選挙で動く党員と反発サボタージュする党員
志位式選挙総括への25万党員の反感と内部崩壊テンポ
供託金支援基金にたいし党費納入党員の57.6%が納入拒否・不服従
(宮地作成)
〔目次〕
1、選挙10連続大敗北でも毎回の詭弁総括理由=トップ自己保身政党
1、2007年参院選3連続惨敗の詭弁総括=責任転嫁 (表1、2)
2、2009年総選挙4連続惨敗の詭弁・強弁総括 (表3)
〔第1階層〕、党中央への絶対忠誠・献身の専従・党機関委員・議員の計3万人 (表4)
〔第2階層〕、党中央方針の無条件実践・献身をする支部LC5万人
〔第3階層〕、選挙総括・国政選挙方針に積極的批判・抵抗する「自主的思考」党員
〔第4階層〕、消極的抵抗、批判・不満を沈潜→選挙活動サボタージュ党員化 (表5)
〔第5階層〕、離党拒絶システム→支部会議出席拒否・党費納入拒否の党内離脱党員化
3、国政選挙供託金支援基金にたいし党費納入党員の57.6%が納入拒否・不服従 (表6、7)
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『じり貧的瓦解4段階経過と第5段階への転落結果』1980年〜2009年総選挙結果
『なぜ民主集中制の擁護か』3つの虚構
『ゆううつなる党派』民主主義的中央集権制の4システム
1、選挙10連続大敗北でも毎回の詭弁総括理由=トップ自己保身政党
明白な事実は、志位・市田・不破ら常幹トップが、これら選挙連続惨敗結果に直面しても、(1)一度も、彼ら常幹トップの路線・選挙政策・選挙方針についての誤りを認めたことがなく、自己批判したこともないことである。(2)それだけでなく、詭弁を使って、敗北でなく、前進、善戦健闘だったとした。(3)一方で、後退を全面否定もできないときは、外部要因か、中間機関や支部党員の活動レベルに責任転嫁をした。それらによって、共産党員・読者・有権者を騙してきた。その詭弁総括内容を、最近の惨敗選挙3つの(表)で確認する。
『衆院選・参院選・都議選10連続惨敗結果が示すこと』選挙結果データ
〔小目次〕
1、2007年参院選3連続惨敗の詭弁総括=責任転嫁 (表1、2)
2、2009年総選挙4連続惨敗の詭弁・強弁総括 (表3)
1、2007年参院選3連続惨敗の詭弁総括=責任転嫁 (表1、2)
2007年9月9日5中総の志位報告を見る。選挙の結果は、比例代表での獲得議席は三議席、選挙区では議席を失い、改選五議席から三議席に後退しました。議席を後退させたことは残念であります。同時に、比例代表で、前回、前々回の参議院選挙の到達点を基本的に維持する四百四十万票(得票率7・5%)を獲得したことは、貴重であります。
共産党『5中総・志位報告』全文07年9月9日
参院選結果に関して触れたデータは、たったのこれだけしかない。これらの結果公表には統計のからくり・欺瞞・隠蔽がある。そもそも、選挙結果総括といえば、議席・得票数・得票率の増減を、比例代表・選挙区ともすべて明記するのが常識である。それら6項目とともに、供託金没収を合わせれば、8項目の結果データを具体的に明記するのが、当然の選挙総括になる。都合が悪いデータを隠蔽する欺瞞手口は(表)で検証する。
(表1) 参院選結果8項目と5中総項目との比較
07年結果 |
真相データ |
共産党5中総 |
||
結果 |
増減 |
|||
選挙区 |
議席 |
0 |
−1 |
議席を失った |
得票数 |
516.4 |
−35.6 |
(沈黙による隠蔽) |
|
得票率 |
8.70 |
−1.14 |
(沈黙による隠蔽) |
|
供託金没収 |
31人9300万円 |
(沈黙による隠蔽) |
||
比例代表 |
議席 |
3 |
−1 |
1議席減の結果 |
得票数 |
440.8 |
+4.5 |
前回・前々回得票を上回る440万票 |
|
得票率 |
7.48 |
-0.32 |
(沈黙による隠蔽) |
|
供託金没収 |
11人6600万円 |
(沈黙による隠蔽) |
||
全体評価 |
議席・得票数・得票率とも全面惨敗 |
残念 (敗北・惨敗と認めず) |
志位報告は、比例代表得票数が4万5364票増加し、前回・前々回得票を上回る440万票になったからとし、敗北・惨敗真相を隠蔽している。この数値報告のやり方は、志位が得意とする党員騙しのペテンである。その真相を検証する。
得票数が、投票率・有権者数の増減と不可分な関係にあることを考慮することは、専門家の選挙結果分析の常道である。投票率は、56.54%→58.63%に上がり、+2.09%増えた。よって、党派別得票数合計は、5593万1785票→5891万3683票となり、+298万1898票増加した。共産党の今回得票率は、7.48%である。共産党がそれに比例して増加すべき得票数の計算式は次になる。増加得票数合計298万1898票×7.48%≒+22万3046票となる。ところが、共産党は4万5364票しか増えなかった。
となると、議席惨敗だけでなく、共産党の得票数も実質的に激減している計算になる。得票数の面でも、4万5364票−22万3046票=−17万7682票という惨敗結果だった。実質として、17万票も減らした惨敗だったのに、志位・市田・不破らは、「上回った」と数値の表面的比較で、党費納入25万党員を騙している。
得票数が「上回った」のに、なぜ1人減り、3人しか当選できなかったのか。その理由は、ドント式の比例代表当選者48議席配分システムにおいて、前回比で実質17万票も減らしたので、共産党4人目は、48位以内に入らず、落選したことにある。志位和夫は、(1)17万票実質激減と、(2)1人減ったこととの相関関係を覆い隠す詭弁を使っている。これは、志位・市田・不破らが、1人減理由について、党内にたいする説明責任を放棄しただけでなく、むしろ、「上回った」から敗北でないと目くらまし犯罪を掛けていると規定できる。
