Northwind Passasge - 北風紀行 -
寂寥 - 江差線 -
木古内 11:33-(122D)-12:38 江差 13:33-(125D)-16:16 函館
江差線も津軽線同様、津軽海峡線と超ローカル線の合成となった路線。木古内(きこない)から乗る江差ゆきのワンマン列車は、海峡線と分かれてエンジンの音も重々しく山中を進む。津軽海峡線の賑わいとは対照的に木古内〜江差間は6往復しかない。実際、存続基準にわずかに満たず、青函トンネル開業を目前に廃止 (1988年2月) された松前線のほうが旅客が多かったということで、もし五稜郭〜木古内が松前線だったら……路線名のいたずらである。
山を越える宮越〜湯ノ岱(ゆのたい)間は天の川という川に沿って走り、途中に地域興しの一環として仮想の停留所「天の川(あまのがわ)駅」が作られている。湯ノ岱でタブレットに交換。
終点江差は江差追分で知られる港町、しかしニシン漁で賑わった時代は遠い。桧山支庁の中心地のはずだが、とても静かなものだ。
木古内にもどり、20分停車して前に1両増結。函館までまだ1時間半以上もあるが、この列車が先着なので乗り通す。風が強くなって陽射しの暖かさを奪う。「寒い寒い!」連結作業のためいったん開けた貫通扉を、運転士がたまらず閉めた。
車窓右手、海の向こうに函館山が見えてきた。目的地の函館。しかし真横に見えるということは、函館湾を大きく回り込んでいるということ。まだ先は長い、そろそろボックス席にも飽きてきた……。
上磯(かみいそ)でさらに2両増結、しかしワンマン運転は続く。五稜郭で函館本線と合流し、函館に到着。大きくカーブしたホームが印象的な函館駅は移転・改築されることになっており、宇野、高松につづいて「連絡船の駅」の雰囲気が消え去る日もそう遠くはない。
函館山に向かった。14年前にも行ったが、山頂だけ雲に覆われてなにも見えなかったところだ。ロープウェイで3分、あっというまに頂上へ。風は地上にも増して強いが、天気が良く函館全市はもちろん、遠くに駒ヶ岳の姿を望める。