BCJフォーラム(18) [05/06/06〜]


ご意見・ご感想のコーナー
BCJファンの皆様からお寄せいただいたご意見やご感想などを集めてみました。内容をできる限りBCJのみなさんにもお伝えして、お返事などを頂けましたらあわせてこのコーナーでご紹介していきたいと思っています。是非こちら[makoto-y@mxi.mesh.ne.jp]までご意見等をお寄せ下さい。特に投稿フォームは設けませんが、お送りいただいたメールの内容をこのコーナーで紹介させていただこうと考えておりますので、掲載をご希望されない場合は、その旨お書き添えいただけますようお願いいたします。(ご意見・ご感想No.337〜)

*ご意見・ご感想の中の太字表記は、当ホーム・ページの制作者によるものです。

355 《素晴らしい2公演で有終の美を飾りました》

(前略)モーツアルト・イヤーの今年の年末は、BCJの素晴らしい2公演で有終の美を飾りました。

12月16日、満員の熱気に包まれた埼玉・彩の国でヴェスペレK.339とレクイエムが演奏されました。ステージに並んだ、いつもより多少大きめのオケと合唱(4名づつに左右に分けられたヴァイオリン[なんと森田さんがヴァイオリン席に!]と各パート6名の合唱)が、アンテイフォナに続いて、鈴木さんのいつもより多少大きく気迫に満ちた指揮のもとで、全メンバーが渾身で弾き出されたDIXITの豊麗な響きは本当に衝撃的でした。いつものバッハのカンタータ・シリーズでのBCJとは違う、なんという表出的で豊かな響き! あまりのオケと合唱の壮麗さに呆然としている中で、ラウダ―テ・ドミネを天上的な清らかさで歌い上げる森麻季さんの見事な歌声には思わず流れる涙をこらえることが出来ませんでした。この世にこのような真摯で甘美な祈りが存在するなど許されることなのでしょうか?

後半の絶妙なリズムで導入されたレクイエムも、オケの深く重厚な響きと見事な合唱の壮麗なキリエのフーガ痛切なラクリモーザの哀歌などに心を奪われ、最後のルクス・エテルナの長い響きが消え去るまで、時間の経つのも忘れて聴き惚れるばかりでした。普段は著しく聴き劣りするはずのジュスマイヤー版が、今回はなんと壮麗に響いたことでしょうか。そして盛大な拍手に応えてアンコールされたアヴェ・ヴェルム・コルプスを最後に、忘れ難い演奏会は終わりました。

24日のメサイアもモーツアルトにより多彩に手が加えられた編曲版で演奏され、ヘンデル版より格段にゆたかな響きには酔いましたが、やはりヘンデルとモーツアルトの響きには微妙な相違があり、時としてモーツアルトの感情豊な響きとヘンデル特有の強靭な剛直な音楽との間に違和感が感じられたのは残念でした。今回はモーツアルト版の豊麗な響を体験出来た貴重な機会でしたが、次にはあらためて若々しく強靭なヘンデル版も聴きたいと感じた次第です。
アンコールは傑作でした。鈴木優人さん編曲のコラールのなんともユニークな響きと、客席に振り返った鈴木さんの「メリー・クリスマス」の楽しいメッセージ!

帰宅後に矢口様がHPで紹介された鈴木さんのコメントを読み返しました。
「・・・バッハは私には日常であり、非常に現実感あふれる音楽です。それに対してモーツァルトには現実から非常に遠い非日常的な美しさ、音楽そのものの美しさを求める抽象的な美しさがあります。だから今まで私達がバッハを演奏してきた時と、もちろん基本的には同じメンバーですけれども、楽器も多少違いますし、イメージは非常に違うと思います」 
全文、部分的引用などとても不可能な見事なコメントだと思いますが、まさに鈴木さんの言われた「非日常的な美しさ、抽象的な美しさ」に瞠目させられ、実り多かった今年のBCJの最後を飾るにふさわしい一晩でした。

鈴木さん・BCJのメンバーの皆さん、今年も多くの感動をありがとうございました

(玉村 稔様) (06/12/26)
モーツァルト・イヤーならではのBCJによるモーツァルト・コンサート全7公演が終了し、2006年が幕を閉じようとしています。私は7公演中、兵庫と札幌を除く5公演を拝聴することができ、大変幸せな時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!16日に彩の国で玉村様にお目にかかった際、数日前に行われたオペラシティーでの公演の感想を少々お話させていただいたところ、他日の公演と比べて如何だったかと、リクエストをいただきましたので、私が書きとめた各公演の感想をこの場でご紹介させていただきます。

12月10日 BCJ「レクィエム」公演@東京オペラシティ
BCJ初の本格的なモーツァルト作品の演奏会。前日の兵庫公演に続くツアー2日目、東京での本拠地オペラシティでの演奏だ。前半のヴェスプロはアンティフォナを挿んでの演奏。バスのドミニクが先唱を務め、男声陣が続き、さらに合唱とオケの溌剌とした音楽が続いた。
後半のレクィエムは大変大きな音楽作りだった。22人の合唱がSTBAの順に一列に並び、立体的な響きを届けてくれた。今日が初日の森嬢はやや線が細い感じだったが他の3人のソリストは余裕のある歌い振り。 オケでは出だしで木管楽器に小さな事故が起き残念だったが、素晴らしいトロンボーンのソロがそんな思いを払拭してくれ、弦楽器も透明感のある響きを聴かせてくれた。最後の5度の和音の響きが長く引き伸ばされやがて消え去った時、ホールにしばしの沈黙が保たれた。この瞬間が今日の最も美しい瞬間だった。モーツァルトの美の結晶が見えた気がした。そしてアンコール。これまた実に美しい幕切れだった。

12月16日 BCJ「レクィエム」公演@彩の国・さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場で、再びBCJのモーツァルトを聴く。インターネット上からK.339の楽譜を入手できたので、曲の仕組みがよくわかり、前回よりも細かい表現まで味わうことができた。あまり演奏される機会のない曲だがなかなか魅力的な音楽と思う。
レクィエムもアンサンブルの規模にちょうどフィットした空間を得て、よりしなやかな演奏になっていた。劇的な緊張感はオペラシティの演奏の方が感じられたが、今日の方がモーツァルトらしい響きだったように思う。

12月17日 BCJ「レクィエム」公演@佐倉市民音楽ホール
佐倉では名演が多い。人はそれを佐倉の奇跡と呼ぶが、何か理由があるはずだ。そんなことを考えながら今回のモーツァルト・イヤーに聴く最後のレクィエムに臨んだ。
素晴らしい演奏だった! まずこのホールは空間が小さい。ステージの横幅も狭いので詰めた配置になる。今回のレクィエムツアーでも、これまでの4公演では合唱は横一列の配置で、その前にソリスト4人が位置し、アンティフォナの時だけバスのドミニク氏がコアの真ん中に立ち、リードしていた。しかし佐倉では合唱は2列になり、前列のSとAの間にソロ4人が入り込む配置となった。これにより合唱メンバー相互やソロとの連携が緊密になり、よい結果につながったと思う。ステレオ効果も十分あがっていたし、マイナス要素は見当たらない。また、これも配置の関係からの変更と思うが、これまでティンパニが外で内側にトランペットが位置していたのだが、佐倉ではティンパニが内側に入ってトランペットが外になった。これにより、昨日までやや出すぎたバランスに感じられていたティンパニが、見事にアンサンブルに溶け込み、近藤さんの気の入った叩き込みがより一層効果を上げていたと思う。
また、残響が少ない会場のアコースティックもBCJの場合には好影響を及ぼしているかもしれない。前日の響きの豊富な彩の国では全体にテンポがたっぷりしていたように感じたが、佐倉では、テンポの早い曲により推進力が感じられた。また、弦楽器の細かい動きや、和声のぶつかりなどがはっきり、しっかりと伝わってきて強力なインパクトになる。このようにこのホールのすっきりした響きが、BCJの表現をより効果的に客席に伝えているのではないかと思った。一方、ゆったりしたナンバーではその表現がますます濃く深くなっている印象も受けた。これは公演を重ねたからこその深まりであろう。佐倉でのレクィエムのラクリモーサの最後や全曲の最後の和音ののばしは、管楽器奏者の皆さんのブレスがどれぐらい続くかという根比べ状態になっていた!佐倉が成田空港に近いロケーションなので、ツアーの最後の公演になることが多いこともこうしたことに関連していると思われる。今回もまさにその通り、最終公演だ。奏者の皆さんにも、やはり最後という感慨はよぎるに違いない。また、客席にも、古くからBCJを支えて来てくださった温かみがある。これこそかけがえのない財産なのかもしれない。こんな雰囲気の会場が増えていくといいなと思う。

12月23日 BCJ「メサイア(モーツァルト版)」公演@東北学院大学・泉キャンパス礼拝堂
2003年以来のモーツァルト版のメサイアを、創立120周年を迎えた仙台・東北学院大学の礼拝堂で聴いた。やはり礼拝堂で聴く宗教曲は格別だ。今回、本来はパトロンのサロンで演奏されたはずのモーツァルト版だったが、イエスの物語を美しいステンドグラスに囲まれた空間で聴けることは得難いチャンスである。木管、金管あわせての完全2管編成+3本のトロンボーンにティンパニというBCJ最大規模のオケは実に充実した響き。今井奈緒子さんによる、モーツァルトの感情表出が豊かで印象的なオルガン曲の演奏に続いてメサイアが始まる。2003年の演奏では省略されていたトロンボーン3本がまず序曲から活躍。切りつめられたヘンデルの響きとはことなるリッチな響きが残響豊かな礼拝堂の空間に拡がった。4人のソリストとも安定感のある歌唱で頼もしかったが、BCJ初登場のソプラノ、ハナ嬢の可憐な歌い回しがその美しい姿と相まって強く印象に残る。1部の終わりと最後の終わりの豊かな和音を、その響きの終わりまで、満席時でも残響3秒というこの礼拝堂の空間で楽しみたかったのだが、素晴らしい演奏に感激した聴衆からの素早い喝采が始まってしまいその願いが叶わなかったことが残念だった。しかし、多くの困難な条件にもかかわらずBCJを熱烈に迎えてくださった東北学院大学の関係者の皆さまと、聴衆のみなさんに感謝を捧げたい。

