まるこの日常生活の記録と映画鑑賞記
2000.3.21〜3.31.
3月20日(月)
今月の初めから「精神修行の旅に出る」と怪しげな言葉を残して姿を消していた“えびちゅ”から突然電話があった。「もしもし、まるちゃん? えびちゅでちゅー」「おー、えびちゅ、久しぶりぃ♪ 生きてたんだー」「ところで、まるちゃん、カウボーイハット持ってない?」「………」 一体、彼に何が起こったのだろう。
3月17日(金)
全米で大ヒットし、昨年のGWに日本公開される予定が何故か遅れ、約10ヶ月もかかってようやく公開にこぎつけたというジョン・トラボルタの『シビル・アクション』も、日本ではキビしかった。『民事訴訟』という当初のタイトルを原題のカタカナ表記に変えたところで、簡単に客をつかめるものではない。日本では固い裁判ものは敬遠されるし、トラボルタでは客は呼べないのだ。1週目は200席程度の中劇場で上映されたが、2週目には50席の小劇場へと追いやられ、3週目はその小劇場で朝1回だけ放映し、打ち切りである。10ヶ月も待たせてこの扱い? そんな具合で夜の上映が今日までなので、残業後にレイトショーに駆け込んだ(最近はこのパターンがやたら多い…)。閉まりかけたエレベーターに飛び込んだら、中に居たのは映画友だち“うっちゃん”だった。彼女は仕事が終わった後に、『シャンドライの恋』と『シビル・アクション』のハシゴ。たった5分で2q強はある劇場間を移動したという。凄すぎ…。「だって今日で終わっちゃうんだもん!」と彼女。映画好きの人のパワーは計り知れない。
法律事務所を経営する弁護士シュリクマン(ジョン・トラボルタ)は、小さな田舎町の飲料水汚染に関する訴訟を引き受けることにする。訴訟を裁判に持ち込まず、示談で成立させるといういつものやり方で、彼は相手側の企業から多額の和解金を手に入れると踏んだのだ。飲料水汚染を医学的、化学的に立証するために、シュリクマンは私財を投げ打って研究を重ねる。しかし、企業側にはハーバード大学で法律を教えているという、ただ者ではない弁護士(ロバート・デュバル)が控えていた。
全米で2年間に渡ってベストセラーの首位にランクされた、実話をベースにした小説の映画化だそうだ。ジョン・グリシャム原作の娯楽的裁判映画とは違い、この映画にはヒロインは登場しない。弁護士シュリクマンの私生活も、恋愛も語られず、ただ、裁判の行方を延々と追っていくのみの作品。娯楽とはとても言い難い、ある種、ドキュメンタリーのような作品だった。全米で大ヒットした要因は、水質汚染が多くの子供の命を奪ったという現実の社会問題が、多くのアメリカ人の興味を引いたからなのだろうか。しかし興味の無い者にとっては、ただの退屈な映画に過ぎなかった。
“悪人顔”のジョン・トラボルタが演じる弁護士が、住民のためではなく、自分の利益のため(つまり金のため)に動こうとする冒頭の部分は良い。しかし彼はやがて、金のために動くことを忘れて行く。住民の心の痛みを知って正義に目覚めたのか、あるいは弁護士のプライドと意地なのか、その辺りがいまひとつはっきりしない。彼の気持ちが変化した“きっかけ”があまりにも曖昧なために、ついて行くことが出来ないのだ。結果、私財を投げ打ってまで裁判に執着するシュリクマンの気持ちが私には全く分からなかった。
実話ベースの作品は必ずと言っていいほど、登場人物の“その後”を簡単なテロップで説明し、片をつけようとする傾向がある。私はそれも好きになれない。“その後”なんて、どうでもいいじゃん。それを想像するのが映画の醍醐味なんだから。実話ベースの映画というのは、事実を明確に伝えるためだけのものなのだろうか。映像で見せられなかった部分を文字で説明までして、最後まできっちり事実を伝えなければ成り立たないのだろうか。どんなに面白い作品でも、最後に説明臭いテロップを見せられると気持ちが一気に引いてしまう。ましてや退屈な映画を観せられた時には怒りさえ沸いてくる。 レベル2
