日本史映画・江戸時代後期
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原始〜平安時代鎌倉〜室町時代戦国時代安土桃山時代江戸前期◎江戸後期◎明治〜戦前戦後〜現代
写楽
1995年
「写楽」製作委員会
カラー映画(138分)
スタッフ○監督:篠田正浩○原作・脚本:皆川博子○撮影:鈴木達夫○美術:浅葉克己/池谷仙克○音楽:武満徹○プロデューサー:原正人○企画総指揮:フランキ―堺
キャスト真田広之(とんぼ=写楽)、葉月里緒奈(花里)、佐野史郎(喜多川歌麻呂)、片岡鶴太郎(十返舎一九)、永澤俊夫(葛飾北斎)、竹中直人(太田南畝)、フランキー堺(蔦屋重三郎)、岩下志麻(おかん)、坂東八十助(松平定信)ほか
ストーリー江戸の版元・蔦屋重三郎はライバルの版元に秘蔵っ子の喜多川歌麻呂を引き抜かれ、代わりになる役者絵の才能を求めていた。若き葛飾北斎らが候補に挙がるが、蔦屋は気に入られない。やがて北斎はふとしたことから、ある落書きを見て衝撃を受ける。その絵を描いたのは足の怪我で役者を諦めた男だった。蔦屋は謎の絵師「東州斎写楽」として彼を売り出す。写楽の絵を見た歌麻呂は嫉妬し、写楽の正体に迫ろうとする。
解説もともと川島雄三監督が熱望し、フランキー堺が長年暖めていた企画をようやく実現した作品。謎の絵師・写楽を中心に喜多川歌麻呂・十返舎一九・滝沢馬琴・鶴屋南北・葛飾北斎などの若き日を絡めて、江戸文化の爛熟期を描く。独特の様式美とエロティシズムが交じり合った印象的な作品。
メディアDVD発売:東宝

おろしや国酔夢譚
1992年
大映
カラー映画(123分)
スタッフ○監督:佐藤純弥○脚本:野上龍雄/神波史男/佐藤純弥○原作:井上靖○撮影:長沼六男○美術:徳田博/ワレーリー=ユルケヴィチ○音楽:星勝○総指揮:徳間康快
キャスト緒形拳(大黒屋光太夫)、西田敏行(庄蔵)、オレグ=ヤンコフスキー(キリル=ラックスマン)、ユーリ=ソローミン(ベスボロドコ)、マリナ=ブラディ(エカテリーナ女帝)、沖田浩之(新蔵)、川谷拓三(小市)、江守徹(松平定信)ほか
ストーリー伊勢から江戸へ向かっていた光太夫たちは嵐に巻き込まれ、遠くアリューシャン列島にまで漂流してしまう。ここからシベリアに入った彼らは、日本への帰国を現地の総督に願い出るが、聞き入れてもらえない。やがて仲間はあるいは死に、あるいはロシアに帰化していく。光太夫は最後の望みをかけて、ペテルブルグに赴き、女帝エカテリーナに謁見する。
解説原作は井上靖の同名小説。製作費30億、シベリア・ペテルブルグロケ敢行という大作なのだが、元の事実の面白さに今ひとつ迫れなかった観がある。ただ帰国した彼らの目に映る日本が、どこか異様な国に見えるのが面白かった。
メディアDVD発売:角川映画

鬼平犯科帳
1969年-1972年松本幸四郎版
1975年丹波哲郎版
1980年-1982年萬屋錦之介版
1989年-中村吉右衛門版
東宝/松竹
TVドラマ/映画
スタッフ○原作:池波正太郎
キャスト長谷川平蔵役に松本幸四郎(白鸚)・丹波哲郎・萬屋錦之介・中村吉右衛門ら。
ストーリー時は松平定信の寛政改革の頃。遊び人あがりの「鬼平」こと長谷川平蔵が「火付盗賊改」の長官となり、元盗賊の密偵たちを駆使して江戸の町の凶悪犯罪と戦っていく。
解説池波正太郎原作のおなじみ人気時代劇だが、火付盗賊改方長官・長谷川平蔵はレッキとした実在人物。劇中に松平定信も登場する。個性豊かな盗賊達(中には実在の者もいる)、鬼平のために命を張る密偵たちがユニーク。ハードボイルドのアクションと、推理小説のような展開、そしてほろりとする人情話など、その魅力は幅広い。特に評判となったのは最新の吉右衛門版だが、その父・幸四郎版(もともと原作者も幸四郎をイメージして書いた)にもファンが多い。
メディアDVD発売:吉右衛門版のみ松竹よりシリーズ全作発売。

菜の花の沖
2000年
NHK
ドラマスペシャル(全4回)
スタッフ○脚本:竹山洋○演出:清水一彦/木村隆文○原作:司馬遼太郎○音楽:小六禮次郎○制作統括:吉川幸司/西村与志木
キャスト竹中直人(高田屋嘉兵衛)、鶴田真由(おふさ)、江守徹(北風)ほか
ストーリー淡路島の狭い村社会から飛び出した嘉兵衛は兵庫の港に出て船乗りとなる。天才的な操船術と商才、そして人望を持つ嘉兵衛は数年の内に「高田屋」を起こし、日本一の貿易商人となる。嘉兵衛はは幕府に見込まれて蝦夷地および千島開拓に携わるが、そこで日露間の紛争に巻き込まれ、カムチャツカまで赴いて民間外交官の役を買って出る。
解説司馬遼太郎原作の同名小説を初のデジタルハイビジョン用のドラマとして映像化(総時間6時間強)。一代で大商人にのし上がる「海の秀吉」とも言うべき男を秀吉を演じた竹中直人が熱演している。海を股にかけた華々しい活躍の陰で家庭内で悩みを抱えている嘉兵衛を等身大の人間として描く傾向が強い。それにしても兵庫と函館の港が同じロケ地だよなぁ。まぁしょうがないけど。
メディアDVD発売:ソニー・ミュージックディストリビューション

十三人の刺客
1963年
東映
白黒映画(125分)
スタッフ○監督:工藤栄一○脚本:池上金男(=池宮彰一郎)○撮影:鈴木重平○音楽:伊福部昭
キャスト片岡千恵蔵(島田新左衛門)、里見浩太郎(島田新太郎)、嵐寛寿郎(倉永左平太)、西村晃(平山九十郎)、丹波哲郎(土井大炊守)、菅貫太郎(松平斉韶)、山城新伍(木賀小弥太)、内田良平(鬼頭半兵衛)ほか
ストーリー弘化元年、明石藩の家老が幕府の老中・土井大炊守邸の門前で腹を切った。藩主で将軍の弟の松平斉韶の横暴を幕府に訴えるためだった。土井大炊守は御目付役・島田新左衛門に斉韶暗殺を命じる。新左衛門は腕利きの刺客十二人を集め、明石へ帰国する斉韶の行列を中山道に追う。そして落合宿を丸ごと借り切った刺客達は斉韶一行を誘い入れ、壮絶な死闘を演じる。
解説「チャンバラ時代劇」として見れば「七人の侍」に迫る傑作とも言える東映時代劇の頂点的作品。新左衛門と半兵衛の知恵比べ、ラストの十三人対大名行列の宿場町全部を使った壮絶な戦闘シーンなど見所はたっぷり。伊福部昭の音楽もマッチしていた(怪獣映画ファンが聞くと何かヘンなのだが)。後年、TVドラマと映画でリメイクされている。
メディアDVD発売:東映ビデオ

黒船
The Barbarian and The Geisha
1958年/アメリカ
20世紀フォックス
カラー映画(105分)
スタッフ○監督:ジョン=ヒューストン○脚本:チャールズ=グレイソン○原作:エリス=セント=ジョゼフ○撮影:チャールズ=G=クラーク○音楽:ヒューゴ=フリードホーファー○製作:ユージン=フランケ
キャストジョン=ウェイン(ハリス)、安藤永子(お吉)、山村聡(田村佐衛門守)、サム=ジャフ(ヒュースケン)ほか
ストーリーアメリカとの国交を結んで間もない下田にアメリカ初の日本領事としてハリスが赴任してきた。下田奉行の田村佐衛門守はハリスを警戒して色仕掛けのスパイ役として芸者のお吉を送り込むが、次第にお吉とハリスは心を通わせるようになる。コレラ騒動でハリスが尽力したことをきっかけに村人や田村はハリスへの誤解を解き、ハリスは条約締結のために江戸へ行き将軍に謁見を果たす。しかし条約に反対する勢力はハリスの命を狙い始める。
解説原題は「THEBARBARIANANDTHEGEISHA(異人と芸者)」。名匠ジョン=ヒューストン+名優ジョン=ウェインの組み合わせだけに米製日本時代劇としての完成度は高い。これには衣笠貞之助をはじめ大映のスタッフが参加していたことが大きいようだ。しかし全編日本ロケを敢行しているのだが京都や奈良でロケしているため、ところどころ変な部分がやはりある。東大寺を江戸に見立ててロケしているところなどはその最たるもの。それと日米修好通商条約の性格をちゃんと描いていませんね。
メディアDVD発売:20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン

花の生涯
1963年
NHK
大河ドラマ(全39回)
スタッフ○脚本:北条誠○演出:井上博○原作:舟橋聖一○装置:富樫直人○音楽:冨田勲○制作:合川明
キャスト尾上松緑(井伊直弼)、佐田啓二(長野主膳)、淡島千景(たか)、香川京子(志津)、八千草薫(晶の方)、嵐寛寿郎(徳川斉昭)、久米明(ハリス)ほか
ストーリー部屋住みの身から彦根藩藩主となり、開国か攘夷かで揺れる時代に幕府の大老となって開国を断行し、桜田門外の変で凶刃に倒れた井伊直弼。彼の生涯を、その腹心であった長野主膳、二人と深くかかわる美女たかとの関係をからめて描く。
解説記念すべきNHK大河ドラマ第一号。これの成功がきっかけとなって、今日に至る大河ドラマの幕が開かれた。しかしその第一号の主人公が井伊直弼だったというのは今にすれば意外。当時としてはかなりの豪華キャストだったことが大きいらしい。ちなみにクライマックスの桜田門外の変は東映京都の太秦で撮影された。現存する映像は少なく、第1回が完全に残っているほか、桜田門外の変のシーンが部分的に残されている。
メディアDVD発売:NHKソフトウェア「NHK想い出倶楽部II〜黎明期の大河ドラマ編(1)花の生涯」に第1回のみ収録。

桜田門外ノ変
2010年
「桜田門外ノ変」製作委員会
カラー映画(137分)
スタッフ○監督:佐藤純弥○脚本:江良至/佐藤純弥○原作:吉村昭○撮影:川上皓市○美術:松宮敏之○音楽:長岡成貢○プロデューサー:三上靖彦/川崎隆/鈴木義久
キャスト大沢たかお(関鉄之介)、伊武雅刀(井伊直弼)、北大路欣也(徳川斉昭)、長谷川京子(ふさ)、中村ゆり(いの)、西村雅彦(野村常之介)、柄本明(金子孫二郎)、永沢俊也(西郷隆盛)ほか
ストーリー安政7年3月3日、大老・井伊直弼は桜田門外で水戸脱藩浪士らに襲撃され命を落とした。これは直弼の開国方針と反対派の弾圧に対する政治テロで、水戸浪士・関鉄之介はその作戦の現場指揮をとる。暗殺には成功したが、同時に薩摩藩が挙兵する段取りは不発に終わり、鉄之介ら実行犯たちは逃亡を余儀なくされる。
解説水戸市民主導で製作された「地域おこし」映画。水戸に桜田門外実物大セットを作ったほか、茨城県内各所でロケが行われた。政治テロを賛美しないという監督の意図から冒頭に襲撃シーンを持ってきて原因を回想で説明する展開となっているが、かなり分かりにくい。後半の展開で「桜田門外の変」は実行側の意図から言えば実は失敗であったことははっきりしてくるのだが…。
メディアDVD発売:東映

竜馬がゆく
1968年
NHK
大河ドラマ(全39回)
スタッフ○脚本:水木洋子○演出:辻本一朗/和田勉○原作:司馬遼太郎○美術:川上潔○音楽:間宮芳生○制作:森理一郎
キャスト北大路欣也(坂本竜馬)、浅丘ルリ子(おりょう)、水谷良重(乙女)、三田佳子(田鶴)、高橋英樹(武市半平太)、新克利(中岡慎太郎)、高橋昌也(桂小五郎)、小林桂樹(西郷隆盛)、土屋嘉男(大久保利通)、三木のり平(藤兵衛)、加東大介(勝海舟)ほか
ストーリー土佐藩の郷士の子に生まれた坂本竜馬。尊王攘夷の嵐が吹き荒れる激動の時代の中で竜馬は航海技術を学び、やがて貿易会社「亀山社中」のちの「海援隊」を作る。そして薩長同盟、大政奉還といった歴史の大転換を演出した直後に刺客に襲われてこの世を去るのだった。
解説知らぬ者はないほどの人気を誇る司馬遼太郎の代表作をドラマ化したものだが、視聴率はさんざんで、かなりの間大河ドラマ史上最低数値を記録している。今放送すればかなり印象は違うと思うのだが・・・ちなみに大河最後の白黒作品である。現存しているのは竜馬が土佐藩から脱藩を決意する第16回のみ。
メディアDVD発売:NHKソフトウェア「NHK想い出倶楽部II〜黎明期の大河ドラマ編(4)竜馬がゆく」に第16回のみ収録。

坂本龍馬
1989年
TBS/東映
大型時代劇スペシャル(260分)
スタッフ○監督:中島貞夫○脚本:中島貞夫/志村正浩/大津一郎/桂木薫○撮影:津田宗之○美術:倉橋利韶○特撮:矢島信男○音楽:佐藤勝○制作:森理一郎
キャスト真田広之(坂本竜馬)、名取裕子(おりょう)、かたせ梨乃(乙女)、野村真美(千葉さな子)、勝野洋(千葉重太郎)、三浦友和(武市半平太)、美木良介(中岡慎太郎)、香川照之(近藤長次郎)、竹中直人(岡田以蔵)、篠田三郎(桂小五郎)、松方弘樹(西郷隆盛)、若林豪(山内容堂)、若山富三郎(永井玄番頭)、滝田栄(勝海舟)、十朱幸代(あきよ)、渡辺謙(ナレーション)ほか
ストーリー土佐藩の郷士の子に生まれた坂本龍馬。尊王攘夷の嵐が吹き荒れる激動の時代の中で竜馬は航海技術を学び、やがて貿易会社「亀山社中」のちの「海援隊」を作る。そして薩長同盟、大政奉還といった歴史の大転換を演出した直後に刺客に襲われてこの世を去るのだった。
解説正月が定番だったTBS大型時代劇だが、悲劇に終わるのが正月らしくないということなのか、本作は3月末に放映された。TBSはのちに司馬原作「竜馬がゆく」も製作するが、こちらはあくまでオリジナルで、龍馬暗殺は諸説どれでもアリな「並列」描写となっている。
メディアDVD発売:TBS

龍馬伝
2010年
NHK
大河ドラマ(全48回)
スタッフ○脚本:福田靖○演出:大友啓史/真鍋斎/渡辺一貴/梶原登城/福岡利武/松園武大/西村武五郎○音楽:佐藤直紀○制作統括:鈴木圭/岩谷可奈子○プロデューサー:土屋勝裕
キャスト福山雅治(坂本龍馬)、真木よう子(おりょう)、寺島しのぶ(乙女)、大森南朋(武市半平太)、上川隆也(中岡慎太郎)、谷原章介(桂小五郎)、高橋克実(西郷隆盛)、及川光博(大久保利通)、近藤正臣(山内容堂)、武田鉄矢(勝海舟)、香川照之(岩崎弥太郎)ほか
ストーリー明治時代、三菱財閥を興した岩崎弥太郎のもとを新聞記者が訪れ、坂本龍馬についての取材を申し込んだ。弥太郎は「あれほどいやな奴はいなかった」と、幕末を駆け抜けた同郷人・龍馬について語り始める。
解説大河ドラマ二度目の龍馬ドラマで、岩崎弥太郎を陰の主役とし、彼が明治になって龍馬のことを回想するという形式になっている。「竜馬がゆく」で形成された龍馬イメージの脱却をはかろうとの意欲も見え、絵作りでも泥臭いリアリズムが追及された。
メディアDVD/BD発売:アミューズソフトエンタテインメント

