全体的な印象
ZARD3年ぶりのオリジナルアルバム。
ZARDの活動はリリース前年の2003年から突如活発になり始め,1年間の内にシングル4枚(Tak Matsumoto featuring ZARD名義含む)をリリースしていた。
そして直前のシングル「もっと近くで君の横顔見ていたい」がチャートアウトして間もなくこの作品がリリースされた。リリース直前には初の一般向けライヴも告知され,前のアルバムリリース後の停滞した活動からの突然の変化にファンとしてはちょっと心配になるくらいだった。
このアルバムにはカップリングもセルフカバーも1曲も収録されておらず,シングル4曲,未完成曲の完成版1曲,アルバムオリジナル曲6曲といった構成になっており,コアなファンにとっては新曲を沢山聴けることになり,たまらない内容となっている。
音質は「ZARD BLEND 〜SUN & STONE〜」の頃の程酷くないが,ヴォーカルはそこそこ良いが,ダイナミックレンジを狭くしすぎたのか,強いアタックが飽和してしまっている(ただ,これは意図的なものかもしれないが)。シングルと聴き比べるとかなり音が大きく感じられるはず。
全曲解説
01.明日を夢見て
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:小林哲
35thシングル。最初聴いた時にアレンジが変わったかと思うほど印象が違ったが,どうもリマスタリングして音が大きくなったことが原因のようだ。このアルバム全体ダイナミックレンジを狭くして音が大きく聞こえるようにしているように思える。
別れつつも前の恋人に想いを寄せつづける女性を描いたラヴソング。
02.時間の翼
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:小林哲
前のオリジナルアルバム「時間の翼」の表題曲でありながらサビ部分しか完成していない状態で収録された曲。ようやく完成版が登場。かなり感情一杯込めた感じのアルバム「時間の翼」ヴァージョンとは違い,思ったよりさわやかな仕上がりで,サビ部分はやや押さえ気味に歌われている。
ラヴソングだがメッセージソングのようでもあるように思える。
03.もっと近くで君の横顔見ていたい
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:池田大介
37thシングル。シングルバージョンとは若干ミックスが異なるとのこと。
ちょっと複雑な曲の構成。歌詞はラヴソング。
04.pray
作詞:坂井泉水 作曲:徳永暁人 編曲:小林哲
アルバムオリジナル曲。ラヴバラード。静かにじっくり聴かせます。
05.出逢いそして別れ
作詞:坂井泉水 作曲:春畑道哉 編曲:春畑道哉・池田大介
アルバムオリジナル曲。作曲はTUBEの春畑道哉だが,最近ZARD曲を手掛けていないため,どうもストックの可能性が高い。
前年(2003年)にTak Matsumoto featuring ZARD名義でリリースした「異邦人」を彷彿とさせるオリエンタルイメージのアレンジ。
歌詞は基本はメッセージソングなんだがラヴソングの要素も所々出てくる。
06.止まっていた時計が今動き出した
作詞:坂井泉水 作曲:中村由利 編曲:徳永暁人
アルバムオリジナル曲。うおおお,アレンジがもろ1993年頃のビーイングサウンドだ!徳永偉いぞ!「あの頃」がたまらなく懐かしい私としてはアレンジだけで鳥肌が立った!
タイトルから想像される希望あふれる曲かと思ったら,なんか落ち込んでいるところからようやく立ち上がろうとしている様子を描いた曲のようだ。泉水さんは「止まっていた時計が今動き出した」という言葉が気に入って,いつか使おうと思っていたということだが,意外な形で使われていた。
07.瞳閉じて
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:徳永暁人
36thシングル。シングルと同じ印象。おそらく何も変わっていない。歌詞はラヴソングであり,励ましソング。
08.さわやかな君の気持ち(Album Ver.)
作詞:坂井泉水 作曲:徳永暁人 編曲:Dr.Terauchi & Pierrot Le Fou
34thシングル。このアルバムではオリジナルヴァージョンとして大幅にアレンジが変わっている。しかし,ロジャー・マッギンまたはエルヴィス・コステロのファンならひっくり返りそうなアレンジ。何言っているのかわからない人はロジャー・マッギン「BACK FROM RIO」かエルヴィス・コステロ「All This Useless Beauty」を買って「You Bowed Down」という曲を聴こう!
印象的なリフ(このリフが問題なのだが),かなりロックっぽいアレンジが良いね。私は「You Bowed Down」好きだから。
09.愛であなたを救いましょう
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:明石昌夫
アルバムオリジナル曲。泉水さんが参加したJ-BLUES BATTLE Vol.3収録の「Black Velvet」のようなアレンジ。歌詞はまるで大黒摩季の「あなただけ見つめてる」の世界であり,しまいには「サッカーさえ好きになったわ」と言い出しそうである。
作曲に栗林誠一郎,編曲に明石昌夫という懐かしいメンツが揃ったが,数年前に作った曲のお蔵出しだ(泉水さんがそう言っている。)。
10.天使のような笑顔で
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:徳永暁人
アルバムオリジナル曲。かなりテンポが速く快活な曲。朝の目覚ましによさそう。生理用品のCMソングに良いんじゃない?と何となく思った。オフィシャルサイトの全曲視聴の時のイメージとはずいぶん違い,私はこの曲結構気に入った。
11.悲しいほど 今日は雨でも
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:小林哲
アルバムオリジナル曲。タイトルから想像される湿っぽいイメージとは違い,テンポが速く,元気な曲。歌詞はラブソングだが,聴いていると明日に向かって希望がふくらんでくる。一種の励ましソングに感じた。このアルバムの最後の2曲はシングル表題曲にできたなあ。
ジャケット・ブックレット
一般的なジュエルケースではなく,デジパックの表面をビニールで覆ったようなケースになっている。
それにしても今回のブックレット(といってもケースと一体化しているのだが)の写真のなんと素晴らしいこと!坂井泉水写真集状態で,アップ写真沢山,しかも豆粒状態や風景写真殆ど無し,モノクロ着色も無し,泉水さんのルックスもベストに近い,と,こんな具合で私個人としてはZARDアルバム中最高と思う。↓の写真が私のいちばんのお気に入り。
ライナーノーツは残念ながら無いが,インタビュー形式の泉水さんのセルフライナーがMusicFreakのサイトで読むことができた。
かなり詳しい曲毎のスタッフクレジットが巻末に載っている。また,期間限定のスペシャルコンテンツへのアクセス用パスワードがアンケート葉書に書かれていた。葉書出したらアクセスできなくなっちゃう!(でも,そんな心配ないようなIDとパスワードなんだけどね。)
セールス
残念ながら初登場2位。「揺れる想い」以来続いてきたオリジナルアルバムの連続1位はここで途切れた。
1位はクイーンの日本独自編集ベスト盤「JEWELS」。なんでこの時期に突然クイーンなのかというと,木村拓哉主演ドラマ「プライド」でクイーンの曲が使われまくり,それに合わせてこのベスト盤がリリースされたため。
- オリコン最高位2位
- 登場週数14週
- 総売上20.5万枚
おすすめの1曲
「止まっていた時計が今動き出した」
ビーイングサウンド復活を記念して。
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