映画が終わったのは23時。地下鉄の駅まで15分の道のりをひとりで歩くのはちょびっと心細かったので、うっちゃんと会えて良かった。帰り道、とぼとぼと歩きながら、今観たばっかの『シビル・アクション』はさておき、うっちゃんと『マグノリア』について熱く語り合った。『マグノリア』がどうしても理解出来なかったといううっちゃんは、私が日記の中で紹介した“なすカレー論”に感嘆していた。映画の観方なんて十人十色だと思うけど、他人の意見を聞いて自分の観方の幅を広げられるって素晴らしいね。
3月16日(木)
新聞に載っている映画のタイムテーブルを見て、私は愕然とした。名古屋駅前の映画館で木曜日のレディースデイだけに実施されていたレイトショー上映が無くなっている。確かに、いつ行ってもガラガラだったけどさ。女性を対象に21時頃から始まるレイトショー上映っていうのには、やっぱり無理があったのかもね。終わると23時頃になっちゃうしね。健全な女性たちは、もうお家に帰ってお風呂に入ってる時間だもんね。
この前『けーずシアター』の映画鑑賞会後の飲み会の時、「なぜレディースデイがあってメンズデイが無いのか」という話題になった。「女性は男性より少ない給料で働かされているのだから、こういう面で優遇されるのは当然です」とまるこっち。話題を振った公務員さんは「僕たちの職場は、男性も女性も給料に差はないよ」と言うけど、やっぱり公務員は特別だもん。「全社員に臨時ボーナスを出します。男性には一律5万円、女性には一律3万円」というようなことを平気で言っているような会社で働いている女性の気持ちは分からないだろうね。でも、それが現実なのさ。
「なぜレディースデイがあってメンズデイが無いのか」という疑問には、“らんちゅうさん”がひとつの結論が出した。レディースデイを作れば、それにくっついてくる男性は大勢居るが、メンズデイを作っても、それにくっついてくる女性は少ないから。…なかなか的を得ている。
私の仕事は木曜日が一番忙しい。だからこそ、木曜日のレイトショー上映は貴重だったのに。でも、無くなってしまったものにあれこれ言っても仕方ない。意地で仕事を終わらせ、18:40からの『破線のマリス』に駆け込んだ。
遠藤瑶子(黒木瞳)は、テレビ局のニュース番組で編集を担当している。未解決の事件を取材しながら、怪しいと睨んだ人物を番組で徹底的に叩き上げ、やがて逮捕へと導いていくというやり方は、世間から「やり過ぎ」との批判も浴びていた。しかし、テレビ局は視聴率さえ取れれば何をしても構わないという考えの元に動いていた。視聴率の取れる瑶子の編集能力は、局の上層部の人間から充分に認められていたのだ。ある日、瑶子は郵政省の官僚を名乗る男から、内部告発のネタと、それを裏付ける一本のビデオテープを手に入れる。早速それを編集し、電波に乗せる瑶子。しかし数日後、怪しげな郵政省官僚として報道された男(陣内孝則)が「事実無根だ」として、テレビ局に乗り込んでくる。報道が原因で事実が明らかになる前に地方の郵便局に左遷されることになったその男は、編集を担当した瑶子に恨みを持ち、執拗に追いまわすようになる。
テレビ局の“ヤラセ”が生んだ悲劇を、一台のTVカメラが映し出す主観映像のみで描いた『〔FOCUS〕』の井坂聡監督が、再びマスメディアの犠牲になった人々を描いた。素材テープの中の“真実”を切り取り、真実に見せかけた部分を繋ぎ合わせて報道する人たち。視聴者はフレームの外に何があるのかは知るすべも無く、テレビが映し出す作られた映像だけを“真実”として受けとめる。“ヤラセ”はテレビの中に蔓延している。私たちは常にテレビの作り出す虚偽の世界に騙されているのだ。この作品のテーマは、とても興味深いものだった。原作は第43回江戸川乱歩賞を受賞しているサスペンスである。
視聴率を取るためなら個人のプライバシーの侵害などは物ともしない女性編集者が、逆に追われる立場を味わされる。そして、真相がどこにあるかもはっきりしないまま、彼女の愚かなプライドが、自分自身をどんどんとドツボにはめて行く。さすが、原作が賞を取っただけのことがあり、とても見ごたえのあるサスペンスだった。追いかけてくる相手に物怖じせずに食らいついていく遠藤瑶子という女性の性格も、とてもリアルに描かれていたと思う。しかし、あのオチは一体何? あれでいいの? ラスト3分までドキドキハラハラだったのに、一気に力が抜けてしまった。賞を取った原作に基づいているのだから仕方ないのだろうけど、映像でそれを観客を納得させることが出来なければ映画はダメでしょう。あのオチを観るまではレベル4.5くらい付けてもいいかなって思っていたが、ラスト3分で一気にレベル設定不能に陥った。実に残念。