竜馬暗殺
1974年
映画同人社/ATG
白黒映画(118分)
スタッフ○監督:黒木和雄○脚本:清水邦夫/田辺泰志○撮影:田村正毅○美術:山下宏○音楽:松村禎三○企画製作:葛井欣士郎/黒田征太郎/富田幹雄○製作:宮川孝至
キャスト原田芳雄(坂本竜馬)、石橋蓮司(中岡慎太郎)、桃井かおり(妙)、松田優作(右太)、中川梨絵(幡)、山谷初男(岩倉具視)、田村亮(大久保利通)ほか
ストーリー大政奉還も成った直後の京都。あちこちで暗殺、斬り合いが起こるなか、自らも命を狙われる坂本竜馬は同郷の中岡慎太郎と共に遊女の家に身を隠す。竜馬と中岡はケンカしたり一緒に遊んだりしながら暗殺までの数日間をすごしてゆく。
解説竜馬を主役とした映画ながらかなり実験的な異色作で全編が白黒で撮影されている。竜馬・中岡ともに一般イメージとはかなり異なり暑苦しく泥臭い、なおかつかなり人間臭いキャラクターに描かれている。幕末と竜馬に材を採りながらメインテーマは恐らく公開当時に漂っていた「革命幻想への幻滅」だろう。
メディアDVD発売:ジュネオンエンタテインメント

竜馬を斬った男
1987年
松竹
カラー映画(109分)
スタッフ○監督:山下耕作○脚本:中村努○原作:早乙女貢○撮影:森田富士郎○美術:西岡善信○音楽:千野秀一○プロデューサー:西岡善信/昆絹子○企画:奥山和由
キャスト萩原健一(佐々木只三郎)、根津甚八(坂本竜馬)、藤谷美和子(八重)、島田陽子(小栄)、坂東八十助(亀谷喜助)、佐藤慶(手代木直右衛門)、本田博太郎(桂小五郎)、片桐竜次(中岡慎太郎)ほか
ストーリー会津出身で旗本の家に養子に入った佐々木只三郎は清河八郎を暗殺し、風雲の京都に入って「見廻組」を組織、尊攘派狩りに奔走する。彼と偶然顔見知りになっていた坂本竜馬は薩長同盟を成立させるなど日本を新しい時代へと突き動かしていく。幕府に忠誠を尽くす只三郎は幕府をおびやかす竜馬の暗殺を決意、実行する。
解説佐々木只三郎が竜馬を斬ったと断定する設定で描いた敗者側ドラマなのだが、いまいち話にまとまりがなく散漫な印象ばかりが残る作品。
メディア以前松竹よりVHSソフトが発売されていたが、現時点でDVD以降のメディア化はない模様。

人斬り
1969年
勝プロダクション
フジテレビ
カラー映画(140分)
スタッフ○監督:五社英雄○脚本:橋本忍○撮影:森田富士郎○美術:西岡善信○音楽:佐藤勝○参考:司馬遼太郎○製作:村上七郎/法亢堯次
キャスト勝新太郎(岡田以蔵)、仲代達矢(武市半平太)、石原裕次郎(坂本龍馬)、三島由紀夫(田中新兵衛)、倍賞美津子(おみの)、山内明(勝海舟)、山本圭(皆川一郎)、萩本欽一(牢名主)、坂上二郎(隈髭)、辰巳柳太郎(吉田東洋)ほか
ストーリー貧しい土佐郷士である岡田以蔵は、吉田東洋暗殺を目撃したことをきっかけに「人斬り」となり、武市半平太の指示のもと京都で暗殺を繰り返す。しかし功名心にはやり、ともすれば制御不能になる以蔵に半平太は手を焼き、以蔵も命じられるままに人を斬ることに疑問を抱き始める。同じ郷士出身の坂本龍馬、薩摩の「人斬り」田中新兵衛が孤立する以蔵に理解を示すのだが…
解説この時期連打されたスター・プロダクション製作の大作の一つで、フジテレビが映画製作に乗り出すきっかけとなった一本でもある。司馬遼太郎の短編「人斬り以蔵」をベースに(あくまで「参考文献」とクレジット)裕次郎の龍馬、三島由紀夫の新兵衛というキャストが話題となった。劇中で見事に切腹シーンを演じた三島は、この翌年に本当に切腹してしまっている。
メディア以前ポニーキャニオンよりVHSソフトが発売されていた。現時点でDVD以降のメディア化は国内ではない模様。フランスでDVD化されている。

勝海舟
1974年
NHK
大河ドラマ(全52回)
スタッフ○脚本:倉本聰/中沢昭二○演出:中山三雄/山中朝雄/勅使河原平八/伊予田静弘/三井章/加藤郁雄/高松良征/東海林通○原作:子母沢寛○美術:寺門昶/斉藤博巳/田嶋宣助○音楽:冨田勲○制作:古閑三千郎/伊神幹
キャスト渡哲也/松方弘樹(勝海舟)、丘みつ子(おたみ)、大原麗子(お久)、尾上松緑(勝子吉)、藤岡弘(坂本龍馬)、萩原健一(岡田以蔵)、津川雅彦(徳川慶喜)、中村富十郎(西郷隆盛)ほか
ストーリー貧乏旗本の子として生まれた勝麟太郎、のちの勝海舟は、蘭学を修めて長崎で操船技術を学び、咸臨丸でアメリカに渡って帰国後は幕府の海軍創設に奔走する。大政奉還、戊辰戦争と江戸幕府は一気に滅亡に向かうなか、海舟は西郷隆盛と談判して江戸を無血開城に導く。
解説子母沢寛原作の幕末大河ドラマ。大河史上唯一の主役交代劇があった作品として知られる。初め主演は渡哲也だったが、10回で病気のため降板、急遽勝海舟は松方弘樹に変身してしまった(笑)。おまけに脚本家が演出家と対立して降板、終了後に主演がNHKを批判するなどトラブルが続出し、事実上の「封印」状態が続く作品となった。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズより総集編発売。総集編はNHKアーカイブスやネット配信で視聴可能。

勝海舟
1990年
日本テレビ/ユニオン映画
年末時代劇スペシャル(前後篇、373分)
スタッフ○監督:山下耕作○脚本:杉山義法○撮影:原田裕平○美術:鈴木孝俊○音楽:服部克久○特技監督:川北紘一○プロデューサー:宮崎洋/荒木功/佐藤丈/今井正夫○制作:須永元/田中正雄
キャスト田村正和/田村亮(勝海舟)、岸本加世子(お民)、高橋恵子(お久)、田村高廣(勝子吉)、南野陽子(順子)、梨本謙次郎(坂本龍馬)、哀川翔(岡田以蔵)、石原良純(福沢諭吉)、津川雅彦(徳川慶喜)、石立鉄男(西郷隆盛)、上岡龍太郎(佐久間象山)、勝野洋(山岡鉄舟)、丹波哲郎(清水次郎長)、風間杜夫(小栗忠順)、若林豪(大久保忠寛)、森繁久彌(渋田利右衛門)ほか
ストーリー貧乏旗本の子として生まれた勝麟太郎、のちの勝海舟は、蘭学を修めて長崎で操船技術を学び、咸臨丸でアメリカに渡って帰国後は幕府の海軍創設に奔走する。大政奉還、戊辰戦争と江戸幕府は一気に滅亡に向かうなか、海舟は西郷隆盛と談判して江戸を無血開城に導く。明治になってからは旧幕臣ながら新政府に出仕、一部から批判を受けつつ時代の移ろいを眺めてゆく。
解説日テレ年末時代劇の第6弾。上記の大河ドラマと同じ主人公だが、奇しくもこちらも主演が病気交代となり、若い時期と老後を兄の正和、中高年期を弟の亮が演じるという変則状態になってしまい、顔こそ似てるけど前半と後半でえらくキャラが変わってしまった。そのせいか後半では小栗忠順や山岡鉄舟に時間が割かれて主役不在の部分も多く、エピソードがあまりない明治部分も無駄に長く、盛り上がりに欠ける。
メディアDVD発売:バップ

徳川慶喜
1998年
NHK
大河ドラマ(全49回)
スタッフ○脚本:田向正健○演出:富沢正幸/竹林淳/谷口卓敬/吉田雅夫/篠原圭/太田光俊/訓覇圭/高橋練○原作:司馬遼太郎○撮影:横山義行/佐藤俊憲○美術:田嶋宣助○音楽:湯浅譲二○制作統括:高橋幸作○制作:永山あつし
キャスト本木雅弘(徳川慶喜)、石田ひかり(美賀)、菅原文太(徳川斉昭)、杉良太郎(井伊直弼)、堺正章(新門辰五郎)、大原麗子(辰五郎の妻れん・語り)ほか
ストーリー水戸徳川家・徳川斉昭の七男に生まれた慶喜は一橋家の養子となり、激動の情勢の中で江戸幕府第15代の将軍となる。慶喜は大政奉還を実行して平和裏に体制変革をはかろうとするが戊辰戦争へと突入、自ら「最後の将軍」として幕府の幕引きをつとめることとなる。
解説遂に手を出したか、と言う観のある徳川幕府最後の将軍を主人公としたドラマ。原作はやはり司馬遼太郎だが、かなりフィクションを加えて話を長くしている。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズより完全版、総集編の二種類が出ている。