比例代表に関する志位報告は、(1)議席4→3への1議席・25%減、(2)得票数は実質17万票激減、(3)得票率は0.32%減、(4)供託金17人中11人・6600万円没収という選挙総括4指標とも全面惨敗だった真相を、上っ面の名目得票数増加数値と沈黙による隠蔽手口によって、党費納入25万党員を欺いたペテン内容だった。
(表2) 参院選惨敗要因の真相と5中総の詭弁・隠蔽
惨敗要因の真相 |
5中総の詭弁・隠蔽 |
|
党中央要因 |
(1)「オール与党」と「確かな野党」という画一的でうぬぼれた政党規定 (2)「靖国派を中軸とした内閣」−誰も口にしなかった不評なキャッチコピー (3)46選挙区立候補による野党票分断、自公政権存続支援戦略という左翼反動犯罪 (4)比例代表立候補者−従来の25人→5人に激減→当初公示日直前に泡沫・無名候補者12人追加をした右往左往のうろたえ戦術 (5)平和共同候補実現運動への敵対と詭弁=憲法改悪阻止議席獲得展望を欠いた片手落ち戦略の空想性・政党としての無責任性 (6)政権交代阻止戦略政党と閉鎖的な犯罪的組織原則政党の本質を露呈 |
(1)党中央路線・政治論戦・政策・戦術に誤りなく、すべて正しかった (2)綱領・歴史の紹介で党中央のイニシアチブに弱さがあった |
外部要因 |
自公政権にたいする国民の空前の怒りにおける共産党への投票激増見込という絶好条件 |
(1)自公政権への怒りが民主党に投票する流れ、(2)二大政党づくりキャンペーンという「反共シフト」の厳しい条件 |
下部要因 |
(1)選挙連続惨敗毎の責任逃れ総括・下部への責任転嫁総括にたいする憤りと、破綻した計画的党勢拡大路線継続への怒りに基づく選挙活動・党勢拡大サボタージュ党員、供託金募金納入拒否党員の激増 (2)そこから未結集党員増加→党費納入率63%に激減=幽霊党員37%・15万人に |
全支部と全党員の決起という点では、何らかの形で選挙戦をたたかった支部は九割、党員は五割から七割 (県、地区委員長からの共通した感想というからくり形式で下部批判をし、惨敗要因の責任転嫁をしている) 冷静にみれば、やはりやるべきことができていなかった。宣伝、対話・支持拡大の到達、党勢拡大の到達、党員・後援会員のたちあがり、結局、これらの到達が得票結果となって示された。なんといっても働きかけた総量が少なすぎた |
志位和夫は、残念という日本語しか知らないらしい。(表1、2)の比較データを見ても、これは、選挙総括と言えるレベルをまるで欠いている。よくぞ、このような欺瞞・隠蔽報告、下部への責任転嫁報告ができるものだと、あまりにも結果責任回避の鉄面皮ぶりには、怒るどころか、感心させられる。
2、2009年総選挙4連続惨敗の詭弁・強弁総括 (表4)
09年総選挙比例代表において、共産党は、(1)議席で24→20→9→9→9となった。議席を減らさなかった。比例代表投票率が69.27%へと、1.81%アップした。しかし、(2)得票数は、492→494.4万票へと、2.4万票増やした。(3)得票率が7.25%→7.03%へと、0.22%ダウンした。志位和夫は、議席・得票数・得票率の結果をどう評価したのか。
議席を減らした各選挙では、「残念」とだけ言い、投票率アップを原因とする名目得票数増加を「前進」とする詭弁・強弁総括で、有権者・党員・読者を騙してきた。選挙10連続惨敗結果にたいし、「敗北」「党中央の誤り」を認めたことは一度もない。
(表3) 総選挙総括の志位式詭弁・強弁
総選挙結果の真実 |
志位・常幹の詭弁・強弁 |
|
1、議席 |
24→20→9→9→9。3回連続9議席 |
比例代表で9議席、現有議席を確保 |
2、得票数 |
05年491万9187票→09年494万3886票で、2万4699票増。一方、比例代表投票率は、67.46%→69.27%へと、1.81%アップ。投票総数は、05年67811069票→09年70370255票へと、255万9186票増加。 投票率1.81%アップ、255万票増加に比例すれば、共産党はとれだけの得票数を増やしているべきかというテーマが浮上。 255万9186票増加×共産党得票率7.03%≒17万9910票を増やしているはず。この得票数差は、実質的な得票数減少を意味。17万9910票増えたはず−2万4699票増やした=実質的に15万5211票を減らした敗北。それは、得票率05年7.25%→09年7.03%=0.22%ダウンデータと一致。得票率ダウンは、実質的な得票数15.5万票減の惨敗結果を証明。 |
491万9千票から494万4千票へと前進 |
3、得票率 |
7.25%→7.03%、0.22%ダウン |
7.25%から7.03%に後退したものの |
4、小選挙区 |
得票率10%以上小選挙区数は、96年190→00年162→03年65→05年52→09年28と激減。 得票数は、05年立候補しなかった広島6区を除く151選挙区どうしなら比較できる。151小選挙区間を比べると、得票数が25万3800票減り、05年得票数より8%減少という大敗北結果。 |
沈黙・隠蔽、一言も触れないで、知らぬ顔。志位・市田・不破らが、この惨敗結果を隠し、沈黙した気持ちは哀れ。 |
5、供託金没収 |
没収額6億6600万円・没収候補者率89% |
沈黙・隠蔽、どの国政選挙でも沈黙 |
6、全体 |
(1)議席−3回連続9議席、(2)実質得票数、差引で15.5万票減、(3)得票率0.22%ダウン。日本共産党は、09年総選挙で、得票数・得票率とも全面敗北・後退。 |
自公政権を退場させた。現有議席を確保し、得票数で前進したことは、善戦・健闘といえる結果。「善戦・健闘」との総括・自己評価 |
MF生作成表『総選挙小選挙区−共産党の成績』得票率10%以上52→28に激減
『日本共産党の総選挙結果5回分データ分析』供託金没収額・%
共産党常幹『総選挙の結果について』09年9月1日−「得票数前進=善戦・健闘」
共産党『総選挙、共産党9議席守る。比例代表494万票、前回上回る』総選挙データ