でも、井坂聡監督の『〔FOCUS〕』はホントに傑作。一台のTVカメラが映し出す主観映像というアイデアは、『ブレアウィッチ・プロジェクト』よりもずっと前に日本で作られていたんだよ。『ブレアウィッチ・プロジェクト』に納得いかなかった人も、『〔FOCUS〕』は観るべしです。主演は浅野忠信くんだよん。
3月15日(水)
私の作ったMIDIが、静岡県のある高校のHPのトップで使われることになった。個人のHPでは使われたことが多々あったけど、公的な施設のページで使われることは初めてなので、かなり嬉しい。HP担当の先生から頂いたメールには「学校のサイトなのでまるこさんの名前は書けませんでした」と書かれていた。これは書かない方が正解。だって私のページには青少年の教育上、ふさわしくない表現がたくさん含まれているからね。
最近になってちょっと落ちついてきたが、1ヶ月ほど前、毎日のようにエロサイトへのお誘いメールが入って来ていた。その中に興味のあるフレーズがあった。「このメールはアダルトサイトを運営している方に送信しています」 ………おいおい。私のサイトはどうやら、どこかで“アダルトサイト”として登録されちゃってるらしいよ。18歳未満の人は見ちゃダメよ♪
3月14日(火)
またまた試写状を譲ってもらえたので、かなり久しぶりの2日連続試写会。滅多に試写会にも行けなくなったので、もう、手に入れば意地でも行くさ。…ということで、今日は日本映画『はつ恋』。主演は『がんばっていきまっしょい』でナチュラルな演技を見せてくれた田中麗奈だし、監督は『月とキャベツ』 『洗濯機は俺にまかせろ』の篠原哲雄なので、私の期待はかなり大きい。
映画が始まる前、同じ試写に来ていた友人から「今日は監督と田中麗奈の舞台挨拶があるらしいよ」という情報を仕入れる。ラッキー♪ 日本映画の試写会では、こういうことがたまーにあるので(大抵、予告はされない)、かなり得した気分になれる。試写会では私はいつも前の方の座席に座るので、バッチリ見えちゃうもんね。
舞台に登場した田中麗奈は、CMで観るのと同じ、フツーのコっていう印象。確かにカワイイけど、“私は女優よ”っていうオーラは出ていない。思ったよりも背が高く、スラリとしている。顔がめちゃめちゃちっちゃい! 『がんばっていきまっしょい』の高校生の印象が強かったので、かなり大人びた感じがして驚いた。インタビュアーの女性アナウンサーに聞かれても、監督も田中麗奈も映画の詳しい内容には触れようとせず、「とにかく映画を観て下さい」と言う。なのに、全く分かっていないおたんちんなそのアナウンサーは、その場で思いきり映画のネタバレ発言をした。ちょっと待ってよ、それは言っちゃだめでしょう。彼女はインタビュアー失格だね。監督もムッとしていたのが分かった。
17歳の高校生・聡夏(田中麗奈)は、好きだった先輩に告白することが出来なかったまま、春休みを迎えようとしていた。帰宅すると、突然母親(原田美枝子)が入院することを告げられ、聡夏の春休みは父親との2人暮らしという、いつもとは全く違うものになってしまった。ひとりで家に居る間、聡夏は母親が大切にしていた古いオルゴールの中から、古い封筒と一枚の写真を見つける。色あせた写真に写っていた若い男女は、聡夏と同じ年頃の時の母親と、父とは違う別の男性だった。そして封筒の中には「あの願い桜の下でもう1度だけ会って下さい」と書かれた手紙が。それは25年前に母が父ではない誰かに宛てて書き、出せないままになっていたラブレターだったのだ。聡夏は封筒の宛名を頼りに、その男性を探しに行く決意をする。
上手く告白が出来ないまま自分の恋を諦めてしまった少女が、ふとしたことで母親が25年前に封印したままになっていた昔の恋を知り、その時の母の想いを伝えるべく、相手の男性を探しに出掛ける。サエない自分の父親(平田満)に比べて、写真に写っていた母親の昔の恋人(真田広之)はカッコいい。思春期で父親との折り合いがあまり良くないその少女は、母親の入院で父と2人暮らしを始めたことで、ますます父親がつまらない男性に見えてしまい、母親の偉大さにも気付く。病気の母のために何かしてあげたいと思う気持ちもある。何もすることがない春休み。そして自分自身の失恋。彼女を母親の昔の恋人探しに駆りたてる要素は揃い過ぎている。彼女は母親の昔の想いを成就させることで、同じ立場にある今の自分自身をも救おうとしているのだ。
