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電気ストーブ−Memo
 店の傍らには、古い造りだが一応は電気式の、小さなストーブが置いてある。

 ストーブの上には、使いこまれた真鍮製のやかんが乗せられ、口から白い湯気を漂わせている。

 どうも、お湯を沸かせる仕組みになっているらしい……

 ……と思った瞬間、やかんが勢いよく、汽笛のような高い響きを店中に響かせた。

「どれ、お湯も沸いたみたいだし、休憩にするとしようか。」

 やかんの知らせを待ちわびていたように、店主が伸びをして、店の奥から出てくる。

「お茶を淹れるから、一緒に一服、どうだい?」

◆ * ◇ * ◆

ここでは、イベントレポートとか新刊の作成状況とか、サークルに関わること……

……だけではなくて(笑)、近況とか、音楽のこととか、つれづれごとを

ふと気が向いた時に書いていく、つれづれページです。

……普段全然気が向かずに、修羅場時だけ気が向きまくる可能性も高いですが(笑)


◆ * ◇ * ◆



『スペース』−2004.09.02 (Thu)

少し前に読んだ本なのですが、加納朋子さんの新刊、『スペース』。
何度かこの電気ストーブでも話に出した加納朋子さんは、
私の大好きな作家さんの一人です。
(『いちばんはじめにあった海』が好きなのじゃ〜)

で、とある方から、この本を読んだ感想を聞かれているような、
はたまた聞かれていないような、だったのですが(謎)。
それで、感想をここで書こうと思いつつ、結局ずっと書けずじまいだったので
ちょっとこの機会に書いてみようかと思います。
(もっとも、その方がこんな店の奥をご覧になってる確率は極めて低いのだけど・笑)


『スペース』は『ななつのこ』『魔法飛行』に続く、駒子ちゃんのシリーズの三作目。
この本は、駒子ちゃんのお話『スペース』と、駒子ちゃんの同級生である
まどかさんのお話『バックスペース』の、ふたつの連作で成っています。

で、断片的な感想を書こうと思うのですが、
ミステリの特性上どうしてもネタバレになる恐れがあるので、
できるだけ抽象的には書くのだけど、とりあえず反転してみたり。
感想書くの苦手なくせに、書き出すと長いので要注意(笑)。




このふたつのお話の背後で和音のように流れていて、たまに聴き取れる言葉『スペース』。
『スペース』という言葉には含まれる色々な意味があって、
それがささやかながらも印象的な形をもって聴こえてきます。

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の空白箇所のエピソード。
行間、タイプライターのスペースキー、宇宙。
"space"と"spade"。

でも、とりわけ強く現れるのは、あるべき「場所」、
それと埋めるべき「空白」「隙間」としてのスペース、であるような気がします。


私の場合、よくその本を読んでいた時期に、ちょうど聴いていた音楽が
リンクして、ずっと印象深く残ってしまうことがあるのですが、
(まれに、「何でこの歌がこのおはなしに?」ということもあったり・笑)
この『スペース』にリンクして頭に浮かんでくるのが、
坂本真綾さんの歌、『光あれ』。

断片的にいくつか引用すると、こんな詞です↓


  もしもまだこの声が誰かに届いてるなら
  その人に誓いたい 僕は愛を忘れないと

  僕の花はもう二度と開きはしないと思ってた
  でも遅くたってかまわない 壊れた時間を取り戻したい


もちろん、『スペース』で描かれた想いは、この歌でうたわれているほどの
解放に近いような「強い」(ちょっとうまい言葉で表現できない)感情では
なくて、もっと静かなものかもしれないけれど。

あるべき場所を見出し、自分の中の空白が未知の感情や知識で満たされてゆく、
確かで強い感覚は、個人的には似ているような気が、します。

例えば本文中から引用すると、こんな箇所とか。

  今まで知らずにいた、知らなくてもまるで平気だった知識や感情、そして自分自身……。
  そうしたもので満たされていくのは、なんて幸福でくすぐったくて不思議なのだろう?
  そうして私は、それまでの自分がいかに空っぽだったかを思い知ったのだ。


こういったお話って(もっともこの本に限らないことですが)、
読んだ時の自分の状態や環境によっても、感想は変わるだろうけれど。
でも、きっと誰にだってこういった想いを抱くことは、あるのだと思います。

ちょうど自らが、そのことを実感している時期だっただけに、
『スペース』は、ひときわ胸に染み込んできた、おはなしなのでした。




……何を書いてるのか、よくわかりませんね(笑)。



と、上記の『スペース』の感想に関連して、
(何が関連してるのやら、という方は『スペース』を読んでみましょう・笑)
個人的なことで恐縮なのですが、ちょっと報告をば。

