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向上訓練の研究
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問題解決討議法


◆概要3
 組織内学習には、知識・技能・行動態度及び問題解決といった類型があります。これらの四つの関係 を、実務的に体系づけると、下図に示すようになります。 mondai
 よく言われるように、知識と技能だけでは仕事は成し遂げられません。同じように、問題解決は、ど の様な好ましい態度をもっていても、それだけでは問題解決になりません。知識・技能や行動態度が、 それ相当に的確に活用されて、はじめて妥当な解決の糸口に辿ることが出来ます。

 この技法は、会議や討議の形式を使って、問題解決に当たりものの見方を広く深くするための思 考訓練です。

◆内容
 まず、指導講師には次のような能力が求められます。全体像として@冷静かつ敏速な思考力の持 ち主であって、誰にでも理解のしやすい、A平易な言葉遣いを身につけていること。
 また、思考力については、B分析能力に優れ、判断においては、C偏見に捕らわれず、公正中立 にすすめられる心をもってる。その上行動態度には、D辛抱強く、受講生などE人扱いが上手で あって、Fユーモアのセンスがあり、しかもG熱意があり、H聞き上手である」等を、成し遂げる 力が必要になります。

 しかも、この技法を用いるときは、メンバー間で意見交換が活発に行われ、情報収集、視野拡 大、考える基盤となる要素の背景の理解を深めるための資料などを準備します。しかし、重要なの は、問題解決に至るプロセスであって、結論は、それほど大きな問題ではありません。そのため、 未経験者などが容易に参加できるムードをつくります。

 ただ、事前の準備を良くやればやるほど、講師は、自分の考えに誘導しがちになります。この種 問題解決の技法は、様々な意見を出して貰うことが目的ですから、レッスンプランも、そのつもり で幅広い意見がえられるように作成します。

◆仕組み
 会議や討論形式など、問題解決技法の重要ポイントは、第一印象を良くして、和やかな雰囲気を つくることです。滑り出しが、うまくいくかどうか、が、教育訓練の成功不成功が決まる。と、 言っても過言ではないと思います。

 そのためには、お互いに挨拶を交わし合い、その場にふさわしい話題の取り上げや、話しかけ で、主題に関心を持たせます。つまり、目的をハッキリさせて、この教育の重要性を強調します。 背景となる事実(例えば、来客の応対について外部からクレームが持ち込まれたことなど)を、は じめからキチンと知らせるようにします。

 さらに、討議の進め方については、主役は受講生であり、講師は、意見のきだし約、まとめ役に 過ぎないことを理解納得させます。
 意見を引き出すために、講師は主題の背景について、受講生が知っている事実、意見を引き出し ます。それを受けて、問題点を提供、討議に必要な情報、知識、事例を上げます。さらに、スライ ドやビデオを見せたり、チャート、シートなどの資料を使って話し合いのきっかけを作ります。

 話し合いを活発にするため、傍観者や沈黙者が出ないように気を配りながら、しゃべり続ける人 がいないよう注意を払いながら、目的に添った進行状況を把握しながら意見や考えを徐々にまとめ ます。
 様々な意見の中から結論を導き出し全員に確認させます。全員で引き出した結論だからこそ、受 講生は納得しやいのです。そこで、是非実行に移すように動機づけを行います。
 終わりに、熱心に参加してくれたことに対して、受講生に感謝の意を表して終わりにします。

◆討議法による問題解 決のスタイル
 次に紹介するいくつかの集団討議法は、問題解決など活発な討議を展開する場合に効果的です。

  1. パネル・ディスカッション(代表者討論)
     選ばれた人(パネーラー)が、パネルを背にして座り、与えられた議題について討論するも のです。
     講師(モデレーター、またはコーディネーター)は、テーマ、討論者の紹介、討議の方法、 結論の出し方、その他の方法について、指導します。予定の時間の二分の一または三分のにを 経過するところまで討論を行い、講師がその討論を要約して、受講生(フロア)にしよう介し ます。

