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問題解決に適した技法

◆ ケース・スタディ
 事例研究法の一つです。ケース・スタディの技法として、導入応用されます。
さまざまなビジネスの場面で、職場の中で、あるいは経済環境の中で、どこでも起こりそうな 具体的なケース(事例、事件、出来事)を素材と利用します。

個人またはグループでテーマとなるケースを討議の上、本質を究明し、問題点を分析した り、解決策を立案したりすることによって、問題解決能力や意思決定能力などを開発する ことを目的として活用されます。シカゴ大学で最初に行われたことから、シカゴ方式とも いいます。

ものの本質の見方や考え方を訓練することをねらいとした研修技法のひとつで、「事例研 究法」ともいい、参加者は提示された事例について考察することによって、類似の問題や 状況における問題の解決に対する応用力を養成することができます。

「ケース・メソッド」「ンシデント・プロセス」などの発展型もあります。
「ケース・メソッド」は、ハーバード大学で開発されたので、ハーバード方式ともいいま す。現実に起こった問題を、当事者の立場に立って解決していく過程を通して、分析力、 判断力、洞察力、意思決定力などの能力向上を目指します。

インシデント・プロセス
事例研究法の一つで、情報を収集しながら問題を解決していくプロセスに重点が置かれるイン シデント・プロセスです。

インシデントとは、ある「小さな出来事」のことを指します。インシデント・プロセスは 事例研究法(ケース・スタディ)の一種で、マサチューセッツ工科大学のピコーズ教授が 提唱しました。

参加者には、始めに発端となる小さな出来事(インシデント)を課題として提示します。 受講者は講師に課題の関連質問をすることによって、その出来事の背景や、原因となる情 報を収集し、収集した情報に基づいて問題を分析しながら対策を考えていきます。

通常のケース・スタディでは、あらかじめ事件・出来事の全容を印刷したもの(またはビ デオなど)が提示されますが、インシデント・プロセスのやり方では、情報を収集しなが ら問題を解明していくプロセスに重点が置かれるのが特徴です。

◆ イン・バスケット
決済書類箱(イン・バスケット)の中の書類を上手に処理するには、どのように処理したらよ いか、を、研修の中に取り入れた訓練方式です。管理者の能力アセスメントにも利用されま す。

イン・バスケットとは、もともとは決裁書類を入れる既決・未決箱のことです。能力開発 技法としてのイン・バスケットのやり方では、決断を必要とするような数多くの書類を受 講者に与えて、限られた短い時間の中で、次々と決断をさせていくことによって、受講者 の思考や判断の能力アップを図ります。

未決箱に入っている20〜30枚の断片的な情報、書類を、部・課長の役割を与えられた 参加者が、重要度、優先度などを判断しながら、次々に既決箱に処理していきます。

時間は、通常30分前後を与えるが、オプションとして、途中で間違い電話や中断用件な どを割り込ませたりして、心理的プレッシャーを加えることもあります。

また、管理者への昇格時のアセスメントのひとつとして、限られた時間内にいかに的確な 意思決定をしていくかなど、参加者の管理者としての能力を観察する手法としても使われ ます。

◆ ビジネス・ゲーム
ビジネス・ゲームのなかで、典型的な経営管理能力の開発を目標としたゲームになります。

「架空の会社」を経営する経験を与えることによって、会社経営のあり方、経営管理能力 等を学習する研修技法であり、一つの例を上げると次の通りです。

受講者はいくつかのグループにわかれてそれぞれの会社を構成し、販売計画・生産計画・ 新製品開発・設備投資計画などについて意思決定をして審判団に提出します。審判団はあ る基準に従ってそれぞれの会社(グループの決定内容)を審査し、その結果をグループご とに比較して優劣を競争させます。

経営幹部の戦略的意思決定能力の開発や管理者・監督者の計数的管理能力の開発、あるい は営業マンのコンサルティング能力の強化等に活用されます。

◆ ウォーク・ラリー
個人および集団の問題解決能力を野外でのグループによる集団活動を通して向上させようとす る技能訓練法です。

ウォーク・ラリー(歩行ラリー)は、個人および集団の問題解決能力を野外でのグループ による集団行動を通して向上させていこうとする技法です。

ラリーとは、数日間にわたる長距離自動車競技の一種で、指定されたスピードと時間で決 められたルートの各区間を走り、ゴールに至るまで多くのチェック・ポイントを通過し、 減点方式で順位が決められます。これをウォーク(歩行)によって数人のグループで行う のが「ウォーク・ラリー」です。

日本では、昭和40年代のはじめ頃から、集団活動の意義やチームワークの重要性を体得 させる技法として、管理者、中堅社員、さらには新入社員向けの教育プログラムの一環と して実施されています。

「オリエンテーリング」という用語もほぼ同等に説明されることもあります。地図の上に 指定されたいくつかの地点(チェック・ポイント)を地図や磁石を使って発見していくや り方は似ていますが、チェックポイントの設定、採点方法などが異なり、区別して理解す べきです。

「オリエンテーリング」では、できるだけ短時間でチェックポイントを通過し、ゴールに 到達することを競うものですが、「ウォーク・ラリー」では、野外でのグループ活動を、 あくまで仕事の改善、職場風土の改善に応用することを主なねらいとして開発されること が多いため、それぞれの目的とするところは、おのずと異なることになります。

