭遇する・・。放火犯を追う消防士と刑事、愉快犯的犯行を繰り広げる放火魔。3人の役回りは、読み進むに
つれ明らかにされ、一見するところ事件に謎はない。ところが、結末に至って、明確に見えていた事件の輪郭は、反転に次ぐ反転を重ねる。まるで、箱の中からとめどなく真相という新たな箱が飛び出してくるようなマジック。吹き荒れるマニュピレータの嵐は、眩暈のするような感覚をもたらす。
それにしても、いくつもの恋愛や親子の情が描かれているのにもかかわらず、本書の冷え冷えとした触感は、どうだ。すべての登場人物は、読者の感情移入を拒み、利用する/されるゲームのプレーヤーとして振る舞う。そこにある確固としたものは、血まみれの臍帯のつながりのみ。登場人物の荒涼とした精神風景は、一面、形式からの要請でもあるのだが、作者の資質の現れでもあると思われる。近年脚光を浴びているノワールの世界に近いところにいるのが、戸川昌子かもしれない。
12月27日(水) 告知など
・「かんかんのう」問題は、高橋@梅ケ丘の先輩の勘違いだった模様。すなわち、先輩は、『九連環の唄』のオリジナルが梅枝節などと勘違いしていたらしい。と、書いても、話の筋がわかっている人が
いるかどうか。
・掲示板のマーヴ湊さんの書込みで山風コレクションが遂に出たことを知る。その後、小林文庫ゲストブックで桜さんの目撃情報が続く。昼休みと夜に、リーブルなにわを覗くが見あたらず。しばらく、大通りの本屋通いが続くことになりそうだ。
・そのリーブルなにわで、都筑道夫『推理作家の出来るまで 上・下』(フリースタイル/各3,900円)捕獲。帯なしで完本です。高い本を買うと『夜明けの睡魔』で、瀬戸川猛資がレ・ファニュ『ワイルダーの手』(上・下)について書いていたことを思い出す。
「バリバリの新刊を上下二冊、神田の三省堂で7000円支払って買ったのだ。毅然として臆することなく。」
まあ、当時の7000円とは、物価は異なるけれど。
『推理作家が出来るまで』は、昭和50年から63年まで13年の長きにわたってHMM連載。自分の年齢でいくと、15歳から28歳の年までに当たる。それが12年置いて、世紀末に本になるというのは何やら感慨深いものがある。連載開始時から、読んでいたはずなのだが、なかなかミステリの話が出てこないので、まどろっこしかった記憶がある。今読めば、戦前・戦後の貴重な東京史、文化史としても味わえるのだろうが。日下三蔵氏による完璧な年譜と書誌つき。
・浅暮三文『夜聖の少年』(徳間デュアル文庫)、HMM2月号購入。HMMの巻頭インタヴューは、倉知淳。写真が見物。
ついでに、サイ君用にコーンウェル『尋問 上・下』購入。帯は、「スカーペッタに殺人容疑!」。
この前出たサラ・パレツキー『ハード・タイム』の帯は、「V・I刑務所へ!」
誘拐容疑の濡れ衣で捕まってしまうのである。シリーズがネタ切れになってくると、よくある手だよね。でも、刑務所まで行ってしまうのは、新手か。
・家に帰ってくると、霞流一『スティームタイガーの死走』が届いていた。著者自らの手で送っていただき、感謝感激。と、いうことで、御紹介。
帯は、『機関車消失!よみがえった幻の蒸気機関車C63が走行中、線路上から突然消えた。驚愕のトリックに気鋭が挑む書下し!」あとがきによれば、テンコ盛りの謎が次々と繰り出され、一気読みしてしまうノンストップ本格を目指したとのこと。しかも、例のゲロの密室?!もあるようです。献辞は、大阪圭吉に捧げられているとあれば、これは必読。
霞流一『スティームタイガーの死走』(ケイブンシャノベルス)800円+税
買いましょう。
関つぁんの分も戴いてしまったのですが、どうしませう。
・岩井大兄から、「一人破滅ホラー「アルコォルノヰズ」を読め!」というタイトルの全体的に意味不明なメールが届く。ちょっと、引用させていただく。
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凄い! これは買いだ! 青春の日々が甦る。加えて、何であの頃酒酒言ってたのか、その精神世界の全容がつまびらかになるぞ。一文ごとに搾り出すような比喩を入れるのは、何か小説を書くということを勘違いしてるのではないかと疑うほどかなり鬱っとおしいが、物語はアル中へと突っ走る主人公の酒飲み百芸を見てるようで実に楽しい。また、かつてアニメのノベライズで、生理の終わった宇宙パイロットのヒロインに「排卵、完了しました!」と、言わしめたお下劣ギャグも健在。
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そら、伝説のワセミスOB飯野文彦氏の渾身の書下し(ハルキ・ホラー文庫)とあっては、即買い、即・読みだったんですが、途中落っこちてしまいました。これは、読み終えねばなるまいて。
●告知
・で、本題の告知であります。この友人の岩井大兄がミステリマガジン(HMM)のバックナンバーを持ちきれなくなって、引き取り手を探しております。
●リストは次のとおり。
1983. 10 計 1冊
1984. 3 計 1冊
1985. 4、 8 計 2冊
1986. 2〜12 計 11冊
1987. 2〜12 計 11冊
1988. 1〜12 計 12冊
1989. 1〜 9、11、12 計 11冊
1990. 1〜 6、 8〜12(8月号2冊) 計 12冊
1991. 1〜12(9月号2冊) 計 13冊
1992. 1〜12 計 12冊
1993. 1〜 4、 6、 7、 9〜12 計 10冊
1994. 1〜12 計 12冊
1995. 1〜12 計 12冊
1996. 1〜12 計 12冊
1997. 1〜 7、 9〜12 計 11冊
1998. 1 計 1冊
合 計144冊です。
●一括引取りを希望
●本代は不要。送料は負担していただきたい。
段ボール大小二箱ですが、宅急便屋に聞いたところ都内で合計3200円位だそうです。(札幌なら4500円位か)岩井氏の住居(東京の西葛西)の近郊の方は直接取りにいくのもOK。
●競合があった場合は先着順
ということです。
もし、ご希望の方がいれば、成田(s-narita@mxh.mesh.ne.jp)まで、メールください。岩井あて連絡します。無論、面識・電識ない方でも結構です。
