日本史映画・明治〜戦前
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太平洋戦争関係で戦場描写がメインのものは「世界大戦関連」でまとめてます。
原始〜平安時代鎌倉〜室町時代戦国時代安土桃山時代江戸前期江戸後期◎明治〜戦前◎戦後〜現代
田原坂
1987年
ユニオン映画/日本テレビ
年末時代劇スペシャル(330分)
スタッフ○監督:斎藤武市○原作・脚本:杉山義法○音楽:川村栄二○プロデューサー:須永元(日本テレビ)菊池昭康(ユニオン映画)今井正夫(東映)○製作総指揮:岩淵康郎
キャスト里見浩太朗(西郷隆盛)、秋吉久美子(イト)、西郷輝彦(西郷従道)、多岐川裕美(愛加那)、あおい輝彦(大山巌)、勝野洋(桐野利秋)、三浦浩一(村田新八)、坂上忍(菊次郎)、佐藤慶(岩倉具視)、露口茂(島津久光)、竹脇無我(坂本龍馬)、風間杜夫(木戸孝允)、近藤正臣(大久保利通)、萬屋錦之介(勝海舟)ほか
ストーリー薩摩藩士・西郷隆盛は一時奄美大島に流されるなど苦難を経験した末に倒幕に成功、明治新政府の立役者となる。しかし征韓論問題をめぐって政府を離れて鹿児島に帰郷、やがて不平士族たちに担ぎ出されて西南戦争を起こす。
解説日本テレビ系が年の瀬二夜連続で放映した大作時代劇の一本で全5時間半の長編。タイトルこそ「田原坂」だが、前半では西郷の幕末での活躍も描かれ「西郷一代記」の趣きがある。里見浩太朗が体重を増やし肉付きをよくして演じた西郷が意外とハマっている。後半の西南戦争にかなりの時間を割いており、細かいエピソードが数多く織り込まれた。
メディアDVD発売:バップ

翔ぶが如く
1990年
NHK
大河ドラマ(全48回)
スタッフ○脚本:小山内美江子○演出:平山武之/望月良雄/木田幸紀/小松隆一/古川法一郎/菅康弘/西谷真一○原作:司馬遼太郎○音楽:一柳慧○制作:吉村文孝/岡本由紀子
キャスト西田敏行(西郷隆盛)、鹿賀丈史(大久保利通)、田中裕子(いと)、賀来千賀子(満寿)、緒形直人(西郷従道)、益岡徹(村田新八)、佐野史郎(有村俊斎=海江田信義)、杉本哲太(桐野利秋)、加山雄三(島津斉彬)、高橋英樹(島津久光)、三田村邦彦(徳川慶喜)、富司純子(篤姫)、佐藤浩市(坂本龍馬)、林隆三(勝海舟)、小林稔侍(岩倉具視)、隆大介(江藤新平)、三木のり平(新門辰五郎)ほか
ストーリー薩摩藩の下級武士に生まれた西郷吉之助と大久保一蔵は若者たちを中心とする「精忠組」を結成、吉之助は藩主・島津斉彬に見出され、一蔵は斉彬の弟・久光に接近してそれぞれに幕末の風雲に飛びこみ、やがて倒幕と明治新政府樹立を実現する。しかし征韓論問題で二人は全面衝突して袂を分かち、西南戦争で敵味方に分かれて戦うこととなる。
解説薩摩の両雄・西郷隆盛と大久保利通を中心に幕末から明治を描くドラマ。とにかくキャスティングが絶妙で皆さん良く似てました。必然的に薩摩弁が乱舞するドラマとなったため、時折字幕が入ったという作品。原作は司馬遼太郎の同名小説だが、これは明治以降の物語のため、ドラマでは幕末部分を追加して一年続けられた。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメントより完全版、アミューズビデオより総集編。

半次郎
2010年
「半次郎」製作委員会
カラー映画(121分)
スタッフ○監督:五十嵐匠○脚本:丸内敏治/西田直子○撮影:阪本善尚○美術:池谷仙克○音楽:吉俣良○プロデューサー:坂上也寸志○企画:榎木孝明
キャスト榎木孝明(中村半次郎)、AKIRA(永山弥一郎)、白石美帆(さと)、田中正次(西郷隆盛)、北村有起哉(大久保利通)、坂上忍(村田新八)、津田寛次(別府晋介)、竜雷太(村田屋伊兵衛)ほか
ストーリー薩摩藩の極貧下級武士の中村半次郎は高い志を抱き、西郷隆盛につき従って動乱の京都へ乗り込む。商家の娘さとと恋仲となりながら剣の腕をふるって半次郎は活躍、戊辰戦争でも功績をあげ、明治になって桐野利秋と改名し陸軍少将となる。しかしかつての理想を見失い己の生き方に迷う半次郎は、下野した西郷とと共に鹿児島へ戻り、やがて西南戦争を迎えることになる。
解説鹿児島出身の榎木孝明自身が映画化を企画、みずから主演して実現に奔走した一本。「人斬り半次郎」などと呼ばれる人物だが映画中では人を斬る場面もほとんどなく、全体的に「割といい人」な印象で、西南戦争での彼の位置づけもやや曖昧。予算のこともあってかサラッと半次郎一代記を流した印象。なお西郷隆盛役は「似ている」ことでオーディションで選ばれた一般の方。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

ラスト・サムライ
The Last Samurai
2003年/アメリカ
クルーズ・ワグナープロダクション
カラー映画(154分)
スタッフ○監督:エドワード=ズウィック○脚本:ジョン=ローガン/エドワード=ズウィック/マーシャル=ハースコビッツ○撮影:ジョン=トール○音楽:ハンス=ジマー○製作:トム=クルーズ/トム=エンゲルマン/スコット=クルーフ/ポーラ=ワグナー/エドワード=ズウィック/マーシャル=ハースコビッツ
キャストトム=クルーズ(オールグレン)、渡辺謙(勝元)、真田広之(氏尾)、小雪(たか)、原田眞人(大村)、中村七之助(天皇)、福本清三(寡黙な侍)ほか
ストーリー南北戦争を戦い、インディアンとの戦いで心もすさんでいたオールグレン大尉は、日本軍の近代化をはかる大村の招きを受けて日本へと渡る。勝元ら昔気質のサムライ達の反乱討伐に向かったオールグレンは捕虜となり、サムライ達と共に暮らすうちその生き方に共感を覚えていく。近代化された政府軍に対して古典的な戦いを挑むサムライたちに、オールグレンも甲冑を身に着け加わっていく。
解説西郷隆盛の西南戦争をモデルにしたハリウッド製日本時代劇。アメリカ映画で日本時代劇、というのはこれが初ではないが、もっともまともな作品には違いない。まぁ士族反乱で戦国騎馬軍団はないだろうし、忍者がお約束のように出てくるところとかツッコミを入れたらキリが無いが、これはサムライ映画ファン達が作ったファンタジーの一種と受け止めれば面白いかと。「勝元」を演じた渡辺謙は圧倒的な存在感で実質的な主役になっちゃっており、アカデミー助演男優賞にもノミネートされ話題を呼んだ。
メディアDVD/BD発売:ワーナー・ホームビデオ

獅子の時代
1980年
NHK
大河ドラマ(全51回)
スタッフ○脚本:山田太一○演出:清水満/重光亨彦/中村克史/外園悠治/松橋隆/上田信/金沢宏次○カメラ:後藤忠/杉山節郎○美術:小林喬/竹内光鷹/矢野隆士/村松一徳○音楽:宇崎竜童○制作:近藤晋
キャスト菅原文太(平沼銑次)、加藤剛(苅谷嘉顕)、大原麗子(もん)、大竹しのぶ(千代)、永島敏行(平沼鉱造)、尾上菊之助(高松凌雲)、新克利(榎本武揚)、根津甚八(伊藤博文)、村野武範(板垣退助)、細川俊之(江藤新平)、鶴田浩二(大久保利通)、中村富十郎(西郷隆盛)、志村喬(田代栄助)、丹波哲郎(松本英吉)、児玉清(瑞穂屋卯三郎)ほか
ストーリー会津藩士の平沼銑次と薩摩藩士の苅谷嘉顕、そして元旗本の娘のもんの三人は、1867年の万国博覧会が開かれるパリで運命的な出会いをする。帰国後の戊辰戦争で敵味方となった平沼と苅谷は、明治以後の西南戦争、自由民権運動、秩父事件といった歴史の激動の中を力強く生き抜いてゆく。
解説山田太一脚本による、まったくのオリジナル作品。主人公二人がいずれも架空の人物というのも異例。幕末から明治への激動の時代を平沼・苅谷の二人の男の葛藤と友情を軸に描き、「歴史上の有名人」だけでは追えないその時代を生きた多くの人々の息遣い、「生の歴史」を描いた異色作となった。冒頭がパリでのロケというのも異例だった。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメントより完全版。以前VHSで総集編も発売されていた。