 次の技法も「問題解決」に適した技法として、有効に活用することができる。

 KJ法
日本の文化人類学者川喜田二郎氏(元東京工業大学教授)が考案した創造性開発(または創造的問 題解決)の技法で、川喜田氏の頭文字をとって“KJ法”と名付けられています。

 KJ法は、職場などてで多くの問題に対面した場合、その本質が発見でなかったときなど に、その問題に関連する周辺情報を多量に集め、その中から原因や解決策を考え出していく技 法です。そのために、問題解決や創造性開発に活用できる代表的な技法の一つになっていま す。

課題の提起は、まず最初ブレーンストーミングなどで出されたアイデアや意見を、または、各 種の調査の現場から収集された雑多な情報を、1枚ずつ小さなカード(紙キレ)に書き込みま す。つぎに、それらのカードの中から近い感じのするもの同士を2、3枚ずつ集めてグループ 化します。

さらに、グループの編成を進めるため、それらを小グループから中グループ、大グループへと 組み立てて図解していきます。
KJ法は、こうした作業の過程の中から、テーマの解決に役立つヒントやひらめきを生み出し ていこうとするものです。

KJ法は、もともと川喜田二郎氏が学者としての、自分自身の学術調査のデータをまとめるた め、、あるいは調査団のチーム作りのために考案したものです。

その後、川喜田氏自身および周囲の研究者たちの協力によって、さまざまな発展型を生み出し ています。

 OJT
OJTは、On the Job Trainingの略称で、日常の職場の中で、日常的な業務を遂行しながら、仕事に必要な知識・技能・技術・態度を計画的にレベルアップしていく教育訓練 という意味です。具体的には、担当業務の職務遂行能力を向上させるため、管理者や先輩が部下・ 後輩に指導することを言います。OJTは、職場内教育と訳されるように、集合教育と違って、職 場での経験を積ませることによって種々の特徴があります。

企業内における能力開発の基本は本人の自己啓発であるといえますが、これを側面から促進し ていくのが上司や先輩によるOJTです。OJD(オンザ・ジョブ・デベロップメント)、ま たはOJL(オンザ・ジョブ・ラーニング)ともいいます。

  1. OJTは、実務に密着した日常の仕事の 中で行われる人材育成です。あくまで実務能力、職務遂行能力を付与・向上させるための 実践的な教育です。

  2. 個人の意欲や能力にマッチさせた個性尊 重の教育になります。そのためきめの細かい教育訓練が可能になります。

  3. 職場の管理者・監督者が直接部下に働き かける訓練でもあります。職場の教育訓練は、もともと、必要なところで必要な人に、必 要な量だけを教育指導するのが効果的です。そのため、必要な部下に直接働きかけの出来 るOJTは、管理者・監督が常に計画的、継続的に推進実施しなければならない教育で す。

  4. OJTは知識や技能の伝承に役立つ教育 技法です。
    職場には、長年かかって築き上げたその職場独特のノウハウや、ハウツウが業務に生かさ れています。それを使い捨てにしないで、伝承の上、改善・向上させていくところに、企 業の体力が形成されていくことになります。

  5. OJTは職場内コミュニケーションの改 善に役立ちます。
    OJTを、管理者が計画的に実施することにより、とだえがちであった部下とのコミュニ ケーションの回復がなされ、それが職場全体の活性化につながることが多いのです。

  6. 教育指導する管理者・監督者自身の教育 にもなります。
    教えるということは、その前に自らが学ばなければなりません。また、教える過程におい て相手のいろいろな反応から、種々学ぶことも多いのです。したがって、教えることは学 ぶことでもあるのです。

  7. 人材育成は管理者の重要な職務の一つで す。とくにOJTでは、育成計画づくり、職務の割り当て、指導者(コーチ)の割り当て 等、管理者の取り組みが大きな影響力を及ぼすことになります。

OJTを成功させるには、本人と指導担当者の問題とするのではなく、組織全体が育成という環境 風土をつくり、お互いに刺激しあうことが重要です。

● 体験学習法
体験学習法とは、研修員に対して、経験を通じて研修内容についての理解を深めさせていくことを 狙いにして仕事の能力をたかめるために、特別の教育指導方法を総称するものです。
このカテゴリーに属する技法としては、いままで述べた方法の他に、シュミレーター訓練、ロール ブレーイング、実習などがあります。
現実の自然現象や社会経済的現象などと似た状態や模型(モデル)などを作り、コンピューターに よる計算などによって模擬的に演習や予測計算、意思決定などを行います。

シミュレーションは、コンピューターを利用した経済予測、需要予測、模擬実験や、模擬訓 練、ケース・スタディ、ロール・プレイング、ビジネス・ゲームなどによる教育訓練に幅広く 利用されています。

また、日常と異なる状況のしたで態度や意識の変革を狙うやり方も含まれています。要する に、経験を基礎として、実践的に行われる方法でもあります。シュミレーターの場合、対象と なるモデルは、実際には体験でき難いものであり、直接的に体験、研究できるのであれば、シ ミュレーションの必要性は少ないといえます。

たとえば、飛行機のパイロットを養成するために、実際のコクピットと同じような訓練装置 (シミュレーター)を作り、このシミュレーターの装置を使って模擬訓練をする場合がありま すが、これをフライト・シミュレーションといいます。

パソコンのめざましい発展を受けて、能力開発のためのシミュレーション用の機器も、大きく その範囲および可能性を拡大し、シミュレーションそのものの重要性も増大してくることが予 測されます。