12月24日 BCJ「メサイア(モーツァルト版)」公演@サントリーホール「聖夜のメサイア2006」
前日と同じモーツァルト版のメサイアをサントリーホールで聴く。ここサントリーホールでも完全2管編成のBCJというレアなパフォーマンスは聴きごたえ十分。仙台では内側に入っていたトランペットがホルンと入れ替わって外側に出ていたのは、ティンパニとのアンサンブルを考えてのことであろうか。ソプラノのハナさんは、前日の広い礼拝堂の空間ではやや線の細い印象もあったのだが、サントリーホールの空間にはうまく響きも広がり、その音程感の素晴らしさや情感の細やかさが一層伝わってきた。再登場が楽しみだ!
アンコールは前日と同じ、鈴木優人さん編曲によるコラール幻想曲。素材となったコラールは「我、天の高みより来たる」と表示されていた。仙台での初演版はトロンボーン部隊によるアンサンブルで開始されていたが、今日の第2稿(?)では3人のトロンボーンによるユニゾンで簡潔に始められた。そして最後の和音を振り終えた鈴木雅明さんがやおら客席を振り返り「メリー・クリスマス!」と叫ぶパフォーマンス付き!会場が沸きに沸いてお開きとなった。雅明さんに終演後うかがったところ、いやぁ、あれはあの場で思いついたんですよ、とのこと。スタッフや出演者もびっくりの一幕だったようだ。 すでに来年末もこのサントリーホールでのメサイア公演が決まっているので、鈴木雅明さんにどの版で演奏する予定ですかと水を向けたところ、まだ決めていませんが、以前にもやった初演版に戻るとか、いずれにせよヘンデルの音楽に戻ってきますよ、との事でした!

(矢口) (06/12/27)

354 《Handel - Messiah》

Every year, at this time, I give thanks for the BCJ recording of The Messiah  -  a very special recording of this work.

Thank you and 'Peace at Christmas' to all.

David Trent
Yeovil, Somerset, United Kingdom
(06/12/21)
当HPは日本語のみで作成させていただいておりますが、この度何とイギリスからBCJのメサイアのCDを毎年楽しんでいらっしゃるといううれしいお便りを英語でいただきました!12/23の仙台公演のあと鈴木雅明さんにもこのメールをご覧いただいたところ、「本当に励まされます。ありがたいですね。」とおっしゃっていらっしゃいました。David Trent様、ありがとうございました!そしておくればせながらメリー・クリスマス!!
(矢口) (06/12/27)

353 《久しぶりに札幌から…》

矢口さん、ご無沙汰しております。越野@札幌です。ご無沙汰どころではありませんね。2年と2ヶ月ぶりです。
決して忘れていたわけではありませんよ。このサイトは相変わらず2、3日おきには目を通していますし、BCJのCDも着々と増えています。間もなく50枚になります。

ご無沙汰のお便りをしようと思ったのは…矢口さんはもうお気づきですね。
昨日、行ってきましたよ。9年ぶりの札幌公演、それもバッハではなく、何とモーツァルトでした。
公演については、このサイトでも紹介されていますので、一晩おいて興奮が一頻り冷めてきたところで感想をお伝えしたいと思います。

今年はモーツァルトイヤーということもあって、特にレクイエムは、定番ケルテスから始まり、著名なところは殆ど網羅し、50年前、モーツァルト200年で演奏されたヨッフムの演奏、はたまたノリントンの特徴的な演奏などを十分に楽しみました。そしてフィナーレをBCJで飾ったのですが、これには参りました。

実は前日徹夜に近い状況で、事前まで眠くて仕方がなく、絶対演奏中に寝てしまうだろうと思っていたのですが、前半ヴェスプロを聴いて飛び上がり、休憩を挟んでレクイエムの演奏に接しては、もう、目がランランと輝いて頭はすっきりするし、胸の中がすぅーっと透明になっていくのが分かりました。
そして終わりでの観客の拍手の間合いがまた絶妙でした。フライイング拍手はなく、BCJの演奏の余韻が消えたと同時に一人二人と拍手が増えてしまいには満場の割れんばかりの大拍手です。いい間合いで、あちこちからかかる「ブラボー」の声、こんなに絶妙な拍手は初めての経験です。とても素晴らしい観客との交流だったと思います。きちんと音楽に溶け込んでいれば、フライイングの拍手なんて出来ないと思います。

さて演奏は…評論するのが野暮というものです。もう何もいりません。そして、今まで聴いた中で、最高の演奏でした。
しかし、僕の後輩も言っていましたが、うますぎます。うますぎて隙がない…。こんな事にしか欠点を見出せないような、素晴らしい演奏でした。

そして前回もそうでしたが、珍しい楽器に会えるのも楽しみでした。
何でコントラバスにフレットが付いているのかと思って、よく考えてみたらバスヴィオールなんですね。また今回初めて目にする、バセットホルン。くの字に中折れしていて、先端にラッパの付いたクラリネットですね。3種類のピッチのトロンボーンもお初ですが、今のものとあまり形は違わないようでした。これらを見ているだけでも楽しくてたまらないのに、あの演奏ですもの。夕べはとてもメールしようなんて気持にはなれませんでした。

お会いしたかった方数人が欠席されていたのが残念ですが、その代わり、素晴らしい方を知りました。
森麻季さん。満点の出来ではなかったように拝察しますが、澄んでいて気持ちのいい響きの声、端麗な容姿と、見ていて非常に気持ちのいい洗練された立ち振る舞い(アクション)、同性である家内がうっとりして素敵だと言っていたほどです。本来はコロラトゥーラの方なんですね。まだお若いし、この先非常に楽しみです。彼女は間違いなく、札幌にファンを二人以上増やしましたよ(笑)。

今度札幌にいらっしゃるときには、さて、何を聴かせていただけるんでしょうね。BCJのロ短調ミサを聴くまでは、とても死ぬわけにはいきませんので、是非お願いしたいと思っております。

とりとめなく書き殴りましたが、またお便りしますね。時節柄、ご自愛されますよう。

(越野義貴様) (06/12/14)
越野様、こんにちは!さっそくの待望の札幌公演レポート、ありがとうございます!! メンバーの皆さんは、札幌に一泊され、おいしい魚などを堪能されて翌朝東京に戻られたそうです。BCJのモーツァルト/レクイエムはあと2公演。きっとこの北海道の冬の味覚パワーで、さらなる密度のモーツァルトを聴かせていただけるものと期待がふくらみます!! BCJの「ロ短調」については、CD録音が行われる来年3月には藤沢公演のみとのことですが、秋には国内ツアーを行う予定があるようにもうかがっています。3度目の札幌公演も近いうちに実現するといいですね。何といっても、アーノンクールも立ち寄る「kitara」ですから!!  
(矢口) (06/12/15)

352 《まもなく開催!「モーツァルトで二期会週間第一夜〜時を遡る夜〜」》

こんにちは、櫻田です。10月23日(月)の「モーツァルトで二期会週間第一夜〜時を遡る夜〜」のコンサートまであと2週間ほどとなりました。ただいま着々と準備を進めている最中ですが、他のメンバーとも様々なアイデアを出し合い、なかなか興味深いものとなりそうな予感がします。多くのBCJファンの方にも是非聴いて頂きたいと思うので、「VIVA!BCJ」を見ました!という方には1割引(全席自由4,000円のところを3,600円)でチケットをお分け致します(定価で買われてしまった方、ゴメンナサイ!)。僕自身の帰国が直前の17日になってしまうため、チケットの受け渡し方法は当日受付にて清算、という形をとらせていただきます。チケットのお申し込みはこちらからメールでお願いします。メールの本文に「お名前、フリガナ、お電話番号(連絡先)、ご希望枚数」をお忘れなくご記入ください。ご希望枚数を当日清算のチケットとして受付にご用意させて頂きます。どうぞよろしくお願いします。

(櫻田亮様) (06/10/08)
7月のカンタータ公演(もうすぐNHKの放送です!)や《水の都の聖母マリア〜モンテヴェルディ&カヴァッリの作品〜》で名唱を聴かせてくださった、現在イタリアでご活躍中の櫻田 亮さんからのお得なお便りです!モーツァルト・イヤーならではの企画をフォルテピアノの伴奏で味わえる貴重な一夜。是非どうぞ!このコンサート実現までの経緯が奥様のブログにも紹介されています。 (矢口) (06/10/08)

351 《ソロの妙技 (BCJ神戸定期)》

バッハのソロ・カンタータ集、とても楽しめました♪

この最近の傾向ですが、並ぶ人が確実に増えています。事務局の人によると《マタイ受難曲》効果ではないかと。神戸の定期会員も増えているとのことで、何より。

待っていたら、1階のカフェテリアのところで、キャロリン、ロビン、ゲルトがリハを終えて、新聞を読んだり談笑したりしてくつろいでいました。

今日は配置がいつもと違い、出入りにも注意とのことでプリント配布とアナウンス。BWV169でパイプ・オルガンを使うために、その斜め下にオケを配置しているので、いつもと位置関係が逆。しかも非常口からのお客さんの出入りは狭いなどの理由で無理なので、出入りの時だけVnとVaの部分を片づけて。従って、遅れてくるとお客さんの視線を浴びながら入場することになります(笑)。

