■屋久島・ぼっけもん篇■

見る

2003年3月21日

    屋久島の旅も、今日が最終日。主な山や屋久杉は、あらかた制覇したので、海を見てのんびりと過ごそうかと出発したのですが・・・。

  1. 白谷雲水峡

    今日もレンタカーで、時間に余裕を持って、07:00出発、お猿さんのいる山道を30分ほど走ると着いたのが白谷雲水峡です。
    標高800m、面積424haを有するこの地域は昭和49年3月に自然休養林に指定され、多くの観光客を迎えています。
    何はともあれ、駐車場に車を置き、入口の管理棟で\300-を支払い、早速歩き始めましょう。

    【 せせらぎが我々を迎えてくれます。 】 【 弥生杉です。 】 【 さつき吊橋です。 】 【 二代大杉です。 】
    山紫水明です。 樹齢3000年の
    弥生杉です。
    さつき吊橋です。
    こちらは渡りません。
    二代大杉です。

    豊かな水をたたえる白谷川沿いに整備された遊歩道から逸れ、少し上がった所にあるのが樹齢3000年の弥生杉です。
    空を突き刺す様にそそり立つ弥生杉は、迫力があります。
    再び白谷川のほとりに向けて遊歩道を下り、さつき吊橋を渡らずに二代大杉経由で原生林歩道に突入。

    【 三本足杉です。 】 【 渓流尽くしです。 】 【 奉行杉です。 】 【 くぐり杉です。 】
    三本足杉です。 至る所、渓流です。 奉行杉です。 くぐり杉です。

    ここから林道となり、少し道が険しくなりますが、三本足杉、三本槍杉、奉行杉を目に焼き付けながら、どこまで散策すべきか迷いました。
    屋久杉を見るだけなら入口付近だけを回る弥生杉コース(1時間)や今歩いている原生林コース(3時間)等で十分なのです。
    一昨日昨日と歩き疲れて、体中が痛いので、今日は、あまり無理はせずに、のんびりとおいしい山の空気を吸うだけで良いのでは?
    でも「もののけ姫」の舞台は、この奥の「太鼓谷往復コース(5時間)」しかないので、アニメファンでもある筆者は非常に悩みました。

    そんな迷いの中、下山してきた本格的な装備の登山者とすれ違ったので、伺ってみました。

    「貴方(ゆう)の脚力は知らないので、何時間かかるか分かりませんが
    この先は樹木の幹も太く、(入口付近である)この辺の森よりも迫力がありますよ。」

    この一言で、迷いは樹海にポイ!(笑)筆者の挑戦者魂に火がついたのは言うまでもありません。(笑)

    【 新しいお友達です。 】 【 七本杉です。 】 【 清流ですね。 】 【 ヒメシャラです。 】
    鹿を発見。 七本杉です。 至る所、清流です。 こぶが
    お猿さんに見えますね。

    頭のネジが三本くらい緩んだ 迷いを振り切った筆者は、二代くぐり杉、くぐり杉を通過。
    途中、野生のヤクシカと至近距離でのご対面で新たな友情を築きながら(ウソ)、白谷小屋、七本杉を突破したのですが
    この決断の結果は、次の太鼓谷の節でお話する事に致します。

    名称 胸高囲 樹高 樹齢(推定)
    弥生杉 8.1m 26.1m 3,000年
    二代大杉 4.4m 32m 不明
    三本足杉 2.7m 24.2m 不明
    三本槍杉 3.9m 25m 不明
    奉行杉 8.5m 24m 不明
    展望台杉 4.9m 18m 不明
    七本杉 8.3m 18m 不明

    料金
    (協力金)
    \300-(高校生以上)
    問い合わせ先 大自然緑の会(上屋久町役場)
    住所 鹿児島県熊毛郡上屋久町宮之浦1593番地
    電話 0997-42-0100

  2. 太鼓岩

    白谷雲水峡を歩き始めて、およそ2時間。整備された遊歩道をはずれ、本格的な登山道を分け入りズンズンと突き進んできました。
    樹木が鬱蒼と生い茂り、湧き水が登山道を湿らせて悪路と化していますが、空気が澄み渡り、道行く者に安らぎを与えます。
    本来、筆者は花粉症で、春先のこの時期、外出しただけで、くしゃみが止まらないはずですが
    屋久島に来てから、ピタリと収まっていると言えば、その清冽さがお分かり頂けますでしょうか?

