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日本的価値観としての「和道主義」


 当サイト管理人は以前から、「日本的な価値観について、何かいい名前が付いていると良いのになぁ」と思っていたのですが、ふと、「和道主義」という言葉を思い着きました(注:2013年5月2日。当サイト管理人による造語です。)。この言葉は、どうでしょうか。

 自分ではっきりした自覚はないのですが、たぶん次のことから連想したのだろうと思います。
」は、
  聖徳太子の 和を以て貴しとなす。
  日本を示すやまと(大和)の和。倭国(和国)の和。
」は、
  武士道の道など、人の生き方としての道。
  稲田朋美さんのいう「道義大国」の道義から。(理にかなった、徳のある、といったイメージ。)

 なお、当サイト管理人が考えている日本的価値観については、上のほかに、次のようなイメージが含まれています。
 ・個人よりも共同体の利益を優先しようとする、日本的な考え方。
 ・室谷克実氏が良く取り上げる「滅私奉公」。
 ・日本のために自ら死を賭して立ち向かった歴史上の人々。
 ・特攻隊。
 ・よく桜にたとえられる、花は散っても木は栄える、という人生観。
 ・水島総氏がよく言う「自分が日本である」との心持ち。
 ・どこにでもいたるところに神がいる(トイレにも)。
 ・祖先も死んだ人も神になれる。
 ・自然と調和して生きる。
 ・清楚を旨とする。
 ・ケンカ両成敗。
 ・欧米の個人主義に基づく民主主義とは異なる、日本型の民主主義。
 ・会社の社長(組織の幹部)などが、一般社員と共に汗をかき同じ食事を食べる。
 ・同じ釜の飯を喰うといった仲間意識。
 ・天皇・将軍・殿様などが、民草の苦難に心を痛める。
 ・昭和天皇の玉音放送・マッカーサーとの対面の話。
 ・今上天皇の東日本大震災の被災者への思い。
 ・東日本大震災での秩序正しさ。

 また、当サイト管理人が考えている日本的価値観については、次のページもご覧下さい。
日本と日本人 の「■日本の価値観■」の項
人間の精神段階
世界の思想・宗教日本の神道

 他にもっと良い言葉があれば、どなたか命名していただきたいと思います。
 この日本的な価値観が世界に広まっていって、世界がよりよくなってくれることを期待します。
 そのためには、まず、日本人自身が、この日本的な価値観を、他者に上手く説明できるようにならなければいけないと思います。


【和道主義が内包するもの】
 日本的価値観(和道主義)は、これまでに、下のものを消化・吸収して、すでにその中に内包していると思う。
神道的な(アニミズム的・多神教的・汎神論的)世界観
・日本古来からの伝統である、大和言葉(やまとことば)と、穢れを嫌い、和を尊ぶ文化
・日本民族の家長・祭司としての天皇家、および君臣一体の風
中国文明が伝えた、漢字と律令制
儒教の教える、仁義礼智忠信孝悌
仏教の教える、悟りの諦観と、菩薩の慈悲
武士道の教える、滅私奉公
・公平と公正と公序良俗(個人よりも公を尊重する傾向)  ← ここ重要
近代西欧文明が確立した、自由・平等・博愛と、議会制民主主義


【弱きを助け強きを挫く】
 近代の世界史を勉強し、日本的価値観に思いを致すとき、この「弱きを助け強きを挫く」という言葉が、私(当サイト管理人)の頭に浮かび上がってきます。
 欧米列強の植民地主義人種差別主義は、「強い者が弱い者を支配する」という理論で常に一貫しています。
 これに対して、日本の海外進出は、一見すると欧米列強の植民地進出と同じように見えるのですが、注意深く見ると、その心中には「弱きを助け強きを挫く」という任侠心があったのではないかと思われます。
・列強の接近に無対応な朝鮮を、なんとかしたい。
・列強に侵略されそうな支那を、なんとかしたい。
・列強の植民地となっているアジア諸国を、開放したい。
 そういった思いがあったように見えます。
 この点が、日本と欧米列強との一番の相違点ではないでしょうか。
 今日においては、人種差別が否定され、武力による領土拡張は認められなくなりましたが、強い国が弱い国に影響力を行使することは、現代の国際社会においても当然のように行われています。アフガニスタンイラクで起きたことが、その良い例でしょうう。
 これに対して、日本は、発展途上国に対して近代化促進のためのODAを続けています。まさに、「弱きを助け」という精神のように見えます。
 そして今(2013年)、日本は「強きを挫く」ために立ち上がろうとしているのではないでしょうか。当面の対象となる強国は、中国のように見えます。