草の乱
2004年
「草の乱」製作委員会
カラー映画(118分)
スタッフ○監督:神山征二郎○脚本:加藤伸代○撮影:伊藤嘉宏○美術:春木章○音楽:Deep Forest○プロデューサー:永井正夫○製作:木原正敏/川嶋博/舟橋一良
キャスト緒形直人(井上伝蔵)、藤谷美紀(こま)、杉本哲太(加藤織平)、田中実(高岸善吉)、安藤一夫(落合寅市)、神山兼三(坂本宗作)、益岡徹(大井憲太郎)、原田大二郎(山形有朋)、山本圭(伊藤博文)、田中好子(高浜ミキ)、林隆三(田代栄助)ほか
ストーリー1918年、北海道で死の床についた老人が妻子に自らの正体が33年前の「秩父事件」の首謀者の一人として死刑判決を受けた「井上伝蔵」であることを明かし、秩父事件の真相を語り始める。1884年(明治17)、最悪の不況の秩父では農民たちが高利貸の取り立てに苦しみ、自由党の流れを汲む困民党が組織されてその救済を図ろうとしていた。公権力も自分達を助けてはくれないと悟った彼らはついに農民達と共に武装蜂起を決行する。
解説有名な「秩父事件」の完全映画化で、神山監督にとっては「郡上一揆」に続く「一揆映画」となった。独立製作の映画としては破格の製作費(4億円強)を一般からの出資で集め、秩父市民の参加による群集シーンの実現など、まさに「草の根」的製作体制の映画。悲惨な敗北に終わりながらも爽やかな後味を残す。
メディアDVD発売:日活

春の波涛
1985年
NHK
大河ドラマ(全50回)
スタッフ○脚本:中島丈博○演出:清水満/田中賢ニ/竹本稔/松本守正/一柳邦久/末松緑朗○カメラ:後藤忠/三浦国男○美術:鯛正之輔/足立正美/宮井市太郎/太田礼二○音楽:佐藤勝○原作:杉本苑子○制作:松尾武
キャスト松坂慶子(川上貞奴)、中村雅俊(川上音二郎)、風間杜夫(福沢桃介)、壇ふみ(福沢房子)、小林桂樹(福沢諭吉)、伊丹十三(伊藤博文)ほか
ストーリー芸妓の貞奴はその美貌で伊藤博文のような大物政治家に贔屓にされつつ、岩崎桃介(後の福澤桃介)と情熱的な恋も繰り広げていた。やがて貞奴は自由民権運動を広める「オッペケペー節」をヒットさせていた川上音二郎と結婚、一座で海外公演を行って貞奴みずから舞台に立ち、日本女優第一号となる。
解説「山河燃ゆ」に続く「近現代大河」の第2弾。日本の近代女優第一号と言われる川上貞奴を主人公にしたドラマ。当時全く見ていなかったもので、何も書けない(涙)。盗作訴訟騒ぎがあったせいか(裁判自体はNHK側が勝ったが)現在に至るまで一切ソフト化されていない。
メディアDVD発売:ながらくソフト化が実現しなかったが、ようやくNHKエンタープライズより完全版・総集編が発売された。

天皇・皇后と日清戦争
1958年
新東宝
カラー映画(121分)
スタッフ○監督:並木鏡太郎○脚本:館岡謙之助○撮影:山中晋○美術:加藤雅俊○音楽:江口夜詩○特殊技術:黒田武一郎/寺田和雄○製作:山梨稔○原作・総指揮:大蔵貢
キャスト嵐寛寿郎(明治天皇)、高倉みゆき(昭憲皇后)、阿部九州男(伊藤博文)、高島忠夫(山田一太郎)ほか
ストーリー朝鮮をめぐる日本と清の対立はついに日清戦争へと突き進んだ。明治天皇は大本営を広島に移して国民と共に戦争を支援し、兵士たちは陸海で清軍と激しい戦闘を交える。やがて下関で講和会談が行われ、李鴻章遭難などのトラブルの末に講和が成立したが、三国干渉という予期せぬ事態が発生する。
解説天皇を主役にするという破天荒な企画「明治天皇と日露大戦争」の大ヒットに続けと大蔵貢が総指揮をとって製作した「新東宝天皇戦争映画」第二弾。再びアラカンが明治天皇を演じ、日清戦争の有名エピソード、歌謡や講談ネタを散りばめて映画化した。伊勢神宮に始まり伊勢神宮に終わるなど一見時代錯誤な右翼調ではあるが、丁汝昌の自決や李鴻章が暴漢に狙撃されるといった逸話も描いてそれなりにバランスもみられるし、だいいち天皇以下やたら「平和主義者」でちっとも好戦的に描かれない。三国干渉まで詰め込んでしまい、日清戦争ネタてんこもりで面白く見られるのは確か。だがこれが新東宝の限界点でもあった。
メディアDVD発売:オフィスワイケー

八甲田山
1977年
橋本プロダクション
シナノ企画/東宝
カラー映画(169分)
スタッフ○監督:森谷司郎○脚本:橋本忍○撮影:木村大作○美術:阿久根巌○音楽:芥川也寸志○原作:新田次郎○製作:橋本忍/野村芳太郎/田中友幸
キャスト高倉健(徳島大尉)、北大路欣也(神田大尉)、三國連太郎(山田少佐)、加山雄三(倉田大尉)、緒形拳(村山伍長)、栗原小巻(はつ)、加賀まり子(妙子)、秋吉久美子(さわ)ほか
ストーリー日露戦争も時間の問題となっていた時期、青森県の陸軍は八甲田山を突破する雪中行軍訓練を実施した。青森と弘前の連隊はそれぞれ徳島・神田両大尉に率いられて出発する。しかし徳島隊が少数精鋭・完全準備で挑んだのに対し、神田隊は山田少佐の功名心から大人数・案内も断るなど無謀な行軍を始めてしまった。やがて神田隊は地獄絵の様相を呈していく。
解説新田次郎の原作小説を橋本忍が脚色。有名な「八甲田山死の行軍」を完全映像化した作品。強大な自然の猛威、それに折り合いをつけて挑む人間と、無謀な挑戦をしてしまう人間達がカットバックで描かれ、見ている方も凍えてくるような力作。神田隊の全滅していく様子なんて本当に見ていて背筋が寒くなってくる。
メディアDVD発売:M3エンタテインメント

明治天皇と日露大戦争
1957年
新東宝
カラー映画(114分)
スタッフ○監督:渡辺邦男○脚本:館岡謙之助○撮影:渡辺孝○美術:梶由造/黒澤治安○音楽:鈴木静一○特殊撮影:上村貞夫/黒田武一郎○総指揮:大蔵貢
キャスト嵐寛寿郎(明治天皇)、林寛(乃木希典)、田崎潤(東郷平八郎)、宇津井健(広瀬武夫)、高島忠夫(乃木保典)、丹波哲郎(島村少将)ほか
ストーリー極東への侵略を進めるロシア帝国に対し、本来戦争を望まぬ明治天皇だったが、やむなく開戦の詔勅を出す。旅順の戦い、奉天の戦い、日本海海戦を経て日本は遂に勝利する。
解説新東宝の創立十周年記念ワイドスクリーン・総天然色超大作で、史上初めて天皇を主役にすえるという大胆な企画で大ヒットを飛ばした(以来、「日露もの」は当たる、という迷信が生まれた)。嵐寛寿郎演じる明治天皇は平和主義者でなおかつ国民・兵士と労苦をともにする人物として描かれ、乃木・東郷についてもほとんど神格化された名将像そのままとなっている。これが戦後作られた映画というのが今ではかえって信じられないくらい(笑)。神社に始まり神社に終わる映像、たびたび挿入される「御製の歌」、ラストのナレーションも「民族の誇りと英知で世界平和に貢献しなければならない」と何やら怖い(笑)。それにしても日本海海戦のシーンは東宝のお株を奪わんばかりの精巧なミニチュア特撮でちょっと驚かされる。これ以後、新東宝はほとんど「皇国史観」みたいな戦争映画を連発していくことになる。
メディアDVD発売:イマジカ

