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6年間乗った2代目プリウス(20型)を、3代目の新型プリウス(30型)に買い換えて4ヶ月ほど経ちましたが、燃費は旧型と変わらないものの、新型は旧型以上に使いやすく疲れないというのが実感です。「ドライブが気持ちよくて、しかも地球に優しい」、トヨタはそんなクルマを目指して、プリウスを作ったそうですが、まさに、その通りの車のように思います。
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20型プリウスの自動車としての完成度はかなり高いと感じていて大きな不満はなかったし、家庭で充電できるPHV(プラグインハイブリッド)のプリウスが2012年頃に発売されるという話もあり、最初は30型を積極的に買おうとは思わなかったのですが、 20型の走行距離が100,000キロに近くなり、走行用バッテリーやモーター等電気系統の主要部品の劣化への一抹の不安も感じていたし、これ以上走行距離が増えると下取り価格がかなり安くなるということなので、買い換えることにしました。ちなみに、2010年7月初に注文したものの納車は10月初になり、政府の補助金の終了(9/8)には間に合いませんでした。
旧型プリウスを買った時と同様、今回の30型プリウスも、付属品は可能な限りメーカーオプション(MOP)パーツを装着しました。
ハイブリッドカーは、単なる自動車というより、ガソリンのアシストで動く電子装置のようなものでしょう。モーター、バッテリー、マイコン等の電子部品と、エンジン駆動系の部品が一体で組み立てられ、性能を最大限発揮できるようにして工場から出荷されます。普通の自動車を、適宜ペリフェラルを追加して好みの製品に仕上げて楽しめるデスクトップパソコンに例えれば、プリウスは工場で最適な部品を装着して出荷されるノートパソコンというところでしょうか。私がプリウスを買うとき、特に電気系パーツは、工場出荷のメーカーオプションに拘るのはこの為です。
ディーラーオプションやサードベンダーの部品を装着すれば価格は抑えられますが、工場が責任をもって送り出すメーカーオプションパーツは安心感があり、その分車両本体価格に上乗せになり税金も高くなりますが、それなりの満足感を得られます。中でもステアリングスイッチ連動のハンズフリー付きカーナビ、先行車との車間距離を一定に保つレーダークルーズコントロール、衝突防止のプリクラッシュセイフティシステム、それに太陽光利用のソーラーパネル付ムーンルーフは、メーカーオプションから選んで正解だったと思います。
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新型プリウスが納車されてから4ヶ月、走行距離が約8,000キロになったので、旧型と異なった点など、気がついたことを書いてみます。 1.高速時の騒音が少なくなった
旧20型プリウスは、90キロを越えるあたりから騒音が大きくなり、クラシック音楽を聴きながら運転することの多い私には、ピアニッシモの部分で音量を上げたりと辛いものがありました。新型プリウスはかなり静かになった感じで、これならピアニッシモの部分も聞き取れるでしょう。エンジンが1.5Lから1.8Lになり、高速時の回転数が下がったからでしょうか。
そのためか、高速道路の運転は、旧型以上に、疲れを知らず、楽しさを覚えます。 |
2.エコドライブモードの運転で、燃費は25キロ/リッター
新型プリウスには「エコドライブモード」「パワーモード」「EVドライブモード」のスイッチが、シフトノブの左上に3つ並んでます。
納車時は「通常走行モード」でしたが、今では私はいつも「エコモード」にして走っています。それでも高速道路での追い越しも特に苦になりません。燃費は、旧型は約23km/Lでしたが、新型は25km/L前後で、旧型を1割弱上回っています。
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3.高速道路走行の優れもの「レーダークルーズコントロール」