希望の方が出るまで、しばらく告知を続けます。
12月25日(月) 『他言は無用』
・本日をもって、札幌そごう閉店。閉店セール初日は、移動ができないほど客が詰めかけたというけど、今日はどうだったのだろうか。22年前のオープン前には、関西系だから交渉次第でまけてくれるという都市伝説もあったんだよなあ。
・H林堂から目録。無慮170頁にも及ぶ目録には、古今のミステリがぎっしりなのだが、この目録は今号をもって休刊とか。新規参入の同業者が増え、「面白い本」を仕入れるのが困難になって、目録の水準を維持できなくなったということのようだ。専門古書店にとっても古本ブームとばかり喜んでもいられないということか。
・都筑道夫『推理作家が出来るまで』が出たかと思って、旭屋へ行くが、見あたらず。出版社の告知は、見たのだが。注文しなければ、駄目なのか。珍しく欲しい物がない。アイルランド系のミステリと知ったシェイマス・スミス「Mr.クイン」を買ってくる。
・『他言は無用』 リチャード・ハル(創元推理文庫/'00.11('35) ☆☆☆★
読んでいくうちに、この前読んだばかりのスティーヴンスン『箱ちがい』になんとなく似てるなあと思っていたら、作中に『箱ちがい』への言及が出てきて、やや驚く。特にプロットが似ているという話ではないのだか、メリハリの効いた登場人物、皮肉なユーモア、ひょんなことから主人公のフォードが陥ってしまう窮状といったあたりが同作品を思い出させたのだ。『箱ちがい』が一筋縄でいかない話だったように、本作も、相当にひねくれている。
ロンドンの紳士の集うホワイトホール・クラブの幹事フォード(支配人のようなもの)のところに、料理長が青くなって飛び込んできた。夕食のスフレに誤って過塩化水銀を入れてしまったかもしれないというのだ。スフレを食べた紳士は、死亡。事を荒立てないために、フォードは、同じクラブの医師に懇願して、自然死として処理してもらうが、そこへ秘密を知った何者かからの脅迫状が届く。
この脅迫状というのが、実にふるっていて、クラブの料理にタラの空揚げを出せだの、日めくりカレンダーをきちんとめくれだの、祝日にはクラブの建物に国旗を掲揚せよなど、クラブの些末事に関わることばかり。犯人は、クラブの運営に相当腹ふくるる思いをしているらしい。フォードと医師は、「犯人」の要求を呑んでいくうちに、さらなる窮状に陥っていく。
このフォードのキャラクターがなかなか絶妙で、「すべての人の望みをかなえようとして、すべての望みをかなえることに失敗する」タイプ。私的にかなり同情が入ってしまうのである。物語は、ある局面からガラリと様相を変え、「伯母殺人事件」の主人公を思わせるような、どこかキレたような悪意が顔を覗かせる。予想のつかない展開の中で、紳士たちの多彩な顔とイギリスのクラブなるものが戯画化され、紳士の共同体そのものを笑い飛ばすような結末がつく。ビターハーフなユーモアと皮肉たっぷりの視線が全編にいきとどいた英国余裕派とでもいうべき作風の快作。「箱ちがい」の引用にもちょっとした仕掛あります。
・おまけ
この面白さに「多言は無用」というのは、どうか。それは、「たごん」か。ん?
12月23日(土) オフェリヤ
・中村さんのところで、クリスマス・シーズンにふさわしく「死蔵ダブリ本放出企画」というのをやっている。いい本が並んでますな。また、〆切を忘れないようにしなければ。
・22日の夜は、例年の如く、すすきの方面行きの地下鉄がムチャ込み。実質、最後の忘年会フライデイですからな。知人の見舞いに行った帰りに、元同僚と痛飲。
・井上雅彦監修『雪女のキス』(異形コレクション綺賓館U)購入。予想通り風太郎「雪女」が収録。次の「妖花のラビリンス」には、やはり風太郎「人間華」を入れずばなるまい。もしかして、全部に風太郎
作品を入れるつもり?
・編者のコメントで「第四回日本ミステリー文学大賞」受賞の件について触れられている。光文社のサイトにも、少しだけ出てました。
・昭和ミステリ秘宝、小栗虫太郎『失楽園殺人事件』から、未読だった「失楽園殺人事件」「オフェリヤ殺し」「人魚謎お岩殺し」の3編を読んでみる。どれも、うひゃひゃと喜びたくたくなる快作でありました。奇想、暗号に暗合、ペダントリー、無惨美などが充満しているのは、世に喧伝されているとおりであるけれど、コンパクトにまとまっているから、なんと、読み切れる(笑)。若い頃、「黒死館殺人事件」の途中で落ちてトラウマになっている人(ワシ、ワシ)も、大満足。種村季弘は、小栗虫太郎全作品4「二十世紀鉄仮面」('79)の解説で、
「今度読み返してみても、やはりもっとも鮮烈な印象を味わったのはこれらの作品群(注:「失楽園殺人事件」等)であったが、黒いユーモアの先駆として、小栗虫太郎は『黒死館殺人事件』などよりむしろこうした作品の方からあらためて再評価の気運にあずかるのではないか」
と書いている。
今回、久しぶりに虫太郎の短編を読んでみて、見逃せないのが、種村先生も書いているユーモアの要素。実際、事件設定や推理の奇抜さは、人の悪い冗談としか思えないのもあるし、繰り出される暗合にはヨコジュンばりのダジャレ推理の趣も。特に、「人魚謎お岩殺し」の「青血」には、爆笑してしまった。鹿爪らしく読むのではなく、バカミスの元祖として、楽しむのもありだろう。法水麟太郎のキャラクターは、キャラ萌え方面にも受けそう。
「失楽園殺人事件」
孤島、鵯(ひよどり)島には、兼常博士が私費を投じて建設した、らい病療養所があり、その構内「失楽園」といわれる施設で奇怪な密室殺人が発生。たまたま休暇で近くに滞在していた法水は、超論理を操って真相に迫る。冒涜的なまでのトリック。マッドサイエンティスト、兼常博士の実験が、また、とんでもなさすぎる。