明治大帝と乃木将軍
1959年
新東宝
カラー映画(104分)
スタッフ○監督:小森白○脚本:館岡謙之助○撮影:岡戸嘉外○美術:朝生治男○音楽:小沢秀夫○製作総指揮:大蔵貢
キャスト嵐寛寿郎(明治天皇)、林寛(乃木希典)、高倉みゆき(昭憲皇后)、村瀬幸子(乃木静子)、片岡彦三郎(乃木勝典)、和田桂之介(乃木保典)、丹波哲郎(島村少将)ほか
ストーリー日本とロシアが開戦し、一時百姓仕事に精を出していた乃木希典は天皇の恩に報いる機会と勇んで旅順攻略に当たる。しかし旅順要塞は難攻不落で、乃木は息子二人を戦死させてしまう。乃木更迭論も噴き出したが天皇はあくまで乃木をかばい、日露戦争勝利後に乃木は天皇から学習院院長に任じられる。明治天皇が死去すると、乃木は恩に報いるべく夫人と共に殉死するのだった。
解説新東宝の「アナクロ天皇戦争映画」の第三作で、アラカンの明治天皇、林寛の乃木という「日露大戦争」と同じキャストの組み合わせとなったが、こちらはトップタイトルではないものの乃木に焦点が当てられている。相変わらず驚くほどの復古調だが、さすがに予算的に厳しくなってきたのが節々にうかがえる。
メディアDVD発売:バップより単体および「新東宝名画傑作選」に含まれる形で発売。パイオニアLDCから出たものもある。

日本海大海戦
1969年
東宝
カラー映画(128分)
スタッフ○監督:丸山誠治○脚本:八住利雄○撮影:村井博○美術:北猛夫○音楽:佐藤勝○特技監督:円谷英二○製作:田中友幸
キャスト三船敏郎(東郷平八郎)、笠智衆(乃木希典)、松本幸四郎(明治天皇)、仲代達矢(明石元二郎)、加山雄三(広瀬武夫)、土屋嘉男(秋山真之)、藤田進(上村彦之丞)、加藤武(加藤友三郎)、柳永二郎(伊藤博文)、アンドリュー=ヒューズ(ロジェストウェンスキー)、辰巳柳太郎(山本権兵衛)ほか
ストーリー義和団の乱を機にロシアの大軍が満州に居座り、やがて日露戦争が勃発する。日本軍は多大な犠牲を払って旅順を攻略する一方、明石元二郎によるロシア国内への工作も進め、東郷平八郎指揮下に連合艦隊を組織する。そして1905年5月27日、日本海に入ったロシアのバルチック艦隊を、東郷の連合艦隊が迎え撃った。
解説東宝が製作した特撮戦争映画シリーズの一本で、海軍の東郷を中心に日露戦争を描く。仲代達矢のスパイ活動が「007」を彷彿とさせて面白い。ストーリーは平板そのものだが円谷英二が力を注いだ特撮による海戦シーンはミニチュア特撮の極致を見る思い。これが円谷の遺作となった。
メディアDVD発売:東宝

二百三高地
1980年
東映/シナノ企画
カラー映画(185分)
スタッフ○監督:舛田利雄○脚本:笠原和夫○撮影:飯村雅彦○美術:北川弘○音楽:山本直純○特撮監督:中野昭慶○企画:幸田清/天尾完次/太田浩児/瀬戸恒雄
キャスト仲代達矢(乃木希典)、丹波哲郎(児玉源太郎)、森繁久彌(伊藤博文)、三船敏郎(明治天皇)、松尾嘉代(昭憲皇后)、稲葉義男(伊地知幸介)、夏目雅子(佐知)、あおい輝彦(小賀武志)、新沼謙治(木下九市)、佐藤允(牛若寅太郎)、永島敏行(乃木保典)ほか
ストーリー日露戦争が勃発、乃木希典率いる第三軍はロシア軍の旅順要塞への総攻撃にとりかかるが、機関銃とべトンで守られた堅固な要塞の前には歯が立たず、繰り返す攻撃で多大な犠牲を出す。金沢の教師でロシア文化を敬愛していた武志も悲惨な戦闘の中で敵であるロシア人への憎悪に燃えてゆく。乃木軍の状況に焦りを覚えた児玉源太郎は乃木と談判してその指揮権を預かり、巨砲による二百三高地攻略を実行する。
解説東映が放った久々の「日露」ネタ映画。大ヒットした辺りは根強い「日露映画」人気を証明している。予告編はほとんど右翼のノリなのだが、本編はむしろ反戦的。実は伊豆大島で撮影されたという旅順攻防の凄まじい描写もリアルである。乃木ら指揮官の作戦ミスもバッチリ描かれており、割と史実に忠実。仲代の乃木、丹波の児玉が実にハマっていた。
メディアDVD発売:東映

日本海大海戦・海ゆかば
1983年
東映/シナノ企画
カラー映画(131分)
スタッフ○監督:舛田利雄○脚本:笠原和夫○撮影:飯村雅彦○美術:北川弘○音楽:伊部晴美○特撮監督:中野昭慶○企画:幸田清/天尾完次/太田浩児/瀬戸恒雄
キャスト三船敏郎(東郷平八郎)、沖田浩之(神田源太郎)、三原順子(せつ)、宅間伸(尾形登)、佐藤浩市(大上勇作)、伊東四朗(丸山寿次郎)、横内正(秋山真之)、平幹二朗(明治天皇)、丹波哲郎(山本権兵衛)ほか
ストーリー海軍の軍楽隊として戦艦三笠に乗りこむ。音楽を愛する源太郎だったが、艦上では楽器を手に取る暇もない激しい訓練が続く。源太郎は司令長官東郷平八郎に直訴してようやく演奏の許可を受ける。やがてロシア艦隊相手の大海戦が始まり、三笠が激しい砲撃を受けるなか、源太郎のトランペットが鳴り響く。
解説東映が「二百三高地」「大日本帝国」に続いて放った戦争映画。スタッフもほぼ同じなのだが、東宝の「日本海大海戦」(これも三船が東郷役)との差別化をはかろうとしたのか軍楽隊隊員の視線から海戦を描くという妙な話になってしまった。予算もなかったのか戦闘シーンも迫力に欠け、シナリオも冗漫。
メディアDVD発売:東映

坂の上の雲
2009〜2011年
NHK
スペシャルドラマ(全13回)
スタッフ○脚本:野沢尚/加藤拓/柴田武志/佐藤幹夫○演出:柴田岳志/佐藤幹夫/加藤拓/木村隆文/一色隆司○音楽:久石譲○原作:司馬遼太郎○エグゼクティブプロデューサー:菅康弘/西村与志木○制作統括:菅康弘/藤澤浩一/中村高志
キャスト本木雅弘(秋山真之)、阿部寛(秋山好古)、香川照之(正岡子規)、菅野美穂(正岡律)、松たか子(秋山多美)、石原さとみ(秋山季子)、藤本隆宏(広瀬武夫)、柄本明(乃木希典)、高橋英樹(児玉源太郎)、尾上菊之助(明治天皇)、石坂浩二(山本権兵衛)、西田敏行(高橋是清)、竹中直人(小村寿太郎)、加藤剛(伊藤博文)、渡哲也(東郷平八郎)ほか
ストーリー伊予・松山で生まれた三人の男、秋山好古・秋山真之兄弟と正岡子規を軸に近代国家となったばかりの明治日本を描く。好古は陸軍で騎兵を育て、真之は海軍の参謀となり、子規は短歌・俳句の近代化に短い生涯を捧げる。やがて日本は大国ロシア相手に日露戦争という大きな賭けに乗りだしてゆく。
解説司馬遼太郎の代表作の一つで、過去にも何度も映像化企画があがったものの司馬自身が拒否してきたいわくつきの作品が原作。NHKが大河ドラマとは別枠で全13回、年末放送の3年がかりという異例の形で制作した。豪華キャスト(チョイ役が多いけど)に大掛かりな戦闘シーン、原作以上に子規の存在感を増すなど手の込んだ大作ではあったが肝心の日露戦争部分で原作を大きくはしょらざるをえず、また司馬の歴史解説をそのまんまナレーション(渡辺謙)で流すなど、終盤硬直気味のドラマだった感もある。脚本の野沢尚が執筆未完成のうちに自殺してしまったため、ディレクターたちが補完してシナリオを完成させるという経緯もあった。
メディアDVD/BD発売:ポニーキャニオン