篤姫
2008年
NHK
大河ドラマ(全49回)
スタッフ○脚本:田渕久美子/松下和恵○演出:佐藤峰世/岡田健/渡邊良雄/堀切園健太郎/上杉忠嗣/松川博敬○原作:宮尾登美子○音楽:吉俣良○制作統括:佐野元彦○制作:屋敷陽太郎
キャスト宮崎あおい(天璋院篤姫)、瑛太(小松帯刀)、高橋英樹(島津斉彬)、山口祐一郎(島津久光)、小澤征悦(西郷隆盛)、原田泰造(大久保利通)、堀北真希(和宮)、松坂慶子(幾島)、稲森いずみ(滝山)、堺雅人(徳川家定)、松田翔太(徳川家茂)、平岳大(徳川慶喜)、玉木宏(坂本龍馬)、北大路欣也(勝海舟)ほか
ストーリー薩摩藩藩士の娘として生まれた「於一」は、藩主・島津斉彬の意向でその養女「篤姫」となり、将軍・徳川家定の正室として大奥に入る。紆余曲折の末に家定と心を通わせた篤姫だったが家定は若死にし、続く家茂・慶喜の時代に江戸幕府は衰亡へと向かってゆく。官軍が江戸に迫ると、篤姫は江戸を救うべく海舟と西郷の会談を画策する。
解説宮尾登美子「天璋院篤姫」を原作とするが、大奥物の要素をからめた篤姫の視点からの幕末史ものとなった。大河ドラマ史上最年少の主演ながら宮崎あおいの貫録で人気に火が付き、幕末ものは低視聴率というジンクスをひっくり返す大ヒットとなった。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント。

またも辞めたか亭主殿
幕末の名奉行小栗上野介
2003年
NHK
正月時代劇(90分)
スタッフ○脚本:鄭義信○演出:吉村芳之○原作:大島昌宏○音楽:栗山和樹
キャスト岸谷吾郎(小栗上野介)、稲森いずみ(道子)、西村雅彦(勝海舟)ほか
ストーリー幕府の使節として欧米を視察し、帰国後勘定奉行として手腕を振るう小栗上野介。しかし彼は持ち前の直情ぶりから辞職・更迭を繰り返して妻や母親を呆れさせていた。徳川幕府滅亡に向かう風雲の中で小栗は横須賀の造船所建設に全力を注いでいく。
解説先見性・国際性を持ちながら滅び行く幕府に殉じる形となってしまった悲劇の人・小栗上野介を主人公にした異色ドラマ。岸谷と稲森という時代劇としては意外なキャストが見事にはまって、夫婦の情愛と造船所建設への執念を軸に爽やかなドラマに仕上がっている。勝海舟がやや悪役だったり徳川慶喜が徹底的にこき下ろされているなど従来の歴史ドラマにはあまりなかった描写も興味深い。
メディア再放送は何度かされているが、ソフト化はいまだ実現していない。

陽だまりの樹
2012年
NHK/テレパック
BS時代劇(全12回)
スタッフ○脚本:前川洋一○演出:藤尾隆/山内宗信/岡野宏信○原作:手塚治虫○音楽:本多俊之
キャスト市原隼人(伊武谷万二郎)、成宮寛貴(手塚良庵)、黒川芽以(おせき)、笹野高史(手塚良仙)、古手川祐子(おなか)、西岡徳馬(伊武谷千三郎)、池上季実子(おとね)、大塚千弘(綾)、津川雅彦(藤田東湖)、緒方幹太(緒形洪庵)ほか
ストーリー幕臣・伊武谷万二郎と医者の息子・手塚良庵は近所同士のケンカ仲間で恋敵。万二郎はその実直さと才能を買われてアメリカ人護衛役をつとめ、一方の良庵は大阪の適塾で蘭方医学を学んだのち江戸に戻って父の仕事を継ぐ。この二人を軸に幕末の動乱を描く。
解説原作は手塚治虫が自身の曽祖父の蘭方医と架空の幕臣とを主人公に幕末動乱期を描いた長編漫画で、それを全12回で実写化したドラマ。予算の都合と回数の少なさ(本来大河候補の噂があった作品である)とで原作の大筋のストーリーをなぞるだけ、しかも重要脇役キャラが数人排除されてしまい、かなり薄味のドラマになってしまった。原作どおり幕末有名人はチョコチョコ出てくる。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズ

花神
1977年
NHK
大河ドラマ(全52回)
スタッフ○脚本:大野靖子○演出:斎藤暁/村上祐二/江口浩之/門脇正美/三井章○原作:司馬遼太郎○音楽:林光○制作:成島庸夫
キャスト中村梅之助(村田蔵六)、浅丘ルリ子(おイネ)、加賀まり子(お琴)、篠田三郎(吉田松陰)、中村雅俊(高杉晋作)、米倉斉加年(桂小五郎)、東野英心(井上馨)、志垣太郎(久坂玄瑞)、尾藤イサオ(伊藤博文)、西田敏行(山県有朋)、宇野重吉(緒方洪庵)ほか
ストーリー長州の村医者に生まれた村田蔵六は適塾で蘭学を学び、黒船来航以後の激動の中でその西洋技術・軍事の知識を買われて宇和島や幕府で活躍する。そのころ故郷の長州では吉田松陰の薫陶を受けた高杉晋作・桂小五郎ら若者たちが台頭し日本を変えようとしていた。小五郎の招きで長州藩に仕えた蔵六はその軍事的才能を初めて発揮し、攻め込んできた幕府側の軍を破り、さらに倒幕へと突き進んでゆく。冷徹な技術者であり続けた蔵六だったが、シーボルトの娘イネとのひそかな恋もあった。
解説司馬遼太郎の「花神」という小説は村田蔵六、後の大村益次郎を主人公としたものであるが、このドラマはこれに「世に住む日々」「十一番目の志士」といった他の小説の内容も加えて、長州の群像を描いている。中村梅之助の蔵六がハマリ過ぎ。
メディアDVD発売:アミューズソフトより総集編。

奇兵隊
1989年
ユニオン映画/日本テレビ
年末時代劇スペシャル(370分)
スタッフ○監督:斉藤武市○脚本:野上龍雄○音楽:山本直純○特技監督:川北紘一
キャスト松平健(高杉晋作)、中村雅俊(桂小五郎)、片岡鶴太郎(村田蔵六)、伊藤蘭(おうの)、池上季実子(幾松)、津川雅彦(周布政之助)、萩原流行(井上聞多)、堤大二郎(伊藤俊輔)、永島敏行(久坂玄瑞)、高橋英樹(徳川慶喜)、武田鉄矢(坂本龍馬)、梅宮辰夫(西郷隆盛)、デーブ=スペクター(アーネスト・サトウ)、三遊亭円楽(白石正一郎)ほか
ストーリー吉田松陰の教えを受け、上海訪問で国際情勢を知った高杉晋作は、松陰門下の若者たちと共に公使館焼き打ちや幕府への挑戦的行動を次々と起こす。しかし尊王攘夷運動の暴走に嫌気がさした晋作は出家してひきこもり、その間に長州は禁門の変を起こし、さらに外国船を砲撃した報復攻撃を受けて窮地に陥る。晋作は庶民も参加する軍隊「奇兵隊」を結成して挙兵、長州藩の実権を握って薩摩藩と同盟し、幕府軍を迎え撃つ。だが結核に冒された晋作に残された時間はあとわずかだった。
解説今にして思えば日テレ時代劇の最高峰だったかも。製作費は十億を越え、豪華出演陣、見応えある脚本と演出。鶴太郎の蔵六もいい味を出していた。
メディアDVD発売:バップ

