2004年11月はこの2公演

 


シベリア少女鉄道「VR」

下北沢駅前劇場 10/29〜11/10
11/3(土)ソワレ観劇。

作・演出 土屋亮一

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庭劇団ペニノ「黒いOL」

西新宿広場 11/3〜11/9
11/9(金)観劇

作・演出 タニノクロウ

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劇団、本谷有希子
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(再演)」

青山円形劇場 11/10〜11/14
11/13(土)マチネ観劇

作・演出 本谷有希子

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インナーチャイルド「青ゐ鳥(アヲヰトリ)MAN-WO-MAN」

時事通信ホール 11/18〜11/23
11/23(火)ソワレ観劇。

作・演出 小手伸也

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猫☆魂「無限ギブス」

しもきた空間リバティ 11/26〜11/28
11/27(土)マチネ観劇。座席 自由(7列目左端:招待)

作・演出 西永貴文

 「DX刑事」というTV番組のロケが行われている現場。主役を演じるホソカワ(中西広和)は前日から入って待っているらしい。応対するスタッフのカネマル(佐々木光弘)は、要領が悪く使えない。ロケハンの近くのコンビニでは、ハヤシ(岩田博之)とイズミ(野間口徹)が働いている。イズミは死んだ友人のフクダ(貧乏神)の姿が見え、ちょっとノイローゼぎみ。イズミはある一部分の記憶が飛んでいるのだが、その失われた記憶の部分に、フクダの死に関わる重要な事実が隠されているらしい。イズミにとり憑いたフクダは、「事を終える度に思い出すさ」と、ほくそ笑む。死人に口無しとは言うが、この死人は良くしゃべる・・・。
 カンダ(井澤崇行)とヤノ(堺沢隆史)は、不良の先輩で現在は警察官になっているクジョウ(秋枝直樹)から、イズミの拉致を指示される。実はクジョウもTVプロデューサーのスギモト(西永貴文)から指示を受けていた。そんな下っ端のカンダとヤノは、イズミを拉致するついでにレジの金を奪う計画をたてていた・・・。
 スギモトの目的は、コンビニのATMから現金輸送中に奪われた金を横取りする事であった。その事件は、フクダとハヤシが行ったものだが、奪った金をフクダがどこかに隠しているらしい。そこでフクダを襲ったのだが、その現場をイズミに見られていた・・・。しかし、イズミもこの事件に絡んでいるらしい・・・。
 3つの話しが交差し、混ざって行く。そして、イズミ、カンダ、ヤノ、ホソカワで現金輸送車を再び襲う話へと発展して行く。その中で、イズミの記憶が徐々に蘇っていく・・・。

 死人がとり憑く=ギブス。イズミはとり憑かれやすいタイプらしく、死人がどんどん無限にとり憑いていく・・・それがタイトルの『無限ギブス』なのであろう。そんな事をちょっと劇中で語っていた。でも、物語の本質ではない。では一体何が本質?と考えてみたが、思いつかない。駄目な人間だらけの上、一番性根の腐ったイズミが骨太に生きて行くってラスト。そこから何を見つけ出せばいいのやら・・・。

 いろんなシーン、物語が徐々に絡んで行く様子は、とても面白い。別々の物語が一つに収集して行き、それが良い方向ではなく、駄目な方向へ転がって行くのが、この劇団のカラーであろう。ただ、ちょこちょこと場面が変わっていくのは、芝居に集中できなく、ちょっと眠くなる。なんか勿体無い。もう少しスムーズな流れの中で観れれば、素晴らしいと思うのだが・・・。映像的な演出は、斬新的ではあるが、まだまだ消化不足の感は否めない。

 役者では、やはりゲストの野間口徹がピカイチ。心の奥に狂気を潜ませた役を演じさせたら小劇団界屈しの一人。後、ホソカワ役の中西広和が常に作り笑顔で演じているのは、なかなか気持ちが悪くて良かった。笑顔のままなのに、その人の感情が読み取れるのは、役者のうまさであろう。

 全体的に見てみると、次第点かなぁというところ。しかし、猫☆魂は、不完全の中にも光るものがある劇団だと思っているので、これでは物足りない。まだまだ貪欲に突っ走って欲しい。綺麗にまとまって行くのではなく、もう少し暴れて欲しいものだ。そう願ってやまない。