いつも上のオルガンの所になる立ち見席は、今回はオルガンの真下の入り口の壁際数列。つまり、オケの裏側になり、通常の席と相対してました。

音の効果としては、私の座ったところでは、いつもより低音をどっしりと感じて、VcとCbとFgが1つずつとはとても思えないくらい。オケ全体のバランスも良かったと思います。オケのメンバーは、VnIIとVaがいつもと違ったりで、それも新鮮さがありました。

コンチェルティストも男性3人は良く響いていたのですが、キャロリンはもちろんうまいのですが、BWV52では少し後ろで歌っていたので聞こえづらいのかなぁと思っていたのですが、デュエットのBWV58ではちょっと前に出てきていても若干聞こえづらかったので、決して声が小さいわけではないと思いますが、比較的指向性が狭いのでしょうか。これは《結婚カンタータ》と《コーヒー・カンタータ》の時にも実は感じていたのですが…。

なお、今回は合唱隊がなく、最後にコラールがある場合にもコンチェルティストだけで歌ったので、半OVPP。オケの方でVnとVaを各1本にすると、あの強力なコンティヌオ軍団に対して、きっとバランスが悪くなると思います。

各カンタータで気が付いたことは次の通り。

今回はオルガンの独奏曲はなし。

BWV52《偽りの世よ、おまえなどに頼るまい》
1.シンフォニアは《ブランデンブルク協奏曲第1番》の初期稿。《ロ短調ミサ》でもホルンを吹いたダルベレイを交えて、とても朗らか。聴衆だけでなく演奏者も楽しそう。音を聴いて共に創り上げていく雰囲気が一気にできあがりました。
4.レチタティーヴォにファゴットが入っていたのも驚きですが、とても自然でした。
5.アリアの生き生き感とコンティヌオのヘミオラの強調、キャロリンの妙技が印象的。

BWV82《私は、満ち足りた》
1.アリア 淡々とした控えめで簡素と言っても良い弦楽器と、各小節の1拍目だけしか引かないオルガンを交えてのコンティヌオに乗って(チェンバロはなし)、三宮さんのオーボエが聞こえてきた瞬間、もう泣けてきました。三宮さんは今日は指が回りすぎてるのかなと思うくらい。ペーターの歌も含めて、ロマンティックな表現に傾きがちなこの曲を、そうなることなくしっかり表現していたと思います。
2.レチタティーヴォでも"Ich habe genug"がしっかり。今井さんのオルガンが色々なフレーズを入れているのが印象的。
3.アリアも足取りしっかり。最後のmolto ritとその後の間!ロマンティックに傾きすぎない「眠り」の表現は、その裏側の「この世」の「悲惨」の表れか。ペーターの歌はどう表現したらよいかわからないくらい、しみじみと心を包みました。

休憩。事務局の方他と色々意見交換しました。この配置だといつもより座れる人数がちょっと少なめになるそうです。あと、雅明さんが通りがかって「音はいいでしょ?」。そう思います。

休憩後は今回の松蔭での「お楽しみ」BWV169《神にのみ、私の心を捧げよう》
上のオルガンと下のオケと、どうやってコンタクトするんだろう?と思ってたら、上でオルガンのサポートをする今井さんが若松さんに合図して始めさせたり、下の様子が映るカメラを用意してそれでレチタティーヴォなどをやっていたようです。
1.シンフォニアはどっしり。オルガンは4'+8'+16'のようで厚みのある音、中間部で16'を外したり。繰り返しでのオルガンやオーボエのアドリブに思わずニヤリ。ミーントーンのパイプ・オルガンと、(たぶん)ヤングのチェンバロとポジティフ・オルガンと、弦楽器との微妙な調律のズレが案外面白く、これも曲が進むにつれて調にもよるのでしょうけど段々解消されていった気がしたのが興味深かったです。
2.アリオーソでは歌詞によってオルガンの音色を使い分けているのが印象的。
3.アリアはオルガンの音型は細かいですが、歌の流れをメインにしていたためか、しっかり速め。ロビンは絶好調のようでした。絶好調すぎて、ちょっとひっくり返りそうになったような…。
特に5.アリアでは「私のうちで、死に絶えよ」が眠りを誘いました。
全体にタイトルの"Gott soll allein mein Herze haben"が心に残る表現でした。

BWV55《私は、哀れな人、罪のしもべ》
1.アリアでりり子さんのトラヴェルソ登場。良い音でした。ゲルトも調子が良さそうでした。
3.アリア「憐れみを与えたまえ」でのトラヴェルソとテノールの不協和音の旋律が何とも印象的。憐れみを乞いながらの厳しい表現が多いだけに、《マタイ受難曲》やBWV147でも有名な最後のJ・リストの5.コラールが大きな慰めでした。

BWV58《ああ神よ、何と多くの心の痛みが》
1.コラールとアリア5.コラールとアリアでは、ソプラノとバスの対話。ソプラノがコラールを歌い、バスがそれを「解釈」していく。この掛け合いも絶妙。
3.アリアでは夏美さんのソロVnとキャロリンでゆったりと「苦しみの中にあっても、なお安らいでいます」の表現。

各曲が終わってからの拍手も盛んでしたが、最後のこの曲が終わった時も、何度もカーテン・コールが行われました。
BWV58が終わったのが17:10過ぎという、ちょっと長いけれどもたっぷりとソロの妙技(もちろんしっかりしたオケに支えられて)を楽しんだ2時間でした。

私は次回の2月の神戸定期は、やむを得ない事情で聴きに来れそうもありません。コンチェルト・パラティーノも来るのでぜひ聴きたいのですが、スケジュール調整を頑張ってみます。

(竹内茂夫様) (06/09/23)
竹内様、さっそくのレポート、ありがとうございます!かなり思いきった配置変更だったのですね。まだオルガンオブリガートのあるカンタータは残っていますので、是非また試みていただきたいものです!本日の東京公演ではそのような配置はできないと思いますが、どのような演奏になるか、楽しみがふくらみます。
このご感想は竹内様のブログから転載させていただいたものです。よろしければこちらもお訪ねください!
(矢口) (06/09/24)

350 《櫻田さんの素晴らしいモンテヴェルデイでした!》

矢口様。御無沙汰しております。
8月1日、矢口様情報で《水の都の聖母マリア〜モンテヴェルディ&カヴァッリの作品〜》に出かけましたが、肝心の矢口様にはお会い出来ず残念でした。

ヴェネツィアの宗教音楽ということで、5名の小編成オケに 7名のソリストで独唱から7重唱までの組み合わせで、モンテヴェルデイカヴァッリのさまざまな聖母讃歌が歌われ、真摯で厳粛な中にもイタリアらしい明るさが嬉しい演奏会でした。

個々の音楽については、カヴァッリの音楽ももちろん見事だと思いますが、モンテヴェルデイと並んでしまうと音楽の精妙さ・大胆な和声・微妙な言語表現など、モンテヴェルデイのケタはずれの才能には唖然としました。ちょうどあれこれの音楽家を聴いた後でバッハが演奏された時に感じる、あまりに大きな次元の違いに驚くのと同じことを感じた次第でした。

多くのBCJのメンバーが参加した小編成オケとソリストも見事な力量で、若きマエストロ・カプアーノの繊細な指揮を盛り立てて大健闘でした。殊に前回の定期でのカンタータ(忘れ難い87番!)で素晴らしいソロを歌われた櫻田さんが今回も絶好調で、実に伸びやかな声でモンテヴェルディの至難なサルヴェ・レジナのソロを(エコー役の谷口さんともども)完璧に歌われたのには驚嘆しました。そして最後の7声のグロリアの、バッハのフーガとはまた違った、多彩で見事な迫力は何とも素晴らしかったこと!

最近は、OLCレ・ボレアードは別格としても、鈴木美登里さんのフォンテヴェルデや三宮さんのアンサンブル・ヴィンサントなど、BCJの主力メンバーによるソロやアンサンブル活動が目立ちますが、10年を超えるBCJが積み重ねて来た貴重な演奏体験が、このような形で日本の古楽界の着実な成長に絶大なる貢献を果たしているを目の当りにするのは、本当に嬉しいことだと思います。

それにしても前回の定期のプログラムによれば、今年の海外ツアーで、ライプツィヒの二コライ教会でのBCJの演奏が絶賛されたとのこと、今や疑いもなく世界のトップレベルのBCJとしては当然のことだと思いますが、喜ばしいかぎりですね。今後もライプツィヒで演奏する予定があると伺いましたが、ここ数年で実現するであろう聖トマス教会でのBCJの演奏を想像するだけでも胸が躍ります、期待しましょう!

