朝、目覚まし時計の音で目が覚める。空模様が気になるが、残念なことにカーテンを開けなくとも雨が降っているのがわかる。
すぐにパソコンの電源を入れて、天気予報をチャックする。岐阜県飛騨地方は午前こそ曇の予報であるが、降水確率は高く、雨中サイクリングの覚悟しなければならないようである。よほどひどい状態なら、受付だけ済ませて帰ればよいと、意を決して6時20分頃に高山に向かう。
車の中まで突き抜けそうな雨音の中、会場に到着し受付を済ませ開会式にでる。ローカル色の強い大会で、あっと今に済んでしまい、スタートまでの時間を車中で持て余してしまう。
ほとんどの人が雨仕度をしているが、誰一人として雨を望んでいる人はいない。もうすでに出走をあきらめた人もいるが、みんなの恨めしそうな視線が空に注がれる。しかしその視線がよほど効いたのか、雨が上がってきた。
市街地区間は5,6名ずつのスタートで先導にしたがって走る。ペースよく走れるように、2番目のスタート位置につく。退屈な市街地区間を過ぎて先導者からも解き放たれ、乗鞍の山を目指すが道路が濡れていて人の後ろにつくとハネがあがって走り辛い。坂を前に無駄足は使いたくないが、濡れたくもない、中途半端な思いが中途半端な走りとなって、かえって濡れ、脚も必要以上に使うことになる。
少しでも楽をしたいのは他の人も同じようで、スターからの 12-3kmのほぼフラットな区間では、いつの間にか集団ができている。平地のロードとしてはゆっくり目のペースだが、先に控える15%の劇坂を考えると、先頭に立ってペース上げることはできない。
まわりの山々が近づいてきて道路の勾配を感じ始めたときに、やけに重めのギアを踏むポルティのウエアを着たおじさんが私の前から飛び出す。小柄な体型なのに、あのギアでは長持ちしないだろうと思っていたのだが、やはり誰も追わない。
いつの間にか私の後ろの人とも距離があいてきて、前を走る黒のウエアの人と青系統のウエアの人と3人で、飛び出したポルティウエアを追うという状態になっている。
しばらくしてポルティウエアを抜く。
このまま3人で、劇坂を向かえたいと思っていたのだが、先頭の黒いウエアの人が飛び出す。しばらく2番目の人についていたのだが、勾配 10%の表示が現れ始めたあたりで心拍数が 170を越えてしまった。脚はまだ余裕があるようだが、このあとの 15%の勾配に備えて、ペースを落とし単独3位で走る。心拍数は160代キープを心がける。
この道路は、10年以上前に車では何度か上ったことがあるので、大まかなコースは覚えているのだが、勾配まではあまり記憶にない。確かに急な箇所があったのは覚えているが、それ以外のところも勾配が強く、コースのほとんどを38×26Tで走る。ともかく足が売り切れてしまわないように、余裕を持って走る。
中継の給水所を過ぎたところで、ふと後ろ見ると、いつの間にかディスクホイールのレーサーが、迫っていている。始めの集団にはいなかったので、かなり追い上げてきたようで、抜かれるのは必至だ。あんのじょう、しばらくして追いつかれたが、イヤに蛇行して走っている。どうも42×21Tでこのコースに挑んでいるらしい。私もまねして蛇行してみる。楽な気もするが、走行距離が長くなる上に、なんとなく正統派坂馬鹿の道を外れるようで、気が進まない。
一度は追いついたものの、また離される。レースではないし順位の記録があるわけでもないので、マイペースで走る。しかし、彼はゴールまであと 500mを切ったところで道を間違えたため、再び抜き返してしまう。最後は家族らしき応援団のいる彼に花を持たせて、4番目にゴールする。
ゴールとほぼ同時に雨が降ってきた。タイムは1時間22分ほどでTOPは4分ほど前にゴールしたらしい。
青年の家の温度計は15度を示しており思ったより寒くない。考えてみれば、乗鞍はこのゴールの標高からさらに上に登るのである。
まだ、少しは脚に余裕があったので、このコースは距離は長いが乗鞍よりは時間的には早く上れるみたいだ。
ゴール後の風呂のサービスはありがたいが、その後又濡れネズミになって下らなければならないと思うと、うれしさ半減である。
記録
○大会名 第10回ツール・ド・飛騨高山
○申込者数 108名
○完走者数 不明
○記録 1時間22分
|