3、毎回の詭弁・責任転嫁総括理由=トップ自己保身政党
一体、なぜ、常幹トップ3人は、このような詭弁・責任転嫁総括をし続けるのか。22000支部の支部長や党費納入25万党員はそれらに納得しているのか。その詭弁総括に反発・不満を持ちつつも、それでも、党費納入を拒否したり、選挙活動をやめようとしないのか。
10連続惨敗結果とその総括内容にたいする批判意見書は、党員個々人しか出すことができない。常幹トップは、それらをすべて握りつぶす。彼らは、支部内の数人連名で出されれば、分派活動として直ちに査問し、規律違反処分をする。レーニンが1921年に決定した分派禁止規定がある限り、党内下部からの批判活動によって、常幹トップが引きずり下ろされることは、100%起こりえない。彼らの地位は永遠に安泰である。
もし、常幹トップたちが、自らの誤りと連続大敗北結果をそのまま認め、自己批判を公表したら、党内に何が起きるか。常幹トップにたいする党内批判は一気に高まる。不満が沸騰するが、その解決方法は、党員・支部から一切奪われている。党勢拡大・選挙活動のやる気を失う。常幹トップにたいする批判公表のはけ口がない。残された唯一の手段は、抵抗形態としての党内離脱だけである。党内離脱とは、離党が口頭・文書でも拒絶されているからには、(1)党費納入拒否をする、(2)選挙カンパ・供託金カンパを払わない、(3)赤旗購読・配達・集金をやめる、(4)支部会議に出ないなどである。
志位・市田・不破らにとって、最良の手口は、詭弁・責任転嫁総括を続けることによって、22000支部の支部長や党費納入25万党員騙しを継続することである。常幹トップの路線・政策・方針の誤りによって、選挙10連続惨敗が発生したと認めれば、支部・党員の怒りが党外に向かって爆発するか、大量の党内離脱が続発し、常幹トップの地位・名誉・党内特権が奪われる危険が高い。その自己保身目的のためには、手段を選ばず、党員を欺くことこそが上策である。
日本共産党とは、志位・市田・不破ら常幹トップの自己保身を本質とする政党に変質したと規定できる。これら3人を引退・交代させられたとしても、新たな常幹トップたちが、分派禁止規定を堅持することによって、トップ自己保身政党体質を継続する。レーニンによる党内民主主義を抑圧する党内犯罪としての民主主義的中央集権制(Democratic Centralism)・分派禁止規定の放棄を、まず要求しないままで、3人引退・交代を唱える掲示板意見は、レーニン型前衛党・日本共産党にたいする誤った幻想を振り撒くだけである。
(1)3人引退・交代要求ではなく、まず、(2)党内民主主義を抑圧する犯罪的組織原則の放棄要求を声高に掲げるか、それとも、(3)犯罪的組織原則政党の自然死過程を見守ることこそが、日本政治の民主化を進める方向ではなかろうか。
2、25万党員がどう動き、どう反発サボタージュをするか
〔小目次〕
〔第1階層〕、党中央への絶対忠誠・献身の専従・党機関委員・議員 (表4)
〔第2階層〕、党中央方針の無条件実践・献身をする支部LC5万人
〔第3階層〕、選挙総括・国政選挙方針に積極的批判・抵抗する「自主的思考」党員
〔第4階層〕、消極的抵抗、批判・不満を沈潜下させるパターン→選挙活動サボタージュ
〔第5階層〕、離党届拒絶システム→支部会議出席拒否・党費納入拒否の党内離脱党員化
5つの党員階層への水面下分裂→共産党内部崩壊テンポアップ
党中央国政選挙方針・詭弁総括にたいする党費納入25万党員の共産党内部崩壊テンポアップ現象を、5つの党員階層への水面下分裂傾向として検討する。階層分類の基準は、不破・志位・市田指導部にたいする忠誠度、無条件献身性、反発度によるものである。水面下という意味は、Democratic Centralism・分派禁止規定という反民主主義的組織原則の下で、分裂現象が表面化しないということである。
共産党という党内民主主義を抑圧する組織においては、党員個々の反発サボタージュや党内離脱があったとしても、集団的な反発現象は表に現れることがない。すべての共産党員、とりわけ、「自主的思考」党員らは、水平的・横断的な党中央批判活動を始めれば、即座に、分派禁止規定規律違反の分派活動として、権利停止・査問と除籍・除名処分を受けることを知っているからである。
東欧革命・ソ連崩壊の時も、国民の動向は報道されていたが、共産党・レーニン型前衛党の全面崩壊は、表面的に見る限り突然だった。しかし、10カ国共産党・前衛党の水面下崩壊現象は、長期にわたって、批判党員や「自主的思考」党員の一貫した党内外排除を伴いつつ、内部分裂として進行していたことが判明した。
ヨーロッパの共産党が、1989年東欧革命から1991年ソ連崩壊の大陸地続き大津波を直接受けて、ほぼ全滅したのにたいして、発達した資本主義国において、日本共産党が唯一生き残っているのは、情報隔絶列島・東方の島国にあったとはいえ、完全崩壊した国際共産主義運動史上奇蹟的なことと言える。日本共産党も、資本主義国のヨーロッパ共産党全滅と20年前後のずれを持って、いよいよ長期にわたるじり貧的瓦解=内部崩壊過程段階に入ったと見るかどうかで、以下の分析の読み方が分かれる。
『日本共産党が生き残った理由・特殊条件』アジアで4党−中国・ベトナム・北朝鮮・日本
〔第1階層〕、党中央への絶対忠誠・献身の専従・党機関委員・議員の計3万人
(表4) 専従・執行機関委員・機関委員数
機構 |
党機関 |
専従数 |
執行機関(常任委員会) |
各級委員会 |
|
人数 |
専従比率 |
人数 |
|||
中央 |
1 |
党本部800 |
常任幹部会22 |
100% |
198 |
都道府県 |
47 |
各25〜35。1500 |
各10〜15。470〜750 |
100% |
各50〜70。2500〜3500 |
地区 |
315 |
各3〜7。1000〜1700 |
各7〜10。3000数百 |
50〜70%。(他は議員) |
各50〜70。17000〜25000 |
合計 |
362 |
