書名:好日
著者:臨済会 盛永宗興、山田無文、大森曹玄、松原泰道他
発行所:近代出版社
発行年月日:2003/12/18
ページ:327頁
定価:1895円+税
臨済宗の当代一流の老師、その他の人々が講演した内容をまとめたもので現代人は普段お目に掛からないお話が多い。理屈で考える。努力すれば実現する。頭、頭で考える人間ばかり、そして理屈、議論に勝ち負けを争う。そんな世界とは全く違った世界を示してくれる。そして判らないものは判らないという当たり前のことを感じさせてくれる。
説明責任ということを良く言われるようになったが、説明なんて出来ないもの、ここで出て来る禅なんかは特に言葉、態度で説明できるものではない。説き明かすことの出来ないものであっても説明する。それは無理です。では「説き尽くす」こと。
現代は科学技術が進歩して、精神世界以外は随分進歩しているように見えているが、実は精神世界は2000年~3000年前に十分尽きていて、ようやく科学、技術が追いつこうとしている。しかし、その先人の到達したところまで現代人は至っていない。従って巨大な科学技術も制御不可能なものとして扱いこなせていない。非常に危うい時代に入っている。いまこそ価値観を根本から見直していかないといけないのではないか?そして先人の智慧にそのヒントがあるのではないか?なかなか面白い話が集めてあります。目から鱗そんな感じで読んだ。理屈を覚えるよりも実践がどうできるか?これは問題ですね。いつまでも課題として残ってしまうものですね。
本書より
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私たちの人生には雨の日、また晴れの日もある。
しかし、雨の日には雨を楽しみ、晴れの日を楽しむ。
悲しいときは悲しみを、楽しいときには楽しみを、
そのまま受け入れる。
無理に悲しみを押し殺すのではなく、
悲しいときは思いっきり泣けばいい、
楽しいときは思いっきり楽しんだらいいのです。
そしてあとはカラッとして、わだかまり、とらわれを残さず、
日に新たに、日々に新たに積極的な気持ちで生きて行くことが、
「日々是好日」ということです。