蒼天の夢
松陰と晋作・新世紀への挑戦
2000年
NHK
正月時代劇(119分)
スタッフ○脚本:下川博○演出:松岡孝治○撮影:中村和夫○美術:鈴木利明○音楽:服部隆之○原作:司馬遼太郎○制作統括:浅野加寿子
キャスト中村橋之助(吉田松陰)、野村萬斎(高杉晋作)、高嶋政伸(伊藤俊輔)、阿部寛(桂小五郎)、高須久子(天海祐希)、浜畑賢吉(杉百合之助)、関口知宏(久坂玄瑞)、石丸謙二郎(玉木文之進)、林真理花(文)、中村勘太郎(金子重之助)、ダン=ケニー(ペリー)、高橋英樹(毛利敬親)、十朱幸代(瀧)ほか
ストーリー身分を越えた奇兵隊を結成して倒幕のために挙兵した高杉晋作は、兵士たちに師・吉田松陰の思い出を語ってゆく。松陰は全国を旅して見聞を広め、ペリーの黒船に乗りこんで密航まで図り、牢獄の中でも人々と学問を教え合い、出獄後に松下村塾で人材の育成にあたった。はじめ松陰に反発を覚えていた晋作は次第に松陰の人柄にほれ込んで師と仰ぎ、その処刑後に彼の志「身分を越えた草莽掘起」を受け継ぎ実行するのだった。
解説司馬遼太郎の小説「世に棲む日々」を原作としているが、ほぼオリジナル作品と言っていい。純真そのもの・好奇心旺盛な思想家にして教育者・吉田松陰の人生をさらりと魅力的にまとめた一本。萬斎演じる洒脱な晋作も対比され魅力的なのだが事実上語り部役で終わってしまってるのがやや残念。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズ

花燃ゆ
2015年
NHK
大河ドラマ(全50回)
スタッフ○脚本:大島里美/宮村優子/金子ありさ/小松江里子○演出:渡邊良雄/末永創/安達もじり/橋爪紳一朗/深川貴志○音楽:川井憲次○プロデューサー:堀之内礼二郎○制作総指揮:土屋勝裕/小松昌代
キャスト井上真央(杉文→楫取美和子)、大沢たかお(小田村伊之助→楫取素彦)、伊勢谷友介(吉田松陰)、東出昌大(久坂玄瑞)、高良健吾(高杉晋作)、優香(寿)、長塚京三(杉百合之助)、檀ふみ(滝)、奥田瑛二(玉木文之進)、原田泰三(杉民治)、劇団ひとり(伊藤俊輔)、佐藤隆太(前原一誠)、東山紀之(桂小五郎)、井川遥(高須久子)、田中麗奈(銀姫)、北大路欣也(毛利敬親)、高橋英樹(井伊直弼)ほか
ストーリー長州藩士・杉家に生まれた吉田寅次郎(のちの松陰)は日本の危機を感じて次々と事件を巻き起こす。そんな兄に影響を受ける妹の文は、兄の「松下村塾」に集う若者たちの世話を焼き、その中の一人久坂玄瑞と結婚する。やがて安政の大獄により松陰は刑死、夫の玄瑞も禁門の変で戦死するなど、若者たちは激動の中で次々と死んでゆく。時代は明治となり、姉の夫・楫取素彦が群馬県知事となると文も群馬へおもむき、姉の死後に楫取と再婚する。
解説タイトル発表が例年にない遅さで、しかも「松陰の妹」が主役と発表されたため政権のごり押しかとの憶測も飛んだ大河ドラマ。女性主役で長州もの、ということで松陰の妹にして久坂の妻である彼女が選ばれたのだろうけど視聴率は歴代最低レベルであった。イケメン逆ハーレムドラマのような宣伝もなされたが、何かと塾生に「おにぎり」をふるまう姿に「女子マネージャードラマ」と揶揄する声まであった。
メディアDVD発売:ポニーキャニオンより完全版。

長州ファイブ
2006年
「長州ファイブ」製作委員会
グローカルピクチャーズ
カラー映画(119分)
スタッフ○監督・脚本:五十嵐匠○撮影:寺沼範雄○美術:池谷仙克○音楽:安川午朗○エグゼクティブプロデューサー:水野清○製作総指揮:前田登
キャスト松田龍平(山尾庸三)、山下徹大(井上勝)、北村有起哉(井上馨)、三浦アキフミ(伊藤博文)、前田倫良(遠藤謹助)、寺島進(高杉晋作)、原田大二郎(村田蔵六)ほか
ストーリー攘夷の嵐が吹き荒れる幕末。長州藩の若者たちもイギリス公使館焼き打ちなど攘夷を実行していたが、そんな過激行動の日々に疑問も感じる者もいた。彼ら五人は「真の攘夷」のためとして、長州藩の密航留学生となり遠くイギリスに派遣される。五人はイギリスの先進近代文明に圧倒される一方、その文明のもたらす貧富の差などの社会の暗部も目撃してゆく。
解説井上馨・伊藤博文の密航話は上記「奇兵隊」や「花神」でも描かれる有名エピソードだが、この映画では前半はこの二人を中心にしつつ、彼らの帰国後の後半は残った三人にスポットをあててゆく。三人はそれぞれ後に東京工大や日本初の聾唖学校の設立者、造幣局と桜の通り抜けの発案者、日本鉄道の父となるのだが、そうした「その後」の伏線が全部ドラマ仕立てで組み込まれる。
メディアDVD発売:ケンメディア

幕末太陽傳
1957年
日活
白黒映画(110分)
スタッフ○監督:川島雄三○脚本:田中啓一/川島雄三/今村昌平○撮影:高村倉太郎○美術:中村公彦/千葉一彦○音楽:黛敏郎○製作:山本武
キャストフランキー堺(佐平次)、石原裕次郎(高杉晋作)、左幸子(おそめ)、南田洋子(こはる)、小林旭(久坂玄瑞)ほか
ストーリー江戸時代も残りわずかとなっていた文久2年。品川宿の遊郭旅籠「相模屋」に遊び人の佐平次が仲間を率いて上がり込みどんちゃん騒ぎをするが、翌日になって実は一文無しであることを明かし、そのまま相模屋に居残ってしまう。だが人当たりがよく機転も利く佐平次は店で起こるトラブルを次々とうまく処理し、次第に相模屋の人々から頼りにされるようになる。そしてこの相模屋には英国公使館焼き打ちを計画する高杉晋作ら長州の志士たちも泊まり込んでいた。
解説異色の奇才・川島雄三監督の代表作。落語の「居残り佐平次」をベースに他の遊郭ものの落語をたくみに織り交ぜ、さらに高杉晋作・久坂玄瑞ら実在人物たちの実話もとりこんで一種独特の世界を作り上げている。冒頭で製作当時の品川カフェー街を映しているが、当初の構想ではラストに主人公がスタジオセットを飛び出して冒頭に出てきた現代の品川を駆け抜けることになっていたこともよく知られる。
メディアDVD発売:日活

暗殺
1966年
松竹
白黒映画(103分)
スタッフ○監督:篠田正浩○脚本:山田信夫○撮影:小杉正雄○美術:大角純一○音楽:武満徹○原作:司馬遼太郎○製作:山内静夫
キャスト丹波哲郎(清河八郎)、木村功(佐々木只三郎)、佐田啓二(坂本竜馬)、岩下志麻(お蓮)、岡田英次(松平主税介)ほか
ストーリー庄内出身の浪人ながら文武の才に長けた、謎の男・清河八郎。その清河は熱烈な尊皇攘夷の思想を持ち、その野望達成のために幕府をもたぶらかして浪士組を結成する。場合によっては清河を斬るよう命じられた佐々木只三郎は様々な情報源から清河という謎の男の実像に迫ろうとする。
解説司馬遼太郎の短編「奇妙なり八郎」を原作にした異色時代劇。のちの新撰組の母体となる浪士組をつくった謎の男・清河八郎を、丹波哲郎が好演。まさにとらえどころのない清河という男を多角的にとらえていくシナリオの妙、ラストの暗殺劇の一人称視点など「松竹ヌーヴェルバーグ」らしい前衛性も持つ。
メディアDVD発売:松竹