ポーツマスの旗
1981年
NHK
ドラマスペシャル(全4回)
スタッフ○脚本:大野靖子○演出:中村克史/布施実○カメラ:村松一彦○美術:斎藤博巳○テーマ音楽:宇崎竜童○音楽:千野秀一○原作:吉村昭○制作:近藤晋
キャスト石坂浩二(小村寿太郎)、大原麗子(小村町子)、原田芳雄(明石元二郎)、秋吉久美子(ナターシャ)、田中健(本多熊太郎)、三原順子(宮本ゆき)、佐藤浩市(富岡慎太郎)、川谷拓三(宇野弥太郎)、鈴木瑞穂(伊藤博文)、児玉清(金子堅太郎)、オスマン=ユスフ(ウィッテ)、ロナルド=ウィスニスキー(T=ルーズベルト)ほか
ストーリー1905年、日露戦争の講和会議がアメリカの仲介でアメリカ東海岸の町ポーツマスで開かれる事となった。日本が戦争継続など不可能な情勢の中で難役を押し付けられた外務大臣・小村寿太郎ら日本全権団はウィッテ率いるロシア全権団と凄まじい駆け引きを展開する。その一方、明石元二郎はヨーロッパで暗躍し、ロシア国内の革命勢力を扇動しようとしていた。
解説ポーツマス講和会議の全貌を全4回・5時間半強もの時間をかけて描く大作ドラマ。小村と明石を軸に「日露戦争最後の戦い」を描くことをテーマにしているが、見所はもっぱら「外交官たちの戦い」で、明石の部分は余計という気もしなくはない。実際にポーツマスで大規模なロケを行い各回の冒頭に現在のポーツマスの模様を紹介したり、当時の閣僚や、当時はまだ一官僚に過ぎない幣原喜重郎が出てくるなど、歴史ドラマとして細かいところで見ごたえがある。
メディア現時点でソフト化はされていない。

足尾から来た女
2014年
NHK
土曜ドラマ(全2回)
スタッフ○脚本:池端俊策○演出:田中正○カメラ:村松一彦○美術:斎藤博巳○音楽:千住明○原作:吉村昭○プロデューサー:高橋練
キャスト尾野真千子(新田サチ)、鈴木保奈美(福田英子)、渡辺大(石川啄木)、北村有起也(石川三四郎)、原沙知恵(与謝野晶子)、国村隼(原敬)、河原健二(幸徳秋水)、玉置玲央(大杉栄)、中山祐一朗(堺利彦)、松重豊(日下部錠太郎)、藤村志保(景山楳子)、柄本明(田中正造)ほか
ストーリー日露戦争も終わった明治の末、栃木県の谷中村は足尾銅山から出た鉱毒のために農地が壊滅していた。村の農家の娘・サチは鉱毒問題で奔走する田中正造の紹介で、東京の女性活動家・福田英子の家の住みこみ女中となる。英子の周囲には多くの社会主義者が集まり、彼らを警戒する警察はサチに情報提供を求める。それに協力するサチだったが英子たちと触れ合ううちに字を読み学ぶことの大切さを覚え、警察の姿勢に疑問を感じてゆく。いったん故郷に帰ったサチだったが、生家は村を遊水池化するために取り壊されているところだった。
解説明白なまでに福島原発事故による故郷喪失を重ね合わせて企画されたドラマ。足尾銅山鉱毒事件は有名だが映像化の例は珍しいし、正造に絡めて当時の女性活動家・社会主義者・文学者といった群像に焦点を当てたのも珍しい(ついでに言えば原敬が出て来るのも珍しい)。ただもっと長時間にしてそれらの群像と足尾問題とを深く描いてほしかった気もする。
メディア現時点でソフト化はされていない。

新十津川物語
1991〜1992年
NHK
土曜ドラマ(各90分、全6回)
スタッフ○脚本:冨川元文○演出:江口浩之/秋山茂樹/山本秀人○撮影:浪川喜一/佐々木達之介○美術:岡田正巳/田中恒/田坂光善/藤井俊樹○音楽:堀井勝美○原作:川村たかし○制作:山岸康則
キャスト斉藤由貴(フキ青年期/ユカリ)、尾羽智加子(フキ少女時代)、倍賞美津子(フキ中年期以降)、若村麻由美(あや)、富田靖子(あい)、江口洋介(照吉)、小西博之(豊太郎)、三浦浩一(杉村市之進)、西岡徳馬(菊次)、柳沢慎吾(庄作青年期)、平田満(庄作中年期)、香川照之(豊彦)、阿部寛(吉永五郎)、レオナルド熊(野田庄吾)、川野太郎(花房晴男)、小林綾子(康子)、林隆三(前田恭之助)ほか
ストーリー明治22年、奈良県十津川村は大規模な山津波に見舞われた。両親を失った9歳の少女フキは他の住民たちと共に新天地・北海道へと移住し、原生林を切り開いて「新十津川村」を開拓する。成長したフキは苦難の末に稲を実らせることに成功するが、娘のあやは夫も子も捨てて愛に走り、養子の豊彦は左翼運動に身を投じる。あやの娘あいもまた戦中、戦後の混乱期に苦難の人生を歩む。
解説川村たかしの大河児童文学(といってもそう子供向けではない)のドラマ化。「明治編」「大正編」「昭和編」と三部構成で女性主人公がリレーしてゆく形で、ある一家の近代史をつむいでゆく。新十津川の開拓以外は完全にフィクションだが、日露戦争、大正デモクラシー、関東大震災、闇市時代、洞爺丸事故など歴史的事件が随所で物語にとりこまれている。初代主人公フキの孫の孫の90年代現代っ子も斉藤由貴が演じ、彼女が主人公たちの話を聞いてゆくという形式が取られた。
メディア現時点でソフト化はされていない。

男子の本懐
1981年
NHK
長時間ドラマ(155分)
スタッフ○脚本:山内久○演出:村上祐二○カメラ:斎藤一夫○美術:川口直次○音楽:湯浅譲二○原作:城山三郎○制作:近藤晋
キャスト北大路欣也(浜口雄幸)、近藤正臣(井上準之助)、壇ふみ(浜口夏)、佐野浅夫(小泉孫二郎)、勝野洋ほか
ストーリー昭和4年、張作霖爆殺、昭和恐慌など不穏な情勢の中で難局を打開するべく頑固・清廉で「ライオン」とあだ名された官僚出身の浜口雄幸が首相となる。浜口は日銀出身の井上準之助を蔵相に迎え、金解禁・軍縮など日本の経済・政治を立て直すべく長期的な改革を推進していく。しかし不景気の中の痛みを伴う改革と軍縮外交で軍部・右翼の怒りを買った浜口と井上は次々と凶弾に倒れていく。
解説タイトルは東京駅で狙撃された直後に浜口がつぶやいた言葉からとられている。明治生まれの質実剛健な官僚系政治家の二人が危機に陥った日本の建て直しを図ったものの結局挫折し、その後の日本が一気に破滅への道をたどっていく過程をまさにドラマチックに描いていく。二人を襲うテロリストの心理過程にも踏み込み、単純な善悪論ではないドラマ作法も上手い。
メディア現時点でソフト化はされていない。

経世済民の男
「高橋是清」

2015年
NHK(東京放送局)
放送90年ドラマ(前後編・各60分)
スタッフ○脚本:ジェームス三木○演出:田中健二○撮影:佐々木達之介○美術:青木聖和○音楽:佐藤直紀○制作統括:山本敏彦
キャストオダギリジョー(高橋是清)、谷原章介(森有礼)、壇蜜(お君)、ミムラ(品子)、藤木隆宏(前田正名)、松岡茉優(ケイコ)、草笛光子(喜代)、林遣都(辰野金吾)、堀内正美(原敬)、風間トオル(桂太郎)、大友康平(田中義一)、笹野高史(井上馨)、舘ひろし(犬養毅)ほか
ストーリー高橋是清は幕末にアメリカに留学、帰国すると時代は明治に変わっていた。英語の能力を森有礼らに買われるものの、本人は芸者遊びにうつつを抜かしたり投資話に手を出して失敗したり、ペルー銀山の詐欺にひっかかったりとなかなか立身出世しない。やがて日銀に入った是清は日露戦争の戦費調達に奔走して成功、歴代内閣で大蔵大臣を歴任、短期だが総理も経験する。昭和金融恐慌の際には「表だけの紙幣」という奇策で危機を切り抜け、犬養内閣でも請われて蔵相に再登板。だが軍事費拡張を主張する軍部との対立を深めてゆく。
解説放送90周年企画「経世済民の男」全5回シリーズの1・2回。「ダルマ」とあだ名された是清をオダギリジョーが?とビックリしたキャスティングだが、晩年部分はメイクでかなり似せていた。前半は遊び人の失敗続き、後半は卓越した経済担当政治家という面白人生模様が楽しめるが、2時間枠に歴史展開とプライベートをつめこんだためいささか詰め込み気味。それにしても彼自身も含めて周囲に暗殺された人の多いこと。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズより3本セットのDVD-BOXと一本ずつばら売りもある。