(玉村 稔 様) (06/08/04)
玉村様、お便りありがとうございます!ひととき暑さを忘れさせてくれる素晴らしいコンサートでしたね。こちらのブログに当日のプログラムに記載のあった曲目、出演メンバー、解説などがUPされています。また、当日の演奏がこちら有料配信されていますので、よろしければお楽しみください!来年はモンテヴェルディの傑作「オルフェオ」の初演400周年、またドメニコ・スカルラッティ没後250周年ということで、またまたイタリア・バロック音楽の素晴らしい作品を紹介していただけそうです。
またBCJのますますの海外での活躍も期待されます!! ただ、やはり経済的には課題があるようです。BCJを送り出す本国・日本のファンとしては、色々な形でサポートをしていけるといいですね。
(矢口) (06/08/10)

349 《EUツアーの写真いくつか 〜BCJヨーロッパツアー2006 レポート(3)〜》

矢口さん、だいぶん遅くなってしまいましたが、EUツアーの写真をいくつかお送りします。残念ながら、後半は、あまり演奏中の写真はありません。(なにしろ、みんな自分たちが演奏しているので・・。)しかし、まあちょっとした雰囲気を味わっていただければ幸いです。

(鈴木雅明様) (06/06/12)
ライプツィヒ・ニコライ教会でのリハーサル。
(27 May:Leipzig)
ニコライ教会の狭い祭壇に、全員が並ぶのに一苦労しました。
(27 May:Leipzig)
Joan, Robin, Christinaでマニフィカトの3重唱。
(27 May:Leipzig)
ポルシェのスポンサーシップによって修復の成ったニコライ教会のオルガン。ラーデガスト製作。
(27 May:Leipzig)
電車の中でも、映画鑑賞に余念のないふたり。
(29 May)
ロビン君のお家で。奥さんのリサと二人目の赤ちゃん。(今名前が思い出せない。女の子です・・)(29 May)
ロンドン・バービカンでのリハーサル。(左)
アムステルダムやロンドンのコンサートには、多くの友人もかけつけてくれました。バービカンに来てくださったオルガニスト・ピーター・ハーフォード夫妻と今井さんと共に。(右)(30 May:London)
 充実のEUツアー終盤の貴重なショットの数々、ありがとうございます!バッハの聖地・ライプツィヒでのリハーサルやツアーの合間のロビンやペーターの素顔、そして千秋楽・ロンドン公演でのご様子など、現地にうかがえなかった無念さをひととき癒していただきました。再びヨーロッパの地をBCJが踏まれる時には是非、うかがいたいものと思います。ツアーのご成功、おめでとうございました!その息吹を7月の定期でうかがうことをまずは楽しみにいたしております (矢口) (06/06/14)

348 《ヴァレンシアからビルバオまで 〜BCJヨーロッパツアー2006 レポート(2)〜》

昨日までに4回のコンサートが終わり、今夜は22時からここアルメリアで5回目の本番を迎えます。早くもツアーは半ばに差し掛かってきました。今回のツアーは、移動日とコンサート日が分かれており比較的楽なスケジュールではありますが、スペインは北と南ではかなり気温も異なっていて、対応には多少の工夫が必要です。なにしろ、マドリードは35度、ビルバオは15度、そしてここアルメリアでは再び30度近い真夏なのです。
一昨日のビルバオは、ごくごく小さな劇場ではありますが、ビルバオの”ソシエダード・フィラルモニカ”と言えば、スペインではつとに知られたところ。20世紀の初めから、ありとあらゆる著名な音楽家が登場した実に由緒正しいコンサートシリーズで、楽屋も廊下もすべて彼らの写真で埋め尽くされています。その中には、若き日の往年の名演奏家や指揮者が所狭しと並び、指揮者の部屋には、クナッパーツブッシュ、カール・ベームはもとより、モーリス・ラヴェルのサイン入りの写真もありました。
ところで、その前日にマドリードではプラド美術館を探訪。おりしも上野でプラド美術館展が開かれているそうなので、こちらはからっぽだったらどうしよう、などと思っていましたら、もちろんこれは杞憂にすぎず、ただただ夥しい数の名画中の名画に、圧倒されて息も絶え絶えにホテルに戻った次第です。

今回は、全くステージの写真はありませんが、ちゃんと演奏もしていますので、念のため。
では、また。

追伸:プラド美術館にある有名なヤン・ブリューゲルの『聴覚』という絵に表れる楽器を仔細に眺めていましたら、左端にあるリュッカースらしきチェンバロは、トランスポージングの2段鍵盤(上下の鍵盤が5度ずれたもの)であることがはっきりと分かり、改めて感心してしまった次第です。ちなみに、リュッカース自身は、今日通常の上下2段鍵盤は製作していないので、これは当然のことですが・・・。

(鈴木雅明様@スペイン) (06/05/20)
ヴァレンシヤでの本番の後、ソリストたちとお食事。
右端は我らのスペインのマネージャ、エンリケ氏です。
(15 May:Valencia)
フラ・アンジェリコの受胎告知を見て、
   マニフィカトへの意欲も新たに。
(16 May:Madrid)
やはり大目玉作品は、日本には行かないようです。
ロークマーケルによれば、裸体のマハよりエロティック
な着衣。エロティシズムとは、見る対象ではなく、見る
人の中にあるものなのです。  (16 May:Madrid)
広い美術館で、偶然にもフルートのふたりと遭遇。
(16 May:Madrid)
これが、トランスポージングの2段鍵盤です。
(16 May:Madrid)
ビルバオの劇場。ここに930人も入れるとは思えない。
(18 May:Bilbao)
ビルバオの劇場。
舞台袖の小部屋を埋め尽くす往年の音楽家たち。
(18 May:Bilbao)
指揮者部屋の写真の一部。下段左から3枚目がラヴェル。
(18 May:Bilbao)
 ツアーレポート第2弾、ありがとうございます!日本でも雨模様が続き3月の気候と言われる日があったかと思うと、たまの晴れ間には気温が上がり蒸し暑いことこの上ないといった状況です。ガット弦には温度差はあるものの、カラッとしたヨーロッパの気候がありがたいことと思います。上の音楽家たちの写真にはもちろん鈴木雅明さんの一枚も加えていらっしゃったのですよね。
ツアー後半のご成功をお祈りすると共に、またのお便りも楽しみにしております! (矢口) (06/05/21)

347 《スペインより(サラゴサ公演) 〜BCJヨーロッパツアー2006 レポート(1)〜》

矢口さま お元気ですか。こちらはご存知のとおり、ヨーロッパツアーに出発してからまだ4日めですが、もうなんだか夏休み気分です。というのも、コンサートはまだサラゴサの1回しか終わっていませんが、今日5月14日の日曜日はヴァレンシャで、移動もコンサートもなしの完全休日になったからです。おりしも、今日はヴァレンシヤの守護聖人。ロス・デサンパラドス聖女の祝日と重なって、町中は大賑わい。子供達がことさら美しく着飾って、華やいだ雰囲気を盛り上げています。我々は、すばらしいエビのにんにく揚げや本場のパエーリャを堪能し、もう何のために来たのか忘れてしまいそうです。もっとも、ぼくはきっちりインタヴューなどのお仕事もしていますよ。何枚か、写真をお送りします。BCJ初お目見えのジョアン・ランを含めてのリハーサル風景は、サラゴサのもの。その他はヴァレンシャです。ぼくが、白いものを前にニタニタしているのは、食事の最後に出てきた、カヴァに浸したレモン・シャーベット。ふんだんにオリーブオイルを使った料理の後は、これに限ります。では、また。

(鈴木雅明様@スペイン) (06/05/14)


 5月12日(金) スペイン・サラゴサ
  :AUDITORIO ZARAGOZA・Sala Mozart
、20:15


    (Aプロ) 
     J.S.バッハ/カンタータ BWV30、
          管弦楽組曲 第1番 BWV1066、
          マニフィカト BWV243
カヴァに浸したレモン・シャーベット! ヴァレンシヤの守護聖人である           
ロス・デサンパラドス聖女の祝日(5月14日[日])
 なんと、鈴木雅明様御本人からヨーロッパツアー便りをいただきました!まさにグローリアなご気分が伝わってくる画像ですが、「ロ短調」が始まる頃には本来の目的に否応なしに引き戻されるのではないかと想像しております。今回はとりあえず「フォーラム」でのご紹介にさせて頂きましたが、引き続きお便りをいただけるようでしたら、独立したページにまとめるかもしれません。まずは旅の順調なスタートをお喜びし、この先の公演のご成功をお祈りしております!! お忙しい中ありがとうございました。 (矢口) (06/05/16)
 5月14日のヴァレンシアの祝日について、訂正のお便りをいただきました。
この間、お送りした写真のうち、「ヴァレンシヤのマリア様のお祝い」というのは、ちょっと誤解で、これは、マリアには関係なく、ヴァレンシヤの町の守護聖人であるロス・デサンパラドス聖女でした。Virgen de Los Desamparadosと書きます。この聖女のお人形を掲げて、行列するお祭りでした。失礼しました。

(鈴木雅明様) (06/05/17)

・・・ということで、写真のコメントを訂正いたしました!! (06/05/21)

346 《鈴木雅明氏の恩師・小林先生の「マタイ」拝聴しました!》

矢口様 杏、桃、白木蓮と、花の木々が満開の今日この頃、BCJの活動も、いつもながら充実したものですね。アメリカ公演のご成功をお祈りしています!
 さて、しばらく、BCJの演奏を聴きに行かれず大変残念なのですが、昨日は、静岡AOIにて、BCJでお馴染みの方々の参加された小林道夫先生指揮の「マタイ受難曲」を高校生の長女と拝聴しました。バルコニー席でしたので、ひとつひとつの音が、天使の羽のごとく上昇してくる響きにうっとりしました。

 通奏低音が好きなのでオルガンに耳を澄ますのですが、第1オケのポジティフオルガンは鈴木優人さんでした。そして平尾さんのガンバ、第2オケのバイオリンの陶山さんの演奏等BCJ関連の演奏家に注目しました。ソリストは素晴らしい福音書記の水越啓さん、澄んだ声とドイツ語の流暢さ!BCJ版では福音書記はテュルクさんがお馴染みですが、水越さんの声も本当にステキで心地よい響きです。長時間の歌いこなし、鍛錬の賜ですね!イエスは三原剛さん、ソプラノの天羽さん、テノールの望月哲也さん、メゾソプラノの寺谷さん、ソリストも、合唱団も、オーケストラも素晴らしいものでした。(ジングアカデミー2006は、BCJと異なり、sの音が後に残り響かせているのが少し気になりました。)BCJとかつて共演した静岡合唱団は地元の合唱団であり、微笑ましくかわいらしかったです。直ぐ前のオルガン席のゆうじんさんが振り返って拍手を送っていたのが好印象でした。

 私が特に好きなアリア52は? 59のレチタティーヴォ・アッパンコンパニャートは雅明氏のお気に入りのところ、ここも素晴らしいコラール等々、BCJのマタイを懐かしみながら聴いておりました。つくづく、3時間にも及ぶ大作の曲が、ヴァライエティに冨み、詞の内容を描ききっているメロディーであることに、バッハの偉大なる才能を想い、感心せざるを得ません。
  
