日本史映画・江戸時代後期
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◎原始〜平安時代◎鎌倉〜室町時代◎戦国時代◎安土桃山時代◎江戸前期◎江戸後期◎明治〜現代
○「写楽」
◇スタッフ
○監督:篠田正浩
◇キャスト
真田広之(とんぼ=写楽)、葉月里緒奈(花里)、佐野史郎(喜多川歌麻呂)、片岡鶴太郎(十返舎一九)、永澤俊夫(葛飾北斎)、竹中直人(太田南畝)、フランキー堺(蔦屋重三郎)、岩下志麻(おかん)、坂東八十助(松平定信)ほか
◇ストーリー
江戸の版元・蔦屋重三郎はライバルの版元に秘蔵っ子の喜多川歌麻呂を引き抜かれ、代わりになる役者絵の才能を求めていた。若き葛飾北斎らが候補に挙がるが、蔦屋は気に入られない。やがて北斎はふとしたことから、ある落書きを見て衝撃を受ける。その絵を描いたのは足の怪我で役者を諦めた男だった。蔦屋は謎の絵師「東州斎写楽」として彼を売り出す。写楽の絵を見た歌麻呂は嫉妬し、写楽の正体に迫ろうとする。
◇うんちく
もともと川島雄三監督が企画し、フランキー堺が長年暖めていた企画をようやく実現した作品。謎の絵師・写楽を中心に喜多川歌麻呂・十返舎一九・滝沢馬琴・鶴屋南北・葛飾北斎などの若き日を絡めて、江戸文化の爛熟期を描く。独特の様式美とエロティシズムが交じり合った印象的な作品。
○「おろしや国酔夢譚」1992・大映
◇スタッフ
○監督:佐藤純弥
◇キャスト
緒形拳(大黒屋光太夫)、西田敏行(庄蔵)、オレグ=ヤンコフスキー(キリル=ラックスマン)、ユーリ=ソローミン(ベスボロドコ)、マリナ=ブラディ(エカテリーナ女帝)、沖田浩之(新蔵)、川谷拓三(小市)、江守徹(松平定信)ほか
◇ストーリー
伊勢から江戸へ向かっていた光太夫たちは嵐に巻き込まれ、遠くアリューシャン列島にまで漂流してしまう。ここからシベリアに入った彼らは、日本への帰国を現地の総督に願い出るが、聞き入れてもらえない。やがて仲間はあるいは死に、あるいはロシアに帰化していく。光太夫は最後の望みをかけて、ペテルブルグに赴き、女帝エカテリーナに謁見する。
◇うんちく
原作は井上靖の同名小説。製作費30億、シベリア・ペテルブルグロケ敢行という大作なのだが、元の事実の面白さに今ひとつ迫れなかった観がある。ただ帰国した彼らの目に映る日本が、どこか異様な国に見えるのが面白かった。
○「鬼平犯科帳」TV・映画など
◇キャスト
長谷川平蔵役に松本幸四郎(白鸚)・丹波哲郎・萬屋錦之助・中村吉右衛門ら。
◇ストーリー
時は松平定信の寛政改革の頃。もと遊び人あがりの「鬼平」こと長谷川平蔵が「火付盗賊改」の長官として、江戸の町の凶悪犯罪と戦っていくシリーズもの。
◇うんちく
池波正太郎原作のおなじみ人気時代劇だが、火付盗賊改方長官・長谷川平蔵はレッキとした実在人物。劇中に松平定信も登場する。個性豊かな盗賊達(中には実在の者もいる)、鬼平のために命を張る密偵たちがユニーク。ハードボイルドのアクションと、推理小説のような展開、そしてほろりとする人情話など、その魅力は幅広い。特に評判となったのは最新の吉右衛門版だが、その父・幸四郎版にもファンが多い。
○「菜の花の沖」2000年NHKドラマスペシャル
◇キャスト
竹中直人(高田屋嘉兵衛)、鶴田真由(おふさ)、江守徹(北風)ほか
◇ストーリー