新選組始末記
1963年
大映
カラー映画(93分)
スタッフ○監督:三隅研次○脚本:星川清次○撮影:本多省二○美術:太田誠一○音楽:斎藤一郎○原作:子母澤寛○企画:辻久一
キャスト市川雷蔵(山崎烝)、城建三朗=若山富三郎(近藤勇)、藤村志保(志満)、天知茂(土方歳三)、松本錦四郎(沖田総司)、小林勝彦(谷三十郎)、成田純一郎(楠小十郎)、田崎潤(芹沢鴨)ほか
ストーリー京都の浪人武士・山崎烝は、これこそ武士らしい生き方だと憧れて新選組に入った。しかし芹沢鴨の横暴と、その暗殺をめぐる近藤や土方の暗部をまのあたりにして幻滅、一時新選組と距離を置く。しかし密偵として活動するうちに長州藩士らが都を火の海にしようとしているとの情報を得て、近藤らにその情報を伝え、池田屋へと乗り込んでゆく。
解説新撰組の密偵として活躍した山崎烝を主役にした異色作。市川雷蔵が悩める剣士を演じ、全編にダークな空気を漂わせ、池田屋事件のあとのラストシーンの後味の悪い虚無感も出色。
メディアDVD発売:角川書店

燃えよ剣
1966年
松竹
白黒映画(90分)
スタッフ○監督:市村泰一○脚本:加藤泰/森崎東○撮影:酒井忠○美術:芳野尹孝○音楽:長谷部利朗○原作:司馬遼太郎○製作:小角恒雄
キャスト栗塚旭(土方歳三)、和賀俊哉(近藤勇)、石倉英彦(沖田総司)、内田良平(七里研ノ助)、小林哲子(佐絵)、戸上城太郎(芹沢鴨)ほか
ストーリー土方歳三は剣と女に明け暮れる多摩の若者。佐絵という女と深い仲となりつつ、道場破りにやってきた七里研之助と宿敵となる。数年後、近藤勇・沖田総司らと京に登った歳三は新選組を結成、ここで勤王派に属した佐絵・七里と再び関わり合う。そして勤王派が池田屋に集結しているとの情報が入り…
解説何度となく映像化されている司馬遼太郎の同名小説の映画版で、TVシリーズでも当たり役だった栗塚旭が土方を演じている。なにぶん時間が短いので池田屋事件をクライマックスにし、歳三と佐絵・七里との恋とケンカの青春日記としてうまくまとめちゃったという一編。
メディアDVD発売:松竹ホームビデオ

新選組
1969年
三船プロダクション/東宝
カラー映画(122分)
スタッフ○監督:沢島忠○脚本:松浦健郎○撮影:山田一夫○美術:植田寛○音楽:佐藤勝○製作:三船敏郎/西川善男/稲垣浩
キャスト三船敏郎(近藤勇)、小林桂樹(土方歳三)、北大路欣也(沖田総司)、三國連太郎(芹沢鴨)、中村梅之助(山南敬助)、中村錦之助(有馬藤太)、中村賀津雄(河合喜三郎)、田村高廣(伊東甲子太郎)、中村翫右衛門 (勝海舟)、司葉子(つね)、池内淳子(お雪)ほか
ストーリー多摩から浪士組に加わり京都に出てきた近藤たちは清河の背信を知って離脱、芹沢鴨らと「新選組」を結成する。非行の多い芹沢を暗殺して近藤・土方らのもと厳しい規律で結束を固めた新選組は「池田屋事件」などで活躍する一方、その厳しい規律ゆえに内部で隊員たちが次々と非業の死を遂げてゆく。やがて幕府は倒れ、戊辰戦争のなかで近藤は悲劇的な最期を迎える。
解説三船プロが総力を挙げた、オールスターキャストの新撰組映画豪華版。新撰組の誕生から滅亡まで、有名エピソードを巧みに織り込みつつ一気に描いていく(そのため総集編を見せられてる感もなくはない)。主役の近藤を演じる三船が「三船以外の何者でもない」、平たく言えば大根状態なのが賛否の分かれるところか。
メディアDVD発売:東宝ビデオ

御法度
1999年
大島渚プロダクション
カラー映画(100分)
スタッフ○監督・脚本:大島渚○撮影:栗田豊通○美術:西岡善信○音楽:坂本龍一○衣装:ワダエミ○原作:司馬遼太郎○製作:大谷信義
キャストビートたけし(土方歳三)、松田龍平(加納惣三郎)、武田真治(沖田総司)、浅野忠信(田代彪蔵)、崔洋一(近藤勇)、坂上二郎(井上源三郎)、田口トモロヲ(湯沢藤次郎)、トミーズ雅(山崎蒸)ほか
ストーリー新撰組に加納惣三郎と田代彪蔵という二人の若者が入ってきた。まだ前髪の惣三郎のあまりの美男ぶりに新撰組の隊員の中に動揺が走る。惣三郎をめぐって男達の衆道の駆け引きが始まり愛憎が入り乱れる。そして惣三郎と関係をもった男が次々と狙われる。
解説世界的映画人・大島渚の久方ぶりの新作。新撰組を題材に男ばかりの愛憎劇を描く異色作だが、どことなく土方を探偵役とした推理映画の雰囲気も漂う。崔・たけしの有名監督コンビに二郎さん、トミーズ雅、ざこばといったお笑い系も混じるキャスティングも面白い(たけしはお笑い系でもあったな)。松田龍平・浅野忠信・武田真治の美男トリオも秀逸。
メディアDVD発売:松竹ホームビデオ

新選組!
2004年
NHK
大河ドラマ(全49回)
スタッフ○脚本:三谷幸喜○演出:清水一彦/吉川邦夫/伊勢田雅也/山本敏彦/吉田浩樹/小林大児/土井祥平/清水拓哉○撮影:小笠原洋一/永野勇/平野拓也/杉山吉克○美術:山下恒彦/岡島太郎/山内浩幹○音楽:服部隆之○制作統括:吉川幸司
キャスト香取慎吾(近藤勇)、山本耕史(土方歳三)、藤原竜也(沖田総司)、佐藤浩市(芹沢鴨)、小林隆(井上源三郎)、堺雅人(山南敬助)、優香(深雪太夫・お孝)、田畑智子(つね)、戸田恵子(お登勢)、中村獅童(滝本捨助)、山口智充(永倉新八)、山本太郎(原田左之介)、中村勘太郎(藤堂平助)、オダギリジョー(斉藤一)、照英(島田魁)、桂吉弥(山崎烝)、八嶋智人(武田観柳斎)、谷原章介(伊藤甲子太郎)、江口洋介(坂本龍馬)、筒井道隆(松平容保)、石黒賢(桂小五郎)、伊原剛志(佐々木只三郎)、宇梶剛士(西郷吉之助)ほか
ストーリー多摩の剣道場の跡取りである近藤勇とその幼馴染の土方歳三は、ふとしたことから桂小五郎・坂本龍馬、さらに佐久間象山や勝海舟と知り合い、激動の時代の到来を感じ取る。やがて芹沢鴨・沖田総司・山南敬助らと京に上った近藤は、芹沢を暗殺して「新選組」を結成、京の治安を守って尊攘派と戦う。一時の栄光に輝いた新選組だったが内部対立や血の粛清も続発し、まもなく幕府崩壊という時代の急転のなかで悲劇的最期を迎えてゆく。
解説何度も映像化された題材だが大河ドラマとしては初。人気脚本家・三谷幸喜氏が脚本を手がけSMAPの香取慎吾ら若手俳優を中心に展開する青春群像劇として構成された。三谷氏ということもあって全体的にコメディ風味で(一回だけだが大河史上初の壮絶なドタバタコントをやっちゃった)、近藤勇が坂本龍馬や桂小五郎ら有名人と知り合いだったりする自由奔放な作りには賛否があったが、終盤へ向けての「面白うてやがて哀しき」展開に結構盛り上がりを見せた。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメントより完全版。アミューズソフトエンタテインメントより総集編。

新選組!
土方歳三最期の一日
2006年
NHK
正月時代劇(90分)
スタッフ○脚本:三谷幸喜○演出:吉川邦夫○音楽:服部隆之○制作統括:吉川幸司/安原裕人
キャスト山本耕史(土方歳三)、片岡愛之助(榎本武揚)、吹越満(大鳥圭介)、照英(島田魁)、小橋賢児(相馬主計)、オダギリジョー(斉藤一)、筒井道隆(松平容保)、佐藤B作(永田尚志)ほか
ストーリー親友・近藤勇と死に別れた土方歳三は榎本武揚・大鳥圭介らと旧幕府軍を率いて蝦夷地に渡り、箱館・五稜郭にたてこもっていた。迫りくる官軍を前にひたすら死に場所を求める土方は降伏を決めた榎本と対立するが、彼らと語り合ううちに生き続けることの意味を見出してゆく。起死回生の作戦を立て、勇んで出撃した土方だったが、銃弾が彼を襲った。
解説史上初の「大河ドラマの続編」として製作された単発ドラマ。近藤勇の死で終わった「新選組!」だが、土方の死まで描いて欲しいとの要望が早くからあり、それが実現した形。函館戦争における土方歳三戦死の一日を土方と榎本・大鳥の対立と和解を軸に描いた。「新選組!」出演組の多くも回想シーンで「出演」しており、大河本編ファン向けのプレゼント的ドラマ。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