 芸大カンタータクラブの創設者かつ鈴木雅明氏の恩師・小林道夫先生指揮の醸し出す「マタイ受難曲」の精神性! 指揮者により、また演奏会場により、そしてその稿により、一期一会のマタイ受難曲の演奏となることでしょう。今回も、一期一会の感動を覚えました。

さて、BCJの今年のマタイももうすぐですね。鈴木雅明先生の巻頭言を拝見しながら、やはりこの季節に、BCJ版を拝聴できたらと思っております。魂を鼓舞する音楽に感謝を込めて。そして矢口さんのご努力に感謝を込めて。
 BCJの皆様、BCJコレギウムの皆様によろしくお伝え下さい。From Akiko Suzuki 

(Akiko Suzuki様) (06/03/19)
Akiko Suzuki様、お便りのご紹介が遅くなってしまいまして申し訳ありません。小林先生の「マタイ」は昨年の芸大カンタータクラブの演奏会で拝聴しました。淡々とした運びの中に大変濃いメッセージが込められた素晴らしい「マタイ」でした。このように貴重な一期一会をこれからも重ねていきたいものです。  
(矢口) (06/03/25)

345 《VIVA MOZART!》

 (前略)モーツアルト生誕250年記念の1月27日、浜離宮ホールは熱気に包まれました。開演前のロビー演奏を楽しんでいた聴衆が、突然本ステージで始まった行進曲に、演奏していた森田さんたち・秀美さんともども、あわてて会場に戻るというのも楽しいパフォーマンスでしたが、ステージに戻った鈴木さんの凄い気迫で始まったフィガロの序曲は、西澤さん以下チェロ・コンバスがうなりを上げて驀進する、まさに大革命直前の貴族に反旗をひるがえす不敵な庶民のエネルギーが噴出する、目の眩むような快演でした。しかし聴きものだったのは、豪快な序曲に続く鈴木優人さん編曲のパステッチョ的フィガロ・メドレーで、小粋ながら時々ドキッとするような響きに満ちた楽しい音楽でした。これならいっそのこと、BCJの歌手陣総動員でフィガロの全曲を聴きたかったとは、矢口さんの述懐でした。私もまったく同感!

 そして次の若きモーツアルトの気負いに満ちた長大なハフナー・セレナーデ。ホルンやトランペットの懐かしくも重厚な響きに端正なヴァイオリン・ソロが玲瓏と響く、これはまさに若松さんのための見事なヴァイオリン協奏曲でした。休憩後のエクソルダ−テ・ユビラーテでは、鈴木美登里さんの可憐なアレルヤが会場のすみずみまで響きわたり、満場の聴き手は若きモーツアルトの歓喜に酔いしれました。なんとも素晴らしいOLCのモーツアルトだったことでしょう。

 しかし今回の記念演奏会は最初から最後まで酔い通し、開演前にはロビーでの白ワインに酔い、ハフナーとアレルヤでは若きモーツアルトの青春謳歌に酔い、終演後はホワイエに並べられた赤白ワインにまたまた酔い・・・酒豪の矢口さんと違って下戸の私にも、なんとも快適な一晩でした。VIVA MOZART!

 会場には鈴木雅明さんも顔を出されておりましたが、モーツアルト・イヤーの今年は秀美さんのOLCでモーツアルトを多く採り上げられる一方、矢口さん情報では11月には雅明さんも東京シテイ・フィルでジュピターを演奏されるということで、モーツアルトでの兄弟対決?はこれは絶対の聴きもの、楽しみですね。

(玉村 稔 様) (06/01/31)
 玉村様、モーツァルトの祝祭のレポート、ありがとうございます!2日後の1/29のコンサートもそれはそれは充実したものでした。この2日間の演奏は、優人さんの「フィガロの誕生日」を含めレコーディングされたそうですので、はやくもCDのリリースが待ち遠しい今日この頃です。ちなみに27日の開演前のロビーコンサートでは秀美さんは演奏はされず、本ステージで演奏の始まった「行進曲」に合わせてモーツァルトの肖像画を掲げて入場されていました。
 11月2日の鈴木雅明/シティ・フィルのモーツァルトも注目ですが(ちなみにこの時期、11/1,2にノリントン/N響、11/3からアーノンクール/ウィーン・フィルが公演を行います・・・!)、やはり古典派オケOLCの演奏ははずせません。6月と10月のコンサートに大いに期待しましょう!!  ・・・あと、私、そんなに酒豪ではありませんので、お間違えありませんように!! 
(矢口) (06/02/06)

344 《BBCのバッハ特集 〜BCJ韓国公演ライブ、オンエア!〜》

BBCのRadio 3で12月16日19時から12月25日17時まで1時間の休みもなくぶっつづけで!「バッハ・クリスマス」という特集を放送中です。

■インターネットでも聞くことができます。(過去の分も含めて)。
http://www.bbc.co.uk/radio/aod/mainframe.shtml?http://www.bbc.co.uk/radio/aod/index.shtml?focuswin

18日(日)の19時からの放送分BCJのライブ版(韓国の教会での)で、冒頭に鈴木雅明先生の英語による談話がはいっています。
曲はカンタータ140番。そのあとにはカンタータ80番、56番、147番がつつづいています。BBC Radio3のための録音だということです。
また、ほかの日の番組でCDが紹介されるようなこともあるかもしれません。

■なお、この特集の時間表がBBC Music Magazineの12月号に出ていて、番組表のなかに「バッハとわたし」という囲み記事があって、アンジェラ・ヒューイット、ウェイン・マーシャル、鈴木雅明の3人のコメントが顔写真いりで紹介されています。
以上、ご存知のことと思いますが、ホームページにメンションされていないようなので念のため……

(高橋健次様) (05/12/19)
 高橋様、貴重な情報をありがとうございました!!!! この放送のことは知りませんでした!しかし、聴けました、聴けました!!! 上記のURLから「Radio 3」をクリックしてバッハ・クリスマスの特集ページに行き、一覧から12/18、19:00からの「17」をクリックするとオンデマンドで再生が始まります。はじめに短いコラールが演奏されてからBCJ韓国公演のプログラムである4曲のカンタータが次々に流れてきます(アンコールの受難曲のコラールは入っていません)。各曲の演奏前には鈴木雅明さんの英語による解説が付いています。全部で1時間50分ほどで全曲を聴くことができました。何とも便利な時代になったものです。このオンデマンド放送がいつまで提供されているのかわかりませんが、是非皆様もお聴きになってみてください!! 素晴らしいクリスマス・プレゼントをありがとうございました!!
(矢口) (05/12/22)
日本では12月25日が過ぎるとすぐに「お正月」モードに入ってしまいますが、ヨーロッパのクリスマスはまだ続きます!先日ご紹介したBBCの特集「A Bach Christmas」も無事12/25の19:00で放送は終了したようですが、オンデマンドでの聴取はまだできるようです。再生リストのページからのリンクは放送後一週間をめどに次々の消えていってしまっていますが、直接リンクでアクセスするとまだ再生OKの模様。BCJの韓国ライブこちら、また、12/18にロンドンで行われたガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツのカンタータコンサートのライブこちらで聴くことができます。(Cantata No 40: Dazu ist erschienen der Sohn Gottes、Cantata No 151: Suser Trost, mein Jesus kommt、Cantata No 110: Unser Mund sei voll Lachens、Aria: Alles mit Gott, und nichts ohn' Ihn, BWV 1127、Magnificat in D, BWV 243というクリスマスプログラムです:151番の途中までで放送が区切られていますが、続けて聴いていくと最後まで聴取が可能です) どうぞお試しください!ガーディナーのコンサートのデータこちらにあります! (矢口) (05/12/28)

343 《燃えるマエストロ〜BCJの「ロ短調」大阪公演〜》

入り: 大阪公演では残念ながら完売とはいかず空席有り。そのために,1週間ほど前の新聞の読者プレゼントに掲載。今回聴いた席はバルコニー上手側。全体の様子が見える良い席。音は思ったよりも上に上がってこない。

楽譜: プログラムには記されていないが,事前にアンスバッハでの演奏を聴いた上で(thanks to Mr Y!),直接雅明さんから新しい「ペータース版」(Nr.8735a。ヴォルフ編。ミニアチュア・スコアは1997年)を使っていることを確認。ちなみにペータースでの演奏のCDとしては樋口驤黶^明治学院のものがある。スメントの新全集(NBA)とはそもそも《ロ短調ミサ》の成立の経緯の解釈がまったく違うし,細々としたところに違いがある。なお,発音はドイツ式の様子。

合唱: 人数はプログラム・ノートに記されている通り全部で18人で,下手からSSSAAAABBBBTTTTSSS。〈Sanctus〉のところでアルトとテノールが2人ずつ入れ替わってSSSAATTBBBBTTAASSSで最後まで。プログラム・ノートにはリフキン説に対する反論が熱く語られている。

オケ: 基本的にはBCJの大きめの編成だが,ファゴットが2本になるのでオーボエの後ろに(ただしトップの村上さんは奥),トラヴェルソ2本はオーボエの右隣に,その後ろにチェロ2本(ファゴットの隣り)。ホルンはどこになるかと思ったら,合唱の前に下手からティンパニとホルン。

ソリスト: ソプラノの野々下さんと藤崎さんはリピエニストも兼ねているので合唱の中に入っているが,ソリスト3名はホルンの上手に。従って,ティンパニ,ホルン,ダンツ,ゲルト,ペーターといった並び。ソリストが歌う時は,指揮者の横に出てきて歌う(第18曲の中間のバスだけは別)。ゲルトがソロの曲だけでは物足らない感じで,合唱の曲もほとんど常に歌っていた。ダンツもペーターも後半では歌っていた様子。