旧型(20型)にも、アクセルペダルを踏まなくても、一定の速度で走行するクルーズコントロールが付いていました。レーダークルーズコントロールは、これに加え、先行車の速度に合わせて車間距離を保つという機能です。車速により車間距離は変わりますが、きちんと前の車の距離を保って追随します。車間距離は50メートルが最大ですが、3段階に設定可能です。ボンネットのトヨタのエンブレムの奥にレーダー発信機があり、先行車との車間距離を常に計測、設定した車間距離より短くなると、自動的に減速し、より減速が必要な場合にはブレーキがかかります。また、無意識に先行車のスピードに追従するので、首都圏の高速道路で良くある上り坂渋滞も減少するかもしれません。
これに頼りすぎると却って危険だと思いますが、長時間の高速道路走行には便利です。詳細はこちら⇒
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4.付けて良かった「プリクラッシュセイフティシステム」
プリクラッシュセーフティシステムは、車の先端からレーダーを発射し、レーダーセンサーが、前方の衝突の可能性があると判断したら、車のブレーキを作動させるという車両衝突防止装置ですが、先日、私は、このプリクラッシュセーフティシステムのおかげで命拾いをしました。その時の状況はこちら⇒。 プリクラッシュセーフティシステムは、レーダークルーズコントロールとセットのオプションでしたが、付けておいて良かったと思いました。
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5.夏の乗車前に効く「ソーラー換気」と、冬の曇り止めに一役「ムーンルーフ」
ルーフに付けたソーラーパネルで発電しその電力により車内の換気を行い、炎天下での車内の気温の上昇を抑えようというのがソーラーパネル付きムーンルーフです。換気スイッチをONにしパワースイッチをOFFして下車すると、約10分後に車内の換気が始まり、乗車前に車外からリモートでエアコンを動かし、乗車時の暑さを軽減できるというわけです。約20万円と高額で費用対効果では?ですが、「エコに貢献している」、「先進性を楽しむ」・・・とか、プリウスらしい先進的な装備のような気がします。ちなみに、ソーラーパネルは京セラ製とのこと。
一方、ソーラーパネルの前方についているムーンルーフが、夏以外にも思いのほか役立っています。寒い日にムーンルーフのガラスを閉じたままでサンシェードだけ開けて走ると、ルーフのガラスの冷えて、ガラスの内側に多くの水滴が付いて曇ります。その分フロントガラスの曇りが少くなり、前方が見やすくなるという意外な発見がありました。 |
(左)ソーラーパネル付ムーンルーフ。 (右)ムーンルーフのサンシェードを開けた状態 |
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6.万一の備えの「ドライブレコーダー」
飛行機事故が起きた時、フライトレコーダーの解析が、事故の状況の把握や、原因の解明に役立っていますが、ドライブレコーダーはその自動車版です。
ルームミラーの前に取り付けたカメラとグローブボックス等に置かれた本体から成り、カメラが捉えた衝撃が起こる直前と直後の数十秒間を、本体のSDカードに録画する仕組みで、記録されたSDカードの映像はパソコンで再生できます。事故に遭ってまず揉めるのは過失割合ですから、ドライブレコーダーの記録は、自動車事故の真相を把握するとともに、事故の内容の証拠ともなり、不当な保険金請求等の対応に役立つということです。あまり、お世話になりたくない機能ではありますが、付いているにこしたことはありません。 詳細はこちら⇒
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ドライブレコーダーのカメラ |
7.気軽に聴ける「HDDサウンドライブラリ」
メーカーオプションのHDDナビには、サウンドライブラリの機能が付いています。CDをサウンドライブラリにコピーして聴くこともできますが、G-BOOK mX Proの契約をしているので、HDDにプリインストールされている140曲ほどの無料の曲や、ダウンロードで購入した曲を保存して聴くことが出来ます。HDDナビでは、ウォークマンや、MP3CDの音楽も聴けるため、サウンドライブラリとしては当面プリインストールの曲だけで十分なので、まだCDのサウンドライブラリへのコピーの機能は使っていません。
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9.改善して欲しい点
一方、旧型(20型)より使いずらくなったり、使いやすくなったものの一層改善して欲しい点もあるので、挙げておきます。
@ブリッジ型のセンタークラスタは疑問??
