カイトフォトの写真はいかがでしょうか? 
見慣れた風景も凧の目から見ると全く違って見えます。では、どんな機材を使うのか、紹介しましょう。

カイトフォトセット

 

カイトフォトに必要な道具は?
実は凧とアルミケース1つ。これだけに収まります。もちろん、状況によっては凧が2つ3つになったり、アンカーなどを持ち込んだりします。でも、基本はこれだけです。重さはアルミケースと中身で5.2Kg位。凧と合わせて6.5Kg弱です。あちこちへの持ち運び、十分できます。

さて、工具箱の中身を紹介しましょう。
  ・撮影機材 + ラジコン送信機
  ・軽量の簡易撮影用カメラステーション(写真には写っていません)
  ・ライン
  ・工具(ドライバー/スパナなど)、予備部品、予備のネジ
  ・予備電池
  ・手袋、固定用ロープと金具(写真には写っていません。ラインのリング状の糸巻きの中に入れています)

こんな感じです。


カイトフォト用の凧
カイトフォト用の凧は、カメラ一式、300g〜2Kgを持ち上げなくてはなりません。このため、それだけの揚力のある、大きな凧が必要です。もう一つ大切なのは安定性です。ちょっとした風の変化で姿勢を崩してしまうようでは撮影が大変です。揚力が大きくて、かつ安定している凧。そんな凧がカイトフォトには最適なのです。専門店にはそのままカイトフォトにも使える凧が市販されていますし、自作もそれほど難しくはありません。
私の使っている凧を紹介しましょう。

dc47.jpg (8443 バイト) d-dc.jpg (4908 バイト)
デルタボックス
ダブルデルタボックス
flow.jpg (9783 バイト)
PLTボックスカイト
フローフォーム
stw05.jpg (5131 バイト)
パラフォイル

デルタボックス 

子供たちが良く上げるゲイラカイト、この形はデルタカイトと呼ばれていますが、この中央に立体のボックスカイトを組み合わせたのがデルタボックスです。デルタカイトの大揚力とボックスカイトの安定性、両方の長所をもっています。安定性は非常によく、落ち着いた風の中では空に張り付けたようにも見えます。また、風が急に弱くなってもグライダーのようにゆっくりと降りてくれるので、安心して揚げられます。骨ははずして折り畳めるので、携帯性も良好です。比較的シンプルで、自作も容易です。写真の凧は、自作のもので幅4.7mあります。
市販品では、幅4m程度の輸入品があります。これなら一眼レフカメラでも十分持ち上げられます。(参考価格: 198$/43,000円)

また、ボックス部分を二つ並べたダブルデルタボックスもあります。コンパクトな割には揚力が大きいのが、魅力です。写真は、市販品で幅約3mです。(参考価格: 79$)

PLTボックスカイト

ニュージーランドの、ピーター・リン氏の考案によるもので、三角形の布を組み合わせた形で、優雅なデザインが特徴です。揚力は十分大きく、安定性もあります。
構造がちょっと複雑で、風の中では組み立てがやや面倒なのが欠点でしょうか?

フローフォーム

次のパラフォイルと同じく、骨がありません。風を受けて膨らみます。空気の取り入れ口が非常に大きく、大量の空気を取り込んで下から吹き出すようにして上がります。安定性はよく、軽くて携行性も良好です。写真はアメリカ製を個人輸入したものです。(参考価格 189$)
幅1.8m位あれば、十分カイトフォトに使えます。ただ、糸を荒っぽく扱うと空気取り入れ口が閉じてしぼんでしまい、落ちることがあります。構造が簡単ですから、自作も可能でしょう。

 

パラフォイル

パラシュート型をした、骨のない凧です。パラグライダーを小型にしたような構造で、強めの風を受けて膨らむため弱風には向きません。断面が飛行機の翼の形をしていて、非常に揚力の大きな凧です。ただし、安定性ではやや劣ります。骨がなく、小さく畳めるため、持ち運びはとても便利です。フローフォームに比べて空気の取り入れ口が小さいので膨らみにくいのですが、その分風が弱くなってもしぼみにくく、揚がってしまうと安心できます。
幅1.8m位あれば、十分カイトフォトに使えます。
これは、私の最初に手に入れたカイトフォト用の凧です。市販品で、以前国内でも3万5千円くらいで市販されていたのですが、現在は扱っていないようです。一部の店に在庫があるかもしれません。海外からの通販なら、$220程度で購入できます。構造が複雑で、糸目調整も非常に難しいので自作は困難です。