約4000 議員3028 |
4000〜4500 (内専従2500〜3000) |
20000〜30000 (議員を含む) |
(表)の説明をする。
1)、党機関 地区委員会数を党中央は、公表したことがない。316地区というのは、元常任幹部会員筆坂秀世の証言である。ただ、08年度政治資金報告書は、314地区としている。10年3月、市田書記局長は、全国地区委員長会議で、党史上初めて、315地区と報告・公表した。
2)、専従数 (1)、党本部専従数は、党中央広報部の発表数字で、1998年2月2日、朝日新聞に1000人と発表し、その後、中日新聞に800人と発表した。私のHP全体では、800人としている。この数字は、代々木党本部専従、赤旗記者、国会議員秘書、新日本出版社社員、赤旗印刷配達関係専従を含んでいる。
(2)、中間機関専従は、都道府県委員会と地区委員会の規模によって、異なる。その全中間機関にある赤旗支局員も含む。
(3)、議員の共産党専従活動とのかかわりは、議会レベルによって違う。国会・都道府県議会・政令都市議会の議員は、議員活動に専念している。それにたいして、09年で3028人の市町村会議員は、議員活動以外に、かなりが地区常任委員になり、ほとんど全員が支部指導を担当している。それらの議員たちは、地方自治体から歳費支給を受けつつ、共産党専従活動をする実態としての半専従である。
よって、共産党の専従体制は、純専従約4000人と市町村会議員という半専従3028人からなる、実質的合計約7000人という驚異的な規模になっている。共産党専従とは、不破綱領の民主主義的変革→社会主義的変革(=革命)を起し、共産党が中心になった政権を樹立することを職業とする職業革命家である。
『ゆううつなる党派』専従4000人と議員3028人の実態
3)、執行機関(各級常任委員会) 共産党規約に執行機関という名前はない。しかし、それは、事実上、政策・方針を決定・指令する絶対的権限を持つ機関のことで、(1)2010年常任幹部会22人→(2)47都道府県常任委員会各10〜15人→(3)315地区常任委員会各7〜10人のDemocratic
Centralismに基づくピラミッド型の上意下達ルートが完成している。上意下達への反逆は許されない。地区常任委員会には、市町村会議員もかなり入っている。これら合計4000〜4500人が、日本共産党運営の全権力を握っている。
党中央常任幹部会22人といっても、実質的な路線・戦略・政策・戦術・拡大目標などを決定する権限は、志位・市田・不破ら3人が占有している。14カ国の共産党・前衛党すべてが、公式の委員会機構を蹂躙した少数派独裁→個人独裁へと収斂していった。それは、1921年、レーニンが、Democratic Centralismと分派禁止規定と結合させ、実態として永久的で反民主主義的な組織原則とした犯罪的誤りから、全世界のコミンテルン型共産主義運動内で発生したものである。
レーニンがしたことは、20世紀世界政党史上、党内民主主義を抑圧する最大の党内犯罪だった。それが内蔵する党内民主主義抑圧・破壊機能は、必然的に犯罪的な独裁システムを産み出し、共産党トップの独裁者たちから、思想腐敗・堕落をさせていった。
『レーニン「分派禁止規定」の見直し』逆説・1921年の危機
4)、各級委員会 中央委員会総会、47都道府県委員会総会、315地区委員会総会は、定期的に開かれている。しかし、それらの規約上の機関は、路線・政策・戦術を決定する権限を、各級執行機関によって奪われている。その会議は、執行機関が決定・具体化した方針を形式的に賛成するだけになっている。方針に反対の意見を発言しようものなら、集中的な反批判を浴びせられ、自己批判に追いこまれる。さらには、次回役員選挙では、役員任命から外される。
20000人から30000人の委員は、面従腹背者がかなりいるにしても、表向きのイエスマンである。日本共産党においては、Democratic
Centralism・分派禁止規定組織原則が、党機関内のフィードバック・システムを、完璧なまでに破壊し尽くしている。各級委員会機構を通じての、下から上への党中央改革の展望は、絶望的である。
宮本・不破・志位らによって、党中央路線・方針にたいする批判・異論を持つ専従は、これまでに完全排除されている。表立って、批判を発言する専従は、4000人中、一人もいない。それは、1972年「新日和見主義分派」事件の数年前に、宮本顕治が秘密の幹部会決定をした共産党専従の党内外排除テーゼを全面執行した成果である。その内容は、「一般党員による党中央批判は許されるが、専従が党中央批判することは許されない」という秘密人事政策である。
〔第2階層〕、党中央方針の無条件実践・献身をする支部LC5万人
このレベルを、22000支部LC8〜10万人中、半分の約5万人と推定する。支部数は、党中央公表で、28000→26000→22000と減ってきた。すでに、6000支部が崩壊、または、支部長・LCの一致で支部解党をした。その10%前後は、所属党員3人だけか、あるいは、実質的に崩壊している支部である。
とくに、学生支部の崩壊はひどく、名目上だけの支部数になっているのがかなりある。支部LC(指導部)は、3人から6人いる。平均4〜5人×22000支部≒8〜10万人いる。その内、どれだけが、選挙10連続惨敗・赤旗HNの歯止めのない減紙にもめげず、不破・志位・市田らの国政選挙方針に献身するのか。
献身的な選挙・赤旗拡大活動をする比率は半分であり、残りの5万人は、表立った批判・不信を言わないままで、「参院選・赤旗拡大活動の反発サボタージュ、手抜き」も選択肢の一つとし、積極的には動かない層になる。彼らの内のかなりは、「自主的思考」党員になる。
〔第3階層〕、選挙総括・国政選挙方針に積極的批判・抵抗する「自主的思考」党員
