Northwind Passasge - 北風紀行 -

復活 - 函館本線 -


函館 7:20-(5001D:スーパー北斗1号)-7:55 森 8:19-(2840D)-9:06 大沼 9:14-(821D)-9:16 大沼公園

5月3日。朝市の食堂で腹ごしらえし、〔スーパー北斗1号〕で森へ。2両の自由席は埋まった。きょうから連休の後半だが、混雑を避ける私の旅程はもう最終日。

五稜郭からぐんぐんと加速し、七飯(ななえ)から通称「藤城線」、緩和されているとはいえ急勾配の続く道にも、在来線最高クラスの表定速度を誇る281系ディーゼル特急はまったく動じることなく駆け登って行く。登り切ると湖の先に駒ヶ岳の姿。大沼から森の間で山は車窓の右に左に移り変わる。40分で森。森といえば今や知らぬ人もない駅弁の王様「いかめし」のある駅。だが、立ち売りどころかまだ商品も届いていなかった。

森から海岸まわりの通称「砂原(さわら)線」で大沼に戻る。勾配緩和のために迂回している線を特急列車はほとんど無視、10往復にも満たないローカル列車がクマザサを揺らして走る。無人駅にはキタキツネの仔も顔を見せた。


大沼公園 11:31-(5006D:スーパー北斗6号)-11:51 函館 13:39-(1022M:はつかり22号)-17:53 盛岡 18:52-(54B:Maxやまびこ54号)-22:28 東京
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小沼湖畔、駒ヶ岳を後ろに函館へ向かう〔北斗〕 (大沼-仁山)
[Nikon F5, AF Nikkor 35mm F2D, RDPIII]

大沼公園駅前で自転車を借りて小沼湖畔に向かう。すでにカメラが集まりつつあった。お目当てはゴールデンウィークに30年ぶり復活 (函館地区において) となった〔SL函館大沼号〕だ。もちろん、駒ヶ岳をバックに走る特急列車も撮れる。

むかし国鉄の機関士だったという年配の方に会った。

「この線路の上走ってたんだ。女房いまだに信じられないってんだけどね」

「大変だったでしょう」

「走らすのは簡単だよ。停めんのが難しいんだ」

……まったくである。

大勢のファンとたくさんのカメラ、すぐ横を走る道路からの注目を身いっぱいに受けて走る、C11 171牽引の〔SL函館大沼号〕を撮影。大沼公園駅近くでつづいての〔大沼バーベキュー号〕を見やって駅に急行。自転車を返しすぐさま駅に。〔スーパー北斗6号〕はやはり自由席も満席で、20分ほどデッキで過ごした。


函館駅の先には「摩周丸」がメモリアルシップとして展示されている。こっちもまた見学するだけの時間がなく、写真で我慢。

昼過ぎに函館を〔はつかり22号〕で出発。かつて上野〜青森を結んだ長距離特急が、別の形で在来線昼行特急の長距離十指に復活した珍しい例。新幹線を使っても東京まで鉄路では半日がかりの長い行路、これでは競争力がないといわれてもしかたがない。北海道側では新幹線の青森・函館同時開業を願う看板が目についた。

〔海峡9号〕の遅れが原因で青森駅到着が10分ほどの遅れ。慌ただしく方向転換を済ませ、東北本線を一路盛岡へ。浅虫温泉で583系の〔はつかり133号〕とすれ違った。今回は583系のいる東北に行きながら、ことごとく縁がなかった。上野まで顔を出した〔思い出の583系はつかり〕も見そびれてしまったし……。

八戸から東北新幹線の建設工事を時折車窓に眺め、陽が傾くころ盛岡着。〔Maxやまびこ〕に乗り継いで東京へ。走行距離のべ 2,688km だった。