淡路島の狭い村社会から飛び出した嘉兵衛は兵庫の港に出て船乗りとなる。天才的な操船術と商才、そして人望を持つ嘉兵衛は数年の内に「高田屋」を起こし、日本一の貿易商人となる。嘉兵衛はは幕府に見込まれて蝦夷地および千島開拓に携わるが、そこで日露間の紛争に巻き込まれ、カムチャツカまで赴いて民間外交官の役を買って出る。
◇うんちく
司馬遼太郎原作の同名小説を初のデジタルハイビジョン用のドラマとして映像化(総時間6時間強)。一代で大商人にのし上がる「海の秀吉」とも言うべき男を秀吉を演じた竹中直人が熱演している。海を股にかけた華々しい活躍の陰で家庭内で悩みを抱えている嘉兵衛を等身大の人間として描く傾向が強い。それにしても兵庫と函館の港が同じロケ地だよなぁ。まぁしょうがないけど。
○「十三人の刺客」
◇スタッフ
○監督:工藤栄一○脚本:池上金男(=池宮彰一郎)○撮影:鈴木重平○音楽:伊福部昭
◇キャスト
片岡千恵蔵(島田新左衛門)、里見浩太郎(島田新太郎)、嵐寛寿郎(倉永左平太)、西村晃(平山九十郎)、丹波哲郎(土井大炊守)、菅貫太郎(松平斉韶)、山城新伍(木賀小弥太)、内田良平(鬼頭半兵衛)ほか
◇ストーリー
弘化元年、明石藩の家老が幕府の老中・土井大炊守邸の門前で腹を切った。藩主で将軍の弟の松平斉韶の横暴を幕府に訴えるためだった。土井大炊守は御目付役・島田新左衛門に斉韶暗殺を命じる。新左衛門は腕利きの刺客十二人を集め、明石へ帰国する斉韶の行列を中山道に追う。そして落合宿を丸ごと借り切った刺客達は斉韶一行を誘い入れ、壮絶な死闘を演じる。
◇うんちく
「チャンバラ時代劇」として見れば「七人の侍」に迫る傑作とも言える東映時代劇の頂点的作品。新左衛門と半兵衛の知恵比べ、ラストの十三人対大名行列の宿場町全部を使った壮絶な戦闘シーンなど見所はたっぷり。伊福部昭の音楽もマッチしていた(怪獣映画ファンが聞くと何かヘンなのだが)。
○「黒船」1958・アメリカ
◇スタッフ
○監督:ジョン=ヒューストン
◇キャスト
ジョン=ウェイン(ハリス)、安藤永子(お吉)、山村聡(田村佐衛門守)ほか
◇ストーリー
アメリカとの国交を結んで間もない下田にアメリカ初の日本領事としてハリスが赴任してきた。下田奉行の田村佐衛門守はハリスを警戒して色仕掛けのスパイ役として芸者のお吉を送り込むが、次第にお吉とハリスは心を通わせるようになる。コレラ騒動でハリスが尽力したことをきっかけに村人や田村はハリスへの誤解を解き、ハリスは条約締結のために江戸へ行き将軍に謁見を果たす。しかし条約に反対する勢力はハリスの命を狙い始める。
◇うんちく
原題は「THE BARBARIAN AND THE GEISHA(異人と芸者)」。名匠ジョン=ヒューストン+名優ジョン=ウェインの組み合わせだけに米製日本時代劇としての完成度は高い。これには衣笠貞之助をはじめ大映のスタッフが参加していたことが大きいようだ。しかし全編日本ロケを敢行しているのだが京都や奈良でロケしているため、ところどころ変な部分がやはりある。東大寺を江戸に見立ててロケしているところなどはその最たるもの。それと日米修好通商条約の性格をちゃんと描いていませんね。
○「花の生涯」昭和38年(1963)NHK大河ドラマ
◇キャスト
尾上松緑(井伊直弼)、佐田啓二(長野主膳)、淡島千景(たか)、香川京子(志津)、八千草薫(晶の方)、嵐寛寿郎(徳川斉昭)、久米明(ハリス)ほか
◇うんちく
記念すべきNHK大河ドラマ第一号。これの成功がきっかけとなって、今日に至る大河ドラマの幕が開かれた。しかしその第一号の主人公が井伊直弼だったというのは今にすれば意外。当時としてはかなりの豪華キャストだったことが大きいらしい。ちなみにクライマックスの桜田門外の変は東映京都の太秦で撮影された。