“猫☆魂”自分が観た公演ベスト
1.箱舟
2.アンラッキー・デイズ〜ナツメの妄想〜
3.無限ギブス
4.狂る大学…

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劇団桃唄309「K病院の引っ越し」

こまばアゴラ劇場 11/11〜11/28
11/28(日)観劇。座席 自由(3列目中央:招待)

作・演出 長谷基弘

 東京郊外にある精神病院「K病院」が、施設の老朽化により引っ越すことになった。移転準備は順調に進み、引っ越しが1ヶ月後に控えている。老医院長の思いつきで突然書類の移動が行われたりと病院内はちょっとドタバタ。閉鎖病棟もなく、問題がなければ日々自由に交流できる患者達は、引っ越しの説明がないと憤慨しつつも、いつもと変わらぬ日常を過ごしていた。その1ヶ月間に老医院長は引退を決意し、今ひとつ頼りのない息子(?)の貴船(嶋村太一)が医院を任される。そして臨床心理士・宮崎(森宮なつめ)にプロポーズ。師長(2002年に看護婦は看護師となったので婦長は師長と呼ばれるらしい)三浦(楠木朝子)は、しっかりしているが、新人の看護師田嶋(福士史麻)はヘマばかり。患者達は、統合失調症(2002年に精神分裂症から名称が変更になったらしい)の南(ほりすみこ)、丸野(バビィ)、粂田(佐藤達)、目黒(山口柚香)、ケイちゃん(金森利江)。躁鬱の赤田(吉田晩秋)、川瀬(渡邊真二)、谷口(福岡ゆみこ)、小柴(渡辺香奈)。そして、神経症の検見川(藤本昌子)と知的障害のヨックン(にうさとみ)。それに近隣住人のじいさん(吉原清司)も加わり、てんやわんや。患者が脱走したり、野球大会が行われたりと悲喜こもごも。そんな状況下の病院の談話室「デイルーム」を舞台に、病院が引っ越すまでの約1ヵ月間を描いた作品。

 2000年6月に上演された作品の再演である。初演も観ているが今回の方が、すっきりと描かれていて好感が持てた。とは言え、どこがって具体的に挙げられないのは悔しい限りだ・・・。ただ、初演と変わらないところもある。それは、長谷基弘のやさしさである。前回、作品を作り上げる時に取材を行い「精神病なんてたいした病ではない、普通なんだ」と結論つけていたと思う。その気持ちが今回も現われていた。ただ、自分が仕事に疲れての観劇だった為か、「いっそ狂えたらどんなに楽か」(って、誰かの言葉だと思ったが思い出せない。太宰治あたりが言ってそう・・・)と不謹慎な事が頭に浮かんだりもした。自分も心に病を持った一人に過ぎない。そう思うと正常とそうでない人との区別ってないんじゃないかとさえ思えた。いや、自分が正常だって言っている訳じゃない。自分だって、いつ重病になってしまうかわかったもんじゃない・・・って、なんか文章が分裂ぎみになってきた。

 そんな弱々なマイナス思考は振り払い、視点を演出面に移すとしよう。桃唄309と言えば、暗転を使わない場面転換の演出の妙が印象に深い。今回は、前作のように目まぐるしく変化するものではなかったが、舞台に上げられたり下げられたりする「デイルーム」の机や椅子で、場面転換を行っていた。それらを黒子が動かすのではなく、登場人物達が動かしている(師長は患者達を暖かい目で見ながら指示をしているとか)。その演出がなんか暖かさを醸し出していて、芝居に面白味を加えていた。場面転換も芝居の一部だということを再認識した。暗くするだけで、場所や時間が移動する“暗転”は便利だと思うが、それをあえて使わない長谷基弘のこだわりに拍手を送りたい。


“劇団桃唄309”自分が観た公演ベスト
1.ダウザーの娘
2.ダイビングサンダー
3.よく言えば嘘ツキ
4.K病院の引っ越し(再演)
5.おやすみ、おじさん2〜影食いと影吐き〜
6.K病院の引っ越し(初演)

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