旬を食べる
烏賊は変幻自在
烏賊の旨さは、刺身にした時の、あのねっとりした甘さにあるように思う。烏賊そうめんの喉越しも良い。腑のねっとりしたこくのある食感はたまらない。フライにしたときの磯の香りも良い。どうやって食っても旨い。ここまできて郷里の八戸を思い出す。幼いころ、夏の早朝。自転車の荷台に烏賊の箱を積み上げ、いか〜烏賊〜と声を響かせながら、売りに来たものだ。とにかく安いものだから良く食った。大概は七輪で焼いて。来る日も来る日も。うんざりするほど食べたので、子供のころの印象はさほど良くなかった。今はご馳走だけど。

 


 刺身
 生きのいい烏賊を買ってきたら作るのが、まずこれ。さくに縦方向に切り目を入れておいて、そぎ切りにしたもの。烏賊そうめんも良いが、この方がやわらかく、醤油もよくまとわりついて、旨い。
 

 
刺身・・・ 烏賊そうめん
 中央に鶉の卵を乗せてみた。黄身のねっとり感が良い

 鳴戸造り
さくに切り目を入れておいて、のりを巻き込んだもの。毎度刺身だけではというとき、海苔の風味で一味違った物ができる。
握り寿司
烏賊そうめんとそぎ切りなど、いろいろ飾り包丁を入れたものを握ってみた
即席塩辛

旨い塩辛を、今すぐ食いたいと思えばこれ。即席塩辛の作り方はたくさんあるが、腑の生臭さをいかにして抜くかがポイント。私の即席塩辛は、嫁さんの母親からの直伝。腑を酒で溶き、鍋で乾煎りする。烏賊の刺身と和えてできあがり。即席というと代用品のように聞こえるが、下手な塩辛より、ずっと旨い。
 肝(腑)味噌漬け
ねっとりして官能的な旨さ。刺身に絡めるとこれも即席塩辛になる
味噌を酒でゆるめて、烏賊の腑を漬け込み、冷蔵庫で一晩寝かせる 味噌を拭って、食べやすい大きさに切ったのが左端
肝(腑)のルイベ
このままでも、また大根おろしと合わせてもよい。コクがあって、腑そのもののうまみを堪能できる。
腑に塩をまぶし、ラップで包んで冷凍庫で凍らせる。

ラップのまま、切ってもよい。解けないうちに手早く切る。

 しょうが醤油

 刺身を作って残ったげそとエンペラで、よく作る。さっと茹でるのがこつ。しょうが醤油のときもあれば、マヨ醤油のときもある。どちらも旨い
 いかしゅうまい
佐賀県呼子町の萬坊というお店が開発した作り方。いかをすり身にして、玉ねぎのみじん切りと卵を和え、ワンタンの皮を細切りにしたものをまぶした。正直、いまいちだった。本物を食べてみたい。
 ゲソ揚げ

 げそのから揚げというと、揚げるときばちばちはねるからいやだという声もある。はねるのは勿論、水分が原因なので、ペーパーでよく水気を拭いて、さらに片栗粉を良くまぶして、水気を吸わせるとだいぶ違う。それでもやはりはねるので、鍋蓋で防御は必要だ。やけどは怖いが、ゲソ揚げの誘惑には勝てない。
イカフライ 

揚げ物ではゲソ揚げと双璧をなしている。東西の両横綱といったところ。これもはねるのが怖いと思う人が居るかもしれないが、これははねない。皮をむいてあるためか。揚げすぎると硬くなり、風味を損ねるので、タイミングが旨さの決め手。烏賊料理としては私の一押し。絶品。
烏賊の味噌焼き 

10年以上前だろうか、テレビの料理番組で阿部なお(料理研究家、料理店経営)さんが作ったのをみて、これは旨いと思った。以来我が家の定番料理になった。阿部さんがその1ヶ月後に亡くなったのは残念だった。
アルミホイルで箱型の鍋を作る。材料は刺身などを作って残ったゲソ、エンペラ。腑を酒で和えたもので焼く。一緒にニラを入れるが、2把くらいはぺろりと食べられるからすごい。
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更新日 16.12.16