Democratic Centralism組織原則の下では、積極的批判を発言するのには、勇気が要る。専従・議員・地区委員であれば、表面的な反批判だけでなく、陰湿な報復を受ける。(1)専従解任の口頭通告、(2)次期選挙における候補者非推薦・候補者差し替えの口頭通告、(3)次期党会議における地区委員の機関推薦リストからの説明なしの削除などである。他の「自主的思考」党員にたいする2、3の報復ケースを見聞きすれば、党中央批判意見を抱く誰でも、党中央、党機関が見せしめケースで示した「無駄な抵抗はやめろ」という脅迫に屈従する。
『なぜ民主集中制の擁護か』党中央批判にたいする陰湿な報復スタイル
「自主的思考」党員は、私の推定で、数万人になっている。これは、一般党員だけでなく、支部LC、地区委員内にも増えている。むしろ、現役支部LCや元LCクラスという党活動経歴が長く、理論的にも高い中堅幹部党員の比率が高いと言える。しかし、表面的に批判意見を発言する党員は限られている。正規に発言するパターンだけでなく、報復を避けて、インターネットにおけるHN(ハンドルネーム)発言をしたり、さらには、ROM専門(インターネットでの批判発言を読むだけ)党員は爆発的に増えてきた。インターネットの批判発言を読むだけなら、市田忠義指揮下のDigital Police・幹部会第2事務部や各都道府県委員会組織部=反党分子対策部が網を張りめぐらす規律違反反党分子摘発インターネット・ネットワークに引っかかる怖れはないからである。「自主的思考」党員の行動パターンはいくつかある。
(1)、正規に党中央宛の批判意見書、メール批判意見を提出
これには、所属支部・本名(ペンネーム)を書かなければならない。中央委員会書記局・訴願委員会は、そのコピーを、各都道府県委員会組織部(=反党分子対策部)に送り返す。(1)一般的な意見や質問には、訴願委員会が返事を出す。しかし、(2)党中央の路線・方針批判の意見書やメールには、一切返事も出さず、黙殺・握りつぶしをする。
なぜなら、規律委員会・訴願委員会などは、党中央委員会が任命する下部組織であり、その部署は、中央委員会・常任幹部会や不破・志位・市田らの誤りを是正したり、規律違反を糾す権限を持っていないからである。
Democratic Centralism・分派禁止規定とは、あくまで党中央による中間機関・全党員を統制・管理する上意下達の組織原則であり、その実態は、官僚的Centralismである。その組織は、下部・全党による指導部統制、下部からのフィードバック・システムを意図的に破壊する機能を備えている。ヨーロッパの高度に発達した資本主義国の共産党すべてが、「レーニンの組織原則は、党内民主主義を抑圧・破壊する誤りを引き起こした」と認定し、分派禁止規定を含めて、それを全面放棄した。不思議なことに、東方の島国の日本共産党だけが、必死になってそれを保存・運用をしている。よって、正規の批判意見書提出は、なんの効果も生まない。むしろ、提出者が、にらまれ、問題党員視される逆効果を生み出す。
『ゆううつなる党派』下部・全党による指導部統制、フィードバック・システムを破壊
(2)、各党会議・委員会総会・活動者会議における正規の批判発言
党中央が決定する諸目標にたいし、会議参加幹部全員が、絶対に達成不可能と、腹の中では思っているのに、明確な批判・反対発言をした幹部は、一人もいなくなっている。「自主的思考」党員で参加している支部LCも、賛成の挙手をする。
不破・志位・市田らは、これによって、日本共産党版「トゥフタ幹部」養成作業を、さらに一段階推し進めた。もっとも、「自主的思考」党員が、下りの党会議レベルで、3つの目標数字にたいする批判意見を言っても、それは、すでに党大会決定になっているので、逆転させるには何の効果もないことは事実である。
『志位和夫「党員5カ年計画」の欺瞞性と空想性』日本共産党版「トゥフタ幹部」養成犯罪
(3)、インターネットを利用した、Democratic Centralism・分派禁止規定の積極的破壊行為
正規の意見書・メールは、党員個人が上級機関に宛てた垂直・単独意見を提出する党員権である。各会議の正規発言も党員権の一つである。しかし、上記のように、Democratic
Centralismは、下部による指導部統制を敵視し、批判者を反党分子視する思想と報復システムを内包している。仮に、それらの党員権を行使したとしても、官僚的Centralismを死守する不破・志位・市田ら自己保身幹部にたいして、なんの効き目もない。それどころか、陰湿な報復が返ってくる。
インターネットが今日のように発達する前は、党中央批判意見を、不特定多数の党員たちと、支部を超えて、水平的・横断的交流させる手段は皆無だった。不破・志位・市田らにとって、水平的・横断的交流を厳禁し、それが発覚すれば、直ちに分派活動とでっち上げ、規律違反の調査(=査問)をできるDemocratic
Centralismほど、党内管理統制と自己の地位保全にとって、ありがたい組織原則はない。正規のルートによっては、共産党トップが、下部からの批判活動で退陣させられる危険は、まるでない。
ところが、インターネットが広まるにつれて、それを利用し、不特定多数の党員たちと、支部を超えて、水平的・横断的交流をする民主主義的自由権が、無限に発達した。インターネットは、犯罪的な組織原則を、実質的に破壊できる最良の武器になった。それは、第22回大会で改悪した規約第5条5項「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」を無効にする武器である。「しんぶん赤旗」や他雑誌が、批判意見を自由に発表する場を与えていれば、この条項もそれなりの正当性を持つ。しかし、それら党内言論の自由、批判の自由権を剥奪しておいて、事実上すべての発表の場を封鎖するのは、まさに反動的条項にすぎない。
規約そのものが間違っている以上、その言論封鎖の党内犯罪規約を無視し、インターネット利用によって、反動的条項を積極的に破壊する行為は、共産党員の正当な抵抗権になる。「自主的思考」党員による利用形態はいくつかある。