「オフェリア殺し」 法水麟太郎、ハムレットを演ず!「黒死舘殺人事件」を終えて、しばらく閉地に暮らしていた法水は、「ハムレットの寵姫(クルチザン)」なる戯曲を書き上げ、あろうことか出演までしてしまう。戯曲は、ハムレットの友人ホレイショが実は女性であって、ハムレットの遊学中に恋に落ちた娼婦を男装させていた、というとんでもないもの。ホレイショは、嫉妬のために、ヒロイン・オフェリアを殺すのである。舞台は大評判をとり、連日5000人の観客がつめかけるが、オフェリア狂乱という最大の見せ場で、オフェリア役の女優が殺される。凝りに凝った設定、実際に川を舞台につくってオフェリアを水死のシーンで殺人という趣向、ギリシャ悲劇風の背景をまとった怪しげな俳優たち。シェイクスピアの戯曲が、演劇・事件と二重写しになっていき、法水の超論理も冴えまくる一編。
「人魚謎お岩殺し」 天明の頃、琉球列島の南に犯罪者植民を行った孤島があった。ときの殿様は、体躯の優れた男女の囚人をおくり、巨人育成を試みる。歴史の闇に埋もれてしまった孤島を著名な生理学者クィロス教授が訪れると、そこに、人魚の姿を発見。博士は、島の2人の青年、4人の子供を連れ帰る。ここまでがプロローグ。この島の生き残りが、流血演劇(ころしもの)といわれる日本版グラン・ギニョール専門の一座をつくり巡業している。一座は、当たりを見込んで、なぜかタブーとなっていた「四谷怪談」の上演を決意するが、座長は謎の失踪を遂げ、上演中の「髪すきの場」で殺人が起こる。「特殊演劇保存という見地からして」この劇団と親しい法水は、謎ときに乗り出すが・・。それにしても、なぜ南海の人魚と四谷怪談が繋がる?異質な物の組み合わせが強烈な効果を挙げる虫太郎マジック極まれり。途中、俳優がインセスト・タブーに悩む場面などは、本当に、この世のものとも思われない変てこな小説を読んでいる気になる。全体としては、「オフェリア殺し」の改作といった印象。ネタづまりというわけではなく(両方とも昭和10年の作品だ)、おそらくシェイクスピアで試
みたものを大南北の「四谷」に移し替えしてみることに、表現者としての野心がくすぐられたのではないか思われる。両作品に共通するのは、エディプス・コンプレックスあるいは、インセスト・タブーのテーマだ。細部を比較すると色々面白いとおもう。しかし、なぜ人魚なのか。
・今晩、「美の巨人たち」というTV番組を観る。ミレーの「オフェーリア」をやるというのでガラにもなく観たのだが、ミレーがイギリスの画家で、「ラファエロ前派」という一派に属するということすら、知らなかったバカモノなので、出てくる話は、なかなか興味深い。この「オフェーリア」という絵は、まさに「ハムレット」における水死したオフェリアをリアルなタッチで描いたものだが、画面に描かれた花びらには、それぞれシンボルとしての意味がある、という。これは、まさに「オフェリア殺し」(無論「ハムレット」でも)で、死ぬ前のオフェリアが登場人物たちにそれぞれ花を渡し、花ことばの意味を託したのと同じである。そう思って、短編を読み返すと、
「彼女は、ジョン・ミレイズの「オフェリヤ」そのままの美しさで、キラキラ光る水面を、下手にかけて流れて行くのである」とこの絵自体が引用されている。
エッセイ「吊し斬り色さまざま」には、
「ジョン・ミレイの「虹と盲目の少女」などを見ていると、何時(いつ)かは知らず、一篇の探偵小説となって、それが朧気な形ながらも泛かんで来るのだ」
とある。
となると、「オフェリヤ殺し」の一編は、小栗虫太郎がミレーの「オフェリア」を眺めながら構想したのではないかと思えてくる。
番組では、「ハムレット」からの一節も引用された。同じ箇所を小田島雄志訳から引くと、
「あの子は花を抱いたまま泣きさざめく流れに/まっさかさま。藻裾は大きく広がって/しばらくは人魚のように川面に浮かびながら/古い歌をきれぎれに口ずさんでいきました。/まるでわが身に迫る死を知らぬげに、/あるいは水のなかに生まれ、水の中に育つもののように。」
かくして、「オフェリア殺し」と「人魚謎お岩殺し」は、ブリッジされる。
オフェリアも人魚も、水の中の女なのだ。
12月20日(水) 『救いの死』
・たかはし@梅ケ丘から『梅が枝の手水鉢』なるお囃子の音をメールでもらう。便利な時代だな。いわれてみれば、ちょっと中華風かもしれない。。「かんかんのう」もだいたいこんな感じとか。江戸時代大人たちが踊り続けて、幕府の禁止令が出たという片鱗あります。半日、頭の中をメロディがぐるぐる。
・ちょっと前に読んだ本だが。
・『救いの死』 ミルワード・ケネディ(00.10('31))国書刊行会 ☆☆☆
・地方名士のエイマー氏は、探偵のまねごとを思いつき、かつての人気俳優が突然引退した謎を解こうと調査に乗り出したのだが・・。バークリーの傑作『第二の銃声』と併せ読まれることを欲している本。ただ、同じ「信頼ならざる語り手」でも、最初は、鼻持ちならない人物として登場し、次第に読者の共感を引き寄せていく存在にしていくというバークリーの超絶技巧に比べると、こちらは一歩譲らざるを得ない。過去の事件を探り、事実を積み上げ、意外な真相を浮かび上がらせていく前半は、ちょっとロス・マクでも思い起こさせるような出来映えなのだが、それだけに後半の拍子抜け感は否めない。毎度のことながら懇切・明快な真田啓介氏の解説で、作者の大きな狙いが明らかにされ、腑に落ちる点も多々あるけれど、それをもってしても、一種の喪失感を上回るまでに至らない。でも、記憶されていい問題作。後半に倒叙型の不可能トリックあり。
12月18日(月) 『猫の手』
・ジャーロ第2号購入。有栖川効果なのか、創刊号に比べ随分減っていたような気がした。「NET DETECTIVE」のコーナーで「猟奇の鉄人」が大きく採り上げられております。
・扶桑社文庫の昭和ミステリ秘宝第2弾小栗虫太郎『失楽園殺人事件』、戸川昌子『火の接吻』をいただいてしまう。続刊になるかどうかは、売れ行き次第ということなので、誠に申し訳ない気が。本屋でも買って誰かにあげよう。前者は、法水麟太郎物文庫版作品集成上巻。中短編7編と100頁を越す貴重なエッセイを収録。後者は、世界各国でベストセラーになったというのに日本では絶版だったという「幻の傑作」。このシリーズ平野甲賀の装幀もいいですね。