ダッシュボードからセンターコンソールまで仕切りのように高くしたブリッジ形状のセンタークラスタ。デザインは斬新ですが、足元が窮屈な感じに加え、運転席から助手席側に移動することも出来なくなりました。実用上はデメリットとなっていて、このデザインは感心しません。。旧型(20型)のように、シフトレバーをダッシュボード近くにもって行き、センタークラスタとセンターコンソールと分離する方が良いのではないでしょうか。また、センタークラスターの下には、ティッシュボックスが置けるくらいの収納スペースが有りますが、ガムやポケットティッシュを置くには広すぎます。プリウストレイという専用のトレイが約1,000円で売っていたのでこれを付けたら、プラズマクラスターイオン発生器や小物を入れるのに丁度良くなりました。いっそ初めから付けてくれた方が良い気がします。
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(左)旧20型、足元が広々しており、助手席側への移動も可能。 (右)30型のブリッジ型センタークラスタ |
Aナビ表示画面の位置が低くなった
30型ではナビのモニタ画面の位置がベンチ・レーターの下側になったため、走行中、ナビへの視線移動が20型より大きくなりました。旧型(20型)プリウスでは、ナビの表示画面がダッシュボードに盛り上がるように付き、目を下に向ける必要がありませんでした。旧型、新型とも外光の差し込み具合で画面が見にくいことがあったので、新型には、モニターバイザーを付けたところ、CDの出し入れがやりにくくなったものの、画面の見にくさは改善されました。
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(左)旧20型、画面位置が高い。 (右)30型。30型にはモニターバイザーを付けました。 |
B後方視界は幾分改善されたが、まだ見にくい
後方の視界は、旧20型比べると若干改善している印象です。特にスポイラーの下のガラス部分の下方向の視界は良くなりました。
とはいえ、車庫入れや、狭い場所での駐車には、バックモニターを使用しないと難儀します。また、雨の日は旧型と同様、上方ウィンドーのガラス面を雨のしずくが流れず、ワイパーをかけないと後方がほとんど見えません。
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(左)旧20型、後方視界が悪い。 (右)30型、スポイラー下の視界は良くなりました。 |
また、
左右後方の窓の支柱が太いため、純正のルームミラーで後方を見る時の死角になり、車の後方の横の至近距離の景色が見難く、特に左後方を併行する車を確認しずらく、
左側のレーンへの車線変更が危険で、恐怖を感じます。ルームミラーにかぶせる形のワイドミラーを純正ミラーの表面に付けてみましたが、振動して見にくいしステーがガラスから剥がれそうな感じがしでやめました。プリウスのルームミラーのステーは、ひ弱すぎます。もう少し丈夫にして欲しいですね。
その後、ミラーの鏡面に貼り付けるタイプで、枠がなくガラスだけのR1400のミラーを付けたところ、60グラム程度なので振動しません。防眩処理のため、やや暗くなりますが、左右の後方視界が広がり、後方から走ってくる車が、大分良く見えるようになりました。こちら⇒
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Cルームミラーの位置が低く感じます
30型は20型に比べ、ルームミラーの位置が低く感じ、シートを高くしたとき、ちょっと目障りです。おそらく、30型は、ルーフの頂点を後方にずらしフロントウインドウの傾斜が緩やかにしたため、ミラーの取り付け位置は20型と同じでも、低く感じるのだと思います。プリウスのミラーは、ガラスに貼り付いているタイプですから、取り付け位置を数センチ上方にずらしてもよさそうな気がします。
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Dヘッドランプが暗く、特に左折が怖い
20型にはHIDヘッドライトがついていましたが、30型はハロゲンヘッドライトになりました。この結果、暗くなった上に、プロジェクター型なので光が収束して、左右が見えにくくなりました。
住宅地などの街灯がない道では、特に左折時には、左側の人や自転車が見えず危険です。この為、私は住宅地ではフォグランプを点けて走っています。
HIDのような明るいヘッドライトへの交換は必須ですし、欲を言えば、一昔前の車にあったターンシグナルと同期したコーナリングライト、またはコーナリング時にハンドル操舵方向に光軸を向けるAFS機能が欲しいところです。
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E「車両接近音装置」の音が小さすぎる