戒厳令
1973年
現代映画社
日本アートシアターギルド
白黒映画(111分)
スタッフ○監督:吉田喜重○脚本:別役実○撮影:長谷川元吉○美術:内藤昭○音楽:一柳慧○企画:吉田喜重/葛井欣士郎○製作:岡田茉莉子/上野昂志/葛井欣士郎
キャスト三國連太郎(北一輝)、松村康世(すず)ほか
ストーリー中国から帰った革命思想家・北一輝は「日本改造法案大綱」を著し、戒厳令下の国家改造を夢想した。これに影響を受けた右翼青年が財閥の重役を殺害し、また青年将校にも北の著作の影響を受けたクーデター計画が練られて行く。北自身は彼らとはつかず離れずのあいまいな態度をとろうとするが、昭和12年2月26日、ついにクーデターは実行された。
解説松竹ヌーベル・ヴァーグの旗手の一人とされた吉田監督が、2.26事件の思想的首謀者として処刑された思想家・北一輝の姿を、その心理面に重点を置いて撮り上げた作品。法華経を唱え、自虐意識に苛まれ、クーデターによる国家改造を夢想する北のいささかエキセントリックな姿を、この手の演技では右に出る者のない三国がまさに「怪演」している。大胆な構図など前衛映画的な表現が多くみられ、難解な点も否めない。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

動乱
1980年
東映/シナノ企画
カラー映画(150分)
スタッフ○監督:森谷司郎○脚本:山田信夫○撮影:仲沢半次郎○美術:中村州志/今村力○音楽:星勝○企画:池田静雄/坂上順/岡田裕介
キャスト高倉健(宮城啓介)、吉永小百合(溝口薫)、米倉斉加年(島謙太郎)、田村高広(神崎中佐)、志村喬(宮城広介)ほか
ストーリー宮城中尉の中隊から脱走兵が出た。実家の貧しさゆえに身を売られる姉・薫に会いに行こうとしたのだ。結局脱走兵は処刑され、宮城も朝鮮辺境守備隊に左遷されて辛酸をなめるが、この地で女郎となっていた薫と再会、純情な愛を育む。やがて宮城は国家改造を目指す皇道派にのめりこんでゆき、二・二六事件を起こすことになる。
解説「二・二六事件」をテーマにしているが登場人物は全てモデルは存在するものの名前も設定も変えられており、あくまでフィクションという建前である。高倉健・吉永小百合2大スターのメロドラマを軸に、山本薩夫映画でおなじみの山田信夫の脚本で当時の日本の過酷な社会矛盾を背景に描き込んで二・二六事件を一種の革命運動のように描く。二・二六が失敗したことで日本が戦争へと突っ走って行った?ととれるような終わり方はどうかと思うが。
メディアDVD発売:東映ビデオ

226
1989年
フィーチャーフィルムエンタープライズ
カラー映画(114分)
スタッフ○監督:五社英雄○脚本:笠原和夫○撮影:森田富士郎○音楽:千住明○製作:奥山和由
キャスト萩原健一(野中四郎)、三浦友和(安藤輝三)、竹中直人(磯辺浅一)、本木雅弘(河野寿)、佐野史郎(栗原安秀)、隆大介(村中孝次)、名取裕子(美保子)、南果歩(房子)ほか
ストーリー昭和12年2月26日。社会変革=「昭和維新」を唱える陸軍若手将校たちがクーデターを決行した。閣僚たちを次々に殺害し、一時決起は成功したかに見えたが、わずか3日間のうちに彼らは「賊軍」とされ追いつめられていく。
解説主要キャストはもちろん、端役チョイ役に至るまで豪華キャストで固めた「2・26事件」もの。特別出演者を探すのが楽しみな映画ではある。しかし反乱の三日間に話をしぼっているため反乱にいたる背景などの説明が今ひとつで、青年将校たちの「決起」を単純に美化しがちな観も否めない。それと昭和天皇関係が一切出てこないのも欠点の一つ。ラストに死ぬ将校が「天皇陛下万歳」と叫んで終わるのが意味深ではあるが。
メディアDVD発売:松竹

経世済民の男
「小林一三」

2015年
NHK(大坂放送局)
放送90年ドラマ(前後編・各60分)
スタッフ○脚本:森下佳子○演出:梛川善郎○撮影:清水昇一郎○美術:石村嘉孝○音楽:金子隆宏○制作統括:岡本幸江
キャスト阿部サダヲ(小林一三)、奥田瑛二(岩下清周)、瀧本美織(小林コウ)、矢島健一(平賀敏)、草刈正雄(高橋義雄)、大東駿介(企画院官僚)、井上芳雄(小林冨佐雄・語り)ほか
ストーリー三井銀行大阪支店に勤める文学青年だった小林一三は、優れた指導力を発揮する上司の岩下清周に心酔し、やがて岩下が創設した大坂の北浜銀行に招かれる。ところが不景気のあおりで小林に任せられた仕事は建設中止となった「箕有鉄道」の清算処理だった。小林はこの鉄道に将来性を見込み、沿線の宅地開発と組み合わせて開通を実現、さらに宝塚に少女歌劇団を設立、駅デパートや映画事業も手掛けてカリスマ経営者に成長する。その名声を買われて近衛内閣の商工大臣に就任するが、戦時統制経済を推し進める企画院官僚と対立、失脚に追い込まれる。
解説放送90周年企画「経世済民の男」全5回シリーズの3・4回。「阪急東宝グループ」の創設者・小林一三の波乱の生涯を、息子の富佐雄の視線から語る形式で、突然「借金ダルマ」が出てきたり宝塚風レビューが入るなど独特の演出を交えてカリスマ経営者の人生を軽やかに描いた。なぜか実名が出なかったが、小林と対立する「企画院官僚」は明らかにのちの首相、岸信介がモデルである。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズより3本セットのDVD-BOXと一本ずつばら売りもある。

戦争と人間
1970〜1973年
日活
カラー映画
「運命の序曲」197分
「愛と哀しみの山河」179分
「完結編」
187分
スタッフ○監督:山本薩夫○脚本:山田信夫/武田敦○撮影:姫井真左久○美術:横尾嘉良/深民浩/大村武○音楽:佐藤勝○特撮美術:成田享○原作:五味川純平○企画:大塚和/武田靖/宮古とく子
キャスト滝沢修(伍代祐介)、芦田伸介(伍代京介)、高橋悦史(伍代英介)、浅丘ルリ子(伍代久美子)、北大路欣也(伍代俊介)、吉永小百合(伍代順子)、山本圭(標耕平)、高橋英樹(柘植大尉)ほか
ストーリー昭和初期、新興財閥の伍代産業は軍部と結びついて満州への事業進出を図ろうとしていた。大陸進出の野望を持つ祐介・京介・英介に対し、次男・俊介は社会の矛盾を見て一家および日本のやり方に疑問を持ち、末娘の順子は俊介の親友で反戦・労働運動家の標耕平と恋に落ちる。その他伍代財閥に関わる数多くの人間達のドラマを展開させながら、張作霖爆殺、満州事変、日中戦争、ノモンハン事件と歴史は泥沼の戦争への道を歩んでいく。
解説「赤いセシル・B・デミル」の異名をとる山本薩夫監督が五味川純平の原作小説を合計9時間超の三部作で映画化した超大作。しかし日活が途中で製作を断念したため「完結編」と銘打たれた第三部は中途半端に終わるものとなってしまった。上に書いたストーリーはあくまでメインを簡潔にまとめたもので、とにかく膨大な数の登場人物(実在人物も含む)と国際的スケールの舞台を用意した豪華作品だ。大スターがゾロゾロ出てくる出演者ロールはまさに壮観。歴史的事件の再現シーンも数多く、2・26事件や西安事件の映像が拝める。極めつけはラスト(のつもりは無かったのだろうが)に出てくる、ソ連軍の協力を得たノモンハン事件の迫力の戦闘シーンだろう。また、共産党員の山本監督らしく労働運動や反戦運動への弾圧や軍隊内の非人間的な実態の描写などはかなり力の入ったものになっているのも見どころ。
メディアDVD発売:日活

