小田急バス私設ファンクラブ・実録シリーズ

痛しかゆしの「買い物渋滞」

=ムーバス境南循環線試乗記(後編)=


▲【東回り】武蔵野日赤構内で西回り線と同着

●乗用車でも苦しそうなクランク道路の東回り線

 西回り線はほぼ定刻に武蔵境駅南口に戻って来れたので、引き続き東回り線にも乗ってみました。武蔵野赤十字病院までは西回り線と同一ルートを逆方向に走り、そのまま病院の構内まで入ります。これまで日赤前に止まるバスは本数の少ない宿44系統だけだったので、20分間隔でしかも病院の中まで行けるムーバスの存在は、通院する人には非常に便利と思われます。なお宿44系統も、12月1日からは病院構内に立ち寄ります。
 駅に向かう西回り線とはここで分かれて、東回りのC105号車は病院の敷地に沿うように裏道へと入っていきます。赤十字東と境南町1丁目の間は非常に狭く、塀にぶつけないよう最徐行で右折してすぐクランクがあり、それを過ぎるとまた一方通行の細い道へ乗用車でも厳しい右折となります。次の停留所は既に三鷹市です。


▲【東回り】三鷹市内の設置となった上連雀5丁目停留所

●聖徳学園→駅南口「所要時間20分」!?

 塚で連雀通りに出て、東回りバスは大通りを快調に走り、駅南口を目指します。しかし井口・日赤入口までは良かったのですが、かえで通りに入った途端、大渋滞にはまって身動きが取れなくなりました。タイミングが良かったのか悪かったのか、イトーヨーカドー武蔵境店が東館の完成で22日に新装オープンしており、23日は開店後最初の祝日だったのでした。時間も午前10時すぎ、同店を目指して殺到する自家用車が、南口一帯の主要道路にあふれ始めていました。
 「お客様にご案内致します。交通渋滞のため、武蔵境駅到着までに15分から20分かかる見通しでございます…」。運転士のアナウンスが車内に流れると、ため息とも笑いとも取れるどよめきが上がりました。駅もデパートも目の前に見えており、どう考えても歩いた方が速いということで、かえで通り停留所で急きょ降りる人が続出しました。


▲【東回り】武蔵境駅を目の前にして渋滞にはまる

 結局、駅には20分ほど遅れて到着し、10時20分発の1本をすっ飛ばしてしまいました。ダイヤを組んだのは言うまでもなくイトーヨーカドーが西館だけで営業中のころで、この道路状況を予測できなかったことに、駅前で見守る小田急バス本社幹部の方々もさえない表情でした。駐車場待ちの車をレーンできちっと分けるなどの対策が必要でしょう。「(開店セールの)ほとぼりがさめるまで、この状態は続くかもしれません。でもイトーヨーカドーさんのおかげで(バス路線が)潤っているのも事実なので、あまり強いことも言えませんねぇ」
 解決すべき課題は多いのですが、ムーバスのコンセプトである交通弱者への配慮は、境南循環線でもよくなされていると感じました。今後、住民に愛される本物のコミュニティーバスとして、活躍を続けてほしいものです。正式開業は11月26日、出発式は午前10時から駅前で行われましたが、その模様は次のページで。

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