書名:終わりなき危機
日本のメディアが伝えない、世界の科学者による福島原発事故研究報告書
著者:ヘレン・カルディコット
訳者:河村めぐみ
発行所:ブックマン社
発行年月日:2015/3/3
ページ:258頁
定価:1800円+税
福島第一での悲劇的な原子力事故から数年、世界中の主なメディアと著名政治家は放射線生物学に対して恥ずべき無視を決めこんでいた。いまだに無視する人々、隠蔽しようとする人々で一杯でも実は隠されいることがある。それらを知ってももう福島第一原子力発電所事故は終わったかのように無視するメディア、政治家。平気な顔をして原発の再稼働にはしる。原発がなくてもCO2は減っている。電力不足にもならないという事が判っているのに、未だにエネルギーの基幹から退場しない原発。今後どれだけの時間とお金をつぎ込めば良いのか?そして失ってしまった大きな大地は何百年、何千年、何万年掛からないと元には戻らない。今まで貯め込んでしまった核燃料廃棄物の始末すら出来ない。方法もない。でもどんどん核燃料廃棄物作る愚かさに、普通の人なら気がつくのに何で気がつかない。気がつかない振りをしているのか?
世界を震撼させたベストセラー『CRISIS WITHOUT END』の日本版。 隠されているのは、高濃度汚染水だけではない!?世界の科学者たちは、フクシマを、そして日本政府をこう見ている!
著者は2013年3月11日と12日「ニューヨーク医学アカデミー」で、福島の医学的・生態学的影響についての二日間のシンポジウムを開催した。そこに参加した世界有数の科学者、疫学者、物理学者、医師が集い、福島に関する最新のデータと研究結果を発表してくれた。そこでの重要な発表を編集したものです。原子力産業にも一般大衆にも知らされていなかった情報が含まれている
世界有数の科学者、疫学者、物理学者、医師などの発表を網羅的に述べてあるのでちょっと散漫とした感じで、著者、訳者の能力不足か、ちょっと迫力に欠ける。訴えたいことが論理的に書かれていない気がする。ここに出てくる人たちの論文を改めて読んでみたい気がする。
【本書より】
「日本で原子力を進めてきた人たちには、さらなる悲劇を起こさない責任がある。問題は、彼らにその自覚が一向にないことである」小出裕章
「事故後、一年間で20ミリシーベルトまで放射能を浴びてもよいとされた日本人にとって、上昇した健康リスクとは」スティーヴィン・スター (ミズーリ大学臨床実験学科研究員)
「チェルノブイリの汚染のひどい地域にいる、オスの鳥の40パーセントが完全なる無精子か、
死んだ精子が少しいるかだけだった。さらにチェルノブイリの鳥は、脳が小さい。福島の野生生物の長期的見通しは、現時点ではわからない。結論を出すには早すぎる。だが日本の科学者たちによる最近の蝶の研究は、私たちのチェルノブイリでの発見と一致している」イアン・フェアリー(放射性生物学者、イギリス政府内部被曝リスク検討委員会 前科学担当書記)
「福島第一原発発電所の事故の原因は、アメリカにある。建設にかかわったエンジニアたちが1965年に犯した六つの致命的な設計ミスが、2011年、日本に最悪の事態をもたらした。四〇年も前から、いつか事故が起きることは予見されていた」アーノルド・ガンダーゼン (フェアウィンズ・エナジー・エデュケーションの原子力エンジニア)
「放射線被曝の影響に男女差があるのは明らかだ。放射線によるがんの死亡率は、固形がんでは女性のほうが男性よりも37・5%高かった。幼児の被曝は大人の被曝と比べてがんの危険性が3~4倍高く、女児は男児の倍近い確率でがんになる可能性があった」ハーバード・エイブラムス (スタンフォード大学・放射線科名誉教授)
・福島の災害は終わっていないし、今後、数千年たっても収束することはない
・野田元総理。あなたは発言を撤回する必要がある。安倍総理。あなたも再稼働どころ ではない。生物濃縮と生体内蓄積を通して増え続けるセシウム137の内部被曝。
・放射性セシウムに深刻に汚染された土地に、今なお多くの日本人が生活している