私ことぐーたらオーナーは、秋頃に相方さんと籍を入れて一緒に暮らしていくことになりました。
今年がはじまる頃には、そんな気配のかけらもなかっただけに、
自分自身まだ「ありえない」心地もあるのですが(笑)。
でも、確かにあるべき場所に向かっている、という確信もあって。
(むしろヒロコさんの『ねこ曜日』だったりして・笑)

先ほどの真綾さんの『光あれ』から借りると、
♪下手くそなのは変わらない それでも誰かと生きてゆきたい
……なのです。


もっとも、そうは言っても、このお店やおはなしの本作りは、
これまでと相変わらず、よりいっそうのんびりぐーたらと続いてゆくことかと思います。

いったいどこまで、このまま変わり映えのしないお店が続いてゆくのか。
よろしかったら、これからもお茶でも飲みながら、お付き合い頂ければ幸いです。


いじょ(笑)。



……それにしても、結局親族以外での最初の報告がこの店で、となってしまうところが
我ながら自分らしいというか何というか(笑)。
まあ、この電気ストーブの一番の読者は身内達だし、別にいっか(殴)。



最終コマンドとして回遊するマンタに一礼する−2004.08.16 (Mon)
苦難のVAIO Uよ、私に続き給え

……ということで(謎)、モルディブから無事帰国し、
その直後に夏祭りに参加してきました。
……なんという環境の落差ですか(笑)。

あらためて、コミックマーケットにて、雨の中雪森古書店のスペースに
寄ってくださった方、ありがとうございました(^^)。
今日は会場内は夏コミとは思えないほど涼しかったです……。

10%の可能性を乗り越え(狼が来るぞー)、奇跡的に登場した
新刊『Moon Song』も今回作成分完売して、嬉しかったです*

そして、いろいろお声をかけて頂いたり、差し入れまで頂いてしまったり
(竹の茶漉しかわいいです〜! ゆっくり味わせて頂きますねv<私信)
やっぱりこういった嬉しいことが、本作りの醍醐味だなぁと、しみじみ。

『Moon Song』は今月末のコミティアにて再版予定です。
もし「寄ったけど完売だった〜」という方(申し訳ありません…)が
いらっしゃいましたら、こちらもご利用頂けると幸いです*
雪森古書店の新刊&通販情報の更新や、雪窓紅茶店での『Moon Song』の
アップは少しずつ行っていきますので、いましばらくお待ちくださいませ。

……とりあえず、忘れないように冬祭りの申し込み書をかかなきゃなぁ。


おまけ。
モルディブでの現地執筆環境(笑)↓


……こんな所に来ておはなし書きしてる私って一体……。
しかも、帰りの飛行機でもまだ書いていたあげく、
バッテリーが力尽きて、残りの部分をメモ帳で手書きしていたという(笑)



取りあえず前回の記述はなかったことに(笑)−2004.08.08 (Sun)
ごぶさたしております(殴)
そっか、気が付くと前回電気ストーブを書いたのって五月の末なのですね……
……時間が経つのって早いなぁ。
(↑その前に、あんたぐーたらしすぎ)


さてと、もう夏祭りまで1週間ということで、雪森古書店の直前情報をば。

まず既刊については、『桜』はたくさん増刷したので、
いつ寄ってくださってもほぼ確実に残ってると思います。
他の本については、いろいろな事情によりちょっと在庫を増やしたくないので
手元にある在庫のみ持っていきます。
(多分『harvest rain』『東京の空の下』『Planetarium book』あたり)


で、肝心の新刊『moon song』ですが……
取りあえず今日、全体のデザインと表紙の製本が完了。

……ところが、肝心の本文がまだ全然終わってません(殴)。


しかも、ぐーたらオーナーは明日から(日付かわったからもう今日だ)
国外逃亡して、モルディブへと旅だってしまうのでした。

……かくて、南の楽園でノートPCで原稿書きをする男、完成(笑)。
しかも用意した機材では電圧があわなくて、PCが起動しなかったら
その時点でアウト(笑)。

……夏祭りで新刊がお目見えする確率は……10%くらいかと(苦笑)
しかも、日本に帰ってくるのが夏祭りの2日前のため、
奇跡的に書きあがっても、あまり本の数は用意できないかと思います。

なので、10%の可能性でも賭けてみるぜ! という奇特な方は
わりと早めに立ち寄られた方がいいかも、です。
(で、やっぱり裏切られる、と・笑)


ええと。
取りあえず、前回の電気ストーブの記述は気にしないできださいね(笑)。


それから、掲示板の方もまたしても止めてしまっているのですが、
日本に帰って夏祭りが終わるまで、今しばらくお待ちくださいm(__)m





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