玄 関 口 【小説の部屋】 【交響曲の部屋】 【CD菜園s】 【コンサート道中膝栗毛】 【MIDIデータ倉庫】

《表示が乱れる方はこちら》
目の前の大きな満月が僕の視界を埋め尽くす。月の繊細な光りはまるで星の砂のように細かい光の粒子となって僕に降り注いだ。まったく熱を感じさせない冷ややかな光りは皮膚の襞から染み込んで、僕の心を穏やかに冷やして通り過ぎていく。心の中には唯やるせない気持ちだけが降り積もっていく。僕の心はこの月の光と同じように、澄んで、穏やかで、冷たかった。僕はこの瞬間満たされていた。それがたとえ哀しみというものであっても僕の心は満たされていた。あの光はこの世のものではない。闇夜に丸く開いた月という穴から漏れている向こう側の世界の光りなんだ。僕は判った、あの月は向こう側の世界に通じる秘密の扉なんだ。そうあれが向こう側の世界に通じる狂気の扉なんだ。……僕はあの扉をくぐって行かねばならない。屋上の端まで一直線に進むと僕はフェンスの金網に手を掛け、足を掛けた。金網に指を食い込ませながらガチャガチャとよじ登る。フェンスの天辺には忍び返しと有刺鉄線があったが、僕はそのままそれらをまたごうとした。ビリビリと布が破れる音がして自分の足を見ると有刺鉄線が右の太股に引っかかっている。僕は意に介せず足を引っこ抜くとズボンと一緒に太股がざっくりと引き裂かれた。皮膚がパックリと割れ、その割れ目からドクドクと血が湧き出してきた。しかし痛みは全く感じない。僕はもう、心だけの存在なんだ。
石田工房
石田工房
取り残された

LeafのバーナーLeafの名を天下に轟かせたPC用ゲームのサイドストーリー(SS)です。

物語はトゥルーエンド後の主人公を描いています。「なんだ、よくあるネタじゃねーか」と、お思いでしょうが、それだったら発売から3年も4年も経った今になってわざわざこんな小説なんか発表しません。今までのどんなアンソロジーものとも違った味を出していると思います。

また電波3部作の第1弾としていわゆる“電波系”の方々の心情にも迫ってみようと試みています。そちらのキーワードにビビビとくる方もどうぞご観覧ください。

あ、読んで不快になるものではありませんので安心してお読みください。

§ 目次 §

ブラウザがie5.5以上の方のために縦書きバージョンを用意しました。表示が少し重いですが、ご希望の方はこちらをどうぞ。

縦書きバージョン

もしよろしければ感想を教えて下さい。メールアドレスを添えていただければ、返事をお届けいたします。

ひとことあれば、お願いします。

   

校正記録
 99年 5月23日 上梓
    7月25日 改訂
    8月 8日 校正
 01年 3月17日 縦書きバージョン追加

ご意見、感想、誤字脱字の指摘、はたまた関係の無いこと、何でも良いからお手紙(t_ishida@muj.biglobe.ne.jp)ちょうだい、お願い。

小説の部屋に戻る