・まず、『失楽園殺人事件』に収められたエッセイを読んでみる。「群衆」という新たな探偵小説のフィールドの可能性を探った「千社札奇験膏薬」、海野十三を称揚し純文学的なものの追及から大衆読者の開拓へ移行する決意表明とも思える「三重分身者の弁」、当時の探偵作家の交遊、切磋琢磨が窺える「禿山の一夜」「胡鉄仙人に御慶を申すの記」、種村エッセイばりの西洋綺譚を綴った「反暗号学」「諸姦戒語録」「吊し斬り色さまざま」「奇史三種」、戦中の南方からのレポートなど、いずれも興味深い。今更ながら、この作家の教養の幅広さと質には恐れ入る。
『猫の手』 ロジャー・スカーレット(新樹社/00.'11('31) ☆☆☆
エラリー・クイーンのライヴァルたち第4弾。「エンジェル家の殺人」で著名な作家だが、本書も、エンジェル家と同様、富豪宅での殺人を扱っている。年老いた大富豪の家に集まった甥、姪たち。エゴイスティックな老人に傀儡同然に操られている彼らの間に打算と愛憎が渦巻く中、結婚と遺言状の書き換えを発表した富豪は、何者かに射殺される。事件が起こるのがちょうど物語半ば。作者の筆はユーモアに乏しく、人物のふくらみにも欠けているため、読み進めるのがややつらい。尋問が繰り返され行き詰まった末に、名警部が召喚される。容疑者限定のパズルとしては、真犯人の隠し方がうまく、盗癖をもつ登場人物の使い方など、創意に富んでいる部分もあるのだが、明らかに捜査すべき部分がないがしろにされていたり、重要な手がかりが隠されているなど、詰めの甘い部分もある。動機は、なかなかユニーク。牡なのにルーシーという名の猫が登場し、重要な手がかりにも関係があるが、活躍はさほどない。
12月17日(日) 『ぼくらの少年雑誌』
・掲示板にて、各種問題群が進行中。検索してたら、いろいろタメになる。
・小林文庫ゲストブックに、桜さんの購入本と自分の土曜日の購入本が同じという書込み。なんとはなしに光栄です。
・『猫の手』読了。一応、猫ミスでした。
・「ぼくらの少年雑誌」 草野のりかず(東京法経学院出版/'87)
「少年」「少年クラブ」「漫画少年」「冒険王」等戦後に花開いた少年雑誌について書かれた本。新書版200頁の本ですぐ読める。
各雑誌の概要・マンガと絵物語・ヒーロー・投稿・広告の5部のパートに分け、少年誌を概観。資料の入手難からか、参照にさている雑誌が昭和30年前後のものに限られ、各パートの記述も十分とはいないえないが、著者自身昭和21年生まれとあって、少年雑誌が当時の少年たちに与えた幸福感みたいなものが、よく伝わってくる。
可笑しかったところが色々あるが、読者投稿のハミ出し記事を1つ紹介。
「こまったものは−1人でるす蕃のときの押し売り(埼玉県○○君)、
「こまったものは−医者のいない村での急病人」(長野県○○君)、
「こまったものは−道のまん中に牛が寝ているとき(岩手県○○君」
ここは、インドかい、と突っ込みを入れたくなるが、都会以外は、農村だった(当たり前だ)ことを考えると、リアルだったのかも。
「ムギめしのあつきをほおばり赤き顔の父よりあすの田植えをならう」(石川県・○○君)
「新任の先生迎える田んぼ道れんげの花が咲き乱れいる」(島根県・○○君)
「とうふやのラッパのひびきとおざかりまっかにそまる夕焼けの空」(横浜市・○○君)
・妙にノスタル爺になってしまうのである。
12月16日(土) あれこれ
・パラサイト・関更新。
・忘年会続きのせいか、疲れモード。手稲の病院に見舞い。
・昨日、「このミス2001」「本格ミステリ・ベスト10」、創元の多岐川恭、ジル・マゴーン購入。小倉餡「桂侯爵家の事件」(鳥影社)というのも、買ってみる。帯曰く「上流社会に交錯する禁断の愛/雪の朝の美少女の死。ころがっていた毒盃の謎。憧球室は果たして密室だったのか?」密室物らしいんだけど、ペンネームについては、なんと申しましょうか・・。ここの出版社は、前にも不可能犯罪物らしき長編が出ていて、気になっているのだが。
・このミスで2位に40ポイントの差をつけて断トツトップだった「ポップ1280」の編集者コメントがおかしい。「これで、書店の音楽コーナーに置かれるれることもなくなるでしょう」札幌の大きい本屋でも、
音楽コーナーにあるんだよね。直すように、西武の紀伊国屋。しかし、早川は、もったいないことをしたよね。
・バカミスは総集編で、ちょっと期待外れ。座談会の古典復刊に関する福井健太発言は、耳が痛いというか、それでもいいんじゃないかというか(どっちだ)
・MURDER BY THE MAILから、ヒュービンの書誌(CD−ROM)と草野のりかず「ぼくらの少年雑誌」届く。ヒュービンの書誌は、たくさん遊べそうだ。クイーン「真鍮の家」は、通説どおりデイヴィッドスンになっていた。
・文生堂目録届く。「野球少年」1冊2万5000円。くまかあ。
・それにしても、ソフトが溜まりすぎ。
12月13日(水) あなたもバロウズになれる
・昨日の「わが名はアヴラム」について、「猟奇の鉄人」で採り上げていただきました。どもども。でも、
新展開ない限り、この話はこれで終わりでこざいます。
・掲示板にて、密室系作品として、宮澤さんに山沢晴雄『知恵の輪殺人事件』を教えていただきました。掲示板報告第1号。ありがとうこざいました。また、こしぬまさんにメールにて草野唯雄『影の斜坑』を教えていただきました。この作品も、面白そうですね。「密室調査員」のコーナーに仮収蔵しておきます。
・忘年会で、『かに本家』。高くて地元の人間は、ほとんどいかない店だけど、味は、どうも今ひとつ。やはり、蟹は現地食いに限る。
・マーヴ湊さんから、貰ったネタ。
検索エンジンのexciteに付いているWEBページの自動翻訳機能がついており、試してみたところ、とんでもない訳文が頻出して大受けしたとのこと。下の文章は『血のバレンタイン』という恐怖映画の(かなりおちょくった)英文レヴューを翻訳した結果を送ってもらいました。
それはカナダの採掘町のバレンタインデーである,そして,ナット家の外にハリー
Warden(シャフト崩壊がAWOL班長で彼を無人でおいたとき殺される坑夫)が報復のために行き帰りあるように思える.
彼は様々な町民と共に始めて, 保安官がボディーを発見するとき彼がそれを皆,
静かにさせるように市長によって主張されて, 大きい Valentineのダンスが特に来て,
町は慌てない. 町の保安官はその間皆が家に滞在して, それら自身のビジネスを気にするのをさせようとする町全体にわたっている.