河井継之助
〜駆け抜けた蒼龍〜
2005年
日本テレビ/松竹
ドラマコンプレックス(120分)
スタッフ○監督:松原信吾○脚本:金子成人○音楽:川崎真弘○プロデューサー:金田和樹/田中芳樹(日本テレビ)佐生哲雄/原克子(松竹)
キャスト中村勘三郎(河井継之助)、稲森いずみすが)、京野ことみ安子)、伊藤英明(稲葉隼人)、佐野史郎(小林虎三郎)、吹越満川島億次郎)、田中実山本帯刀)、唐沢寿明(坂本竜馬)、中村獅童(岩村精一郎)、六平直政(佐川官兵衛)ほか
ストーリー長岡藩の家老・河井継之助は海外の事情にも明るい開明派で、当時最新鋭の兵器ガトリングガンを購入、戊辰戦争の激動のなかで長岡藩をスイスのような「武装永世中立国」として生き残らせようと図る。しかし彼の思いとは裏腹に迫りくる官軍との激戦の末に長岡は敗北、継之助の夢は破れてゆく。
解説司馬遼太郎の小説「峠」などで知られる河井継之助の悲劇的生涯を描く日テレ久々の年末大型時代劇。一見豪華なキャストはそれぞれ1〜2シーン程度の顔見せ、無理やり坂本竜馬とからめて「北国にいたもう一人の竜馬」なんてサブタイトルをつけるなど、いろいろ苦労がしのばれた。
メディアDVD発売:バップ

白虎隊1986年
ユニオン映画/日本テレビ
年末時代劇スペシャル(288分)
スタッフ○監督:斎藤武市○脚本:杉山義法○脚本協力:石原純一○音楽:瀬尾一三○プロデューサー:須永元/清水欣也(日本テレビ)菊池昭康(ユニオン映画)今井正夫(東映)○制作:岡田晋吉、野崎元晴○製作総指揮:岩淵康郎
キャスト森繁久彌(井上丘隅)、里見浩太郎(西郷頼母)、風間杜夫(松平容保)、国広富之(神保修理)、池上希実子(雪子)、中村雅俊(坂本竜馬)、夏八木勲(近藤勇)、近藤正臣(土方歳三)、西田敏行(萱野長修)ほか
ストーリー激動の幕末、会津藩主・松平容保は家老・西郷頼母の反対を押し切って京都守護職を引き受けた。天皇・将軍のためと信じて尊攘派と戦った会津藩だったが、大政奉還、戊辰戦争という歴史の流れのなかで薩長の官軍相手に悲劇的な会津戦争を戦うこととなる。
解説「忠臣蔵」に続く日本テレビ系年末時代劇第2弾。タイトルこそ「白虎隊」だがそれはあくまで要素の一つに過ぎず、敗者である会津藩の立場から幕末史全体を描いた大作となっている。主役不在の印象も強い群像劇で会津藩の悲劇を徹底的に描き、「薩長政権」への痛烈な疑問をも提示して見せた。白虎隊ものにありがちな玉砕の美化にも単純に陥らない姿勢も評価したい。
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白虎隊
〜敗れざる者たち
2013年
テレビ東京/ユニオン映画
新春ワイド時代劇(350分)
スタッフ○監督:重光享彦○脚本:ジェームス三木○音楽:谷川賢作○統括プロデューサー:佐々木彰○チーフプロデューサー:小川治○プロデューサー:山鹿達也/内堀雄三/元信克則
キャスト北大路欣也(西郷頼母)、黒木瞳(千恵子)、伊藤英明(松平容保)、水野真紀(照姫)、国仲涼子(眉寿子)、渡辺大(中沢鉄之介)、須賀健太(飯沼貞吉)、梨本謙二郎(近藤勇)、岸谷五朗(土方歳三)、小林稔侍(萱野権兵衛)ほか
ストーリー激動の幕末、会津藩主・松平容保は家老・西郷頼母の反対を押し切って京都守護職を引き受けた。天皇・将軍のためと信じて尊攘派と戦った会津藩だったが、大政奉還、戊辰戦争という歴史の流れのなかで薩長の官軍相手に悲劇的な会津戦争を戦うこととなる。
解説幕末ものの定番のひとつ「白虎隊」をとりあげたテレ東新春時代劇。「白虎隊」というタイトルながら白虎隊そのものにはそれほど時間が割かれず、実態は悲劇の家老・西郷頼母の視点からまとめた会津藩幕末通史といった内容になっている。しかしさすがにテーマの割に時間が長すぎ、だらだらと間延びした印象を受ける。
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八重の桜
2013年
NHK
大河ドラマ(全50回)
スタッフ○脚本:山本むつみ/吉澤智子/三浦有為子○演出:加藤拓/一木正恵/末永創/清水拓哉/佐々木善春/中野亮平/長谷知記○テーマ音楽:坂本龍一○音楽:中島ノブユキ○制作統括:内藤慎介
キャスト綾瀬はるか(八重)、オダギリジョー(新島襄)、西島秀俊(山本覚馬)、長谷川博巳(川崎尚之助)、風吹ジュン(佐久)、松重豊(山本権八)、綾野剛(松平容保)、稲森いずみ(照姫)、西田敏行(西郷頼母)、中村獅童(佐川官兵衛)、柳沢慎吾(萱野権兵衛)、奥田瑛二(佐久間象山)、吉川晃司(西郷隆盛)、及川光博(木戸孝允)、小堺一機(岩倉具視)、加藤雅也(板垣退助)、反町隆史(大山巌)、水原希子(大山捨松)、高嶋政宏(槇村正直)、中村蒼(徳富蘇峰)、太賀(徳富蘆花)、ほか
ストーリー会津藩砲術師範・山本家に生まれた八重は、怪力の持ち主で女だてらに鉄砲の腕を磨く。兄の覚馬は佐久間象山に学んで藩きっての開明派となるが、藩主容保が京都守護職を引き受けたことから会津藩は幕末の激動に巻き込まれ、やがて悲劇の会津戦争を迎えて八重は自ら銃をとって戦う。明治になって京都で兄・覚馬と再会した八重はアメリカ帰りのクリスチャン・新島襄と出会って結婚、共に私立学校「同志社」を開いて新時代の若者の育成にあたる。
解説東日本大震災に見舞われた福島県への応援として急きょ持ちあがった企画。ほとんど無名といっていい主人公を軸に前半は良く知られる幕末の動乱と会津戦争を描き、後半では明治初期の京都を舞台にあまり知られていない明治初期のクリスチャンと私学運営の模様が描かれた異色の作品で、やはり視聴率的には苦戦した。八重は昭和まで生きているのだが、ドラマではあえて日清戦争のあたりで終わらせ、「戦争を知らぬ世代の戦争熱」への警鐘もこめられた。
メディアDVD・BD発売:バップ

赤毛1969年
三船プロダクション/東宝
カラー映画(116分)
スタッフ○監督:岡本喜八○脚本:岡本喜八/廣澤栄○撮影:斎藤孝雄○美術:植田寛○音楽:佐藤勝○製作:三船敏郎/西川善男
キャスト三船敏郎(権三)、岩下志麻(とみ)、寺田農(三次)、高橋悦史(一ノ瀬半蔵)、天本英世(玄斎)、田村高広(相楽総三)ほか
ストーリー時は戊辰戦争のさなか。中山道を進む官軍の先鋒・赤報隊の隊士・権三は、隊長の相楽総三から「赤毛」を借り、自分の生まれ故郷の宿場に一人で乗り込む。権三は官軍の先鋒として年貢半減を掲げ、遊女たちを解放、金貸しや代官をこらしめて宿場に「革命」を巻き起こしていく。ところが赤報隊は「にせ官軍」の汚名を着せられ抹殺されてしまう…
解説岡本喜八がこだわる幕末ものの一本で、新政府に利用されたあげく「偽官軍」として抹殺された赤報隊をモチーフに、宿場町限定の革命騒動を濃密に描く。喜八映画ならではのコメディ・アクションも満載で、なおかつ激変期の名も無き人々の生き様をじっくりと浮かび上がらせる語り口は見事。しいて難をいえば三船の主人公(十代設定らしい)が明らかに老けすぎということだが…
メディアDVD発売:東宝