 

このほかに・・・
私が使っているのは上記の3種類ですが、このほかにもカイトフォトに向く凧がいくつもあります。
  ・六角      ・・・ ”ロッカク”で世界中に通じる和凧です。安定性は非常によく、携行性も良好です。また、自作も容易です。
  ・デルタ     ・・・ 揚げやすく、揚力の大きな凧です。デルタボックスに比べると安定性はやや劣りますが、シンプルなので自作も容易です。
  ・コーディ       ・・・ 飛行機のような形をした凧です。骨が多いので丈夫ですが、その分重く、強めの風でないと揚がりません。
 

 

ライン(凧用の糸)

カメラを持ち上げるだけの大凧ですから、糸もそれに見合った丈夫なものが必要です。市販の凧の場合、使用するラインの強度が、たとえば200ポンド(約90Kg)テストライン、といった感じで指定されています。最低限、指定以上の強度のラインを使用してください。傷みによる強度低下などもありますので、強めの方が安心できます。自作の凧の場合、市販の凧の指定などを参考にして決めますが、強度が500ポンド、約220Kg程度以上だとまず大丈夫でしょう。長さは最低150m、できれば300mは欲しいです。

糸を用意したら、も糸巻きも用意しましょう。スポーツカイトの店で専用のものが取り寄せ可能ですが、自作も簡単です。また、コードリール、ホースリースなども使えます。糸の種類や長さに応じて使い分けると良いでしょう。なお、スポーツカイト用のは、細くて短い糸用ですから、カイトフォト用の糸には向きません。

また、私は撮影高度を調べるために、10m間隔で長さを示す記号を付けています。これを見れば、糸の長さがわかりますし、あとは凧が揚がる角度を概算で求めれば高度が計算できます。

スペクトラ、アラミド(ケブラー) 本来はスポーツカイト用のラインです。細くて軽いのですが、高価です。非常に細くて風の抵抗を受けにくいので、弱風時には扱いやすいでしょう。凧の専門店で買えます。
ダクロン 主にシングルラインカイト用に使われています。太さ、価格とも中間的で、扱いやすいラインです。凧の専門店で買えます。
クレモナ ホームセンターなどで、比較的安く入手できます。太さ5mm以上だと強度も十分あります。安価で使いやすいのですが、太くて風の抵抗を受けやすいのが欠点です。

私の糸
普段使うのはダクロン500ポンドラインです。強度的には十分で、安心して揚げられます。このほかに、ダクロン250ポンド、ケブラー300ポンドも持っています。あとは小さな凧(といっても、子供用の凧よりずーっと大きいのですが)用に、ダクロン100/50/30ポンドも用意しています。

 

カメラステーション

カメラを凧糸に固定し、シャッターを切るための装置です。カメラの方向を変える方式により、固定式、回転式、ラジコン式などがあります。ラジコン式はカメラの向きを自由に変えられるので撮影の自由度は高くなりますが、その分重くなりますし、凧とカメラ、両方を操作するので大変です。

固定式 カメラの方向は一定です。揚げる前に被写体の方向、距離などを考え向きを決めます。あとは凧の位置などで調整します。シャッターはインターバルタイマなどで一定時間間隔に切ります。非常に軽くでき、コンパクトカメラと組み合わせると驚くほど小さな凧、あるは凧がやっと揚がるような微風でもカイトフォトできます。
回転式 カメラを360度、ゆっくり回しながら一定角度、あるいはインターバルタイマで一定時間間隔でシャッターを切ります。カメラの上下角は固定のものが多いです。周囲をぐるりと見渡すような写真が撮れます。また、カメラの操作が不要なのも大きな利点です。
ラジコン式 カメラの向きを地上から自由にコントロールし、いつでもシャッターが切れます。使いこなせば思うように写真が撮れますが、地上からカメラの向きを決めるのは大変で、熟練も要します。また、カメラの操作も必要なため、風の変化がある場合などは大変です。CCDカメラを搭載して地上からアングルを確認できる装置も開発されています。

私の場合・・・

私はラジコン式の装置を使っています。
装置が重くなる欠点はありますが、多少風の変化があってもカメラの向きを調整出来ますし、なんと言っても思ったタイミングでシャッターが切れるのが有り難いです。空中撮影ではシャッターチャンス、といったものはないのですが、風の様子を見て揺れが落ち着いたタイミングでシャッターを切れるのが一番有り難いです。

