書名:井沢元彦の戦乱の日本史
著者:井沢 元彦
発行所:小学館
発行年月日:2009/12/6
ページ:253頁
定価:1300円+税
日本の戦乱(桶狭間の戦い、本能寺の変、物部・蘇我の戦い、日露戦争などいろいろ)を題材に、今までの歴史で定説、常識というものを再分析、評価し直している。乃木大将は名将か?愚将か?旅順攻略に15000人の戦死者を出して愚将というのが定説ですが、第一次大戦でフランスのベンダン要塞攻防戦ではドイツ、フランス軍合わせて26万人の戦死者をだしている。
要塞を攻略は大変なこと。旅順攻略がベンダン要塞攻略の後だったら、間違いなく乃木は名将と言われていたのではないか。白虎隊というと会津城落城、若い少年隊員が全滅したという先入観があるが、実は白虎隊は総勢305人そのうち切腹したのは19人に過ぎない。それも城の方角から黒い煙が見えたのを会津城が落城したと勘違いから。
河井継乃助(北越戊辰戦争)は司馬遼太郎作品「峠」では褒めまくっているが、戦いの行きがかり上やむを得ないところもあるが、長岡の地を焦土と化した責任は大きい。武士としての意地は通したが、徳川慶喜のように武士の意地は通せなかったが江戸城無血開城したのに比べてどうか?難しいところ。
明治維新の立役者として薩長土肥といわれるが、肥(肥前)にはどんな人がいただろう。大隈重信、江藤新平等はいるが活躍したのは維新後。でもなぜか薩長土肥と言われる。その理由は肥前は西洋化が一番進んでいて官軍に優秀な武器、兵器を供給したという貢献があった。大きな事件、小さな事件にもいろいろと解釈の違い、視点の違いが発見できる。桶狭間の戦いで織田信長は甲州武田の騎馬軍団を壊滅させる。鉄砲の音に驚いた馬が制御不能になったためではないかと著者はいう。馬はデリケートな動物さもありなんと言う気もします。