    白谷小屋を通過して、(もののけ姫の劇中の)シシ神の森のモデルとなった空間を歩くこと1時間、最深部である辻峠まで来ました。
    この先には大林歩道が控えており、縄文杉の眠る高塚山方面に進む事ができますが、本日の筆者の山歩きはここまで。
    ベンチに腰掛け、持参した水で喉を潤し、偶然居合わせた女の子のグループと雑談していると

    女の子A「この上の獣道を15分くらい歩くと太鼓岩という場所があって見晴らしが良いそうですよ。」
    女の子B「事前にガイドさんから、そこはお薦めと聞いているので登ってみようと思っているんですよ。」

    有力な情報を聞き、黙って見過ごす筆者ではありません。
    道が分からないので女の子達にご一緒させて頂き、もう少しだけ無理をしてみます。^^;;)

    【 もののけ姫、そのままの世界です。 】 【 足がすくみます。 】 【 絶景です。 】
    岩で出来た家があれば
    まさにもののけ姫の世界です。
    太鼓岩の下を
    のぞいてみます。
    迫力を写真で伝えきれないのが残念です。

    木々の枝に結わえられた赤いリボン以外に道標が無い急峻な坂道を、女の子達に心配されながら、よろよろと登ると
    大きな丸い岩が頂に突き刺さっております。そこに立ちつくすと、まるで犬神モロの住居のある高台の様です。
    その高台からの視界は、およそ270度。背後には遠く海が、目前には樹海と渓流が広がり、その迫力に言葉を失うばかりです。
    周囲に女の子がいたので、ソプラノで もののけ姫の主題歌を歌う事は控えましたが、気分はアシタカそのもの。(笑)
    ずっとずっと照葉樹林を見ていたかったのですが、まだ他にも見たいものがあるので女の子達と別れ タタラ場のある麓に戻る事にします。

  3. 平内海中温泉

    太鼓岩を降り、タタラ場(平野)で薬膳料理を食べ、タタリ神の呪いは癒されました。(意味不明)
    鋭気を養った筆者は、再びレンタカーのハンドルを握り海岸線を走ること30分、「平内海中温泉」と書かれた小さな標識を発見。
    ここで進行方向左側にある路地に入ると「地元の人以外、通行禁止。」との立て札があり、後ろめたさを感じながらも強行突入。^^;;)

    【 平内海中温泉入口です。 】 【 地元のご老人がたくさんいます。 】 【 脱衣場です。(笑) 】
    入口は見落としやすいのでご注意下さい。 防波堤の先に海が見えます。 脱衣場です。^^;;)
    (そういった施設は無いとも言う。)

    細い路地を海に向けて更に突き進むと「レンタカーの駐車禁止」と立て札のある駐車場を見つけ、迷いましたが、こちらも強行突入。
    車を止め、タオルを持って、温泉に向かう事にします。

    【 平内海中温泉です。 】 【 地元のご老人がたくさんいます。 】
    ここから先は靴を脱いでね。 混浴です。^^;;)

    小さな防波堤の付け根が、温泉の入口となっており、ここで靴を脱ぎ、寄付金(??)\100-を投じ防波堤の突端にゴー。
    防波堤の先端で服を脱ぎますが、ついたてや更衣室といった気の利いた施設は全くありません。^^;)
    見まわすと全く気にしない地元の老人、大きなタオルを体に巻きつけ巧みに着替える地元の女性等人それぞれに着替えています。
    ちょっと(いやかなり)恥ずかしかったのですが、私も着替え、潮風が強い為、服の上におもし代わりにリュックを乗せ
    飛ばされない様に対策を講じ、いよいよ温泉を堪能しましょう。
    まずは湯で体を洗い流し、温泉にダイブ。単純硫黄泉に海水が混じり、潮の香りが強く漂いますが
    素晴らしい景色に疲れも癒されるというものです。
    のーんびりと湯に浸かりながら、地元の老人や大阪からバイクで来たと言う失業中の若者から民宿情報を聞いたり
    情報交換をしていると日が暮れはじめ残り時間が少なくなってきたので、名残惜しいですが次なる目的地に向かう事にします。

    (ご参考)平内海中温泉 鉄の掟

    1. 入浴前に体を洗いましょう。
    2. 上がり湯のつぼに足を入れてはいけません。
    3. 水着の着用はダメです。
    4. 足元が滑りやすいのでご注意下さい。
    5. 志し(寄付)という形ですが、入浴料は\100-です。

  4. 大川の滝

    平内海中温泉から車で海岸線を時計回りに進み、約30分。進行方向右側にある細い路地に入り5分程の所にある落差88mの滝です。
    小さいながらも駐車場(無料)があるので、車を置き、滝壺目指して歩いてみましょう。
    滝壺につくと大きな岩石が輪を囲むように転がり、エメラルドグリーンの水が揺らめき、瀑布による心地よい風が吹き抜けています。
    海外から来た旅行者達も気持ちよさそうにはしゃいでいます。さすがは、日本の滝100選の一つに数えられるだけはありますね。
    20分ほど滞在していましたが、残り時間もあとわずかになってきました。更に島一周の旅を続けましょう。