【特攻隊・真珠湾攻撃・大和魂】(私見)
 特攻隊の話を聞いていると、いつも2つ対立した考え方が浮かび上がってきます。
 一つは、特攻は非常に効率が悪く、効果はほとんどなかったという批判。そんな作戦を実行した日本軍(あるいは特定の将校)は大馬鹿者だと。
 その一方で、特攻にいのちを捧げた若者たちは、すばらしいと評価する考え方。
 特攻隊を考えるときの日本人には、いつも、この矛盾対立する2つの考えが頭に浮かびます。
 彼ら(特攻隊員)の思いは、「なんとか敗色濃厚な戦局を打開したい」、「少しでも日本本土への攻撃を遅らせたい」、「たとえ自分の出撃に成功の見込みがほとんどなかったとしても万が一の成功に賭ける」 といったものでしょう。その姿は美しい。作戦が成功するかどうかということよりも、優先される何か(上位のもの)があります。それは、「滅私奉公」の精神ではないでしょうか。山本常朝は「葉隠」に、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」と書きました。極限まで突き詰めて考えていくと、そういうことになるのでしょう。

 真珠湾攻撃酷評する人たちがいます。戦局を優位に展開するためには、愚かな作戦だと。そして、勝てないと分かっていて、なぜあんな無謀な戦争に突入したのかと。
 その一方で、大国アメリカに正面から斬り掛かった姿に、胸が高鳴る人たちがいます。当時の日本人も、こちらの方が多数だったのではないでしょうか。
 欧米の白人列強が積み重ねてきた「植民地主義と人種差別の歴史」に異議ありとして、「白人中心の世界秩序」に対する反抗を、高らかに宣言したように見えます。その姿は、ある意味美しい。当時の世界中の有色人種が歓喜したと、表現する文章もあります。
 戦争に勝つことよりも上位にある何か(優先されるもの)があります。それは、「大義」であり、「道義」ではないでしょうか。そこにも、「滅私奉公」の精神があり、「武士道」の精神があります。
 打算に満ちた国益よりも上位にあるもの、それは、世界はどうあるべきかという「大義」でしょう。日本の国益よりも優先される「世界のあるべき姿」、めざすべき目標は「八紘一宇」の世界(※ この言葉はいま貶められている。)だったのだと思います。
 この真珠湾攻撃が、たとえルーズベルトに誘導されて決行に至ったものであったとしても、白人社会に対する正面からの異議申し立ては、実に美しいと私には思われます。

 もし仮に、日本が再びどこかの国と対立が深まって戦争が避けられない時には、今度は絶対に勝たなくてはいけない、二度と悲惨な敗戦を経験してはいけないと、誰もが思うでしょう。
 けれども、日本人の場合には、常に「大義」が「勝つこと」よりも上位にあります。「道義」を欠いた戦いは、どうしても日本人には出来ないのです。このことは、敵が「道義」をそっちのけにして「勝つ」ことだけを考えている場合には、絶対的に不利になります。それは、再び日本が負ける可能性を含んでいます。

