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ルパンシリーズ
表 紙絵美術室


<ドイツ版展示室>

 第 一次大戦前後に書かれたルパンシリーズでは、ドイツというとだいたい敵役。「813」のドイツ皇帝登場はまだましなほうで、戦争中の「オルヌカン城の謎」 「三十棺桶島」ではかなり露骨なドイツ敵視表現が出てきます。それもあって第二次大戦時にフランスがドイツを占領した際にはルパン・シリーズのいくつかは 発禁状態であったといいます。
  ドイツにおけるルパンシリーズの受容については詳しくは分からないのですが、ネット上で本の情報をあたっていった限りでは1920年代には原作発表直後に コンスタントに翻訳されたものの、第二次大戦期以降しばらく中断、戦後だいぶ経ってからまた再受容ということだったようです。現在出ているものを眺めても シリーズ後半のものが見られないのは英米と同じようです。



☆Luitpold Lang版
詳細不明 ですが1960年代に出版されたそうです。
Arsene Lupin der Gentlemen
-Einbrecher
Arsène Lupin kontra Herlock Sholmes Das Rätsel der Aiguille
「怪盗紳士ルパン」。顔のどアップです。 「ルパン対ホームズ」。青いダイヤとユダヤのランプが表紙になってます。 「エギーユの謎」。もちろん「奇岩城」ですが、ドイツでこのタイトルは珍しいようで す。

Diogenesハードカバー版
1970 年代以降のハードカバー版の表紙。
Arsène Lupin - Der Gentleman -Einbrecher  813, das Doppelleben des Arsène Lupin 
Der Kristallstöpsel oder: Die Missgeschicke des Arsène Lupin

「怪 盗紳士ルパン」。「逮捕」のネリー嬢との微笑ましいカットが表紙です。「Einbrecher」は「強盗」にあたる言葉のようですね。 「813  アルセーヌ・ルパンの二重生活」。表紙イラストからすると一冊にまとめているようです。
「水晶の栓あるいはアルセーヌ・ルパンの不運」。ドイツではたいていこういう訳題を つけるようです。

☆フランクフルト 版
詳 しいことは分かりませんでしたが、1973年に発行されたそうです。
813 das Doppelleben des Arsène Lupin
「813 アルセーヌ・ルパンの二重生活」。シガレットケースを表紙に持ってきてま す。

☆Aufbau版
1975 年にこの1冊だけ出たみたい。
Arsene Lupin - der Gentleman - Einbrecher Der Kristallstöpsel oder Die Mißgeschicke des Arsène Lupin
「怪盗紳士ルパン」。良く見るとルパンが様々な人間に変装することを示してます。 「水晶の栓あるいはアルセーヌ・ルパンの不運」。表紙が よく見ればネタばれ。

☆Diogenesペーパーバック版
1970年代から90年代にかけて出版されたペーパーバック。表紙も何度か変更されているようです。とりあえず見つかった表紙 はこんなもの。
Arsene Lupin, der Gentleman - Gauner.  Arsene Lupin kontra Herlock Sholmes. Die hohle Nadel oder Die Konkurrenten des Arsene Lupin  Achthundertdreizehn. Das Doppelleben des Arsene Lupin.  Der Kristallstöpsel oder Die Missgeschicke des Arsène Lupin 



「怪盗紳士ルパン」。 「ルパン対ホームズ」。原文どおり「ショーム ズ」になってますけど、イラストは明らかにホームズのイメージそのまま。
直訳すると「中空の針あるいはアルセーヌ・ルパンの競争者」といったところでしょう か。つまり「奇岩城」です。
「813・アルセーヌ・ルパンの二重生活」。「813」の前半にあた ります。
「水晶の栓あるいはアルセーヌ・ルパンの不運」。
Die Insel der 30 Särge.  Die Uhr schlägt achtmal Die Gräfin von Cagliostro oder Die Jugend des Arsene Lupin
「三十棺桶島」。船が貧乏くさい…。 「八点鐘」。良く見ると時計がガイコツになってます。 「カリオストロ伯爵夫人あるいは若きアルセーヌ・ルパン」。

☆Matthes & Seitz(2007〜2008年)
今のところ2冊しか出ていないようです。
Arsène Lupin und der Schatz der Könige von Frankreich  Die Gräfin Cagliostro oder die Jugend des Arsène Lupin

「ア ルセーヌ・ルパンとフランス諸王の財宝」。背景を見れば「奇岩城」なのは明らかですね。モナリザを使ってるところが目新しい。 「カ リオストロ伯爵夫人あるいは若きアルセーヌ・ルパン」。映画公開とタイアップしたところもあるみたいです。

☆Insel版ルパンシリーズ(2009年)
現 時点で最新のものらしいルパンシリーズドイツ語版。上のものと同じ二冊。
Die Gräfin von Cagliostro oder Die Jugend des Arsène Lupin  Arsène Lupin und der Schatz der Könige von Frankreich

「カ リオストロ伯爵夫人あるいは若きアルセーヌルパン」。 「ア ルセーヌ・ルパンとフランス諸王の財宝」。ドイツでは「奇岩城」はもっぱらこの訳題のようです。


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