    【 落差88mの滝です。 】 【 滝の上部です。 】 【 滝壺です。 】
    すがすがしい気持ち
    になれますね。^^*)
    もっと滝に近づいてみましょう。 綺麗な水を懇々と湛えています。^^)

  5. 屋久島灯台

    屋久島一周の旅も佳境になってきました。
    海岸線の車道も緩やかに高くなり、2車線の車道もやがて幅を狭め、1車線となり、民家らしきものが周囲に見あたりません。
    行き交う車も極めて少なく、鬱蒼とした照葉樹林が車道の両脇を覆い、暗い影が筆者の不安をあおりますが速度を緩め
    安全運転で蛇行した道をひたすら走ります。
    大川の滝を出発して、既に40分強。やっと辿り着いたのが屋久島灯台です。

    海上保安本部第十管区(鹿児島海上保安部)に所属するこの灯台は明治30年1月10日に灯火以来、島の最西端・水田岬から
    客船、貨物船や地元の漁船を静かに見守り続けています。

    【 珍しい標識です。 】 【 屋久島灯台ですです。 】 【 見渡す限りの海です。 】 【 口永良部島が遠くに見えます。 】
    まさに獣道です。 明治時代の灯台が
    海風に耐え
    今も生きています。
    どこまでも海が続きます。 口永良部島と屋久島の間を
    屋久島海峡というそうです。

    青く染まる大海原を小さな漁船の航跡が白い弧を描き、沖には遠く口永良部島が霞んでおり幻想的な風景ですが
    日が沈んで来たので次なる地を目指す事にします。

  6. いなか浜(永田浜)

    屋久島灯台を後にし、西海岸沿岸の道もだいぶ広くなり走りやすくなってきました。
    3日間の登山で疲れた筆者の眼に飛び込んできた風景に、はっと息を飲み思わず停車して降りてみたのがいなか浜(永田浜)です。
    屋久島の北西、東シナ海に面した美しい砂浜です。世界有数のアカウミガメの産卵地(産卵時期5月〜7月)との事ですが
    残念ながら今回はアカウミガメとのご対面は叶いませんでした。気持ちの欠片を少しだけこの地に残して去る事にします。

    【 言葉は要りません。 】
    息を呑むほどの美しさです。

  7. 志戸子ガジュマル園

    レンタカーでの屋久島一周チキンレース も、いよいよ終盤。
    すっかり陽が沈み、暗雲が立ちこめ、雨粒と共に強風が吹きすさぶ中、志戸子ガジュマル園に到着。
    こちらは、モクタチバナ、ヒトツバ、オオタニワタリ、クワズイモとガジュマル(クワ科)が生い茂る防風(潮)林を公園として整備したものです。
    レンタカーの返却時間が迫っていたのと、暗くて、肝心のガジュマルが余りよく見えず残念。機会があれば、じっくりと観察したいですね。

    【 亜熱帯ならではの樹木です。 】
    樹齢500年以上のガジュマルらしいです。
    巨大な根っこみたいですね。

    電話09974-2-0100
    開園時間不明
    入館料大人\200-
    休園日不明


    エピローグ

    屋久島での慌ただしい3日間もあっという間に過ぎ、最後の夜は、民宿の御主人の計らいでカワハギの鍋と地元の焼酎をご馳走になり
    会話も弾みます。

    御主人「いやあ、お兄ちゃん、酒強いねえ。」
    ゆう「そんなでもないですよ。あ、一升瓶カラになりました。(笑)」
    御主人「どれ、次の(一升瓶を)持ってくるか。」
    ゆう「そう言えば、屋久島の水ホントに美味しいですね。焼酎も美味しいですし。(笑)
    御主人「昔は、山に登らなくても、この辺(宮之浦)の道路っぱたの水でもうまくてドブロク造りに使えたんだがなあ。
     今はもう車も多くなって(水質が汚れてしまい、)ダメだ。」
    ゆう「そうなんですか。」

    細々と営まれている漁業と屋久杉見物を中心としためぼしい観光以外に収入源の見込めない屋久島。
    多くの人に触れられる事で、寿命を縮めている縄文杉など自然と人が共生する事の難しさを痛感した
    そんな夜も静かに更けていくのでした。

    願わくば、未来の屋久島が、現在の屋久島よりも優れた環境でありますように。

    ガラにもない事を考えながら、翌朝ので島を後にした筆者なのでした。−おしまい−


(3/22分の)旅は、鹿児島・噴火篇にちょっとだけ続きます。宜しければご覧下さいね。

表紙に戻る
たびてつに戻る
たびてつ・屋久島・ぼっけもん(本篇)に戻る