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  「All toys break」 Elusion (1981)

80'sのモダン・グループ・ソウルでも屈指の「切ない系ボーカル」のElusion、1stアルバム。A-1「All toys break」でいきなりその実力をいかんなく発揮したボーカルを聴かせてくれる。しぼりだすように歌い上げるスローバラードとスウィートなコーラスが導くソウルフルなメロディー。ミディアムテンポのA-3「Living on the verge of leaving」では深夜のイルミネーションと共に駆け抜けるようなキラキラとした疾走感が溢れる。B-3「I've never been in love before」ではパワフルでファンク風味なメロディーをコーラスグループとして軽快にこなす実力派。

「Horizontal refreshment」 Supercharge (1976)

Huey Lewis & The NewsのDo You Believe In Loveのオリジナルを演奏していたことが有名な彼等の4thアルバム。サックスをフィーチャーしたA.O.R的なサウンドは湿度を感じさせないさわやかな感触。ハワイ産のA.O.RのようなスローでロマンチックなA-3「Limbo Love」、アルバム内最高のメロウグルーヴでサンセット時の海岸が似合いそうなB-3「Let the feeling grow」などスウィートなメロディも素敵だけど、最高なのはB-1「Only you」。サックスとストリングスがからむイントロに伸びやかなボーカルとコーラス。グルーヴィンなドラミングで疾走する曲調はグループ名を地で行くようなフロアチューン。

  「ACT 1」 ACT 1 (1974)

Terry Huffのアルバムに参加しているSpecial Deliveryの前身であるACT 1。先のウルトラスウィートなイメージとは別にファンク色な曲A-1「Party hardy people」も歌うが、ここは軽快なA-2「I don't want to know what you do to me」がいい。ホップするメロディーに若々しいコーラスワーク。カモメの泣き声と海辺の水音というスウィートな擬音ではじまるA-3「Still water」バリトンによる語りと女性コーラス、ピアノのリフというコクのあるメロドラマ的展開のスウィート。A-4「Goodbye love」やB-1「It's the same old story」なスロー気味のミディアムの情感溢れるダンサーも「泣き疾り」でいい仕上がり。

「The sly.slick and the wicked」 The lost generation (1970)

Brunswick産のソウル。正統でオーソドックスなモータウンを意識したようなヤングソウルを聴かせる。スローグルーヴにファルセットリードをしっとりとのせるA-2「Love on a two way street」。ドリーミンなストリングスに情感的なボーカルを聴かせるバラードA-5「sorry i can't help you」。鋪道を打ちつける雨音と雷鳴というスウィートの基本ともいえるSEに美しいコーラスワークの B-1「someday」。そしてSpanky wilsonにカバーされたB-2「love land」はグループスタイルを活かしたミドルチューン。アルバムプロデューサーはBrunswickではおなじみのシカゴマスターEugene Record。

 

  「Mystique featuring ralph johnson」 Mystique (1977)

Curtom・シカゴリリースのはずなのにアルバム全体に漂うのはフィリーのダンサーな薫り。クレジットを見て納得。半分はシグマレコーディング。A-1「If you're in need」はアルバムスタートに相応しいダンサー。サビの部分のコーラスがカッコイイ。スピーディーでファンキーなナンバーA-4「What would the world be without music」。そしてB-1「Keep on playing the music」のサワヤカな歌声&コーラスにハッピーグルーヴ。最高!。一方A-3「is it really you」をはじめB面のB-2「all of my life」B-4「this timme i'll be the fool」などスウィートバラードもバッチリこなすテクニシャン。インプレッションでリードを務めていたラルフ・ジョンソンをはじめロスト・ジェネレーションに所属していたメンバーなどその実力に納得。

「More Of You 」 Alton. McGlain & Destiny  (1980)