プリウスは、低速走行時に電気モーターだけで走るため、周囲に走行音が聞こえにくい。このため、市街地などで低速走行する際に、歩行者が車の接近に気付かないことがあります。かと言ってクラクションを鳴らして驚かしたくないし・・・。
この為、人工で音を発生させ、一定の車速に達しすると音が止まる、オプションの車両接近音装置を取り付けました。2〜3メートル近づいて歩行者が振り向いてくれたので、それなりの効果はあるようですが、住宅地での使用に配慮したせいか控えめの音量です。せめて5メートル手前から歩行者が気づくよう、もう少し大きな音にしてもらいたいし、音色は私の好みからすると、もう少し明るく華やかさが欲しい気がします。詳細はこちら⇒
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F時計が電波時計からクオーツになった
20型は電波時計でしたが、30型はクオーツになりました。今更クオーツと思ったのですが、地下やパーキングタワーの駐車場では電波が届きにくく、時計が狂ってしまうというクレームが有ったからだそうです。
とはいえ、一般の駐車場では電波は届きますから、全てクオーツというのではなく、電波時計をオプションとして残してほしかったところです。
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Gルーフアンテナが後ろに倒れなくなった
20型ではルーフアンテナは前にも後ろにもペタンと倒すことができましたが、30型では前側にしか倒れません。
なぜ後ろにはストッパーをつけてしまったのでしょうか?。アンテナが立ちすぎていて、立体駐車場に入るときの前進中にアンテナをこすってしまったら即アウトです。
そこで、イルカの背びれのようなドルフィン・アンテナに替えたところ、見栄えも良く、心配したFM/AMの感度の低下も無く、立体駐車場にもそのまま入れるようになりました。
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Hコンソールボックス内のカップホルダーが使いづらい
コンソールボックス内にカップホルダーがありますが、ボックスの蓋を後ろへスライドしないと使えません。スライドすると、後部座席に蓋が飛び出てしまい、
後席に乗っている人の足元が狭くなって迷惑です。コンソールボックスの蓋は、スライドしなくて良いように、カップホルダーを避けて、その後方に付けるべきです。見栄えを優先し使い勝手を犠牲にしたとも思えるこの蓋のデザイン、早急に改善してもらいたいものです。
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蓋をずらして使用 後席に飛び出す蓋 |
トヨタプリウス Gグレード 主要諸元
■車両型式 DAA-ZVW30-AHXGB
車両重量 1,350kg、車両総重量 1,625kg、最小回転半径 5.2m
燃料消費率 10・15モード走行(国土交通省審査値) 35.5km/L、JC08モード走行(国土交通省審査値) 30.4km/L
■エンジン 型式 2ZR-FXE
総排気量 1.797L、種類 水冷直列4気筒DOHC、使用燃料 無鉛レギュラーガソリン、内径×行程 80.5×88.3mm 圧縮比 13.0
最高出力<ネット>73(99)kW(PS)/5,200r.p.m.、最大トルク<ネット>142(14.5)N・m(kgf・m)/4,000r.p.m.
燃料供給装置 電子制御式燃料噴射装置(EFI)、燃料タンク容量 45L
■モーター 型式 3JM
種類 交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)、最高出力 60(82) kW(PS) 、最大トルク 207(21.1) N・m(kgf・m)
■動力用主電池
種類 ニッケル水素電池、個数 28、接続方式 直列、容量 6.5Ah(3時間率容量)
■寸法・定員
全長 4,460mm、全幅 1,745mm、全高 1,490mm、ホイールベース 2,700mm、トレッド フロント 1,525mm、リヤ 1,52mm
最低地上高 140mm、室内 長 1,905mm、幅 1,470mm、高 1,225mm、乗車定員 5名
■走行装置
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション フロント ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)、リヤ トーションビーム式コイルスプリング
ブレーキ フロント ベンチレーテッドディスク、リヤ ディスク、作動方式 油圧・回生ブレーキ協調式
■駆動方式・トランスミッション
駆動方式 前輪駆動方式、トランスミッション 電気式無段変速機、減速比 3.267
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