しかし、少女の一方的な想いの裏には、彼女の知らない25年を過ごしてきた大人たちの人生がある。少女には25年という時間の重みは分からない。気付かないのではなく、知らないのだ。彼女にとっては17歳の“今”が全てであるから。そして、それを周りの大人たちは優しく受けとめる。そんなひとりひとりの人物の想いが、とても丁寧に描かれていた作品だった。
観ていて涙が止まらなかった。こんなに泣いたのはいつ以来だろう…と考えてしまうほど泣いた。温かい涙だった。『Love Letter』のようなノスタルジックな作品が好きな人には特にオススメ。 レベル5
…ということで、公開になったら、まるこっちは『はつ恋』リピート決定。篠原監督に「ありがとう」と言いたい気持ちで一杯です。
3月13日(月)
「かなりヒドい出来」という噂を聞いていたディカプリオの新作『ザ・ビーチ』の試写状が手に入ったので、月曜日からキンコンダッシュを試みる。ヒドいと聞けば、どんなふうにヒドいのか確かめてみたくなる。でも、そのために高いお金を払えるほど人間も出来ていないので、そういう噂の映画は試写会で観られるとラッキー♪なのさ。だって、普通、映画って1800円もするんだよ。1800円あれば、かなり美味しいものが食べられるんだよ。
22歳のテレビゲーム好きの青年リチャード(ディカプリオ)は、日常生活に飽き、刺激を求めてタイに旅行にやって来た。彼は宿泊した安ホテルで出会ったヤク中の男(ロバート・カーライル)から、地上の楽園だという伝説の島の話を延々と聞かされる。その島の位置を書き表した1枚の地図を手に入れたリチャードは、同じホテルに泊まっていた若いフランス人カップルを誘い、その伝説の島を目指すことにした。苦難の末に島にたどり着いた彼らが見たものは…というお話。
この映画は根本的に間違っていると思う。永遠の楽園を求めて永遠に楽しもうと考えている人たちが登場し、何か“事件”でもなければ、その楽しさはいつまでも続くという基本的な設定の中で成り立っている。しかし、実際にはそんなことはあり得ない。刺激を求めて島にやって来るような冒険心旺盛な人間たちが、退屈な島の生活をいつまでも続けられるはずはないのだ。わたしもそういうタイプの人間なので、この映画の根本的な間違いが鼻について仕方なかった。
私が好きな作家・山本文緒さんは、ある小説の中で“旅”についてこんなふうに書いている。『非日常の楽しい毎日。けれど、それはいつか必ず終わる。そしてまた日常が始まるのだ。退屈な日常があるからこそ、刺激的な非日常がある』 この説こそが、正しいと私は思っている。バカンスはバカンスであるからこそ楽しい。バカンスが日常になってしまえば、いつしかそれは退屈なものに変わってしまう。そして、そんな日常に飽きれば、また別の刺激を求めて新たな冒険を始めるものなのだ。
そんな基本的な人間の欲求を無視して作られているためにリアリティが全く感じられず、私はこの作品にどうしても入り込むことが出来なかった。彼らがどんなに楽しそうに島の生活を過ごしていても、「そんなことはあり得ない」という目でしか観ることが出来なかった。ストーリーを取っても、彼らの周りで起こるいくつかの“事件”が、その種をまいた時点で既にそれが起こることがバレてしまっているというお粗末さ。途中から「もう勘弁して下さい」という気持ちになっていた。 レベル1.5