○「桜田門外ノ変」2010・桜田門外ノ変製作委員会
◇スタッフ
○監督:佐藤純弥○原作:吉村明
◇キャスト
大沢たかお(関鉄之介)、伊武雅刀(井伊直弼)、北大路欣也(徳川斉昭)、長谷川京子(ふさ)、中村ゆり(いの)、西村雅彦(野村常之介)、柄本明(金子孫二郎)、永沢俊也(西郷隆盛)ほか
◇ストーリー
安政7年3月3日、大老・井伊直弼は桜田門外で水戸脱藩浪士らに襲撃され命を落とした。これは直弼の開国方針と反対派の弾圧に対する政治テロで、水戸浪士・関鉄之介はその作戦の現場指揮をとる。暗殺には成功したが、同時に薩摩藩が挙兵する段取りは不発に終わり、鉄之介ら実行犯たちは逃亡を余儀なくされる。
◇うんちく
水戸市民主導で製作された「地域おこし」映画。水戸に桜田門外実物大セットを作ったほか、茨城県内各所でロケが行われた。政治テロを賛美しないという監督の意図から冒頭に襲撃シーンを持ってきて原因を回想で説明する展開となっているが、かなり分かりにくい。後半の展開で「桜田門外の変」は実行側の意図から言えば実は失敗であったことははっきりしてくるのだが…。
○「竜馬がゆく」昭和43年(1968)NHK大河ドラマ
◇キャスト
北大路欣也(坂本龍馬)、浅丘ルリ子(おりょう)、水谷良重(乙女)、三田佳子(田鶴)、高橋英樹(武市半平太)、新克利(中岡慎太郎)、高橋昌也(桂小五郎)、小林桂樹(西郷隆盛)、土屋嘉男(大久保利通)、三木のり平(藤兵衛)ほか
◇うんちく
今や知らぬ者はない司馬遼太郎の代表作をドラマ化したものだが、視聴率はさんざんで、かなりの間大河ドラマ史上最低数値を記録している。今放送すればかなり印象は違うと思うのだが・・・ちなみに大河最後の白黒作品である。
○「龍馬伝」平成22年(2010)NHK大河ドラマ
◇キャスト
福山雅治(坂本龍馬)、真木よう子(おりょう)、寺島しのぶ(乙女)、大森南朋(武市半平太)、上川隆也(中岡慎太郎)、谷原章介(桂小五郎)、高橋克実(西郷隆盛)、及川光博(大久保利通)、香川照之(岩崎弥太郎)ほか
◇うんちく
大河ドラマ二度目の龍馬ドラマで、岩崎弥太郎を陰の主役とし、彼が明治になって龍馬のことを回想するという形式になっている。「竜馬がゆく」で形成された龍馬イメージの脱却をはかろうとの意欲も見え、絵作りでも泥臭いリアリズムが追及された。
○「竜馬を斬った男」松竹
◇スタッフ
○監督:山下耕作○原作:早乙女貢
◇キャスト
萩原健一(佐々木只三郎)、根津甚八(坂本竜馬)、島田陽子、坂東八十助、佐藤慶ほか
◇ストーリー
会津出身で旗本の家に養子に入った佐々木只三郎は清河八郎を暗殺し、風雲の京都に入って「見廻組」を組織、尊攘派狩りに奔走する。彼と偶然顔見知りになっていた坂本竜馬は薩長同盟を成立させるなど日本を新しい時代へと突き動かしていく。幕府に忠誠を尽くす只三郎は幕府をおびやかす竜馬の暗殺を決意、実行する。
◇うんちく
佐々木只三郎が竜馬を斬ったと断定する設定で描いた敗者側ドラマなのだが、いまいち話にまとまりがなく散漫な印象ばかりが残る作品。
○「竜馬暗殺」1974・映画同人社・ATG
◇スタッフ
○監督:黒木和雄
◇キャスト
原田芳雄(坂本竜馬)、石橋蓮司(中岡慎太郎)、松田優作ほか
◇ストーリー
大政奉還も成った直後の京都。あちこちで暗殺、斬り合いが起こるなか、自らも命を狙われる坂本竜馬は同郷の中岡慎太郎と共に遊女の家に身を隠す。竜馬と中岡はケンカしたり一緒に遊んだりしながら暗殺までの数日間をすごしていく。