では、私の作ったカメラステーションを紹介します。
    私のカメラステーションへ 

 

カメラ

カメラは、フィルムの巻き上げが自動ならばたいていのものが使えます。もちろん、少しでも軽いものが良いのですが、一眼レフも結構使われています。これは、焦点距離が選べること、シャッター速度が速いこと、シャッター制御が外部から電気的に行えること、などが理由です。最近では、軽量の中版カメラが出てきました。これも使われています。
また、デジタルカメラですが、画質もあがり、フイルムと比べても遜色がなくなってきています。なんといっても、現地で画像が確認できるのが大きな魅力です。調査目的など、確実に画像が欲しい場合などに はありがたいです。デジカメも、コンパクトカメラから一眼レフまでそろっています。基本的にはフイルムと撮像素子の違いなので、ここでは特に区別しないこととします。

一眼レフカメラは、レンズが自由に選べて、解像度も高いため、広く使われています。しかし、重さが最低でも500g程度になるため、大きめの凧が必要となります。しかし、レンズが高性能なこととシャッター速度も早めに出来るので、美しい写真になります。また、コンパクトカメラにはない、魚眼レンズを使った撮影ができるのも魅力です。

コンパクトカメラは軽さの面で理想的ですが、シャッター速度が低く、必ずしもカイトフォト向きではありません。それに、外部からシャッター制御はまずできません。しかし、外部制御用のコネクタをつける改造、あるいは機械的にシャッターを押すことで、使用可能になります。一眼レフの1/3位の軽さを活かして弱風のときや、小さな凧と組み合わせて使用します。
単焦点の超軽量のデジカメは、カイトフォトに使うのも容易です。但し、固定焦点のものが多く、ピントが甘くなる可能性があります。しかし、非常に軽いため、小型の凧でも十分揚げられるでしょう。
 

レンズ付きフィルム
レンズ付きフィルムは、 非常に軽量なのは魅力的ですが、巻き上げが手動になることと、シャッターを機械的に切らなくてはならないので、使うのはちょっと大変です。でも、セルフタイマーと組み合わせて1枚だけなら簡単に写せます。小さな凧に結びつけて写してみるのも簡単です。 ただ、シャッター速度の問題と固定焦点のため、写真の質はいまひとつです。
  

注意: コンパクトカメラには、多くの場合ストロボが組み込まれています。ストロボ用回路には高い電圧の部分があり、安易な分解は非常に危険です。

一眼レフ レンズが比較的自由に選べ、シャッター速度も速く、電気的にレリーズできる機種も多いので、撮影には理想的です。但し、重くて高価です。最終的には一眼レフをおすすめします。
コンパクトカメラ 比較的軽いのですが、レンズの種類には限りがあり、シャッター速度もやや遅めになってしまいます。また、電気的にレリーズが出来ないため、シャッターを切るためには工夫が必要です。
カイトフォト用には、ズーム機能のない、単焦点で広角のレンズ付きが向きます。(ズームはレンズが暗いですし、望遠で被写体を狙うのは難しいです)
レンズ付きフィルム 非常に軽いし、落下による被害もありません。但し、レンズが限定され、シャッター速度も遅いため、カイトフォト向きではありません。試しに写してみる、ということでしたらおすすめできます。

カメラを選ぶとき・・・
 もし、手持ちのカメラがあればそれを使うのもいいでしょう。ただし、破損の危険があるため、愛着のある品は止めた方が無難です。
 新規に購入する場合、中古でも十分です。まずは安いカメラから初めてみましょう。
 一番安価な、レンズ付きフィルム+セルフタイマーを玩具の凧で持ち上げるだけでも写せるのですから。

私のカメラ
キャノン EOSKiss
 軽量のオートフォーカス一眼レフです。カイトフォトの場合、ほとんどは無限遠ですからオートフォーカスの必要はないのですが、現在手に入る、軽量の一眼レフはオートフォーカスばかりです。
入門用一眼レフのため、操作が全自動に近く、カイトフォト用の理想的な設定にできないのが欠点です。しかし、軽くて安いので、カイトフォトに最適なカメラの一つといえます。レンズは、24mmと50mmを用意しています。

 

そのほかの道具
必須ではありませんが、あると便利な道具などを紹介します。

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