スパイ・ゾルゲ
2003年
「スパイ・ゾルゲ」製作委員会
カラー映画(182分)
スタッフ○監督:篠田正浩○脚本:篠田正浩/ロバート=マンディ○撮影:姫井真左久○美術:横尾嘉良/深民浩/大村武○音楽:池辺晋一郎○特撮美術:成田享○原作:五味川純平○企画:大塚和/武田靖/宮古とく子
キャストイアン=グレン(ゾルゲ)、本木雅弘(尾崎秀美)、椎名桔平(吉河光貞)、上川隆也(特高刑事)、永澤俊矢(宮城与徳)、葉月里緒菜(三宅華子)、小雪(山崎淑子)、夏川結衣(尾崎英子)、榎木孝明(近衛文麿)、岩下志麻(近衛夫人)、竹中直人(東条英機)、大滝秀治(西園寺公望)ほか
ストーリードイツ大使館に勤めるリヒャルト=ゾルゲと近衛内閣嘱託・尾崎秀美らがコミンテルンのスパイ活動をしていたとして一斉に検挙された。取調べの中でゾルゲと尾崎はこれまでの経緯を明かしていく。激動の上海で出会った二人は、2.26事件などを通して密接に結びつき、やがて政府中枢に入った尾崎が日本の国策をゾルゲらに流す。ゾルゲがソ連に流した情報は歴史を大きく動かすことになるが…
解説スパイ史上に名高い「ゾルゲ事件」をテーマに篠田正浩監督が自ら最後の監督作品として満を持して臨んだ昭和史大作。ゾルゲらのスパイ活動を描くのはもちろんだが狂言回し的印象もあり、、監督自らの経験も含めた昭和前期史そのものを描くことがテーマだったと思われる。2.26事件や昭和天皇の政治的役割など突っ込んだ描写もあるが、もう一つ的を絞りきれなかったかも。篠田監督が進めていた背景にCGを多用する手法は本作で昭和の町並みを再現する上でかなり効果的に使われている。
メディアDVD発売:東宝

激動の昭和史・軍閥
1970年
東宝
カラー映画(134分)
スタッフ○監督:堀川弘通○脚本:笠原良三○撮影:山田一夫○美術監督:阿久根厳○美術:育野重一○製作:藤本真澄/針生宏
キャスト小林桂樹(東条英機)、加山雄三(新井記者)、三船敏郎(山本五十六)、山村聡(米内光政)、志村喬ほか
ストーリー昭和11年の2.26事件をきっかけに軍部は日本の主導権を握り、戦争への暴走を始めた。陸軍を代表する形で首相となった東条英機は対米開戦に踏み切り、初戦の圧勝で独裁を強めていく。しかし敗色が濃くなると国民にそれをひた隠しにし続ける。毎日新聞の記者・新井は現地取材で真実を知り記事にするが、そのため東条・陸軍の怒りを買い、戦地へと送られることとなった。
解説「日本のいちばん長い日」に続く東宝の昭和史シリーズ第二作。東条英機の動向を中心にすえ、陸海の軍閥がいかに日本を破滅に導いていったかを描く力作。とくに加山雄三の記者の視点から「報道の責任」を問う姿勢が注目される。死に赴く特攻隊員が戦意高揚をうたった報道機関を非難し、「こんな国は滅びればいい!」と叫ぶシーンは強烈。
メディアDVD発売:東宝

落日燃ゆ
2009年
テレビ朝日/東映
大型ドラマ(122分)
スタッフ○監督:猪崎宣昭○脚本:尾西兼一○撮影:加藤雄大○美術:桧宮敏之○音楽:渡辺俊之○原作:城山三郎○プロデューサー:田中芳之/加藤貢/手塚治/加藤光
キャスト北大路欣也(広田弘毅)、高橋惠子(広田静子)、山本耕史(広田正雄)、橋爪功(佐藤賢了)、大滝秀治(西園寺公望)、内藤剛志(山本五十六)、津川雅彦(吉田茂)ほか
ストーリー外務官僚出身で国際感覚をもつ広田弘毅は、暴走する軍部を押さえ込むため総理の座に担ぎ出されるが、結局軍部によって総辞職に追い込まれてしまう。その後の戦争と敗戦を経て、突然広田はA級戦犯として東京裁判で戦争責任を問われる。周囲がみな無実を信じるなか、広田自身は「責任はある」と自覚していた。
解説むしろ軍部に抵抗する側でありながらA級戦犯として処刑された唯一の文官・広田弘毅の生涯を描いた城山三郎の原作小説をドラマ化(滝沢修主演による1976年版もある)。原作では吉田茂との対照的な生き方が印象的なのだが、このドラマでは家族との関係を中心に小ぶりにまとめた印象。
メディア現時点でソフト化はされていない。

あの戦争は何だったのか
日米開戦と東條英機

2008年
TBS
ドキュメンタリードラマ(135分)
スタッフ○監督:鴨下信一○脚本:池端俊策○監修:保阪正康
キャストビートたけし(東條英機)、阿部寛(石井秋穂)、高橋克典(吉原政一)、橋爪功(東郷茂徳)、風間杜夫(木戸幸一)、山口祐一郎(近衛文麿)、伊武雅刀(嶋田繁太郎)、平野忠彦(杉山元)、高橋克実(武藤章)、木村祐一(佐藤賢了)、西田敏行(徳富蘇峰)、市川団十郎(山本五十六)、野村萬斎(昭和天皇)ほか
ストーリー敗戦後の昭和23年、新聞記者の吉原は開戦を煽った文化人・徳富蘇峰に取材し、日米開戦に至る裏舞台を聞き出す。当時、参謀本部および陸軍省、そして世論では開戦強硬論が巻き起こり、外交交渉での決着をはかろうとした近衛文麿は内閣を投げ出した。昭和天皇は「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と開戦派と目されていた東條英樹に組閣を命じ、あくまで日米外交を進め戦争回避の意向を示した。これに従い東條は交渉再開の方向で陸軍・海軍・外務の意見をまとめようとするが、強硬な陸軍と統帥部、予算分捕りを目論む海軍の前に少数の避戦論は力を失っていく。避戦派の石井秋穂中佐は最後の奇策を東條に進言するが…
解説戦争そのものに比べてあまり取り上げられない開戦に至る国家指導層の動向を描いた意欲作。単純に東條個人を責めるのではなくむしろ当時の日本指導部の組織的欠陥、マスコミや世論に押されて力なく流されていく様子を同情的に、ドキュメントタッチで淡々と描いた(ドラマ途中でドキュメンタリーも挿入される)。豪華キャストでの緊張感ある映像、昭和史研究家・保阪正康氏の著作を原作にして堅実な内容となったが、ドラマとしての面白みにはいま一つ欠ける感もあった。
メディア現時点でソフト化はされていない。

気骨の判決
2009年
NHK名古屋放送局
NHKスペシャル終戦特集ドラマ(90分)
スタッフ○脚本:西岡琢也○演出:柳川強○原案:清永聡○チーフプロデューサー:磯智明
キャスト小林薫(吉田久)、國村隼(伊地知健吉)、渡辺哲(兼吉征司)、山本圭(司法大臣)、麻生祐未(吉田節子)ほか
ストーリー戦時中の1942年に行われた衆議院選挙では「大政翼賛会」に属さない独自候補に対し露骨なまでの選挙妨害が行われた。鹿児島の選挙区で敗れた候補が県政や教育者ぐるみで妨害が行われた選挙の無効を裁判所に訴える。大審院の吉田久は実態を調査、数々の妨害を受けながらも1945年3月に「選挙無効」の画期的判決を打ちだす。
解説あまりとりあげられることのない戦時中の議会選挙の実態と、それを司法の立場から勇気ある無効判決を下した知られざる史実を取り上げた意欲作。架空人物ではあるが苦悩しつつ戦争協力と選挙妨害に与する國村隼の校長が印象的。
メディア現時点でソフト化はされていない。