吶喊1975年
喜八プロダクション
日本アートシアターギルド
カラー映画(93分)
スタッフ○監督・脚本:岡本喜八○撮影:木村大作○美術:植田寛○音楽:佐藤勝○製作:岡田裕介/多賀祥介
キャスト伊藤敏孝(千太)、岡田裕介(万太郎)、伊佐山ひろ子お糸)、千波恵美子(テル)、高橋悦史(細谷十太夫)、坂本九(語り手の老婆)、仲代達矢(土方歳三)ほか
ストーリー時は戊辰戦争の真っ最中。東北の農村の若者・千太は風雲の時代を面白がって仙台藩の細谷十太夫が率いる無頼集団「烏組」に参加する。一方で薩摩の若者・万太郎は官軍・旧幕府軍の双方に情報を売りながらこの風雲に紛れて一儲けを企む。この二人を主軸に戊辰戦争の内面を描いてゆく。
解説いかにも岡本喜八作品、庶民派のバイタリティと底抜けの明るさを持ちながら、悲惨な戦争の実態をも描き出す、異色の戊辰戦争映画。歴史の流れにあえて逆らう旧幕府側の人々、歴史の波に乗って傍若無人の振る舞いをしていく官軍側とを対比して描き出し、その中でしぶとく生きていく若者達の姿がたくましい。なお、主役級で出演し製作も手掛けている岡田裕介はのちの東映社長である。
メディアDVD発売:キングレコード

ジャズ大名1986年
喜八プロダクション/大映
カラー映画(85分)
スタッフ○監督・脚本:岡本喜八○撮影:加藤雄大○美術:竹中和男○音楽:山下洋輔/筒井康隆○原作:筒井康隆○プロデューサー:室岡信明○制作:山本洋/小林正夫
キャスト古谷一行(海郷亮勝)、財津一郎(石出九郎左衛門)、神崎愛(文子姫)、岡本真美(松枝姫)ほか
ストーリー南北戦争直後のアメリカで迫害を受け海外雄飛を決めた四人の黒人達。ところが詐欺にあって乗せられた船が難破し、幕末日本のとある藩に漂着する。ここの殿様は大の音楽好きで、尊王だ倒幕だと騒ぐ世間には目もくれず、四人の黒人達と交流していく。この黒人達が誕生間もないジャズ音楽を披露したからさあ大変。周囲の激動もそっちのけでお城を挙げての大ジャズ演奏会が開始される。
解説とんでもない異色作だと思うのだが、確かに「歴史映画」だと思う。激動の時代を舞台にしながら徹底してその流れと関わらない主人公の設定が皮肉に満ちている。岡本作品ならではの細かいギャグの多発が楽しい一本。それにしてもラストの演奏会はもはや壮絶。なぜかラストにタモリが出てます。
メディアDVD発売:角川エンタテインメント

五稜郭1988年
ユニオン映画/日本テレビ
年末時代劇スペシャル(290分)
スタッフ○監督:斎藤光正○脚本:杉山義法/石原純一○音楽:川村栄二○特技監督:川北紘一○プロデューサー:須永元/初川則夫/井上健(日本テレビ)松岡明/菊池昭康/佐藤丈(ユニオン映画)今井正夫(東映)○制作:岡田晋吉、野崎元晴○製作総指揮:岩淵康郎
キャスト里見浩太朗(榎本武揚)、浅野ゆう子(多津)、渡哲也(土方歳三)、津川雅彦(勝海舟)、夏八木勲(近藤勇)、中村雅俊(福沢諭吉)、西郷輝彦(黒田清隆)、あおい輝彦(木戸孝允)、森繁久彌(佐藤泰然)ほか
ストーリー幕臣・榎本武揚はオランダに留学して最新の技術と国際情勢を学んで帰国、幕府の海軍を率いることとなるが、時代は急転し幕府は滅亡してしまう。江戸無血開城を断行した勝海舟に反発した榎本らは艦隊を率いて北上、蝦夷地に日本初の「共和国」を建てて選挙により榎本が総裁となる。しかし官軍の攻撃の前に「蝦夷共和国」の夢は破れ、榎本らは明治政府に投降。榎本は才を惜しまれて許され、のちに千島樺太交換条約などで活躍するのだった。
解説日テレ年末時代劇の第4弾で、旧幕府軍を率い五稜郭に入って「蝦夷共和国」を一時とはいえ成立させた榎本武揚を主人公にした異色のドラマ。オランダ留学から幕末の風雲、函館戦争、そしてラストは千島・樺太交換条約締結で終わる。彼に絡めて様々な人物が登場するが、慶応大学の福沢を初め、「大学創立者」がやたらに出てくるのが特徴。
メディアDVD発売:バップ

福沢諭吉 1991年
東映
カラー映画(123分)
スタッフ○監督:澤井信一郎○脚本:笠原和夫/桂千穂○撮影:仙元誠三○美術:井川徳道○音楽:久石譲○プロデューサー:豊島泉/成田尚哉○製作:高岩淡/佐藤正忠○企画:岡田裕介/佐藤雅夫/岡田裕
キャスト柴田恭兵(福沢諭吉)、榎木孝明(奥平外記)、仲村トオル(篠原小十郎)、若村麻由美(お錦)、南野陽子(ノブ)、哀川翔(中条貢)、野村宏伸(黒沢竹之介)、火野正平(松倉玄斉)、鈴木瑞穂(土岐太郎八)、勝野洋(岡本周吉)ほか
ストーリー中津藩藩士に生まれた諭吉は、幼い時から合理的な発想に富んでいた。長崎でオランダ語を学んだ諭吉はさらに適塾で学ぶが、横浜に出かけてオランダ語が通用せず英語が主流であると知り衝撃を受ける。諭吉は一転して英語習得に励み、アメリカから帰国後、英語塾「慶應義塾」を開設する。塾生たちが戊辰戦争の動乱に身を投じてゆくなか諭吉は戦争の愚かさを諭し、上野戦争の砲声が聞こえるなか授業を行う。
解説偉人、とくに教育者の伝記映画はだいたいつまらないが、これはいい素材をドブに捨てた感すらある。なぜか諭吉の上司である奥平外記(実在とは名を変えた)を「諭吉になれなかった人」という悲劇の人物に描き、架空の青年篠原を中心に恋愛話や戦闘シーンを描いたため、主役の諭吉の影がやたら薄い。予算の都合だろうが、見せ場のはずの諭吉の渡米がナレーションですまされてしまうのも困ったところ。
メディアDVD発売:東映

テンペスト2011年
NHK
BS時代劇(全10回)
スタッフ○演出:吉村芳之○脚本:大森寿美男○原作:池上永一○音楽:H・GARDEN○制作統括 : 岡本幸江/鹿島由晴
キャスト仲間由紀恵(真鶴/孫寧温)、谷原章介(浅倉雅博)、塚本高史(喜舎場朝薫)、高岡早紀(聞得大君)、金子昇(孫嗣勇)、奥田瑛二(孫嗣志)、GACKT(徐丁垓)、チャールズ=グラバー(ベッテルハイム)、リチャード=アレン(ペリー)、高橋和也尚育王)、染谷将太尚泰王)ほか
ストーリー時は19世紀の半ば。琉球王国にも欧米列強のもたらす近代化の波が押し寄せていた。孫家の娘・真鶴は学問と国際感覚に長け、父の意向で出奔した兄の代わりに「宦官・孫寧温」になりすまして科挙を受けて上位で合格、上級官僚となる。孫寧温は薩摩と清の板挟みの干渉を受ける琉球の近代化を図ろうとするが、策謀により失脚、八重山へと流される。女に戻った真鶴は尚泰王の側室として王宮に戻り、折しも日本遠征の途中で琉球に立ち寄ったアメリカのペリー提督と対決することになる。
解説琉球王国末期を描いて話題を呼んだ池上永一の同名小説のドラマ化で、舞台版でも主演した仲間由紀恵が同役を務めた。大河「琉球の風」以来の琉球王国ドラマで、「風」の時もテーマ候補だった琉球処分までの時代が初めて映像化された。沖縄出身俳優も多く出演し大掛かりな沖縄ロケもあって個性的な歴史ドラマとなったが、仲間由紀恵がどう見ても「女」にしか見えないとか、説明もなしに超常現象が起こって唖然とするとかツッコミどころも多かった。3D映画版も製作されている。
メディアDVD発売:角川書店


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