◇うんちく
竜馬を主役とした映画ながらかなり実験的な異色作で全編が白黒で撮影されている。竜馬・中岡ともに一般イメージとはかなり異なり暑苦しく泥臭い、なおかつかなり人間臭いキャラクターに描かれている。幕末と竜馬に材を採りながらメインテーマは恐らく公開当時に漂っていた「革命幻想への幻滅」だろう。
○「勝海舟」昭和49年(1974)NHK大河ドラマ
◇キャスト
渡哲也・松方弘樹(勝海舟)、丘みつ子(おたみ)、大原麗子(お久)、尾上松緑(勝子吉)、藤岡弘(坂本龍馬)、萩原健一(岡田以蔵)、津川雅彦(徳川慶喜)、中村富十郎(西郷隆盛)ほか
◇うんちく
子母沢寛原作の幕末大河ドラマ。大河史上唯一の主役交代劇があった作品として知られる。初め主演は渡哲也だったが、病気のため降板、急遽勝海舟は松方弘樹に変身してしまった(笑)。
○「徳川慶喜」平成10年(1998)NHK大河ドラマ
◇キャスト
本木雅弘(徳川慶喜)、石田ひかり(正室)、菅原文太(徳川斉昭)、杉良太郎(井伊直弼)、堺正章(新門辰五郎)、大原麗子(辰五郎の妻・語り)ほか
◇うんちく
遂に手を出したか、と言う観のある徳川幕府最後の将軍を主人公としたドラマ。原作はやはり司馬遼太郎だが、かなりフィクションを加えて話を長くしている。
○「篤姫」平成20年(2008)NHK大河ドラマ
◇キャスト
宮崎あおい(天璋院篤姫)、瑛太(小松帯刀)、高橋英樹(島津斉彬)、山口祐一郎(島津久光)、小澤征悦(西郷隆盛)、原田泰造(大久保利通)、堀北真希(和宮)、松坂慶子(幾島)、稲森いずみ(滝山)、堺雅人(徳川家定)、松田翔太(徳川家茂)、平岳大(徳川慶喜)、玉木宏(坂本龍馬)、北大路欣也(勝海舟)ほか
◇うんちく
薩摩藩から徳川家定に嫁いで江戸幕府の最期をみとった篤姫の生涯を描く大河ドラマ。宮尾登美子「天璋院篤姫」を原作とするが、篤姫の視点からの幕末史ものとなった。大河ドラマ史上最年少の主演ながら宮崎あおいの貫録で人気に火が付き、幕末ものは低視聴率というジンクスをひっくり返す大ヒットとなった。
○「またも辞めたか亭主殿・幕末の名奉行小栗上野介」2003年NHK正月時代劇
◇スタッフ
○脚本:鄭義信○演出:吉村芳之
◇キャスト
岸谷吾郎(小栗上野介)、稲森いずみ(道子)、西村雅彦(勝海舟)ほか
◇ストーリー
幕府の使節として欧米を視察し、帰国後勘定奉行として手腕を振るう小栗上野介。しかし彼は持ち前の直情ぶりから辞職・更迭を繰り返して妻や母親を呆れさせていた。徳川幕府滅亡に向かう風雲の中で小栗は横須賀の造船所建設に全力を注いでいく。
◇うんちく
先見性・国際性を持ちながら滅び行く幕府に殉じる形となってしまった悲劇の人・小栗上野介を主人公にした異色ドラマ。岸谷と稲森という時代劇としては意外なキャストが見事にはまって、夫婦の情愛と造船所建設への執念を軸に爽やかなドラマに仕上がっている。勝海舟がやや悪役だったり徳川慶喜が徹底的にこき下ろされているなど従来の歴史ドラマにはあまりなかった描写も興味深い。
○「奇兵隊」日本テレビ年末時代劇
◇キャスト
松平健(高杉晋作)、中村雅俊(桂小五郎)、片岡鶴太郎(村田蔵六)、高橋英樹(徳川慶喜)、武田鉄矢(坂本龍馬)、デーブ=スペクター(アーネスト・サトウ)ほか
◇うんちく
今にして思えば日テレ時代劇の最高峰だったかも。製作費は十億を越え、豪華出演陣、見応えある脚本と演出。鶴太郎の蔵六もいい味を出していた。