日本敗れず
1954年
新東宝
白黒映画(102分)
スタッフ○監督:阿部豊○脚本:館岡謙之助○撮影:横山実○美術:進藤誠吾○音楽:鈴木静一○総指揮:田辺宗英
キャスト早川雪洲(川浪陸相)、藤田進(中田大将)、斎藤達雄(首相)、山村聡(南郷外相)、細川俊夫(畑少佐)、丹波哲郎(松崎少佐)ほか
ストーリー1945年、日本は東京はじめ各地に大空襲を受け、沖縄も失い、原子爆弾も投下された。ついに政府はポツダム宣言を受諾して無条件降伏を決定するが、陸軍の若手将校らはあくまで戦争継続を訴え、川浪陸相にクーデター実行を迫る。川浪はそれには載らなかったが将校の一部は蜂起を実行、宮城を占拠して玉音放送の録音盤を奪い取ろうと画策する。
解説下記「日本のいちばん長い日」と全く同じテーマを終戦からわずか9年という時期に映画にしてしまった一本。さすがに時代が近すぎるので実在人物はすべてもじった仮名で登場する。脚本・演出ともにひねりがなく淡々としていて「いちばん長い日」と比較されてしまうのが気の毒な映画だが、この時期でこのテーマに正面から取り組んだことは評価されていい。玉音放送が流れるなか生まれた子供たちが映画公開時の時点で小学校で遊ぶ姿が映される希望に満ちたラストも忘れがたい。
メディアDVD発売:オフィスワイケー

日本のいちばん長い日
1967年
東宝
白黒映画(158分)
スタッフ○監督:岡本喜八○脚本:橋本忍○撮影:村井博○美術:阿久根巌○音楽:佐藤勝○原作:大宅荘一(実際は半藤一利)○製作:藤本真澄/田中友幸
キャスト三船敏郎(阿南陸相)、高橋悦史(井田中佐)、中丸忠雄(椎崎中佐)、佐藤允(古賀少佐)、黒沢利男(畑中少佐)、宮口精二(東郷茂徳)、山村聡(米内光政)、島田正吾(森近衛師団長)、小林桂樹(徳川侍従)、松本幸四郎(昭和天皇)、笠智衆(鈴木貫太郎首相)ほか
ストーリー1945年8月。日本は沖縄も失い、敗戦は決定的となっていた。政府では本土決戦を叫ぶ軍部と講和派が対立していたが、原爆投下、ソ連の参戦を受けて、8月14日、昭和天皇が降伏の「聖断」を下す。政府は各国への通知・玉音放送の準備を始めるが、陸軍の一部はこれの断固阻止を図る。そして8月14日の深夜、玉音放送の録音版を奪うべく、陸軍の一部がクーデターを決行した!
解説コメディとアクションの鬼才・岡本喜八監督が描いた実録もの。8月14日正午から玉音放送が始まる8月15日正午までの24時間の刻一刻を、息詰まる緊張感で一気に見せる傑作である。登場人物の全てが実在で、そのリアリティはただごとではない(よく考えると、演じてる本人達もその時代の記憶が生々しい頃だ)。当時の東宝のまさにオールスターキャスト(チョイ役でも大物が多数出演)で臨んだ大作で、以後の「8.15シリーズ」へとつながっていく。戦闘シーンはほとんど無いが、個人的に日本最高の「戦争映画」だと思っている。
メディアDVD発売:東宝

日本のいちばん長い日
2015年
「日本のいちばん長い日」製作委員会
松竹
カラー映画(136分)
スタッフ○監督・脚本:原田眞人○撮影:柴主高秀○美術:原田哲男○音楽:富貴晴美○原作:半藤一利○プロデューサー:榎望/新垣弘隆○エグゼクティブプロデューサー:関根真吾/豊島雅郎○製作総指揮:迫本淳一
キャスト役所広司(阿南惟幾)、本木雅弘(昭和天皇)、松坂桃季(畑中健二)、堤真一(迫水久常)、神野三鈴(阿南綾子)、大場泰正(井田正孝)、中嶋しゅう(東條英機)、山崎努(鈴木貫太郎)ほか
ストーリー日本の敗色濃厚の1945年4月、昭和天皇から組閣を命じられ首相となった鈴木貫太郎は、表面的には戦争継続の姿勢を見せつつ天皇の「聖断」による戦争終結へと動く。陸軍大臣の阿南惟幾もまた、本土決戦を唱える陸軍将校らを巧みに抑え込みながら天皇の意思に従い終戦へ持ち込もうとしていた。だが畑中少佐ら陸軍内の強硬派は近衛師団長を殺害して決起、宮城を占拠して玉音放送の録音盤を奪取しようとする。
解説終戦70周年記念企画で、上記の岡本喜八監督版のリメイクというより、半藤一利原作の再映画化といった趣き。旧作ではあまり出てこなかった昭和天皇の出番を増やし、鈴木首相の老獪さ、阿南陸相の内面や家族描写など新資料も参考に旧作とはまた違った解釈と雰囲気をもつ映画となった。
メディアDVD/BD発売:松竹

玉音放送を作った男たち
2015年
NHK/テレビマンユニオン
ザ・プレミアム(90分)
スタッフ○脚本・演出:佐藤善木○撮影:今泉尚亮○美術:岩本一成○音楽:富貴晴美○プロデューサー:千葉昭人○制作統括:鈴木真美/富田朋子
キャスト柄本明(下村宏)、青木崇高(川本信正)、瀬戸康史(和田信賢)、高橋一生(畑中健二)、豊原功補(久富達夫)、上田耕一(鈴木貫太郎)、原田美枝子(下村文)ほか
ストーリー逓信省、朝日新聞などを経て昭和18年に日本放送協会会長となった下村宏は、天皇自身がラジオを通して国民に直接呼びかける「玉音放送」のアイデアを思いつく。この時は実現しなかったが昭和20年に下村は鈴木内閣の情報局総裁となり、ポツダム宣言受諾が決定すると天皇に直接面会して「玉音放送」を提案する。8月14日に下村の指揮で「玉音放送」の録音が行われるが、録音盤奪取を狙う畑中少佐らの宮城占拠事件が起こり、下村たちの命も危うくなる。
解説たびたび映像化された「敗戦前夜」もので、NHKが終戦70周年企画としてNHK関係者の目から見た玉音放送の内幕をドラマ化。
メディア現時点でソフト化は未定。

大日本帝国
1982年
東映/シナノ企画
カラー映画(180分)
スタッフ○監督:舛田利雄○脚本:笠原和夫○撮影:飯村雅彦○美術:北川弘○音楽:山本直純○企画:幸田清/天尾完次/太田浩児/瀬戸恒雄
キャスト丹波哲郎(東条英機)、市村萬次郎(昭和天皇)、若山富三郎(石原完爾)、三浦友和(小田島剛一)、あおい輝彦(小林幸吉)、関根恵子(美代)、篠田三郎(江上孝)、夏目雅子(京子/マリア)、西郷輝彦(大門勲)ほか
ストーリー日中戦争が泥沼化し、ABCD包囲陣による経済封鎖の中、東条英機は昭和天皇に首相に任じられる。天皇の意向は和平だったが、「ハル・ノート」を突きつけられた東条内閣はやむなく開戦を決議する。初め快進撃する日本だったが、やがて各地で敗走・玉砕、そして敗戦へ。そして戦争が終わっても戦犯として裁かれる人々がいた。
解説「二百三高地」に続く東映戦争大作。前作同様に天皇から庶民まで多くの人物をパノラマ的に登場させ、太平洋戦争を描写していく。公開当時タイトルのインパクトもあって激しい非難も浴びた作品であるが、少なくとも戦場レベルでの描写では日本軍の他民族に対する横暴や自国民の生命を軽視する傾向、そして玉砕の異様さもキチンと描かれている。戦時下にしぶとく生き抜こうとする庶民の描写もあって姿勢も結構前向きである。問題なのは東条をはじめとする政治家・軍人など国家指導層の描き方が甘く(というか量が少ない)、日本が「被害者」という印象を強く与えている点だろう。
メディアDVD発売:東映