言うまでもなく注意の自由な十代が彼を無視する…すべてをパーティーに投げると決めなさい…それら自身の…-…私のもののすべての場所のrec部屋あなたはかっこよい小さいねじれが終わりといくつかの良い現場に道に沿ってあるが,
これがどう解決するかを知っている. このカナダ人はハロウィーン, 13日金曜日,
他の裂け目を作った . 実際に他のものの群衆よりも良いすごい光景である; きちんとしたキャストのおかげで;
(少なくともそれらのキャラクタは鋭い物のまぐさより少し, むしろ打ち解ける)…鋭い指示;
(この種類のものに良); 良い位置が飛んで; (多くの鉱山の内部); まだ; それはslasher映画である;
それは全体のジャンルに打たれたというあらゆる決まり文句を転げ回る; 死ぬほど…-…にせの恐怖,
性の同輩死亡公式; 物理学の法則の違反
うう、これは「ちはやふる奧の細道」の遥か上を行くビックリ翻訳。「鋭い物のまぐさ」ってなんだ?マーヴさん曰く「しかしどこかでお目にかかったような文体だな・・・そうだ、ウィリアム・バロウズだ!」
マーヴさんは、すっかり癖になったということで、私も少し試してみました。WEBサイト翻訳は、文章の量が多いとうまくいかないみたいですね。古典のテキスト化を進めている「プロジェクト・グーテンベルグ」から、コナン・ドイル「ボヘミアの醜聞」の原文をもってきて、テキスト翻訳してみる。
シャーロック・ホームズに, いつも彼女は女性である.
私はめったに聞かなかった. 彼…いかなる他の名前の下でも彼女について言及しなさい.
彼女がおおい隠す彼の目で彼女の性の全体から, 勝っている. それが感じなかった…彼は感じた.アイリーン・アドラーのために愛すために同系どんな感情.
感情, およびそれのすべてしかし1…特に…彼の風邪に大嫌いだった…正確…見事にバランスをとった心.
私は, 彼が最も完全であるのを分かる.しかし世界がaがわかった推理とマシンを観測すること.
彼が持っている恋人は自分を誤った位置に任命した.
ホームズがいきなり女性になっている。「to his cold, precise but admirably
balanced mind.」がなんで「風邪」になるのだ。
ちなみに、阿部知二訳(創元推理文庫『シャーロック・ホームズの冒険』)は、こうです。
シャーロック・ホームズにとっては、彼女はいつもあのひとであった。なにかほかのことばで呼ぶのを、私は聞いたことがない。ホームズの目からみれば、彼女はほかの同性の光をすべて奪って圧倒しているのである。といっても、彼はアイリーネ・アドラーにたいして、恋愛に近い気持ちをいだいていたのではない。あらゆる感情、なかでもとくに恋というようなものは、冷静で鋭利な、しかもおどろくほど均衡のとれた彼の精神にとっては、いとわしいものであった。私が思うのでは彼は、いまだかつて世にみないような、完全な推理と観察の機械だ。だが、恋をする男にになったとすれば、それはとんでもない場ちがいということだろう。
人間は偉大なり。
続いて、ブラウン神父第1作「青い十字架」( The Brue Cross)を試してみると、いきなりタイトルが、
「健康保険組合」。
ああ、頭をいいよ君。
ならば、とクイーンの長編著作リストを翻訳にかけてみた。
「ローマ帽子神秘」「 フランスの粉の神秘 」「オランダの靴の神秘」 「Xの悲劇「ギリシアの棺の神秘」・・「神秘」ってのはなんだけど、なかなかいいぞ。続いて、
「エジプトの交差している神秘」
これだよ。交差している神秘って・・。
「ドゥルリー車線の最後のケース」はいはい。「スペインの岬の神秘」 「中間施設」。中間施設?
「支払う悪魔」 、「4つの心臓」は、許すとしても、「災難町」ってのは、ご勘弁。
続いて傑作が続々。
「年取った女性がいた.(迅速と死者)」
「殺人者はフォックスである」 ネタバレか.
「多くのテールの猫」
「二重で,そして, 二重である」
「検査官女王の自身のケース」
「仕上のストローク」 「反対側の上のプレーヤー」ってのはいいよね。
「直接」・・
これわかりますか。「さし向かい」や「顔と顔」ならまだしも。
「真鍮の下院」賢いぞ
そして、最高傑作は、これ。
「巡査アウト」
職業ゲームですか。
さあ、上記サイトにとんで、あなたもバロウズになろう。気むずかしい約束。
12月12日(火) わが名はアヴラム
・日本推理作家協会のサイト、オープン。推理作家協会員(物故者を含む)の名簿は、作家事典として使えるし、現在流通している書籍についても、ネット書店と提携により、すぐ調べることが(買うことも)できる。賞関係の情報も充実。これは、ありがたい。
・北海道新聞の今日の夕刊に、道立図書館がプランゲ文庫のマイクロフィッシュを購入し12月から閲覧を開始したという記事が載っていた。購入分は、1945〜49の道内分の雑誌641冊分。同文庫の道内資料数は、東京、大阪に次いで3番目に多いという。研究が進めば、何か面白いものも出てくるかもしれない。 (*プランゲ文庫は、米国のメリーランド大教授でGHQに勤務していたゴードン・W・プランゲ博士が検閲制度の終了後、大学に持ち帰り保管していた日本の出版物で、図書だけで8万2000冊に及ぶ膨大な資料。戦後史の貴重な資料といわれている)
・ちょっと気になっていることについて。
エイヴラム・デイヴィッドスンといえば、ミステリー・SFの短編の名手として知られている。古手のミステリーファンには、「ラホーア兵営事件」や「物は証言できない」、SFファンにとっては「あるいは牡蠣でいっぱいの海」、「人造人間ゴーレム」等の作者として記憶に残っている作家だろう。エドガー賞とヒューゴー賞双方の最優秀短編賞を受賞したのは、他にハーラン・エリスンしかいないというから、双方を股に掛けた作家として気になる存在ではある。最近、すばらしい「アヴラム・デイヴィッドスン・ファンサイト」ができて、すこぶる面白そうな長編が紹介されており、いずれ翻訳されることを期待して待ちたいところだ。
デイヴィッドスンのファースト・ネーム「Avram」は、従来「エイヴラム」と表記されてきたが、SFマガジンの1996年12月号に、伊藤典夫氏が書いているように正しくは、「アヴラム」であることから、ミステリ・マガジンにおいても、「アヴラム」と表記することにしたという。(99年9月号デイヴィッドスンの短編「エリヤの聖画像」解説)
このアヴラム・デイヴィッドスンの名が、人口に膾炙しているのは、ユニークな短編の書き手としてより、あるいはクイーン作品の代作者としてかもしれない。
デイヴィッドスンのクイーン代作は、
『第八の日』(64)
『三角形の第四辺』(65)
『真鍮の家』(68)
の3作といわれている。