 こうした「道義」を一番に重視する日本的な思想は、「神道」に由来するものだろうと思います。
 自分のいのちを賭して日本(と日本人)のために尽くした人々は、美しい生き様だし、日本人の鏡だと言えます。そのようにして死んで行った人たちは、神道によって神のように扱われるでしょう。そして、靖国神社に奉られます。
 こうした日本のために尽くした多くの人々のおかげで、今日の日本がある。日本の歴史は、こういった人々の生き様であふれています。そうであるならば、今日を生きる我々も、そのように生きなければならないではないか、ということになります。後世の人々に、あの時代の日本人たちは、全力を賭して日本の将来のために尽くしてくれた、と言われるようにです。それが、日本人の精神であり、日本の神道なのだと思います。
 吉田松陰は、
「 死して不朽の見込みあらば いつでも死ぬべし
  生きて大業の見込みあらば いつでも生くべし 」
という言葉を残しています。この「不朽」が意味するものは、そうした美しい生き様を指しているのだろうと思います。

 世界を見渡してみると、この日本人の死生観は、ユニークな(日本独特の)もののように思われます。
 モーリス・パンゲが著した「自死の日本史」という本のなかには、歴史上の日本人の美しい生き様が数多く取り上げられていますが、著者のモーリス・パンゲには、なぜ死ななければならなかったのかが遂に理解できていないように私には見えます。その原因は、キリスト教神道との死生観の違いにあるのだろうと思います。
(※ モーリス・パンゲ著「自死の日本史」竹内信夫訳、筑摩書房、1986年。 2011年に講談社学術文庫でも出ているようです。)
 中国(中共)と韓国の姿を見ていると、実に打算的な生き方をしています。自分が有利になるのなら何でもする、という生き方なのでしょう。
 アメリカのグローバル資本は、どこまでも自分たちの利益を追求しています。そのために、他国が戦乱にまみれようと、国家財政が破綻に瀕しようと、おかまいなしのようです。こうした今日の世界秩序に、多くの日本人(※ 私も含めて)は我慢がならないのです。(※ こうした思想的な対立は、戦争への危険を秘めているかもしれません。)
 特攻隊や真珠湾攻撃に賛同し、称賛さえしてくれる外国の人々(※ 特に有色人種の人たち)が、当時もたくさんいたし、今も少なくないと思いますが、日本人とともに不利な(負けるかもしれない)戦争を戦ってくれる人は少ないでしょう。人間は基本的に、打算的に生きていますから。
 将来において、いざという時が訪れたとき、そのときの日本人はどう行動するでしょうか。たぶん、先人にならった美しい生き方をしようとするのではないでしょうか。日本人の心の底に流れる「神道の精神」が、きっとそうさせるのではないかと思います。

 最後に、吉田松陰の言の葉を。
「 かくすれば かくなるものと 知りながら 
   やむにやまれぬ 大和魂
  」
2014/9/24





【LINK】
LINK 神道 - Wikipedia
LINK 修験道 - Wikipedia
「密教世界の構造 空海『秘蔵宝鑰』」 宮坂宥勝 著、筑摩叢書、1982年(注:1994年に、文庫版(ちくま学芸文庫)が出ているようです。)
LINK 鎌倉仏教 - Wikipedia
LINK 武士道 - Wikipedia
LINK 葉隠 - Wikipedia
LINK Amazon.co.jp新渡戸稲造 著「武士道」(矢内原忠雄 訳、岩波文庫、1938年)
LINK YouTube ≫ GHQ焚書図書開封 第34回 第34回:『国体の本義』の光と影
LINK YouTube ≫ GHQ焚書図書開封 第50回 第50回:日本家族國家論
「日本国家の神髄」 佐藤優 著、扶桑社新書、2014年
LINK YouTube ≫ 3/3【国会議員討論】安倍政権の一年を振り返る!そして来年は?[桜H25/12/28]
LINK YouTube ≫ 【講演】 呉善花氏 『あまりにも価値観の違う日本と韓国は距離を置くべき』 『玄関で靴を揃え向きを変える日本人の行動⇒根性が捻じ曲がってる』



【参考ページ】
日本と日本人
日本の歴史認識
日本的価値観としての「和道主義」 〜このページ
社会を動かす3つの要素
人間の精神と脳
人間の精神段階
世界の思想・宗教日本の神道
世界の思想・宗教般若心経

更新 2015/8/13
当初 2013/5/3
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