○「花神」昭和52年(1977)NHK大河ドラマ
◇キャスト
中村梅之助(村田蔵六)、浅丘ルリ子(おイネ)、加賀まり子(お琴)、篠田三郎(吉田松陰)、中村雅俊(高杉晋作)、米倉斉加年(桂小五郎)、東野英心(井上馨)、志垣太郎(久坂玄瑞)、尾藤イサオ(伊藤博文)、西田敏行(山県有朋)、宇野重吉(緒方洪庵)ほか
◇うんちく
司馬遼太郎の「花神」という小説は村田蔵六、後の大村益次郎を主人公としたものであるが、このドラマはこれに「世に住む日々」「十一番目の志士」といった他の小説の内容も加えて、長州の群像を描いている。中村梅之助の蔵六がハマリ過ぎ。
○「長州ファイブ」2006年 同名製作委員会
◇スタッフ
○監督:五十嵐匠
◇キャスト
松田龍平(山尾庸三)、山下徹大(井上勝)、北村有起哉(井上馨)、三浦アキフミ(伊藤博文)、前田倫良(遠藤謹助)、寺島進(高杉晋作)、原田大二郎(村田蔵六)ほか
◇ストーリー
攘夷の嵐が吹き荒れる幕末。長州藩の若者たちもイギリス公使館焼き打ちなど攘夷を実行していたが、そんな過激行動の日々に疑問も感じる者もいた。彼ら五人は「真の攘夷」のためとして、長州藩の密航留学生となり遠くイギリスに派遣される。五人はイギリスの先進近代文明に圧倒される一方、その文明のもたらす貧富の差などの社会の暗部も目撃してゆく。
◇うんちく
井上馨・伊藤博文の密航話は上記「奇兵隊」や「花神」でも描かれる有名エピソードだが、この映画では前半はこの二人を中心にしつつ、彼らの帰国後の後半は残った三人にスポットをあててゆく。三人はそれぞれ後に東京工大や日本初の聾唖学校の設立者、造幣局と桜の通り抜けの発案者、日本鉄道の父となるのだが、そうした「その後」の伏線が全部ドラマ仕立てで組み込まれる。
○「暗殺」1966・松竹
◇スタッフ
○監督:篠田正浩○脚本:山田信夫○撮影:小杉正雄○音楽:武満徹
◇キャスト
丹波哲郎(清河八郎)、木村功(佐々木只三郎)、佐田啓二(坂本竜馬)、岩下志麻(お蓮)、岡田英二(松平主税介)ほか
◇ストーリー
庄内出身の浪人ながら文武の才に長けた、謎の男・清河八郎。その清河は熱烈な尊皇攘夷の思想を持ち、その野望達成のために幕府をもたぶらかして浪士組を結成する。場合によっては清河を斬るよう命じられた佐々木只三郎は様々な情報源から清河という謎の男の実像に迫ろうとする。
◇うんちく
司馬遼太郎の短編「奇妙なり八郎」を原作にした異色時代劇。のちの新撰組の母体となる浪士組をつくった謎の男・清河八郎を、丹波哲郎が好演。まさにとらえどころのない清河という男を多角的にとらえていくシナリオの妙、ラストの暗殺劇の一人称視点など「松竹ヌーヴェルバーグ」らしい前衛性も持つ。
○「燃えよ剣」1966・松竹
◇スタッフ
○監督:市村泰一
◇キャスト
栗塚旭(土方歳三)、和賀俊哉(近藤勇)、石倉英彦(沖田総司)、内田良平(七里研ノ助)、小林哲子(佐絵)、戸上城太郎(芹沢鴨)ほか
◇うんちく
何度となく映像化されている司馬遼太郎の同名小説の映画版で、TVシリーズでも当たり役だった栗塚旭が土方を演じている。なにぶん時間が短いので池田屋事件をクライマックスにし、歳三と佐絵・七里との恋とケンカの青春日記としてうまくまとめちゃったという一編。
○「新選組」1969・三船プロ/東宝
◇スタッフ
○監督:沢島忠
◇キャスト
三船敏郎(近藤勇)、小林桂樹(土方歳三)、北大路欣也(沖田総司)、三国連太郎(芹沢鴨)、中村梅乃助(山南敬助)、中村錦ノ助(有馬藤太)、中村賀津雄(河合喜三郎)、田村高広(伊東甲子太郎)、中村翫右衛門 (勝海舟)、司葉子(つね)、池内淳子(お雪)ほか
