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クジラの港町 - 美祢線・仙崎線 -

JR九州は完乗したが、私鉄の一部にまだ乗っていないところがある。北九州では、平成筑豊鉄道(一部)・帆柱ケーブル。西九州の松浦鉄道(一部)、南九州では熊本電鉄、そしてくま川鉄道。今回は北九州の2鉄道と、くま川鉄道をターゲットにした。

中国地方の西部にも、JR未乗区間があった。美祢線と山陰本線の支線である。8月14日、今日はそこの走破からスタート。



黒崎 7:26-(2630)-8:01 門司 8:25-(228M)-8:32 下関 8:41-(3530M)-9:16 厚狭 9:27-(727D)-10:26 長門市

朝、黒崎駅に着くと、ちょうど門司港ゆき2630列車が到着するところだった。MでもDでもない! これはJRでわずか2往復(門司港-飯塚・直方、若松-飯塚)の客車普通列車。朱色のDD51(JR貨物)があずき色の50系客車6両を牽引する、全身「国鉄色」の貴重な列車でもある。九州所属機特有の、赤地の前面ナンバープレートも変わらない。違うのは、客車が冷房化され屋上の通風器が撤去されていることくらいだ。

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DD51とオハフ50の連結部 古びた門司の駅に、国鉄時代と見紛うばかりの
「ドン行」の姿

ダッシュの効く新型811・813系にほぼ置き換えられている鹿児島本線。筑豊本線からの列車はキハ200でさえ快速運転をして時間を稼ぐのに、この列車はなんと各駅に停車する。ゆるゆると走り出し、ゆっくり停まって、ドア扱いをしてから無線連絡、で一呼吸おいてから発車……、まさに「ドン行」の姿である。以前はあたりまえの光景だったが、今はこんな悠長な作業は許されなくなってきた。

JR九州だけに残っていた客車普通列車だが、1999年12月改正で久大本線から撤退し、最後の砦も来年の筑豊本線・篠栗線電化で消えるのは確実と見られる。

電車に乗り換え、関門トンネルをくぐって下関。連絡するのはこの地区では珍客とも言える湘南色の113系だ。理由は不明だが、網干電車区(兵庫県)所属のままであった。

美祢から乗る美祢線はまたしてもキハ120。1両編成に乗客はかなりのものである。線形は比較的良く、大出力の気動車は山道を軽快に走ってゆく。


長門市 10:37-(サンデン交通バス)-10:43 仙崎 11:28-(7632D)-11:32 長門市 11:36-(971D)-12:47 小串 12:48-(869D)-13:28 下関 13:31-(5551M)-13:38 小倉 13:50-(3135M)-14:10 八幡

長門市からの仙崎ゆき633Dは27分の連絡だが、乗るのは戻りだけにしてバスで先行する。やってきた青海島ゆきのバスは、下関から延々と走ってきたもの。運賃がずらりと並ぶ。

6分程度で仙崎に到着。港までは歩いてすぐである。市場はもうセリも終わっていたが、隣の観光港では青海島めぐりに出る客でにぎわっていた。ボートが次々とやってきては、客を乗せて出航していく。

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青海島観光・クジラの「シータス」出港。カモメが見送る
[Nikon F5, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D(IF), RDPII]

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キハ23。国鉄の車も次第に数を減らしている。窓を一杯に開けて……

仙崎は最近になって(と思う)注目を集めだした詩人・金子みすヾの生地。仙崎駅には金子みすヾ記念館が併設されている。しかし駅は無人、列車もワンマン。

仙崎〜長門市の7632Dはキハ23なのだが、なんと非冷房車。こんなところに残っていたとは意外である。窓をいっぱいに開け、走りだすと風が入ってきた。爽快さを感じる間もなく終着になるのは心残りではある。

長門市から山陰本線の小串、下関と乗り継いで九州に戻った。周遊きっぷ「九州ゾーン」から外れるこの区間は、前出の「青春18きっぷ」を使用。