久しぶりの試写会だったので、久しぶりに何人かの映画友だちに会い、帰りにお茶を飲みに行った。今観たばっかの『ザ・ビーチ』はさておき、業界通なすカレーくんと『マグノリア』について熱く語り合った。語れば語るほど奥が深くて面白い映画だということが分かる。「この映画に出てくる人たちは3つのグループに分けられる。ひとつは偶然その場に居合わせただけの人たち。ひとつは自分が犯した罪の意識にさいなまれる人たち。そして、もうひとつは親にダメにされた子供とその親。それがプロローグの3つのエピソードにリンクしてるんだ」と、なすカレーくん。言われてみればそうだ。さすが業界通だけあって、目の付けどころが違う。こうやって、思い入れや感情抜きでディスカッション出来る映画も珍しい。色んな意味で“よく出来た映画”だったと思う。ただ、いくら業界通とはいえ、彼もラストの“あれ”に関しては「難解だ〜」と言っていたけどね。
3月11日(土)
つめっち@まるこっち親衛隊長に誘われ、ナゴヤドームにプロ野球オープン戦の中日×ダイエーの試合を観に行く。しかし、つめっちは朝の5時まで飲んでいた上、待ち合わせの11時半直前まで放り出された店の前の路上で寝ていたらしく、昼間っから酒臭い。つめっちのHP『メッタ斬り!プロ野球』ファンの友人に、よく「つめっちって何してる人なの?」と聞かれるが、25歳のフツーのサラリーマン(しかも営業マン)である。でも、見た目は怪しい。友人は少ないらしい。
出来たばかりの地下鉄のナゴヤドーム矢田駅に初めて降りたが、思ったよりドームまで距離があった。雨の日でも傘をささずに行けるような近さを期待してたから、ちょっとがっかり。JRの大曽根駅からの距離の3分の1ってとこかな。それでも今までに比べると、かなりラクにはなったと思うけど。ドームに着いたら、つめっちと朝の5時まで飲んでいたという“もすさん”が、外野ライト側2Fの応援団席に席を取っておいてくれていた。まだ酔っ払っている状態のつめっちに比べて、かなり元気だ。
応援団席で応援団の人を見ていて思ったこと。応援団の人は野球を見ない。応援の音頭を取るだけだ。点数を取っても、取られても表情を変えない。まるで、仕事でもしているかのように自分の感情を抜きにして、ただ“応援すること”だけに全精力をつぎ込んでいるのだ。球団への究極の愛情がそうさせるのか。彼らは“球団”そのものというよりも、“球団の存在”という架空のものを愛しているような気がした。滅多に座れない応援団席なので、野球より応援団員の人の行動が気になって気になって仕方なかったまるこっちだったのでした。
13時に始まった試合は3対3の引き分けのまま16時には終わってしまった。晩ゴハンにはまだ早いので、つめっちと、もすさんと3人で大須(名古屋の安売り電器屋街っす)に行く。目的はつめっちの買い物だったが、私もこの機会にずっと買おうと思っていたCD-Rを物色することにする。大須には98年の年末、デジカメを買いに来た以来だな。急に決まったことなので下調べも何もしていなかったが、大須を自分の庭のように歩くもすさんが、CD-RとCD-RWの違いは何だとか、USB接続とSCSI接続のどっちを選べばいいのかとかいう、私の初心者的な質問に色々答えてくれて大助かり。外付けだから、いくら安くてもあんまりダサいデザインのはいただけないし、性能なんて実際使ってみないことには分からない。あとは単純に好みの問題だというので、結局当日だけの安売りをしていた PanasonicのKXL-RW11ANというCD-R/RWを36800円で買った。あとで ここのページで調べたら、かなりお得な買い物をしたような気がして、大満足。やっぱり、こういう買い物は詳しい人と来るのが一番だね。もすさんに感謝。(あ、あと、荷物持ってくれたつめっちにも感謝)
買い物を終えたら結構いい時間になったので、晩ゴハンを食べに行くことにする。つめっちとは前から焼肉を食べに行く約束をしていたのだが、そんなことを知るはずもないもすさんがいきなり「焼肉食べに行くんだろ」と言い出す。「なんでそんなこと知ってるんっすか!」と驚くつめっちに「おめー、昨日酔っ払って3回くらいオレに『明日、焼肉食べに行くんっすよ』って言ったじゃねーか」と、もすさん。つめっち、よっぽど嬉しかったらしい。かわいいところもある。でも、それなら朝の5時まで飲んでるなっつーの。結局3人で入った焼肉屋で、つめっちは「当分酒は飲みたくない〜」と言いながら、最初から白いゴハンを頼んでいた。
濃い一日だった。
2000.3.1〜3.10.
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