第一、インターネットHP、および、掲示板の開設である。現役共産党員による批判的HP・掲示板として、「さざ波通信」がある。他にもいくつか、共産党問題を討論できる掲示板が増えてきた。
『日本共産党・民青同盟悪魔の辞典』 『さざ波通信』 『お笑い日本共産党掲示板』
Marbles『社会主義・共産党』 『秋月瑛二つぶやき日記』 『れんだいこ』
『なごみ系掲示板』 『共産党2ちゃんねる』 『小さな査問の話』
『Yahoo掲示板・共産党応援』 『Yahoo掲示板、政治・選挙』
第二、「規律違反」レッテルのHP、掲示板において、読むだけというROM行為専門の党員が激増している。市田忠義は、ROM行為だけでも、規律違反としているが、これは、いくら有能なDigital Police共産党でも、摘発できない。私のHPのように、日本共産党史上だけでなく、国際共産主義運動史上でも、もっとも凶悪な「世界で初めて、党中央を民事裁判で訴えた反革命分子」「反党分子」が書き散らす党中央批判・レーニン批判のファイルを、ROM専門で読むこともできる。
『インターネットHP攻撃政党』『掲示板発言者摘発・粛清政党』不破・志位の党内犯罪
第三、支部を越えた党員同士のメール交換である。ここで、党中央批判意見を言い合えば、これも規律違反になる。しかし、この摘発も不可能である。インターネット・メールこそ、21世紀版口コミの機能を備えている。しかも、一括転送機能を駆使すれば、瞬時に、共産党員の正当な抵抗権を行使でき、党中央批判内容のメール送信者の場合は、意識するとしないとにかかわらず、Democratic Centralism・分派禁止規定を積極的に破壊する多数派工作者の一人になる。
〔第4階層〕、消極的抵抗、批判・不満を沈潜→選挙活動サボタージュ党員化 (表5)
不破・志位・市田らにとって、もっとも恐ろしいのは、この層である。表立った批判意見を言わないが、党中央の総選挙総括や参院選方針に納得がいかないとして、選挙で動かない=選挙活動サボタージュという選択肢を選ぶ。選挙10連続惨敗結果や、赤旗HNの連続大量減紙、党内外の「逃散」現象を、身近に体験するにつれて、不破・志位・市田らの方針・指導・選挙総括にたいする疑問・不満が、ついには不信レベルにエスカレートし、党活動のやる気を失っていく党員層である。
このようなトップ自己保身政党の指導で、共産党員であり続けることの意味がないとの立場に移行する。
消極的抵抗のパターンは、いろいろある。国政選挙では、選挙活動の手抜き、反発サボタージュをする。
(1)、支持者拡大・票よみでは、質問・議論をしてくるような対象者にたいする工作を、意図的に避ける。
(2)、共産党の全戸配布ビラくばりに動かない。分担のビラまきを断れなくても、期日までに配布しない。選挙カンパだけは出す。一貫した赤旗大量減紙連続という共産党支持者「逃散」現象を、身近に体験してきた。自分が拡大した読者が、「赤旗はちっとも面白くない」と、すぐに購読を止める体験もし、もはや身近な拡大対象者もなくなっている。志位和夫の大量拡大目標と指令にたいして、彼は頭がおかしいのか、それとも、空想的目標で全党にはっぱをかけるだけのウソつきなのかと、冷めた目で軽蔑する。
(3)、支持者拡大・票よみ数の点検・追求が激しくなると、過去の選挙の票よみ数だけを、投票日ぎりぎりになって、支部LCに電話報告して、その場をしのぐ。これまた、日本共産党版「トゥフタ」となる架空活動報告になる。国政選挙では、旧来のような、支持者カードを、早くから交換・交流し合っての投票動員をするシステムは、全党的に半ば崩壊している。
志位和夫は、09年9中総において、総選挙活動に参加した党員%を発表した。そのデータから、何が判明するか。それは、共産党内部崩壊テンポアップを示している。ただ、参加党員%と不参加・サボタージュ党員%は、(1)06年第24回大会公表党員数と(2)08年度政治資金報告で判明した党費納入党員数の2つを基準として検証する。
(表5) 総選挙活動参加、不参加・サボタージュ党員
総選挙活動参加・ 不参加党員 |
志位報告の 参加党員 |
選挙本番中、日々の活動参加党員20%。06年第24回大会公表党員404299人×20%≒80859人。最終日の活動参加党員30%・121289人 |
不参加・サボタージュ党員 |
選挙本番中、日々の活動不参加・サボタージュ80%。最終日の活動不参加70% (1)公表党員404299人×80%≒323439人が選挙活動サボタージュ (2)党費納入党員257402−参加党員80859≒党費納入党員中68.5%・176543人が本番中日々の選挙活動不参加・サボタージュ |
志位和夫が報告した選挙本番中の日々の活動とは、公示日から投票前日・投票日までの12日間における連日行動参加を意味する。参加党員20%の基準は、06年第24回大会公表党員数404299人である。党費納入党員数257402人は、09年10月1日公表の08年度政治資金報告に基づく。不参加・サボタージュ党員%・数は、それらから計算する。不参加党員とは、選挙活動サボタージュ、および、党勢拡大サボタージュ党員とほぼ同質である。
〔第5階層〕、離党拒絶システム→支部会議出席拒否・党費納入拒否の党内離脱党員化
消極的抵抗層は、そのうち、支部会議を意図的に欠席するようになる。毎回の支部会議の内容が、(1)党中央決定の読了点検、(2)赤旗HN拡大の個人目標押し付け・実践点検・数字成果追求、(3)選挙カンパ額割り当て、(4)支持者拡大・票よみの個人目標とその数字追求だけで終わる、職場・地域の情勢分析や要求闘争を話し合うのは、いつも時間切れでほとんどしないか、中途半端になる。こんな支部会議は、面白くない、なんのための共産党かと疑問と不信が蓄積して行く。支部会議に出るのを、一度ずる休みをすると、だんだん足が遠のく。
ついには、党費不払い、長期未結集にずるずるとなっていく。支部LCが結集説得に来ても、消極的抵抗層の党中央批判や不満にたいして、それを解消する答えをすることができない。
