FURIKO de SHIKOKU
第2走者 : しなの18号 〜 383系 (JR東海) 〜
塩尻 14:45 -(2018M)- 18:19 京都
名古屋始発の特急〔しなの〕は、1往復が大阪まで足を延ばす。ちょっと混みぎみだったので、この列車があるから企画が成り立ったということでグリーン席をおごった。「パノラマグリーン車」だが残念ながら名古屋方面ゆきでは最後尾。
この日の編成は10両。貫通型の先頭車を多数持ち、特急電車としては異例といえるきめ細かな増結が実施されているのが「ワイドビューしなの」の特徴である。
篠ノ井線でダイヤが乱れているのか、10分ほど遅れての到着。乗務員の交代後すぐに発車、時折小雨も降る木曽路を軽快に駆けおりていく。名勝・寝覚ノ床もあっという間に通過した。降りきる頃には天気もすっかり回復していた。
遅れを持ったまま名古屋へ到着、〔のぞみ〕へ連絡する客を降ろして東海道線へ。東海道線では振子を使っていないが、もともと線形のよい幹線なのであまり関係ない。振子制御の有無は運転席のスイッチひとつで簡単に決まる。
グリーン車は空いたが、普通車は依然としてかなりの乗客があり、これなら納得の大阪直通である。
同区間には同じ383系を使った夜行急行〔ちくま〕も走っている。ではこれを使えば時間を稼げるのかというと、前後の乗り継ぎがうまくはまらず、宿泊代を浮かせるくらいしかメリットはないようだ。
車体傾斜制御の試行
ともかくも山、谷、川の多い日本の鉄道。当然カーブも多くなる。カーブにはその半径に応じた制限速度が決められている。この制限は、安全性ももちろんだが、通過時に客室内にかかる遠心力が過大になり、乗り心地が損なわれる点によるところが大きい。電車・気動車の高性能化につれ、最高速度は確かに上がっていったが、それは直線での話。曲線での速度制限との乖離が問題になってきた。
根本的な解決のためにはカーブそのものを緩和する (=新線の建設) しかないのだが、当然それには多大な費用がかかる。それをせずに高速で走行させるには、その遠心力を緩和させてやる必要がある。
ひとつは線路のバンク (鉄道ではカント) を大きくすることだ。ジェットコースターの曲がりくねった線路で、大きく線路が傾いている (時に90度) のがそうだ。それほどでもないが、高速列車専用の新幹線線路は、在来線よりは大きくカントを取っている。
ジェットコースターの場合、その区間は走りつづけるのが前提だから問題はないけれど、普通の線路ではどこでも停止する可能性があり、あまり多く傾けると逆に内側に転覆してしまう。バンク量で打ち消すことのできない遠心力を緩和させるには、車体をさらにカーブ内側に傾けてやる必要がある。
日本で姿勢制御の実験を最初に行ったのは小田急電鉄である。まず1961年、連接台車の空気バネを用いた自然振子方式、つづいて1962年は油圧式の車体傾斜制御台車を実験。1970年には空気バネ式の傾斜制御台車が実験されている。。後2者はカーブにさしかかったことを検知して車体を傾ける強制制御方式であった。
この方式における課題としては、何よりも車体の絶対的な安全を確保することである。もし高速でカーブにさしかかったとき制御が働かないと、車体が外側にふられ容易に転覆してしまう。その可能性を排除するには姿勢制御はわずかにとどめるしかなかったのだろうか、その後小田急においては開発は行われず、日本における実用化もJR北海道キハ201系まで待つことになる。