◇ストーリー
多摩から浪士組に加わり京都に出てきた近藤たちは清河の背信を知って離脱、芹沢鴨らと「新選組」を結成する。非行の多い芹沢を暗殺して近藤・土方らのもと厳しい規律で結束を固めた新選組は「池田屋事件」などで活躍する一方、その厳しい規律ゆえに内部で隊員たちが次々と非業の死を遂げてゆく。やがて幕府は倒れ、戊辰戦争のなかで近藤は悲劇的な最期を迎える。
◇うんちく
三船プロが総力を挙げた、オールスターキャストの新撰組映画豪華版。新撰組の誕生から滅亡まで、有名エピソードを巧みに織り込みつつ一気に描いていく(そのため総集編を見せられてる感もなくはない)。主役の近藤を演じる三船が「三船以外の何者でもない」、平たく言えば大根状態なのが賛否の分かれるところか。
○「御法度」1999・大島渚プロダクション
◇スタッフ
○監督:大島渚○原作:司馬遼太郎
◇キャスト
ビートたけし(土方歳三)、松田龍平(加納惣三郎)、武田真治(沖田総司)、浅野忠信(田代彪蔵)、崔洋一(近藤勇)、坂上二郎(井上源三郎)、田口トモロヲ(湯沢藤次郎)、トミーズ雅(山崎蒸)ほか
◇ストーリー
新撰組に加納惣三郎と田代彪蔵という二人の若者が入ってきた。まだ前髪の惣三郎のあまりの美男ぶりに新撰組の隊員の中に動揺が走る。惣三郎をめぐって男達の衆道の駆け引きが始まり愛憎が入り乱れる。そして惣三郎と関係をもった男が次々と狙われる。
◇うんちく
世界的映画人・大島渚の久方ぶりの新作。新撰組を題材に男ばかりの愛憎劇を描く異色作だが、どことなく土方を探偵役とした推理映画の雰囲気も漂う。崔・たけしの有名監督コンビに二郎さん、トミーズ雅、ざこばといったお笑い系も混じるキャスティングも面白い(たけしはお笑い系でもあったな)。松田龍平・浅野忠信・武田真治の美男トリオも秀逸。
○「新選組!」2004年NHK大河ドラマ
◇キャスト
香取慎吾(近藤勇)、山本耕史(土方歳三)、藤原竜也(沖田総司)、佐藤浩市(芹沢鴨)、小林隆(井上源三郎)、堺雅人(山南敬助)、優香(深雪太夫・お孝)、田畑智子(つね)、戸田恵子(お登勢)、中村獅童(滝本捨助)、山口智充(永倉新八)、山本太郎(原田左之介)、中村勘太郎(藤堂平助)、オダギリジョー(斉藤一)、照英(島田魁)、桂吉弥(山崎蒸)、八嶋智人(武田観柳斎)、谷原章介(伊藤甲子太郎)、江口洋介(坂本龍馬)、筒井道隆(松平容保)、石黒賢(桂小五郎)、伊原剛志(佐々木只三郎)、宇梶剛士(西郷吉之助)ほか
◇うんちく
何度も映像化された題材だが大河ドラマとしては初。人気脚本家・三谷幸喜氏が脚本を手がけSMAPの香取慎吾ら若手俳優を中心に展開する青春群像劇として構成された。三谷氏ということもあって全体的にコメディ風味で(一回だけだが大河史上初の壮絶なドタバタコントをやっちゃった)、近藤勇が坂本龍馬や桂小五郎ら有名人と知り合いだったりする自由奔放な作りには賛否があったが、終盤へ向けての「面白うてやがて哀しき」展開に結構盛り上がりを見せた。
○「新選組!!土方歳三最期の一日」2006年NHK正月時代劇
◇キャスト
山本耕史(土方歳三)、片岡愛之助(榎本武揚)、吹越満(大鳥圭介)、照英(島田魁)、小橋賢児(相馬主計)、オダギリジョー(斉藤一)、筒井道隆(松平容保)、佐藤B作(永田尚志)ほか
◇うんちく
