外科矯正治療では、なぜ術前矯正治療をするのか?
外科的に矯正治療をする場合、ほぼ100%術前矯正歯科治療が必要になります。その理由をご説明いたします。
理由1:手術した後にしっかりと噛めるようにするため。
→人間、かめる所で噛みます。噛みにくい歯並びなら噛みやすいところに顎をズラして噛みます。顎をズラして噛むようなら、手術した意味がありません。
理由2:骨の上に90度に歯をならべる。
→土に杭を打つとき、斜めに打ちますか? まっすぐ90度でうちこみますか? まっすぐ90度に建てたビルと斜めに建てたビル。どちらに住みたいですか?
力のかかる場所では、90度に立てるのが理想ですよね。
理由3:歯軸の改善。
→上の図のように、骨格性反対咬合であれば、下顎前歯は下口唇の圧力で後方に倒れ、上顎前歯は舌の力で前のほうに押し出されています。この結果、上下の歯の反対の程度が少なく見えるようになっているわけですが、手術後のかみ合わせでは正常な歯の角度にしておかなくてはいけません。たとえば、下顎前歯は下顎骨に対して90度の角度にします。
理由4:手術時の骨の移動量を確保するため。
→理由3の所でも書きましたが、治療前の状態では反対咬合の程度が低い方向に上下の前歯は傾いています。これを手術後の正常な歯の角度にすることによって、骨の移動距離を多く取ることができ、顔貌の変化を得ることができるわけです。下の症例写真を参考にされてください。
※術前矯正治療の分治療期間が長くなります。一部の美容整形ではこの段階をすっ飛ばすので治療期間は短いですが、治療後に噛める保証はありません。
※手術をしないで矯正治療する場合は、上顎前歯は前に、下顎前歯は後ろに下げるように動かします。つまり、手術前提の矯正治療とは真逆の方向です。よって、途中から「手術は厭だ。辞めたい。」とか、「やっぱり、手術で治します。」というような治療方針の変更(気変わり)はとても困ります。治療開始前に、よーーーく考えてください。
☆関連項目
治療の実際
側貌の変化 | 前歯のかみ合わせの変化 | |
治療前:この症例では舌突出癖(舌を前に出す癖)のため、上下顎前歯は唇側傾斜(前に出ている状態)になってます。術前歯科矯正治療でこの状態を変えます。 | ||
治療後:上下前歯を所定の角度にすることにより、骨の移動距離を確保しました。 |
画像について
無断複製はご遠慮ください。
著作権
著作権は放棄しません。
注意事項
このようなホームページの内容は、一般論で書かれております。実際の治療では、患者さんごとに治療内容がことなります。この点、ご了承ください。
※矯正歯科治療に伴う副作用(リスク)に付いては以下にまとめてあります。必ずご参照ください。
※外科的矯正治療の場合、手術に伴うリスクもあります。(以下にまとめておきます。