ポインターシスターズ・タイプ。年代も80年代に入るところということもあってメロウなダンサーを身上としているところなんかますます近いかも。ただ、このアルバムには強烈な裏ワザが収録されていてA-3「Hang on in there baby」でのがJohnny Bristolとのデュエットがそうだ。これを聴くとあたかもこの曲はデュエットソングだったのでは?という出来。ただし、たぶんこのデュエットはJohnny Bristolのボーカルトラックを使った疑似デュエットだと思う。この辺が裏ワザの所以。他にはイントロの語りがいいかんじのバラードB-2「Stares and whispers」。どことなくモータウンっぽいB-5「you bring to me my morning light」あたりが聴きどころ。

  「three」 Temprees  (1974)

メンフィス出身だった彼等も74年と時代もあってか当時流行のフィリーで録音を行った。結果以前のようなコクのある甘さは少し薄まったが、それでもA-2「your love」やB-3「don't let me be lonely tonight」など、しっとりとしたボーカルにスウィートなコーラスという往年の持ち味を披露している。一方いままであまり例の見なかったモダン風味のA-5「the whole bit of love」やB-1「come and get your love」、強力なダンサーであるB-4「ill live her life」あたりはフィラデルフィア産ゆえの軽快な演奏とあいまって、このグループの実力を再評価する新境地だったと思うが評判はあまり良くなかったのかその後アルバムがリリースされることはなく、tempreesの3枚目にしてラストアルバムとなった。

「he gives so much」 together (1978)

レコード屋で500円で買った謎のレコード。Goscoレーベルだからゴスペル系かとおもえばオーソドックスなスウィートマナーの良盤。タイトルナンバーのA-1「he gives so much」はファルセットがちょっと危なっかしいが、洗練されたミディアム。A-4「love is a three-letter word」はホップするリズムにシンセが今のブラックミュージックの先駆けだがサビのコーラスはしっかりスウィート。B-2「together we stand」は気持ちの良いコーラス・ボーカルに絶妙なファンクを折り込んだミディアムナンバー。コンガとピアノのリフがカッコイイ。B-3「jusus.he's coming back again」、続くB-4「let love abide」はあの危なっかしいファルセットが逆に締め付ける味になってるスウィートバラード。コーラスパートの割り当てが絶妙でしっとりとアルバムの最後を収めている。

  「portrait of walter jackson」 walter jackson (1983)

シカゴのベテラン都会派シンガー、walter jacksonが80年代にChi-Soundレーベルからリリースしたアルバムはプロデューサーのcarl davisらしく洗練された中にスウィートさが光る好盤。
ホップするリズムと女性コーラスで最高のミディアムに仕上がったA-2「touching in the dark」や、しっとりとしたシルクのような肌触りのバラードA-2「if i had a chance」。B-2「its cool」のスリリングなギターワークから展開するセクシーなボーカル。B-3「i want to come back as a song」では彼の持ち味であろうスロウバラードをコーラス無しのソロスタイルで朗々と歌い上げる。ベテランらしく歌唱力はバツグン。そしてフィリーとはまた違ったシカゴ流の豪華なモダンソウルを聴かせてくれる。

「Soul Suvivors」 Soul Suvivors (1974)

TSOFというPHILADELPHIA INTERNATIONALの系譜であるレーベルからリリースされたアルバム。Soul Survivorsはメンバーのほとんどが白人でその彼等をレーベルトップのGamble-Huffがプロデュース。ソウルというよりはロックに近いA-1「what it takes」は最高のドライヴィンミュージック。A-3「City of brotherly love」はメンバーによる楽曲だが、アイズレイのようなソウルフルなタッチ。B-1「start all over」ではMFSBがホーンを担当しているがフィリータッチのものではなくむしろその音はL.Aやハワイ産のA.O.Rのよう。B-4「best time was the last time」などはソウルのミディアムとして良い仕上がりを見せているがボーカルの声はやはり「白」く、ソウル的耳で聴くと少し物足りない。むしろB-5「soul to soul」のような(Gamble-Huffの名曲)方がバックのMFSBもいつもの仕事をしていて安心して聴ける。A.O.R的解釈ならば決して問題のないアルバムだが、TSOFからリリースされたか謎。