史上初の「大河ドラマの続編」として製作された単発ドラマ。近藤勇の死で終わった「新選組!」だが、土方の死まで描いて欲しいとの要望が早くからあり、それが実現した形。函館戦争における土方歳三戦死の一日を土方と榎本・大鳥の対立と和解を軸に描いた。「新選組!」出演組の多くも回想シーンで「出演」しており、大河本編ファン向けのプレゼント的ドラマ。
○「河井継之助〜駆け抜けた蒼竜〜」2005・日本テレビ系ドラマコンプレックス
◇キャスト
中村勘三郎(河井継之助)、すが(稲森いずみ)、安子(京野ことみ)、伊藤英明(稲葉隼人)、佐野史郎(小林虎三郎)、川島億次郎(吹越満)、山本帯刀(田中実)、唐沢寿明(坂本竜馬)、中村獅童(岩村精一郎)、六平直政(佐川官兵衛)ほか
◇うんちく
新兵器ガトリングガンを購入し長岡藩をスイスのような「武装永世中立国」にしようと企図したが、戊辰戦争の中で夢破れた河井継之助の悲劇的生涯を描く日テレ久々の年末大型時代劇。一見豪華なキャストはそれぞれ1〜2シーン程度の顔見せ、無理やり坂本竜馬とからめて「北国にいたもう一人の竜馬」なんてサブタイトルをつけるなど、いろいろ苦労がしのばれた。
○「白虎隊」1986・日本テレビ大型時代劇
◇スタッフ
○脚本:杉山義法○監督:斎藤武市
◇キャスト
森繁久弥(井上丘隅)、里見浩太郎(西郷頼母)、風間杜夫(松平容保)、国広富之(神保修理)、池上希実子(雪子)、中村雅俊(坂本竜馬)、夏八木勲(近藤勇)、近藤正臣(土方歳三)、西田敏行(萱野長修)ほか
◇うんちく
「忠臣蔵」に続く日本テレビ系年末時代劇第2弾。タイトルこそ「白虎隊」だがそれはあくまで要素の一つに過ぎず、敗者である会津藩の立場から幕末史全体を描いた大作となっている。主役不在の印象も強い群像劇で会津藩の悲劇を徹底的に描き、「薩長政権」への痛烈な疑問をも提示して見せた。白虎隊ものにありがちな玉砕の美化にも単純に陥らない姿勢も評価したい。
○「吶喊」1975・喜八プロ
◇スタッフ
○監督:岡本喜八
◇キャスト
伊藤敏孝(千太)、岡田裕介(万太郎)、お糸(伊佐山ひろ子)、千波恵美子(テル)、高橋悦史(細谷十太夫)、坂本九(語り手の老婆)、仲代達矢(土方歳三)ほか
◇ストーリー
時は戊辰戦争の真っ最中。東北の農村の若者・千太は風雲の時代を面白がって仙台藩の細谷十太夫が率いる無頼集団「烏組」に参加する。一方で薩摩の若者・万太郎は官軍・旧幕府軍の双方に情報を売りながらこの風雲に紛れて一儲けを企む。この二人を主軸に戊辰戦争の内面を描いていく。
◇うんちく
いかにも岡本喜八作品、庶民派のバイタリティと底抜けの明るさを持ちながら、悲惨な戦争の実態をも描き出す、異色の戊辰戦争映画。歴史の流れにあえて逆らう旧幕府側の人々、歴史の波に乗って傍若無人の振る舞いをしていく官軍側とを対比して描き出し、その中でしぶとく生きていく若者達の姿がたくましい。
○「ジャズ大名」1986・喜八プロ
◇スタッフ
○監督:岡本喜八○原作:筒井康隆
◇キャスト
古谷一行・岡本真美ほか
◇ストーリー
南北戦争直後のアメリカで迫害を受け海外雄飛を決めた四人の黒人達。ところが詐欺にあって乗せられた船が難破し、幕末日本のとある藩に漂着する。ここの殿様は大の音楽好きで、尊王だ倒幕だと騒ぐ世間には目もくれず、四人の黒人達と交流していく。この黒人達が誕生間もないジャズ音楽を披露したからさあ大変。周囲の激動もそっちのけでお城を挙げての大ジャズ演奏会が開始される。
◇うんちく