     その後、フロア・メンバーから質問を受けて、それについて、討論者から回答をさせる か、あるいは再び討論者間で討論させて、返答をします。
     このようにして、パネルとフロア間の一体感を深め、全員参加の形式で活発な討論を行 います。

  2. シンポジウム
     シンポジウムは、パネル・ディスカッションと同じ形式ですが、その違いは、パネル・ディ スカッションでは、討論する人が与えられた議題について、パネーラーが相互に討論したうえ で結論を出します。
     一方シンポジウムにおいて、意見発表する人は、それぞれ独立した分野の専門家を選びます から、議題に関する専門的な意見を述べます。
     そのため、シンポジウムでは意見の衝突はありませんから、討論は行いません。また、フロ アからの質問には、特定のスピーカーを指名して行われ、回答も個別の形式になります。

  3. フォーラム
     フォーラムには次のような四つの形態があります。
    @ レクチャーフォーラム
     専門家の講義とこれに続く質疑応答などからなる討議です。
    講師は、別にコメンテーターを用意しておき、講義の内容について、問題点を指摘させて、フ ロアメンバーを引き入れるようにします。

    A 講演会
     企業ではよく有名人を呼んで講演会を行いますが、講演だけで終わりにさせないで、公 演後に受講者が小グループに分かれ、ディスカッションを行います。
     講演の感想や意見、あるいは、見解の交流などを行って聞かせっぱなしにしないように します。

    B デベート・フォーラム
     特定の問題に対して賛成・反対両方のグループを用意します。そして、両方のグループ による討論をさせ、フロアからの質疑を同時に行うのが一般的なやり方です。
    この場合、賛成派と反対派の真ん中にチェアマン(議長)が席を占め、発言者はチェアマ ンの許可を得て発言をするのが特長です。チェアマンは、一定の時間がきたならそれまで の意見を整理します。もし、そのときに意見の変わった人がいる場合には、席を替わる方 法もあります。また、はじめ分かれている意見が討議することで一致に近ずくこともあり ます。

    C ビデオ・フォーラム
     テーマに関するビデオなどの資料を参考に、閲覧後にディスカッションあるいは講師な どと、質疑応答を行います。この方法には、認識を高める特長があります。

  4. ワーク・ショップ
     大きな集団の参加意識を高めるために、小さいいくつかの小集団に分け、その小集団毎に、 リーダーを決め、与えられた議題について討議または作業を行います。理解を深めたり、習得 させる場合に有効です。

 以上のように、色々な集団討議の技法がありますが、問題解決を成功させるため、さらに、下記のよ うに色々な補助があります。
参考文献;教育訓練技法、教育技法研究会編、経営 書院刊行。
社員教育・研修のノウハウ、梅島みよ著、日本実業出版社
;教育研修ハンドブック、監修・著者 高橋 誠日本ビジネスレポート(株)刊行。

問題解決に適した技法


ケース・スタディ
事例研究法の一つとして、ケース・スタディの技法としての導入の仕方を説明す る。

インシデント・プロセス
事例研究法の一つで、情報を収集しながら問題を解決していくプロセスに重点が 置かれるインシデント・プロセスである。

イン・バスケット
決済書類箱(イン・バスケット)の中の書類をどのように処理するかを、研修の 中に取り入れた方式。管理者の能力アセスメントにも利用される。

ビジネス・ゲーム
ビジネス・ゲームのなかで、典型的な経営管理能力の開発を目標としたゲームを とりあげて説明する。

ウォー ク・ラリー
個人および集団の問題解決能力を野外でのグループによる集団活動を通して向上 させようとするウォークラリーについて解説する。

次の技法も「問題解決」に適した技法として、有効に活用することができる。

KJ法     OJT   シミュレーション

注:「下図、NEXTで次ページへ続く」


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