昨年出た、エラリー・クイーン『青の殺人』(原書房)の有栖川有栖解説にも次のとおりある。
「クイーン名義で発表された本の中には、実際は他の作家による代作が含まれており、「Detective
Fiction:The Collection's Guide」(ジョン・クーパー&B・A・パイク著)は、SF作家シオドア・スタージョンによる『盤面の敵』と、エイヴラム・デイヴィドスンによる『第八の日』『三角形の第四辺』『真鍮の家』がそれに該当すると記されている。」
クーパー&パイクのセカンド・エデイションにも、この旨そっけなく記述されているところである。
ところが、前記の「アヴラム・デイヴィッドスン・ファンサイト」のwebmasterに教えていただいたところによると、Henry
Wessells氏による海外のデイヴィッドスン・ファンサイト「The
Avram Davidson Website」中のバイオグラフィ“Something
Rich and Strange”には、次の記述があるということであった。(確かにあります)
While living in Milford, Davidson completed the manuscript of the next
Ellery Queen novel, The Fourth Side of the Triangle (New York: Random House,
1965), in late April 1963. He apparently considered writing a third Ellery
Queen novel (and began negotiations concerning The House of Brass, but
this book was ultimately written by Theodore Sturgeon)
. つまり、デイヴィッドスンは、3作目のエラリー・クイーン小説『真鍮の家』を書こうとし、ダネイとの打ち合わせはしたものの、最終的に執筆したのはシオドア・スタージョンであると。
Henry Wessells氏の記述は、かなりデイヴィッドスンの伝記的事実を踏まえ(しかも巷間「真鍮の家」がデイヴィドスンの代作と言われている事実も踏まえ)書かれているようであり、これはかなりの確度で事実ではないかと思われる。
代作問題については、昨年出たELLERY QUEEN「THE TRAGEDY OF ERROS AND OTHERS」(Crippen
& Landru)(未刊行の遺作シノプシス、単行本未収録6編、評論家等のエッセイをおさめたもの)に収録された、Douglas
& Richard Danny(いずれも、フレデリック・ダネイの息子)のエッセイの中で、次のように書かれている。(この件に関しては、以前、パラサイト・関の「翻訳ミステリ・アワー」でも紹介されておりました)
And on the Eight Day....was also written from an outline prepared/ created
by Frederic Dannay ,an outline of 66 pages. Avram Davidson wrote the novel
based on this outline and the novel was then extensively revised by Mr.Danny
and Mr.Lee.The Fourth Side of the Triangle .was again written from a Frederic
Dannyoutline,this time of 71 pages. Again it was Mr.Davidson who finished
the novel and he based his work on the outline. The book was revised by Mr.Lee
and Mr.Dannay
『第八の日』も『三角形の第四辺』も、ダネイが用意した梗概に基づき、デヴイッドスンが執筆し、それを二人のクイーンがreviseしたものである、と。
また、『盤面の敵』についても、ダネイが用意した42Pの梗概に基づき、スタージョンが執筆し、それ二人のクイーンが revise した旨が書かれている。
が、『真鍮の家』については、何も触れられていない。
海外のクイーン関係のサイトをのぞいてみたが、『真鍮の家』は、デイヴィッドスン作とされているのみである。スタージョン関係サイトをのぞいてみたが、『盤面の敵』が挙げられているのみである。
果たして、『真鍮の家』は、デヴィドスンによるものなのか、スタージョンによるものなのか。
(注記:「THE TRAGEDY OF ERROS AND OTHERS」の他の箇所を読み落としている可能性あります)
12月11日(月) 『少年小説の系譜』
・西澤保彦『転・送・密・室』、中村融・山岸真編『20世紀SF 2 1950年代』購入。『転送〜』のマンガ絵は、買うのがつらい。
・『20世紀〜』の中にベスターの短編が入っている。タイトルが「消失トリック」とあって、思わず先ヅモ。『虎よ、虎よ!』の原型とあって、「消失トリック」(笑)は、丸わかりなんだけど、とにかく叙述もアイデアも華麗。オチをどうするのすかと思って読んでいくと、ドンピシャリの「消失トリック」。ベスター、あなたは巧すぎる。
・TACさんという密室ファンの方から、大量の密室系作品の提供をいただきました。弱いところが多く
大変有り難いです。
森村誠一 「腐った山脈」(角川文庫「シンデレラスター殺人事件」に所収)
森村誠一 『終着駅』
大谷羊太郎 「僕が銃声をきいたとき」 (ソノラマ文庫「殺人ゲームに挑戦」に所収)
大谷羊太郎 『旋律の証言』
斉藤栄 『金糸雀の唄殺人事件』
日下圭介 「黒い葬列」 (講談社文庫「花の復讐」に所収)
夏樹静子 「密室航路」 (角川文庫「密室航路」に所収)
高柳芳夫 『ライン河の白い霧笛』
西村寿行 『瀬戸内殺人海流』
江戸川乱歩 「妻に失恋した男」
土屋隆夫 「地獄から来た天使」 (角川文庫「地獄から来た天使」に所収)
とりあえず、「密室系調査員」のところに仮収蔵しておきますね。このところ、仮収蔵が多くて申し訳なし。
密室系作品を教えてやろうという方は、掲示板でも結構ですので、こちらの方もよろしく。
・『少年小説の系譜』 二上洋一('78/幻影城)