   第1曲: 非常に遅い導入。ペータース版の脚注にあるチェロのパート譜の"molt' adagio"を表現?主部もゆったり。決して絶叫しない優しく慈しむキリエ。h- h h h cis g fis cis d g fis の八分音符のスラーのかけ方とスラーがかからない音符がややスタッカート気味なのが印象的。中間の最も盛り上がるところでもあえて抑え気味。器楽と合唱の精度は言うこと無し。ただ,松蔭と違って音が溶け合って塊になってこないのは,ホールのせいだと思う。
第2曲: アンスバッハの演奏でもそうだが,極めて軽快なクリステ。これは私がやった時も似たような感じでやったので,やはりそうした解釈で良かったと安堵。
第3曲: 和音の組み合わせや入り方が難しい曲だが,実に楽しめた。
第4〜
 5曲:
何と言っても今回のティンパニは面白い。前打音などの装飾音たっぷりで振りも派手。何よりも,オリジナル楽器の演奏ではコープマン以外はどちらかというと控えられているトレモロをたくさん入れるところが驚き。 〈Gloria〉のようなこういう複雑な曲になるとBCJのアンサンブル力が生きてくる。マエストロも元気。〈Et in terra〉では弱音の表現が耳を引き,特にソプラノのピアノは絶妙。天国からの平和を表現しているよう。盛り上がるところのティンパニは大活躍。
第6曲: 夏美さんのヴァイオリンはステージの前だとかえって響きづらかったような感じ。藤崎さんのソロもそつなく。全体として割と前へ前へ進んでいくような「主をほめる」。
第7曲: どっしりした「感謝」。パートの受け渡しが合唱が本当にキレイ。トランペットが天国に登っていくよう。
第8曲: トラヴェルソは2本で!なるほど,こうすれば息継ぎで16分音符が途切れることはない。チェンバロとファゴットはなし。
第9曲: 複雑な和声だがとてもキレイな「世の罪を取り除く神の子羊」の表現。やはり合唱のパートの受け渡しが絶妙。
第10曲: ダンツ登場。声高に叫ばないしみじみと良い〈Qui sedes〉だが,やはりカウンター・テノールでしっかりと張る歌で聴きたかったというのが正直な思い。
第11曲: やっとホルン登場。難しいフレーズだけにさすがに無傷とはいかなかった。チェロは秀美さんだけでチェンバロも休み。ペーターはさすが。しかしホールの位置のせいか聞こえづらかったのが残念。
第12曲: 案外速いテンポに少し驚いたが(アンスバッハよりも),こういう曲になるとBCJは実に生き生き!歌の部分もこれだけ長く音域が広い16分音符をよくも破綻せずムラなく歌えることに驚嘆。オケも素晴らしい。たぶんもう少し速いと破綻するギリギリのところかも。ティンパニの活躍もあり,大変に盛り上がって「ミサ」終了。客席の反応も熱かった。
20分の休憩。ホルン奏者がホワイエに出てきていたのを見つけて,少し話しを。BCJとは何度もやっている人なので,今日も楽しんだとのこと。
第14曲: 島田さん大健闘。合唱は第13曲とのコントラストがよくわかる。
第15曲: この曲が新全集とは違う新しい版(新全集では「付録」)。歌詞だけでなく音符もいくらか違う。この曲もそうだが,ソロの曲は全体的に前に行く感じで,どちらかというと速めのテンポ。ダモーレ2本出てくるためかファゴットも珍しく2本。
第16曲: 「聖霊によりて」天から生まれてくる下降音型が合唱のキレイなスラーで。
第17曲: とてもじっくりとした「十字架」。ヴァイオリンとトラヴェルソの2分音符が染み入るように長めに。ソプラノは新全集のようにIIだけでなくIとIIと合わせて。合唱も「我らの罪のために死んだ」ことをしみじみじと表現。 最後のpになり明るさが見える部分ではすごくテンポを落とし,「葬られて」安らいだと同時に復活の希望も見える表現か。
第18曲: まさに爆発!速めのテンポで復活の喜び。マエストロも指揮で表現。途中のバスはペーターがその場でソロで。
第19曲: ファゴットとチェロIIも休むシンプルなコンティヌオの上にペーターが喜びの表現。キメでのテンポの微妙な揺れが印象的。
第20曲: 「私が演奏中に最も興奮する曲は,複雑な対位法を駆使した第20曲「唯一の洗礼を認めますConfiteor unum baptisma」なのです」とマエストロが記しているこの曲と次に続く曲は,私も《ロ短調ミサ》の中で最も好きな曲!マエストロのこのノートを見て思わず嬉しくなる。時に中世のモテトゥスのように2つの歌詞が並行し,時に2重フーガが展開するこの難曲を実に鮮やかに。adagioになって転調するところもとてもキレイで神秘的。
第21曲: 1小節前からアッチェレランドで飛び込んで,「死者のよみがえり」をこれも生き生きと。これだけ見事な演奏で聴くと,ますます好きになります。
ここで合唱のテノールとアルトが2人ずつ配置をチェンジ。
第22曲: 見事でしたが,テノールを分割したので少し弱くなった印象も。
第23,25
  曲:
2重合唱のパートも明確。正直やや第2ソプラノが弱いような感じも。
第24曲: このテノール・ソロへの切替が難しいとされるが,正直なところゲルトが少し不安定に聞こえた。それまで合唱の曲を歌いすぎていたのかもしれない。トラヴェルソはソロで菅さんだけ。ゲルトがマエストロの下手,菅さんが上手に。コンティヌオは秀美さんと今井さんだけでシンプルに。前曲とのコントラストが印象的。
第26曲: この曲も「静」の世界。特に2回目の"Agnus Dei"でのppの表現が秀逸。それでもカウンター・テノールで聴きたかった。
第27曲: 合唱もトランペットも天国へ登っていくような「我らに平和を与えたまえ」の表現。ティンパニはトレモロなどで大変な自己主張。最後も強力 なトレモロで終わりました。

終演後の観客の拍手も熱いものが。この《ロ短調ミサ》がずっと終わって欲しくないと思うような,充実した2時間半。

しかし,いずみホールは難しいホールのように感じた。終演後いつもBCJの定期を聞きに来ている知人と会って話したが,良い音で聴けるポジションがなかなかない。全体がうまく溶け合う音で聴けない割に,各楽器や声の分離が良いというわけでもなさそう。今回は一度上から全体を見たいと思ってバルコニーの席を取って(正確には取ってもらった),ちょうどコンセルトヘボウの年間定期を聴いていたのと近い席で全体の様子も見えてとても面白かったが,音としてはステージの前で歌うソリストの声は確かに聞きづらく,少し奥で歌っていたゲルトやほぼ同じ位置にいたトラヴェルソはよく聞こえた。

あと,ここは大阪やな〜と思ったのは,隣りに座っていた音楽好きらしい年配の夫婦が「ソロの声が聞こえへんなぁ」とか「何か音がひょろひょろっとしとんなぁ」とか言うのが聞こえたことだろうか。大阪は重厚長大な音が好まれていて古楽器の興行は難しいということは耳にする。しかし,BCJの《ロ短調ミサ》は人数に任せた大音量で勝負するようなものではなくて,色々な素材や調理の違いを使って時に繊細な時に豪快さを見せる京料理のようなものではないか。その意味でも,こうした曲をオリジナル楽器でやる時の小屋としては,いずみホールは少し違うような印象を持った。

(竹内茂夫様) (05/12/11)

342 《北とぴあのヴィヴァルデイには行かれましたか?》

矢口様、レクイエムではロビーでお見かけしましたが、ヴィヴァルデイには行かれましたでしょうか。

 年末恒例の北とぴあ音楽祭でレ・ボレアードの公演を聴きました。12月2日のモーツアルトのレクイエムと4日のヴィヴァルデイ他。
 初日のテラカド版?レクイエムも見事な演奏でしたが、アンコールのアヴェ・ヴェルム・コルプスには完璧に打ちのめされました。実際の演奏など不可能としか思えない、人智をはるかに超越した純粋で幽玄な響きに満ちたこの曲を、現実の演奏会でかくも美の限りを尽くしたレ・ボレアードの敬虔で精妙な演奏には信じられない思いで、このような稀有な感動に満ちた機会に立ち会えたことの幸福を感謝するばかりでした。

 しかし4日に、本業?のヴァイオリンを手にされた寺神戸さん以下のレ・ボレアードの名手達のヴィヴァルデイ他の合奏はさらに凄かった。なんという弦楽合奏の見事な音色!本年6月の「シャコンヌへの道」でも寺神戸さんの見事なソロの音色に陶酔する思いでしたが、今回の19名の名手(その殆どがBCJメンバーでした)が力の限りで弾き出す音の見事さはには鳥肌が立つような感銘を受けました。10年以上にわたるカンタータシリーズで鍛え抜かれ毎回見事な演奏を披露するBCJですが、今回はそれとは一味違った、全員音楽する喜びに溢れた、歓喜に満ちた渾身の演奏だったと思います。イタリア人オペラ歌手の見事な声にはひたすら賛嘆しかない私ですが、今回のレ・ボレアードの華麗なヴィヴァルデイには名歌手の美声以上の強い感動を受け、まさかの不覚の涙を流してしまった次第でした。このオーケストラのこの音でもっとラモーなどのバロックオペラを聴きたい!

 来年の北とぴあでは「西の古楽」としてハイドンの月の世界が採り上げられるとのことで、これも楽しみですが、会場で配布されたパンフではこの音楽祭も古楽だけでなくいろいろな企画を取り入れるようです。この事が日本ばかりでなくイタリアを始め全世界で進行している芸術への補助の切り捨てではなく、過去に第1回のデイドとエネアス以来、かくも輝かしい名演奏を続けて来た寺神戸=レ・ボレアードの、ひいては日本の古楽界全体の更なる発展のステップになってくれればと祈るばかりです。

11日はいよいよ待望のロ短調ミサ、どんな素晴らしい演奏会になるか、待ちきれない思いです!