山河燃ゆ
1984年
NHK
大河ドラマ(全51回)
スタッフ○脚本:市川森一/香取俊介○演出:村上佑二/伊豫田静弘/佐藤幹夫/松岡孝治/田島照/松平保久/小林武○カメラ:三浦国男/杉山設郎○美術:斉藤博巳/南波靖造/石村嘉孝○音楽:林光○原作:山崎豊子○制作:近藤晋
キャスト松本幸四郎(天羽賢治)、西田敏行(天羽忠)、大原麗子(三島典子)、島田陽子(井本梛子)、沢田研二(チャーリー田宮)、多岐川裕美(エミー)、堤大二郎(天羽勇)、篠田三郎(三島啓介)、児玉清(島木文弥)、川谷拓三(川辺庄平)、柴田恭兵(荒木義勝)、鶴田浩二(東郷茂徳)、渥美国泰(東條英機)、津島恵子(天羽テル)、三船敏郎(天羽乙七)ほか
ストーリー日系アメリカ人二世の天羽賢治は青年期を日本で過ごし日本の大学を卒業する。二・二六事件から日中戦争へと向かう軍国主義傾向の世相の中で、自由主義的な賢治や友人たちは特高警察の弾圧を受け、ついに賢治は国外追放処分を受けアメリカに帰国。間もなく太平洋戦争が勃発すると天羽一家を含めた日系アメリカ人は強制収容所に押し込められ、賢治は語学将校としてアメリカ軍に協力することに。一方、日本に残った賢治の弟・忠は日本人として徴兵を受け、こちらも二世への差別に苦しみ、フィリピンの戦場で敵味方で賢治と邂逅する。戦争が終わって開始された東京裁判に賢治はモニターとして参加するが、そこで国家と戦争をめぐる不条理を目の当たりにして苦悩する。
解説近現代史大河ドラマの第1作で、日系アメリカ人からの視点で太平洋戦争を正面から扱った力作。山崎豊子の小説「二つの祖国」を原作としているが、原作にはない戦中期日本を描く部分を大幅に追加してバランスをとっている。なお他の山崎作品同様に主人公にはほぼ同じ経歴のモデルが存在し、日系人社会についても多くの取材が重ねられているが、当の日系アメリカ人の一部からはその内容について強い反発もあり、アメリカでは放映できなかった。劇中昭和天皇も登場(後ろ姿と声のみ)するなど「登場人物が存命のうちに作られた唯一の大河ドラマ」でもある。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズ(2015年にようやく実現)

大東亜戦争と国際裁判
1959年
新東宝
カラー映画(104分)
スタッフ○監督:小森白○脚本:館岡謙之助○撮影:岡戸嘉外○美術:鳥居塚誠一○音楽:小沢秀雄○企画:伊藤基彦/竹中美弘○製作総指揮:大蔵貢
キャスト嵐寛寿郎(東條英機)、高田稔(近衛文麿)、林寛(東郷重徳)、清水将夫(広田弘毅)、岡譲二(阿南惟幾)、高杉早苗(東條夫人)、徳大寺君枝(広田夫人)、堀内貞夫(重光葵)、竜崎一郎(山本五十六)ほか
ストーリー「ABCD包囲網」による経済封鎖を受けた日本は、東條英機内閣のもとで対米英戦争「大東亜戦争」を開始する。戦争は敗北に終わり、占領軍により東條ら「A級戦犯」容疑者が逮捕され、彼らを裁く「極東国際軍事裁判」が開かれる。
解説新東宝製作の戦争映画の一本だが、そろそろ経営的に厳しくなっていた時期のため、太平洋戦争はほんの30分のダイジェストで片づけられ、あとは延々と東京裁判の模様が再現される(退屈ではあるが再現度は結構高い)。復古調が目立つ新東宝戦争映画なので東條らに同情的な描き方でもあるのだが、結局ラストでは平和万歳、戦争反対になってしまうのが不思議。
メディアDVD発売:バップ

東京裁判
1983年
講談社
白黒映画(277分)
スタッフ○監督:小林正樹○脚本:小林正樹/小笠原清○音楽:武満徹○原案:稲垣俊○プロデューサー:荒木正也/安武龍○総プロデューサー:須藤博
キャスト佐藤慶(ナレーション)
ストーリーポツダム宣言、原爆投下を経て玉音放送により太平洋戦争は終わった。占領軍によりA級戦犯容疑者が逮捕され、日本の戦争責任を裁く「東京裁判」が開始される。勝者が敗者を裁く裁判自体への疑問の声、天皇免責といった政治的圧力を含みながらも、裁判は満州事変から日中戦争、太平洋戦争へと至る国家指導者の責任を明らかにしてゆく。
解説劇映画の巨匠である小林正樹監督が、膨大な記録フィルムを編集・再構成して「東京裁判」の全貌をスクリーンに再現した、総時間4時間半のドキュメンタリー大作。裁判そのものへの疑問もしっかり提示しつつも、戦争指導者本人たちの言動を通して日本が戦争に突き進んだ歴史的経緯を暴き出してゆくところは実にスリリングで、まぎれもなく「歴史映画」である。
メディアDVD発売:キングレコード

プライド
運命の瞬間

1998年
東映/東京映像
カラー映画(161分)
スタッフ○監督:伊藤俊也○脚本:松田寛夫/伊藤俊也○撮影:加藤雄大○美術:内藤昭○音楽:大島ミチル○特撮監督:中野昭慶○製作:浅野勝昭○プロデューサー:田中壽一/奈村協/中山正久

キャスト
津川雅彦(東條英機)、スレッシュ=オビロイ(パール)、スコット=ウィルソン(キーナン)、奥田瑛二(清瀬一郎)、ロニー=コックス(ウェッブ)、大鶴義丹(立花泰男)、いしだあゆみ(東條かつ子)、寺田農(重光葵)、石橋蓮司(大川周明)ほか
ストーリー太平洋戦争開戦を実行した東條英機は、敗戦後にA級戦犯に指定され、逮捕直前に拳銃自殺を図るが一命をとりとめる。間もなく始まった極東国際軍事裁判で東條は「プライド」を賭けたたった一人の戦いを始める。
解説東條英機の視点から東京裁判を描いた作品。裁判の綿密な再現や俳優陣の熱演は見物だが、あからさまな東條美化・侵略否定の姿勢が目に付く。だいたいインド独立のシーンがチョコチョコはさまるのは何なのか(もちろん「日本のおかげ」という錯覚を誘導するため)。もともとパール判事を描く企画が東條に変更されたため展開もムチャクチャである。「東條が昭和天皇の身代わりになった」と美化するあまり、はからずも昭和天皇が本来の責任者に見えてくるとの「評価」もあったりする。
メディアDVD発売:東映

ドラマ「東京裁判」
TOKYO TRIAL

2016年/日本・カナダ。オランダ
NHK/DCTV/FATT
カラーTVドラマ(全4回)
スタッフ○演出:ピーター=フェルフーフ/ロブ=キン/高橋陽一郎○脚本:高橋陽一郎/ロブ=キング/高木徹/ケース=ファンバイナム/マックス=マニックス○撮影:ロルフ=テケンズ○美術:ハリー=アメルラン/川口直次○音楽:中島ノブユキ(OP)/ロバート=カルリ〇製作総指揮:結城崇史

キャスト
マルセル=ヘンセマ(レーリンク)、イルファン=カーン(パル)、ジョナサン=ハイド(ウェッブ)、ポール=フリーマン(パトリック)、セルジュ=アザナヴィシウス(ベルナール)、デヴィッド=ツェ(梅汝璈)、ベルト=マティアス(ハアニーリョ)、スティーブン=マクハティ(マクドゥガル)、ジュリアン=ワダム(ノースクロフト)、ティム=アハーン(クレイマー)、ケストューティス=ヤクスタス(ザリヤノフ)、ダグラス=アイアンサイド(マッカーサー)、ハーディック=ミニス(シュナイダー)。塚本晋也(竹山道雄)ほか
ストーリー1946年、日本の戦争犯罪を裁く「極東国際軍事裁判」のために世界各国から11人の判事が東京に集まった。最大の争点は戦争指導者を「平和に対する罪」で裁くことができるのかという問題で、インドのパル判事はこれを「事後法」であるとして無罪を主張、オランダのレーリンク判事も同調するが、侵略を受けた中国・フィリピンの判事は有罪にすることを強く主張、英米諸国の判事も戦争防止のためにもこの機に戦争指導者を裁くことの必要性を主張する。1000日に及ぶ討論と駆け引きの末についに判決が言い渡される。
解説東京裁判から70周年ということで国際的態勢で製作された再現ドラマ。これまで意外と光が当てられなかった各国の判事たちに焦点を絞り、彼らの部分のみドラマで撮影して被告側は記録フィルムをもとに合成している。歴史的・政治的なテーマもさることながら「裁判ドラマ」としての見ごたえもあり、「11人の怒れる判事」状態。
メディア現時点ではソフト化されていない。NHKアーカイブスで鑑賞可能。


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