とんでもない異色作だと思うのだが、確かに「歴史映画」だと思う。激動の時代を舞台にしながら徹底してその流れと関わらない主人公の設定が皮肉に満ちている。岡本作品ならではの細かいギャグの多発が楽しい一本。それにしてもラストの演奏会はもはや壮絶。なぜかラストにタモリが出てます。
○「赤毛」1969・三船プロ/東宝
◇スタッフ
○監督:岡本喜八
◇キャスト
三船敏郎(権三)、岩下志麻(とみ)、寺田農(三次)、高橋悦史(一ノ瀬半蔵)、天本英世(玄斎)、田村高広(相楽総三)ほか
◇ストーリー
時は戊辰戦争のさなか。中山道を進む官軍の先鋒・赤報隊の隊士・権三は、隊長の相楽総三から「赤毛」を借り、自分の生まれ故郷の宿場に一人で乗り込む。権三は官軍の先鋒として年貢半減を掲げ、遊女たちを解放、金貸しや代官をこらしめて宿場に「革命」を巻き起こしていく。ところが赤報隊は「にせ官軍」の汚名を着せられ抹殺されてしまう…
◇うんちく
岡本喜八がこだわる幕末ものの一本で、新政府に利用されたあげく「偽官軍」として抹殺された赤報隊をモチーフに、宿場町限定の革命騒動を濃密に描く。喜八映画ならではのコメディ・アクションも満載で、なおかつ激変期の名も無き人々の生き様をじっくりと浮かび上がらせる語り口は見事。しいて難をいえば三船の主人公(十代設定らしい)が明らかに老けすぎということだが…
○「五稜郭」1988・日本テレビ年末時代劇
◇キャスト
里見浩太郎(榎本武揚)、中村雅俊(福沢諭吉)、渡哲也(土方歳三)、夏八木勲(近藤勇)、津川雅彦(勝海舟)ほか
◇うんちく
旧幕府軍を率い、五稜郭に入って「蝦夷共和国」を一時とはいえ成立させた榎本武揚を主人公にした異色のドラマ。オランダ留学から幕末の風雲、函館戦争、そしてラストは千島・樺太交換条約締結で終わる。彼に絡めて様々な人物が登場するが、慶応大学の福沢を初め、「大学創立者」がやたらに出てくるのが特徴。
○「テンペスト」2011・NHKBS時代劇
◇スタッフ
○演出:吉村芳之○脚本:大森寿美男○原作:池上永一
◇キャスト
仲間由紀恵(真鶴/孫寧温)、谷原章介(浅倉雅博)、塚本高史(喜舎場朝薫)、高岡早紀(聞得大君)、金子昇(孫嗣勇)、奥田瑛二(孫嗣志)、GACKT(徐丁垓)、チャールズ=グラバー(ベッテルハイム)、リチャード=アレン(ペリー)、尚育王(高橋和也)、尚泰王(染谷将太)ほか
◇ストーリー
時は19世紀の半ば。琉球王国にも欧米列強のもたらす近代化の波が押し寄せていた。孫家の娘・真鶴は学問と国際感覚に長け、父の意向で出奔した兄の代わりに「宦官・孫寧温」になりすまして科挙を受けて上位で合格、上級官僚となる。孫寧温は薩摩と清の板挟みの干渉を受ける琉球の近代化を図ろうとするが、策謀により失脚、八重山へと流される。女に戻った真鶴は尚泰王の側室として王宮に戻り、折しも日本遠征の途中で琉球に立ち寄ったアメリカのペリー提督と対決することになる。
◇うんちく
琉球王国末期を描いて話題を呼んだ池上永一の同名小説のドラマ化で、舞台版でも主演した仲間由紀恵が同役を務めた。大河「琉球の風」以来の琉球王国ドラマで、「風」の時もテーマ候補だった琉球処分までの時代が初めて映像化された。沖縄出身俳優も多く出演し大掛かりな沖縄ロケもあって個性的な歴史ドラマとなったが、仲間由紀恵がどう見ても「女」にしか見えないとか、説明もなしに超常現象が起こって唖然とするとかツッコミどころも多かった。
◎原始〜平安時代◎鎌倉〜室町時代◎戦国時代◎安土桃山時代◎江戸前期◎江戸後期◎明治〜現代
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