さらには、正式に、口頭か文書で、「離党表明」をする。ただし、支部LCが、説得・再結集不能と判断して、支部長が、除籍を申し出ても、地区委員長・地区担当専従は、「離党届」を容易には受け付けない。必ず、再説得を指令する。なぜなら、現在、志位和夫の「党員拡大5カ年計画」遂行中なので、離党・除籍を簡単に受理すれば、地区委員長は上級機関の都道府県委員長から、都道府県委員長は不破・志位・市田らから、きびしい批判を受けることが、十分に分かっているからである。
これらの現象は、共産党からの党員・有権者「逃散」パターンといえる。日本共産党テリトリーからの「逃散」には、3種類ある。
(1)、選挙における従来からの共産党支持者が、共産党の誤りに怒って、共産党の体質に見切りをつけ、選挙における共産党への投票をやめることである。
(2)、1980年に355万人いた赤旗読者が、共産党の硬直した路線や、赤旗紙面が偏っている、面白くないとして、どんどん離れて行くことである。このまま赤旗読者の「逃散」テンポが続けば、100万人以下になるのも、時間の問題である。読者の「逃散」継続は、党財政上でも深刻な危機を引き起こす。
(3)、共産党員では、すでに、2010年第25回大会公表在籍党員40.6万人中、14.5万人が、党内離脱・所在不明のゆうれい党員となって、党中央からの「逃散」をした。党費納入25万党員中でも、5つの階層に水面下で内部分裂しつつある。〔第一階層〕と〔第二階層〕の54000人は、強固な不破・志位・市田への絶対忠誠・献身の共産党指導部隊である。しかし、とりわけ、〔第三階層〕から〔第五階層〕までの他226000人は、党中央への批判傾向を内蔵する「逃散」予備軍である。
これら3つの「逃散」現象が、今後の国政選挙において、どのような規模と形態で、発現するのか。ただ、選挙における有権者の意識動向は、さまざまな情勢変化によって影響を受ける。
3、国政選挙供託金支援基金にたいし党費納入党員の57.6%が納入拒否・不服従 (表6、7)
10年1月第25回大会は、市田書記局長による『「国政選挙供託金支援基金」についての報告と提案』を代議員1060人の全員一致で決定した。それは、06年1月第24回大会決定の総選挙小選挙区供託金基金→総選挙比例代表供託金と参院選供託金にも拡大する提案だった。
市田は、この報告において、初めて供託金基金データを次のように公表した。「総選挙で必要とされた供託金総額は、小選挙区・比例代表あわせて、7億5000万円でしたが、その6割近くに当たる4億4550万円が「供託金支援基金」から支給された」。
供託金総額は、私の計算(表)と合致している。しかし、彼は、供託金没収総額に沈黙した。私の計算では没収総額6億6600万円である。市田は、「支給」という日本語を使ったが、それは党員騙しの詭弁で、「国庫に没収された」と言うべきである。
(表6) 共産党の総選挙5回供託金と没収者数・額・率
5回目供託金−89%候補者が没収、6億6600万円
立候補 |
供託金 |
当選 |
没収者 |
没収額 |
没収者率 |
||
96年 |
小選挙区 |
299 |
8億9700円 |
2 |
109人 |
3億2700万円 |
36% |
00年 |
小選挙区 |
300 |
9億円 |
0 |
138人 |
3億9000万円 |
43% |
03年 |
小選挙区 比例代表 合計 |
300(単独269) 47(重複31) 347(重複31) |
9億円 1億8900万円 10億8900万円 |
0 9 9 |
235人 29人 264人 |
7億500万円 9500万円 7億9200万円 |
78% 重複94% 80% |
05年 |
小選挙区 比例代表 計 |
275(単独253) 39(重複22) 314(重複22) |
8億2500万円 1億6800万円 9億9300万円 |
0 9 9 |
223人 21人 244人 |
6億6900万円 6300万円 7億3100万円 |
81% 重複95% 84% |
09年 |
小選挙区 比例代表 計 |
152(単独92) 79(重複60) 171(重複60) |
2億7600万円 4億7400万円 7億5000万円 |
0 9 9 |
92人 61人 153人 |
2億7600万円 3億9000万円 6億6600万円 |
100% 77% 89% |
総選挙小選挙区の得票率10%以上は、供託金300万円が没収されない。10%以上小選挙区数は、96年190→00年162→03年65→05年52→09年28と激減してきた。09年立候補152小選挙区には、05年総選挙の10%以上52小選挙区がすべて入っていた。それが09年は28小選挙区に減った。
私が供託金没収データにこだわるのは、没収金額問題だけではない。得票率10%以上に到達する小選挙区がいかに激減してきたのかというデータによって、それが、日本共産党のじり貧的瓦解テンポを証明するバロメーターの一つになっているからである。96年と比べ、09年は、10%以上が162小選挙区・85.2%も減った。これこそ、まさに、東方の島国で唯一残存するコミンテルン型共産党の劇的な崩壊テンポを示している。
MF生作成表『総選挙小選挙区−共産党の成績』05年52→09年28と激減
比例代表大量立候補79人の供託金没収額は、次の没収基準計算式である。当選9人のままになったので、(79−当選9人×2)×600万円=61人没収で、供託金没収額3億9000万円にもなった。
没収総額6億6600万円−「供託金支援基金」から4億4550万円支給・国庫に没収=不足総額2億2050万円になる。その不足金額は、党中央や都道府県委員会が負担したと思われる。初めての市田公表データ4億4550万円から、党費納入党員のどれだけが、(1)供託金基金を出したのか、それとも、(2)納入拒否・不服従をしたのかという推計を試みる。その目的は、どれだけの党費納入党員が10年7月参院選を含め、国政選挙に取り組むのか、国政選挙活動サボタージュをするのかを見分ける上で、もう一つの予測バロメーターになるからである。