戦前の「少年倶楽部」で活躍した作家を中心に、「少年小説」の発生から終焉までを通観した労作。児童文学というと、赤い鳥グループや宮澤賢治といった「文学的児童文学」の方面の研究ばかりが進み、戦前に少年たちを熱狂させた「大衆的児童文学」の方は、省みられないという状況下で、後者を前者に並列するものと位置づけ、通史を試みた本書は、発表当時、相当のインパクトがあったのではないかと推測される。『少年倶楽部』の昭和11年の発行部数は、実に75万部に達したという。昭和1桁の時代に、幼年期を過ごした世代が、往時の「少年倶楽部」を懐かしむのも、わかろうというものである。著者は、「少年小説には、作者の少年読者に向けた情熱と、少年が自己を投影出来る主人公と、ストーリーに漲る緊張と、凝縮された感動がなければならない」という一貫した態度で、押川春浪・吉川英治・佐藤紅録・山中峯太郎・江戸川乱歩・海野十三等を概観していく。紹介される作品は興味深く、散りばめられた作家のエピソードも面白いが、説明不足と感じられる点が多いのは、難ありか。素描にとどまってはいるものの、少年小説とはまったく異なるメソッドが必要だった戦前の「少女
小説」なるものも、興味深い。「少年小説」「少女小説」の分析は、「少年」とは、「少女」とは、一体何であるのかという、文芸にとどまらない方面への視角を孕んでいるように思われる。
著者は、「昭和21年、手塚治虫のデビューと共にスタートしたまんがの近代化によって、少年小説
の歴史は、ついに幕を閉じる」と書いている。その結論が正当だったのか、あるいは何故「文学的児童文学」だけが生き残ったのか、今後の研究の進展がまたれるところだ。
12月10日(日) 代田文庫
・中村さんのプレゼント〆切日を失念していた。あ〜いつも、こうなのだ。
・昼から、道立図書館に借りた本を返却に行く。そこに、またしても、見慣れたお顔。「君の名は」、おげまるさん。本日も、お宝を発見した模様。レポートが楽しみである。
・なにかしらあるのではないかと気になっていた、北方資料室へ。札幌版500余冊がある代田文庫がここにあるはず。代田文庫の目録がチープな紙ファイルに収められて書架にある。目録に付けられていた説明文によれば、本文庫は、戦前戦後にかけて札幌で古書店尚古堂のかたわら、北方出版社(後に北方書院)を経営し、「北海道先史学十二講」、「新考北海道史」などの名著をてがけ昭和25年度の北海道第2回文化奨励賞を受賞した代田茂氏のコレクションとのこと。
目録に当たってみるが、産業・経済・社会・郷土といった辺りが多く、文芸も少なからずあるけれど、探偵小説関連の興味をひくようなものは、ほとんどない。浅い知識で、タイトルと著者名で判断しているから、無論、精通した人がみれば、目にとまるものもあるかもしれないのだが。やや、興味をひくものを小林文庫ゲストブックに書いてみた。(一つ漏らしていたので追加。「第五の厄」姿見寿一 北陽出版社 昭和22 (怪奇犯罪探偵実話第1・)。
札幌版が一番まとまってあるのは、代田文庫だということなので、もう少し面白いものあるのかどうかは、専門家の研究待ちか。
先日、古書店で購入した「来訪者」も「神兵に非ず」も、この目録には入っていた。
・おげまるさんと厚別で別れて、知人を病院に見舞う。ウィルス性の脳炎で、一時は記憶がごっそり飛んでしまったとのこと。つきあいの長短にかかわらず、顔を見ても名前を思い出す人とそうでない人がいるというので、忘れたい人を思い出さないのではないかと笑ったのだが、快方に向かっているようで、一安心。
・安心したところで、なぜか病院の隣にあるブックス・いとう。二上洋一『少年小説の系譜』ほかを購入。
12月9日(土) 楠田
・K文庫より荷物。当たって嬉しい順に、クロフツ「フレンチ警部と賭博船」、山野浩一「花と機械とゲシタルト」、日影丈吉「幻想博物誌」、スーヴェストル&アラン「ファントマ対ジューヴ警部」、ピンチョン「重力の虹T・U」。最後のは、安いからというだけの理由。外れたEQMM1-100が非常に残念に思えてきた。当たっても、置き場所に困るのだが。
・『人肉の詩集』 楠田匡介(昭31.2.20発行) あまとりあ社 図書館
角書きに「エロティック・ミステリー」。あまとりあ社発行ということからも十分わかるように、「この集の中には、余り「本格」にこだわらず、私のもので、わりにエロティックなものだけを集めた」と作者後書きにある。
「六十九殺人事件」 金持ちの後妻と通じた男が一計を案じ・・。「六十九」は、被害者の年齢と毒殺に使われる「刺激剤」との掛詞。
「ニンフオマニー・マアダー」 被害者の性的嗜好とシングリッシュ・セッターを使った殺人。「窃視狂」 裸体写真を送りつけられた歌手の復讐譚。
「フレンチ殺人事件」 行為中に死亡した女に「フレンチ・レター」の手がかりが。
「猫と庄造と二人の女」 謎の死を遂げた画家の猫が、なぜか「かんかんのう」を踊り出して。変な猫ミステリー。
「人肉の詩集」 既出。「硝子妻」、ジュヴナイル「都会の怪獣」の内容と合わせると作者には、どうも、樺太のエストルでの製紙工場での勤務体験があるらしい。
「乳房を食う男」 乳房フェチの画家が、その嗜好の果てに犯す犯罪。北海道が舞台。「グロテスク」という雑誌に発表された作者の実質第二作らしい(第一作は「人肉の詩集」。
「硝子妻」 アンソロジー「妖異百物語」に収録。自らの発明と恋人を奪われた男が、樺太の硝子工場で恐ろしい復讐を遂げる。
「浴槽の死美人」 劇団の風呂場での俳優の怪死。裸体を見せない大女優というフックをうまく使った本格物。
「冷蔵庫の中の屍体」「密封された尼僧」「依託殺人」「屍体のない殺人」
「現代捕物帳」とも称される(作者後書き)、吉川、宇野刑事を主人公とした実話風探偵小説。両刑事は、中華そばや焼酎を飲み食いしながら、足の捜査を繰り広げる。本格興味は、ほとんどない。長いこと「読物と講談」に読切連載されたものという。吉川・宇野物短編集『犯罪の眼』(同光出版社)に、それぞれ「冷凍美人」、「謎の窒息死」、「浴槽の怪屍体」「屍体紛失」というタイトルで収録されている。
ミステリの味付けをした艶笑譚といった趣の最初の3編や現代捕物帳は、ともかく、幻想眈異小説「乳房を食う男」、奇想人体改変物「人肉の詩集」「硝子妻」といった当たりが見所か。
12月8日(金) 異色作家
・行事続きで、こちらの方は御無沙汰になりましたが、掲示板に多数の方の御来訪をいただき、嬉しい限り。また、日記、掲示板でとり上げていただいた方々ありがとうこざいました。今後とも、よろしくお願いします。
・もぐらもちさんのHPにて、「笑う肉仮面」の異装版の書影掲載。こんなのあるんだ。
・HMM2001.1月号では、「異色作家ふたたび」と題する特集。若島正氏が、もし新たな「異色作家短編集シリーズ」を企画するとしたら、というエッセイを書いている。内容は、雑誌の方を見ていただくとして、実際に全17冊全部出してほしいものである。(それより第3期の復刊が先か)前に、kashibaさんの日記&掲示板で同じようなお遊びがあったけれど、そのとき、自分が出したのは、こんな案。