(玉村 稔 様) (05/12/06)

341 《順番が逆でなくて良かった!(BCJのジュリオ・チェーザレ)》

(前略)昨今はレコ芸誌でも特集されるほどのバロック・ブームなのでしょう、この一月の間にヴィヴァルデイのアンドロメダ・リベラ−タに続いてヘンデルの2つのオペラを聴きました。ミュンヘン・オペラのアリオダンテBCJのジュリオ・チェーザレ。 感想は・・・この順番が逆でなくて良かった

期待したミュンヘンのアリオダンテは失望でした。1992年に初上演された時には確かにミュンヘンの聴衆には衝撃だったのでしょう、しかしその後10年間、BCJを始めとする古楽界の驚くべき進歩に立ち会って来た我々には、今回のアリオダンテは、オーケストラ・歌手とも少々時代遅れの演奏で、醜悪な演出ともども到底満足出来るものではありませんでした。

そもそもミュンヘンにはバロック・オペラに対する根本的な誤解があるようです。どなたかのHPを引用すれば「ヘンデルは美しい音楽であるが、ひとつの歌詞を何度も繰り返して歌うので、現代の聴衆には退屈しやすい。そこで斬新な演出を総動員して、観客の興味に訴える必要がある。つまり最近のオペラでしばしば問題になる「演出優位」が、バロック・オペラではとても幸せな結果になる・・・」これがナポリ派を始めとするバロック音楽に対する実に軽薄な誤解・思い込みでなくて何でしょうか。当時の聴衆がダカーポ・アリアに熱狂した事実を故意に無視し、上記の老婆心的コンセプトで始まったミュンヘンのアリオダンテが、10年前はともかくも、2005年の東京で真のヘンデルを響かせるのに失敗したのは当然でしょう。

その直後に北とぴあで、BCJによる同じヘンデルのジュリオ・チェーザレが上演されました。ミュンヘン的誤解の亜流?的舞台にもかかわらず、オケピットのBCJの演奏はまったく次元の違う見事なものでした。第一ヴァイオリン6という大編成のミュンヘンの約半分のBCJでしたが、その充実しきった音楽の素晴らしさ!高田さん・福沢さん以下の透明さと鋭敏さを極めた弦楽器群(A.ゴイセンの豪快なチェロ!)に三宮さん・前田さん以下の管楽器群と二台のチェンバロ・リュート・ハープが絶妙に加わり、ドラマの進展とともに音楽が白熱してゆく様は、聴く者を興奮させずにはおかない見事さでした。
 それに対して、おそらくヘンデルには初挑戦だったと思われる二期会若手の歌手陣も、皆さん大熱演だったと思います。しかし一昨年のポッペアで実に不快だった様式感のズレが今回は大分改善されたとはいえ、それでも10年以上もカンタータシリーズで鍛えぬかれて飛躍的に向上したBCJの独唱者と合唱の高い水準には、まだまだ遠く及ばないと感じたのは私だけでしょうか。

今回のミュンヘンとBCJのヘンデルを聴いて、10年前に先行はしたもののその後の進歩から取り残されたミュンヘンに対し、日々成長して止まないフレッシュなBCJとの驚くべき違いが、一挙に明らかになりました。この10年間の差は決定的でした。僅か数分で終ったアリオダンテのカーテンコールに対して、会場から何度となく盛大な拍手が続いたチェーザレが、それを端的に表していたのではないでしょうか。

この先BCJはどんなバロック・オペラに挑戦するのでしょうか、また一つ大きな楽しみが増えた満足感でいっぱいの公演でした。

(玉村 稔 様) (05/10/19)

340 《アンスバッハ音楽祭の批評記事について》

矢口真さま こんにちは。花岡と申します。ホームページの運営、お疲れ様です。

もうご存知かもしれませんが、BCJが8月のアンスバッハ音楽祭で演奏したロ短調ミサの現地の批評記事の日本語訳を、東京オペラシティのホームページ内の記事に見つけましたので、お知らせいたします。
最上級の賛辞を贈られたようですね!

http://www.operacity.jp/concert/2005/051211_topics.php

(花岡様) (05/09/26)
花岡さま、こんにちは。お便り&お知らせありがとうございます!
リンク先のHP、拝見しました。現地の新聞評、大変好意的ですね。「日本人がバッハの精神性の揺りかごとでも言うべきこの作品を演奏することが許されるのかといぶかる中部ヨーロッパ人の尊大な懸念」(シュトゥットガルト・ツァイトゥング紙)を持つ聴衆が「現時点ではバッハに関する『万物の尺度』と認めても、的外れではあるまい。」(同紙)とまで思ってくださるほどのインパクトのある演奏だったのですね。12月の日本での公演がますます楽しみに楽しみになります!
ページのはじめの文章の末尾に「今回の成功を機に、BCJはアンスバッハ・バッハ週間(隔年開催)に次回(2007年)以降毎回招待を受けました。」とあることも見逃せません。BCJ関係者の方にうかがったところ、とりあえず2007、2009、2011年まで連続して招待を受けていらっしゃるそうです。素晴らしいことですね!! 最近送られてきたオペラシティ友の会の会報に、小学館の『バッハ全集』の編集長でいらした大原哲夫さんがBCJサポーター代表として「ロ短調」への期待をしたためていらっしゃいますが、その中の一節に心からの共感を抱きました。曰く「先行き不透明、何かと住みにくいこの国だが、日本に生きていて、最大の幸せのひとつはBCJのカンタータが聴けること。私はそう思っている。こんな幸せはない。」 これからもこの幸せを皆様と共に味わっていきたいと思います! (矢口) (05/10/05)

339 《素晴らしかったマニフィカト》

カザルスホール、大きさや響きからBCJの演奏会には最適です。ここで聞いたマタイ受難曲も素晴らしかった。

さて、古楽器によるバッハ演奏が主流となりましたが、バッハのオールドファンにはカール・リヒターは今でも神聖な巨峰です。大阪で聞いたロ短調ミサは、私の音楽体験の一二を争うものです。特に、マニフィカトは、今でもリヒターの輝きに満ちた演奏以外考えられませんでした。

新しいマニフィカトが、私の心を捉えました。
昨日のBCJの演奏です。
想像を絶するほどの集中力、その中から生まれた輝かしい演奏、今年の、いや、近年のベストの演奏会の一つになることでしょう。

8月13日、たまたま所要でハンブルグにいます。彼の地で聞けるかも知れません。

(岩本公宏様) (05/07/30)
岩本さま、こんにちは。お便りありがとうございます!しかし、本当に素晴らしい演奏でしたね。日大カザルスホール、この空間が無事に残ってくれていて本当によかった、と思いました。今回、たまたま私が座った座席が、なんと13年前に東京でBCJがはじめて「マニフィカト」を演奏した第3回定期の時とまったく同じ席だったのです(たまたま、「マニフィカト」のスコアを開いたところ、その13年前のチケットの半券が挟まっていたのです!)。いろいろな意味で大変感慨深い演奏会でした。私の印象はこちらにも書きましたので、よろしければご覧ください。ハンブルク、いいですねぇ!是非かの地での様子もお知らせください!!  (矢口) (05/07/31)

338 《韓国公演のレビュー》

矢口さま、こんにちは
韓国公演のレビューを見つけましたのでお知らせします。

ハンヨプニュース<公演レビュー>
「バッハコレギウムジャパンのバッハ・カンタータ」
http://www.yonhapnews.co.kr/news/20050601/070300000020050601104944K3.html

やはり会場の柱のこともちょっとのっていますね(笑) それでも素晴らしい演奏で、韓国の聴衆には衝撃的だったようです。

(Junko KOGANEYA様)(05/06/08)
Junko KOGANEYAさま、こんにちは。情報のご提供ありがとうございます!さっそく上記のページに行ってみましたが、当然のことながらすべてハングル。私の力では内容は全くわかりません・・・。どなたか、概要をお知らせいただけますとうれしいのですが・・・とまたもや他力本願になっていました。
(矢口) (05/06/10)
 上記の批評について、IT技術の進歩は凄まじいもので「自動翻訳」ができるページがあるとアドヴァイスをいただいて試してみようかと思っていたところ、何と鈴木雅明さんご本人から、ご子息の優人さんがYahooの自動翻訳で訳したものをお送りいただきました!「・・・ちょっと変なところもありますが・・・大体の意味はわかると思います。」とのことですので、掲載させていただきます。鈴木雅明さまならびに優人さん、お忙しいところありがとうございました!