党勢拡大サボタージュ党員・支部が激増しているデータは、第25回大会中央委報告とその分析が完全証明した。鳴り物入りの「党躍進特別期間」結果が、躍進どころか、期間開始時点より、赤旗が3940部も減り、「党連続減紙期間」になったからである。
公表金額データが一つしかないので、あくまで推計だが、その前提をいくつか確認する。
(1)、党費納入党員数は、志位和夫が党史上初めて公表した党費納入率63.0%×第24回大会公表在籍党員404299人=257402人である。万単位にし約25万人として計算する。
(2)、供託金基金決定は第24回大会で、党員一定額毎月100円・年額1200円だった。
(3)、06年1月第24回大会から、09年8月総選挙までは、3年8カ月間あるが、納入実施開始から3年6カ月間=3.5年とする。
(4)、党費納入党員の全員が100%納入すれば、25万人×年間1200円×3.5年間≒10億5000万円になるはずだった。
(5)、総選挙供託金基金名目なので、07年参院選の没収供託金には支給していないと推定する。4億4550万円とは、3.5年間で納入された全額である。
これらの前提に基づいて、「供託金支援基金」から4億4550万円支給の意味を考え、推計する。
4億4550万円÷10億5000万円≒42.4%になる。この数値は何を意味するか。57.6%が納入されていない。25万党員×57.6%≒党費納入党員中14.4万人が供託金支援基金の納入拒否をし、第24回大会全員一致決定にたいし不服従をした。党費だけを納入するが、供託金基金の納入を拒否し、不服従をする。
党費納入25万党員中、供託金基金納入拒否・不服従をしている57.6%、14.4万人は、満場の拍手・満場の笑い声・満場一致挙手要員として濾過・選別された第24回大会代議員約1000人や中央委員会の国政選挙路線・方針は誤りだと判断した上での行動をした。そもそも、総選挙で立候補171人中、供託金を153人、89%、6億6600万円も国庫に没収されるような選挙戦略は完全に間違っている。そんな誤った国政選挙方針・基金決定には従う義務がない。
(1)、赤旗は30年間連続減紙している。破綻が証明され、誤った計画的党勢拡大路線の強要にたいしてはサボタージュをする。
(2)、それとともに、誤った国政選挙方針にも党員・支部ともにサボタージュをする。供託金を国庫に没収されない得票率がある総選挙比例代表・小選挙区、参院選比例代表・選挙区だけで立候補すべきではないのか。志位・市田・不破らが誤った国政選挙方針・供託金被没収戦略を放棄しないからには、正当な党員抵抗権として、供託金基金納入拒否を続け、国政選挙サボタージュをも継続する。
(3)、さらには、誤った方針にたいする抵抗行動として、党費を納入するといっても、規約規定実収入の1%を意図的に守らないで、1%以下しか出さない。
09年総選挙不参加・サボタージュ党員と、供託金基金納入拒否・不服従党員との党員数・比率は照応している。ほぼ重複している。ただ、志位和夫が報告した総選挙不参加党員とは、選挙期間12日で日々=毎日の選挙活動をしなかった党員のことであり、2〜4日は活動したかもしれない。
(表7) 総選挙活動不参加党員と、供託金基金納入拒否党員
項目−党費納入25万人中 |
時期 |
党員数 |
党員比率 |
総選挙活動不参加 |
09年総選挙12日間−日々の選挙活動 |
17.6万人 |
68.5% |
供託金基金納入拒否 |
06年第24回大会〜09年総選挙−3.5年 |
14.4万人 |
57.6% |
この(表)データは何を表しているか。党費納入25万党員中、17.6万人・68.5%党員が、志位和夫の自己保身式選挙総括に反発し、選挙活動へのやる気を失い、12日で日々=毎日の選挙活動を拒否するようになった。かつ、それらの党員と重複し、14.4万人・57.6%党員が党大会代議員約1000人を軽蔑し、満場一致50年間政党の党大会決定にたいし不服従の行動を起こした。
納入拒否・不服従をしている57.6%、14.4万人を、支部数に換算するとどうなるか。支部全員でないとしても、機械的換算では、22000支部×57.6%≒12672支部が、供託金基金納入拒否・不服従を公然としていることになる。支部としての決定でないとしても、支部長・LCらが、どうも供託金基金方針には納得でないから、納入しないと言えば、他党員も全員が納入しなくなるケースが多発する。14.4万人もが納入拒否をしていることは、支部全員が結果として不服従というケースも多いと推定される。
これだけの規模で支部・党費納入党員が、満場の拍手・笑い・満場一致挙手要員の党大会代議員約1000人を軽蔑し、06年第24回大会全員一致決定にたいし、3年半も服従しない行動を続けた。市田提案とデータは、日本共産党という民主集中制・分派禁止規定堅持の反民主主義政党、満場一致50年間政党が、党員・支部総ぐるみで下部から内部崩壊をしつつある状況・テンポを党内外にさらけ出した。
日本共産党とは、資本主義世界で東方の島国にだけ最後に残存するコミンテルン型共産党である。選挙10連続惨敗結果にもかかわらず、常幹トップ3人は、党員・有権者騙しの欺瞞的選挙総括によって、自己の党内地位・特権維持に執着してきた。しかし、そのトップ自己保身政党は、支部・党員という下部段階からの反発・不服従行動を主因として、衰弱死していくテンポに歯止めが掛からなくなったと言えよう。
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(関連ファイル)
『じり貧的瓦解4段階経過と第5段階への転落結果』1980年〜2009年総選挙結果
『なぜ民主集中制の擁護か』3つの虚構
『ゆううつなる党派』民主主義的中央集権制の4システム