○フリッツ・ライバー「バケツ一杯の空気」
○ヘンリー・カットナー「ヘンショーの吸血鬼」
○トム・リーミイ「デトワイラー・ボーイ」
○デウイッド・イーリイ「ヨットクラブ」
○ロバート・トゥーイ「物しか書けなかった物書き」
○ジャック・リッチー「エミリーがいない」
○ジョイス・ハリントン「紫色の屍衣」
○レイ・ラッセル「宇宙怪獣現わる」
○R・A・ラファティ「日の当たるジニ−」
ウィリアム・バンキア、パトリシア・ハイスミス、ジョン・スラデック、T・コラッゲンサン・ボイルなども入れて欲しい。
・上に挙げた作家を特によく読んでいるというわけでもなく、レイ・ラッセルは、既にシリーズに入っているのをうっかり失念していたというお粗末なセレクションだったのだが、この辺、どこか出してくれないものか。サンリオSFや朝日ソノラマ文庫で、相当のところは出てしまったという事情は、あるけれど。
・HMMの「異色作家ふたたび」の4編は、いずれも一級品だった。パラサイト・関に先行して、感想をば。
「タイム・トラヴェル」 アラスター・グレイ
なぜ、部屋から出たことのない自分の靴下にガムの噛みカスが着いているのか、思弁的に考察する男。こういう真面目顔のユーモアは大好きである。挿入されている図表には、爆笑。思弁的タイム・トラベル物でもある。
「ひねくれ根性」 ジェラルド・カーシュ
脱出不可能といわれる密林の刑務所に捕らわれた男の半生。三つ又フォークに似た「ケルベロス」という名の山、どう猛なワニの棲む川、人喰いインディオが住む密林、不可能の設定が突拍子もなく凄い。男は、命を救ったインディオからもらった骨の通行手形に、脱出の一縷の望みを託すが、運命の手は、彼と心を許した友人をともに蹂躙していく。寓話風な設定が胸を揺すぶる名編。
「同じ犬」 ロバート・エイクマン
少年時代にガールフレンドを殺した黄色い犬に、成人した男が再び出逢って。「わけがわからない」のがエイクマンの持ち味らしいが、少年時代の回想が美しいだけに、唐突な切断と仮借のないラストが喪失の深さをよく伝える痛悲しい一編。
「ワム・バップ!」 シオドア・スタージョン
若者雑誌に書いたというジャズ小説。音楽小説というのは、難しいジャンルだと思うが、行間からピートとスイングが立ち昇ってくるような描写は、さすが。特に、演奏の途中で、なにかがはじけてとんでもない高みに昇っていく昂揚を描くシーンは、秀逸。
12月3日(日) 「少年探偵小説の部屋」OPEN!!
・すっかり、遅くなってしまったが、おげまるさんの大労作「少年探偵小説作家別リスト50年代雑誌編」を中核とする「少年探偵小説の部屋」をOPENしてみました。何度みても、凄いリストである。
・ついでに懸案の「掲示板」をつけてみました。タイトルも凝りに凝ったり、「密室系掲示板」。ちょっと、使い勝手が悪そうだけど、ミステリや山風の情報交換などに使っていただければ、幸いです。
12月2日(土) 札幌版
・昨日の帰り、北大近くのサッポロ堂書店に行ってみる。先日、小林文庫ゲストブックで桜さんが、いわゆる「札幌版」について書かれた同人誌が同店で手に入る旨、書いておられたからだ。札幌版については、政経評論という地元雑誌で読んだことがあって、興味をもっていた。
・戦後、東京では用紙が大量に不足し、印刷所のほとんどが灰燼に帰したいうこともあって、かなりの数の出版社が紙の入手が容易だった札幌や北海道の各市で活動していたらしい。その他の地元出版社の活動も加わって、札幌では、昭和21年から昭和25年まで空前の出版ブームにわき、このとき出た本が、いわゆる「札幌版」といわれている。ここ数年、この札幌版について調査が進められており、昨年は、小樽文学館で「思いがけないルネサンス−戦後北海道出版事情」展も開かれた。道立図書館に「代田文庫」として一部が残っている。という辺りまでは、読んだ記憶がある。専門家のインタヴューによると、文学者の全集に未収録の作品なども結構あるということなので、探偵小説関係
も、なにかしらあるのではないかと気になっていたのである。
・同書店では、その同人誌(「譚」2〜4号)のほか、小樽文学館のパンフレットなど数点の資料を入手できた。店主の話では、札幌版の研究が進んだのは、ここ4〜5年とのこと。これが札幌版ですよ、ともってきたのが、永井荷風『来訪者』(筑摩書房)の第2刷。奥付には、本社(東京都)と北海道支社(札幌市南一条西四丁目十二)が併記され、印刷所は、「札幌総合印刷」となっている。
同書所収短編「来訪者」は、先日読んだばかりの平井呈一『真夜中の檻』の解説で、戦後文壇から平井呈一を抹殺してしまったモデル小説として紹介されていたので、購入してみる。(小説自体は、岩波の選書等で読めるし、帰ってネットで調べたらこの筑摩書房版も、2〜3000円が相場らしい)その他に大西一雄『新兵に非ず』(新星社・支社小樽市)というシベリア抑留小説?も、高くなかったので買ってみる。
・帰って資料をパラパラ見た限りでは、探偵小説に関する言及は、ほとんどなかったけれど、道立図書館の北方資料室の方は、一度覗いてみたいと思う。
・荷風「来訪者」を読んだが、色んな意味で面白い小説だった。
お久しぶりマーヴ湊さんよりメールをいただく。
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御無沙汰してます。おげまるさんの立て続けの発見レポート凄いですね。日下三蔵氏によって掘り尽くされたかに思えた山風作品群に、少年物という意外にも豊かな鉱脈が残っていたとは。
先日神戸のちょっと変わった古本屋で、買い逃していた忍法帖短編集をまとめ買いしました。この店、品揃えがマニアックすぎるのか棚がスカスカ。レジに「本が足りません。不要な本売って下さい」と貼り紙してあるのがおかしい。チーズの肉トロも試してみました。醤油にニンニクを入れすぎてチーズの味がとんでしまいましたが、細切りにした長ねぎを一緒にくるんでもいけるようで。つまらない話ばかりですみません。苦しまぎれのおまけです。ジャーロ創刊号に載った若竹七海の短編『死んでも治らない』には、ドアを施錠したホテルの一室で目を覚ますと傍らの同伴者が殺害されていたという密室状況が出てきます。ギャグといいキャラクター描写といい、泡坂作品のパスティーシュのような作品です。それでは。
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「ポップ1275問題」では、仏ガリマール社から、まだ返事がきませんか。(しつこい)
チーズの肉トロ・トライアルの方がここにも。長ネギヴァージョンもおいしそうですね。若竹短編ありがとうこざいました。ジャーロも手をつけなれければ、2号が出てしまいますね。また、メールお待ちしてます。
・少年物をやらなくては。