sweet soul  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

 

  「Lifestyle」 Lifestyle (1977)

ノーザン・ダンス・ビートを縦糸に、フィリー・ミュージックを横糸に織り上げられた、甘いのに骨太なアルバム。ドゥワップ的要素を取り入れたコーラスにのせたダンサーA-1「Just want to be with you」や「泣き疾り」ファン感涙のA-3「Trying to make it up to you」続くスローバラードA-4「I.m gonna love you girl」で「泣き崩れ」。B-2「Love can make you cry」ではそれまでのバリトン・リードにかわりファルセット・リードにかわり甘くメロウな世界を演出。アルバムの奥行きが深まる。ボーカルの野性味あふれるリードにカラム繊細なコーラスのコントラストおよび曲配列もバッチリ計算されつくしている素晴らしいアルバム。

「castles in the sky」 the Futures (1975)

7.52にもおよぶドラマティクなメロディー。A-1「castle」で幕をあける70'sフィリーアルバム最高峰の1枚。それぞれのパートが折り重なる美しいコーラス。なのにどこかシルキーなA-2「(love live on a)windy hill」。リレーのように各パートのボーカル表裏で連なるメロウミュージック、A-4「Super love」。B-3「Do unto others」のヘビーなダンサーなど、そのどれもがフィリーの美しいメロディーに抜群のコーラステクニックで彩られた曲たちで、甘く濃厚なスウィートソウルの世界へと聴くものをいざなう。

  「Danny」 Danny Johnson (1978)

のびやかなファルセットというよりは、もう少しで破壤しそうなきわどさがあるがそれも彼の持ち味。ユージンの代わりに一時期シャイ・ライツでリードをとっていた、という肩書きもA-2「Future Past」のやさしい歌声を聴けば必要ないだろう。しっとりとのびやかに、そして甘いA-4「I might as well forget loving you」やタイトル通り、夢の世界へ誘ってくれるような美しいスウィートバラード「Dreamin' again」などをバッチリきめてくれる。ダンサーならB-1「Dance.dance.dance」が無難に、しかも軽快にまとめている。

「Love the way you love」 Betty wright (1972)

メンフィス周辺の香りがするBetty wrightはソウルとゴスペルを下地にもちながら、どこかしらポップな味をもつ。A-4「All your kissin sho dont make true lovein」のスリリングなギター。グルーヴィーでパワフルなA-5「If you love me like you say you love me」、スライドギターにからむホーンもラヴリーなA-6「Clean up woman」。情感豊かなギターを弾き、リズムアレンジも担当するのはマイアミソウル「Party Down」でおなじみ、Willie Little Beaver Hale。

  「Fiesta」 Fiesta (1978)

60年代にドゥワップ/初期ソウルスタイルで活躍していたグループが復活。この時代の甘さを含みコーラスグループとして素敵な曲を聴かせてくれる。A-2「Thanks for the sweet memories」は骨太なヴォーカルにシルクのように美しいコーラスが重なるスローバラード。フルートの音色も涼し気なA-3「Hold on」は軽快なミディアム。バリトンでも暑苦しさなし。ファンクな曲にもチャレンジしているけれど、そちらはあんまり趣味じゃないです。フィリーとはひと味ちがうデトロイトならではの甘さが聴ける。個人的にはこのジャケからコノ内容は結びつきませんでした。

「Jimmy Briscoe and the beaver」 Jimmy Briscoe and the beaver (1977)

Jimmy Briscoe and the little beaverのデビューから2年、「little」がとれた本作は前の子供っぽさがぬけてすっかり青年らしい力強さがみえる。A-1「no one can love you like i do」の軽めのダンサーにサビのメロがキャッチー。A-4「living for today」のミディアムなどもいい。一方スローではB-2「true love」での堂々とした唄いっぷりにはもうかつてのひ弱さはない(キッズファンには物足りない?)。雰囲気でいえば続くB-3「Aint nothing new under the sun」が前作に近い。きっとこの2年間の間に声変わりがしたのだろう、ボーカルのJimmy Briscoeの成長が聴きとれるアルバム。個人的には前作よりいいとおもう。

  「Black Ice」 Black Ice (1976)

ウエストコースト系ファンク・ソウルのグループ。若干のテナーボーカルが不安定なところがあるが、それを補ってあまるコーラスとメロディー。ギャングスタのカバーで有名なA-2「Blind over you」は美しいスロー。疾走感あふれるA-3「Girl thats what i call love」のブっといボーカルとコーラス、軽快なストリングスとホーンのコントラストが見事。ドラマチックなイントロのB-1「the wine is bitter」はそのままメロウな世界を展開する。そして雷鳴轟くイントロに官能的なアエギ声がインサートされるスウィートバラードの王道的展開のB-3「Making love in the rain」は甘茶擬音ファン必聴。

「the Eugene Record」 Eugene Record (1977)

シャイ・ライツのリード、その他いろんなミュージシャンに楽曲を提供しているEugene Record自身のアルバムは派手さはないけど、おだやかなソウルを聴かせる。やさしいファルセットの歌声によるA-3「Here comes the sun」ベースのグルーヴがニューソウルっぽいA-4「overdose of joy」。とっても「白い」メロディーB-1「Mother of Love」。しっとりとした情感と美しいメロディーのB-2「Love dont live by sex alone」や続くB-3「Putting it down」などはそのソフィスティケイトされた音によってソウルというよりはAOR寄り。バックコーラスで華をそえるのはEugeneプロデュースによるアルバムをだしているBarbara Acklin。

  「Moment of truth」 Moment of truth (1977)

Salsoulレーベルからリリースのフィリー・ダンサー物。こういうグイグイひっぱるタイプの音楽にはリードのバリトンがよくあう。A-1「chained to your love」やA-2「Lovin you is killin.me」のどこかで聴いたようなホーンのリフ。でもこのフェイクっぽいオケが安っぽく聴こえずビシビシ決まるのはこのグループの実力か?。まっすぐに疾走する様が爽快なA-4「you got me hummin」。唯一のスローバラード、B-2「Youre all i want you to be」では一転リードがファルセット・ボーカルになり、まるで別のグループのよう。曲中盤でのバリトンとのカラミがスウィーティ。ストリングスとコーラスによるフィリーの王道のフォーマットを集約させた、けれどどこか偽者くささがただようアルバム(もちろんホメ言葉)。ゆえにもちろんジャケットもあやしい。

「Loving you」 Barbara Jean English (1973)

George Kerrのプロデュースしたこのアルバムは繊細でせつないのにキラキラとした輝きをはなつ。珠玉のアルバム。A-1「You're gonna need somebody to love you」の胸をしめつけられるような歌声。間奏にインサートされる「語り」にグッとくる。スウィートな「泣き疾り」のA-2「Comin of goin'」、ネコの鳴きマネもファニーなA-4「Guess who」。しっとりとのびやかに歌われるB-3「Key in the mailbox」など、どの曲も夜中にひとりで聴いていると泣きたくなるセンチメンタルなメロディーとBarbaraの声。
最高のレディ・スウィート・ソウル。