2001年コクテツの旅

セノハチ夢幻 - 山陽本線・瀬野〜八本松 -

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難所セノハチを行く (瀬野〜八本松)

冬場、九州の午前7時はまだ闇の中である。こんな時間だが、客車鈍行がやってくる時間である。すこし無理して覗いてみようと思った。

戸畑。日は昇ったはずである。しかし厚い雲が広がっている。走行写真は無理、と小倉へ先行した。

広島まで、「ひかりRailStar」指定席に乗車。さすがに横4列はゆったりとしている。座席中央の大型袖仕切りなど、グリーン車並みである。

広島で途中下車、荷物を整理した後、瀬野〜八本松の難所「セノハチ」へ向かう。

セノハチの勾配は20〜25パーミル (パーミル : 千分率)。国内にはもっと急な坂もある。廃止された「ヨコカル (横軽)」碓氷峠は最大66.7パーミルだった。セノハチが難所とされる所以は、それが延々10kmも続くうえに、半径400〜500mの急カーブが連続し、そしてなにより重貨物列車が行き交う大幹線というところにある。

ここを走る電車は、抑速ブレーキ (自動車で言うエンジンブレーキ) の装備を必須とする。上り貨物列車は後ろから1,000〜1,200tもの編成を押し上げる補機が広島〜西条間につく。たった1本だけながら、八本松を通過中に走行開放を行う貨物列車も存在する。

旅客列車にも補機が絶対条件だったヨコカルほどではないにせよ、後部補機がつくのはJR線では唯一、貴重な鉄道風景となっている。広島市と東広島市にまたがる山中で人家なども少ないので、写真撮影には好適だ。問題があるとすれば、公共交通機関で行くには少々辛いところか。

走行解放は2002年3月改正で廃止されてしまいました。

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国道2号線から山陽本線を見下ろす (瀬野〜八本松)

山間部ではかなり降っていたのだろう。芸備線の気動車が、屋根に雪を載せているのを見て思わず苦笑したが、ここ広島でも雪が舞いはじめた。麓の瀬野に着く頃、雪はかなり降っていた。

ときおり小雪が舞う中、八本松から線路沿いに歩いてみた。歩いていても、勾配はよくわかる。

小1時間はかかったろうか。短いトンネルの出口を、国道2号線から見下ろす場所がある。線路はゆるくカーブして、特に上り列車がよく見える。

東広島市の中心 西条まで快速の電車をはじめ、電車は次々とやってくるのだが、この時間帯には貨物列車は走っていないようだ。新幹線が出来るまでは、〔つばめ〕〔はと〕〔しおじ〕といった電車特急が行き交ってきたのだな。そんな時代にここで眺めたかったなと思う。去年8月、〔はと〕が25年ぶりに復活、名撮影地でカメラのシャッター音を浴びながら新大阪→博多を走ったことは記憶に新しい。鉄道ジャーナル誌の表紙を飾ったのは、ちょうどこの場所であることに気づいた。

12時。区切りを付け、国道2号線を歩いていくと、志和南口というバス停が見え、ちょうどよくバスの便があった。それに乗って瀬野に戻る。後で地図を見たが、これでもまだ八本松から1/4くらいのところであった。いつのまにか、雪も止んで晴れ上がっていた。