バッハコレギウムジャパンのバッハカンタータ
(ソウル=連合ニュース) ノ・ソンリン客員記者 (2005/06/01 10:49 送稿)

 オリジナル演奏が主体であるバッハ・フェスティバルが先月30日明洞聖堂で幕を閉じた。
バッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ・カンタータ公演はオリジナル楽器演奏愛好家だけではなく、宗教音楽、合唱音楽に関心を持つ多様な観客層を誘導し、全席売り切れを記録した。
バッハの教会カンタータを作曲当代の技法と様式そのまま教会で再現するという魅力に引き寄せられたのだ。

 冒頭の「目覚めよ、と呼ぶ声があり」(BWV140)が始まった瞬間、まず聴こえたことは人の声ではなく、アンサンブルのすばらしい伴奏だった。
ホルン1人、オーボエ3人、ヴァイオリンとヴィオラ5人など、わずか14人のオリジナル楽器奏者で成り立つチェンバー・オーケストラは、現代楽器に比べて幼弱な条件を持っているにもかかわらず、今まで聞いて見たどんなオリジナル楽器アンサンブルよりも正確で透明に自分の音楽を伝達した。
 声楽のソリストたちと対話を交わしたヴァイオリンとオーボエのオブリガートたちは決して声楽家に引けを取らず、同等にカンタータを掘りおこして行った。
 合唱が、感情を浄化させた敬虔で中性的な雰囲気で歌詞を歌い継いで行くと、その底辺に流れ、時々歌ほど同じ高さに上って来る楽器の音は荘重で複雑ながらも、派手に自分を表現して精中動の調和を演出した。
 ただ明洞聖堂の音響の弱点のため、(柱の?)裏側の席の観客はこの纎細なオブリガートを一音一音吟味しにくかったろう思われる。
 バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーたちはアルバムと比べる時、相当部分入れ替えされていた。特にドイツ人たちが主流をなしているソリスト陣はテノールを除いて大部分日本人たちが配置された。過去、海外ソリストたちはバッハ・コレギウム・ジャパンの重要なメンバーだった。外国語の発音に弱い日本人合唱団を変えて完璧な発音を具現しようと鈴木雅明が政策的に招聘した要員だったからだ。このようなソリストたちが皆抜けたということはディクションの具現が完成されたということを意味し、バッハ・コレギウム・ジャパンの自信感の象徴である。
 この合唱団の音は多分に「日本的」だった。静寂で、大きく力強いとか雄大壮厳ではなかったが線が細くて纎細でまた精巧だった。特にソプラノの清雅な音声は空と触れ合っているように純粋だった。

 「目覚めよ呼ぶ声あり」ではやや散漫だった雰囲気が、カンタータ80番「神はわがやぐら」では整い始め、最後の147番「心と口と行いと生活もて」では観客と合唱団みなが歌詞と音楽に没入する雰囲気に変わっていた。
 合唱や伴奏の精巧さに対して、去年チェンバロ独奏会のために来韓した鈴木雅明の指揮は控えめだった。ソロのレチタティーヴォのために直接チェンバロも演奏した彼の指揮は、油気を抜いたエッセンスだけを指示して、多くの部分を演奏者たちに任せた。もちろんこれは前もって団員と多くの討論を経て、もう音楽のアイディアを共有していたから可能な結果であるだろう。

 バッハ・コレギウム・ジャパンの来韓公演は、韓国国内音楽界では相変らずかぼそくで疎いオリジナル演奏が日本ではどれほど進歩しているのかを知らせてくれた羨ましい事例だった。
日本のオリジナル演奏の歴史と研究はもう韓国より半世紀は先に進んでいる。各音大にはオリジナル演奏を研究する理論と実習学科が既に開設されている。これはヨーロッパでそれに関する運動が本格的に胎動した時期とほとんど一致する。
 鈴木雅明と彼のオーケストラがBISレーベルで成し遂げたバッハの合唱音楽に対する業績はもうヨーロッパ、それもドイツで公認されて久しい。韓国国内のクラシック音楽界の偏食がさらに切なく感じられる。


 そしてもう一つ、うれしい情報が!なんと、BCJ韓国公演の演奏の一部と鈴木雅明さんのインタビュー(英語)がWEB上で見られるようになっているのです!
上記の批評のページをご紹介くださった Junko KOGANEYA さまより本日いただいたメールをご紹介します!
《韓国公演のダイジェスト》

こんばんは。たびたび申し訳ありません
韓国CBSテレビのHPで、現在、BCJ韓国公演の様子映像で見られるようになりました。
http://www.cbs.co.kr/tv/pgm/?pgm=381

「音楽と現場」という番組で6月4日にも放映されたようです
「the Latest Writing」というところの一番上28回と書いてあるところ(韓国語なので読めないかもしれませんね・・ごめんなさい)2005-6-11にアップされたものです。

(Junko KOGANEYA様) (05/06/12)

さっそくURLをクリックしたところ、約6分のビデオクリップが開き、BWV140の演奏風景やリハーサルの様子鈴木雅明さんのインタビューを見ることができました。 直接のリンクはこちらです!是非お試しください!このビデオクリップ、ダウンロードはできないものでしょうか? 大変貴重な記録です!! Junko KOGANEYA様、お知らせ、本当にありがとうございました!!

(矢口) (05/06/12)

337 《BCJ韓国公演》

矢口さんお久しぶりです。優人さんがレポートされています「ソウル公演」に伊藤美子さんと一緒に行ってきました。(右の写真は「eugene's blog !!」からお借りしたリハーサル風景の1コマです!)
FAXでチケットの予約申し込みすると、当日券なし、予約はVIP席、S席のみ残少々(優人さんのレポートでは20枚とのことでしたね。)という状況で、きちんと予約確認が取れない中、とりあえず行ってみることにして旅立ちました。

ソウルから電話で再度確認してもらって(交渉できるほど韓国語はうまくないので友人に頼んで)、やっと明洞へ。途中、ミョンドンの街中で三宮さんと尾崎さんにばったり、(浦野さんにも)出会って、おや、世間は狭いなと大笑い。(ソウルまで追っかけるのかよぉ・・・) ミサがあるので、散歩しているとのこと。
いよいよ期待に胸ふくらませて聖堂へ。プログラムが、なんと2000ウォン(200円くらい)で売っていましたので買いました。S席13000円くらいで、一番前なのはよいのですが、なんと、目の前に巨大な聖堂のはッ、柱が・・・。両袖は、TVカメラやラジオ中継の機材でびっしり。体を60度左へ傾け、のぞき込むようにしても、テノールやバスの皆さんの姿は見えず。テノールのソリスト、ヨハネス・クルーザー(こういう名前で良かったでしょうか)氏はソロの後合唱席に戻れず3段ほどの石段を下りてTVカメラの横を通ってステージへ。演奏は名曲ばかりで(BWV140,BWV80,BWV56,BWV147)、BCJの珠玉の名演奏をたっぷり堪能させていただきました。BWV140のテノールコラールを水越さんがソロ(実際にはテノールパート3人のユニゾンだったそうです:矢口・注)で歌っておられましたが、巨大柱のせいかちょっと遠くに聞こえました。明洞聖堂は松蔭の2倍くらいの高さがあって奥行きも長いし、その響きは松蔭でのふわっとした響きを聞き慣れた耳には、直接的に聞こえました。
演奏中、TV用のライトが「ボッ」と大きな音を立てて燃えたり、ハプニングもありましたが、聴衆は食い入るように聞き惚れ、順調に進み最後の曲BWV147のコラールが終わると、鈴木雅明さんの手が降りるのを待ちかねるかのように、盛大な拍手、嵐のような拍手でした。アンコールも、たっぷり2曲。ヨーロッパでは、食事と共にワインを楽しみ、ディナーの最後は極上のデザートワインをいただき、そのワインの余韻に浸って、その日のディナーが終わるのですが、まさに、とっておきのデザートワインをいただいてその余韻にたっぷり浸ったようなアンコール曲(マタイ54、ヨハネ最終曲)でした。なんかサービス満点という感じですね。私たちの席は60度に傾ければまだ覗けたのですが、隣の席の人、途中から座った女子大学生2名はほんとうに柱しか見えない席で、最後の曲では、悔しがって泣いていたので、席を譲ってあげました。
韓国では、カウンターテナーは珍しいのでしょうか?上杉さんのソロでは、えっ男?というような反応をVIP席に座っていた男の人2人が驚いたような顔をしていました。(なにしろ60度ですから、客席も視野に入るんです。)
聖堂を出たのは、10時半くらいでしたか。チケットが手に入らなかったら、聖堂の壁に耳を当てて聞くしかないと思っていましたから、とても「良い席」でしたが、聴けて良かったです。他の外国での演奏会に行ったことはないのですが、韓国で聴いて「世界のBCJ」だなと実感しました。韓国では、あまり古楽が盛んではないみたいですが、だからこそ、BCJの演奏を水に渇く鹿のように求める熱心な聴衆がいるのだなと思いました。

(大庭美登里様) (05/06/02)
大庭さん、こんにちは。ソウル公演、いっていらしたのですね!考えてみれば九州からソウルは東京にいらっしゃるよりは間違いなく近いところですものね。そしてさっそくのレポート、ありがとうございました!レポートと一緒にお送りいただいた写真もご紹介させていただきます。

会場のミョンドン聖堂 公演ポスター プログラムです!

アンコール1曲目の「マタイ受難曲」の受難コラール(くり返しあり)は主催者側からのリクエストだそうですが、2曲目の「ヨハネ受難曲」の最終コラールは、鈴木雅明さんからのご提案だったそうです(鈴木秀美さん談)。本当においしいアンコールでしたね。キリスト教の信者が日本の何倍もいらっしゃるお国柄とのことですから、これからもBCJの音楽をともに楽しんでいけるといいですね!
(矢口) (05/06/06)
大庭さんのレポート内容について、テノールの水越さんからお便りをいただきましたのでご紹介させていただきます。
矢口さん、(中略) フォーラムの337番、大庭美登里様による (05/06/02)の文中に「BWV140のテノールコラールを水越さんがソロで歌っておられましたが、巨大柱のせいかちょっと遠くに聞こえました。」とあるのを発見しました。

僕が全身全霊で歌っていたのは確かですが、あれはソロではありません。僕は テノールの中で一番アルト寄りのいつもの位置で歌っていたのですが、柱の影で他の二人が見られなかったのではないでしょうか。3人揃って起立して歌っておりましたし・・・・・・。
それと、自分では良く分からないのですが、ヨハネスの声は(他の合唱メンバー曰く)僕の声に似た音色のようで、3人の声が良く解け合っていた、と 良い方に解釈させていただきます(^_^)。

それではまた来週。

(水越 啓様) (05/06/11)

・・・ということで、レポートの該当箇所に注をつけさせていただきました。で、そのまさにBWV140の4曲目のコラールが、現在WEB上で一部聴けるのです!上のフォーラム338でご紹介した韓国CBSテレビのHPで是非ご確認ください!確かによく溶けあった響きになっています!!
(矢口) (05/06/12)

 


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