sweet soul  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

 

  「Low Rent Rendezvous」 Ace Spectrum (1975)

ニューヨークの都会的なセンスをもったスウィートを聞かせてくれるAce Spectrumの75年作のアルバム。疾走感溢れるイントロのA-2「You aint no match for me」やA-4「Keep holding on」での瑞々しいメロディーと美しいコーラスワーク。摩天楼におりる夜の幄のようにしっとりとした情感で歌い上げるB-2「Trust me」B-3「I just want to spend the night」。せつなくいとしいミッドナイトアワー。Neeil Sedakaの楽曲B-4「Laughter in the rain」やThom Bell&Kenny GambleのB-5「Do you remember yesterday」などのカヴァーも素晴らしい。ソウルのドロ臭さはまったくなく、けれどしっかりと「黒い」大人のためのBGM。
曲を彩る美しいストリングス・アレンジは名プロデューサーPatrickk Adams。

「Love Maze」 The Tempress (1973)

メンフィス産のウルトラ・スウィート・アルバム。美しいコーラスに身悶えするくらいのスロウバラード。濃密でコクのあるハチミツと黒砂糖まみれのようなA-1「Love's Maze」。しっとりとしながらも浮遊感のあるA-3「Let Me Be the One」。ソウル的なアプローチよりもAOR的なスウィートさがメロウなA-4「Someting so Right」への流れは圧巻。最小限のバックの演奏にファルセットのリードによるB-4「Trust in Me」などスロウの佳曲が目立つ。ミディアムならA-5「At Lost」やB-2「You Make Me Love You」あたりのフィリーとはひと味ちがう曲がいい。これもやっぱりスウィート。
Terry Huff同様聴く時の精神状態により泣き率倍増のアルバム。要注意。

  「Let me live in your life」 Ben E king (1978)

70年代後半のこのアルバムはLamont Dozierプロデュースにより都会的でスウィートな曲が聴ける。A-2「Wonder women」軽いミディアムにBen E kingのハジけるボーカル、女性コーラスというスタイル。つづくアルバムタイトルのA-3「Let me live in your life」はLamont Dozierのこの年代らしい洗練されたスウィート。黄昏時のキラメキのよう。ミディアム・ファンキーなテイストのB-2「Family jewels」やタイトル通りの極甘トラック「Sweet rhapsody」などやはり聴きどころはLamont Dozierの楽曲。
スローについては全体的にきれいすぎてAOR的おもむきが強いアルバムだが、Lamont Dozierプロダクションの音が好きな人にはおすすめ。

「Let it be」 Spanky Wilson (197?)

Spanky Wilsonの(たぶん)1stアルバム。さまざまなカバー曲をソウルフルに歌い上げる。フィフスのA-2「Love or let me be lonely」の洗練されるよりも黒っぽさを強調するかのバックの演奏にのって彼女の歌声もパワフルに響く。A-5「Loveland」は最高のハッピーグルーヴ。キラキラとしたホーン隊、ファンキータッチのドラムなどワクワクするリズムにあわせて歌う伸びやかな歌声。独特のコンプの効いた録音もこの時代の雰囲気たっぷり。大好き。A-3「Alfie」やA-4「Perhaps」のジャズ・タッチの曲もなかなかの仕上がり。というか本来はこういったスタイルだとおもいます。

  「Risi'n」 Smoke (1976)

カンサスというソウルとしては少し異色の地で生まれたインディーズ・グループ。シカゴにあこがれるようなメロディーにしっかりとしたボーカル&コーラスはA-2「I'm So Glad You Came Along」やB-2「Now You're Gone」などのミディアムから8分を越える長篇のスロウ・バラードA-5「I'm So Lonly」はバリトンのリードが男のせつなさを歌いつくす。まさに男泣きスウィート。B-5「Make Belive」も同様のタイプの楽曲。A-3「Rainy Night」のヤリすぎなんじゃない?ってくらいの雷鳴と雨音のギ音はスウィートにかかせない小道具。ギ音にまけないくらいの天につきつけんばかりのファルセット・リード。

「So Many Ways....」 Barbara Jean English (1972)

名盤「Loving you」の前年に作成されたこのアルバムはカバーを中心にソウルとジャズのスタイルをうまく取り入れている。A-2「I'm Living a Lie」はグルーヴィでキュートな曲。アップ・テンポにゴスペルタイプのコーラス。最高!。A-5「Baby I'm a want you」ではしっとりと、そして時にパワフルに歌いあげる。B-1「So many ways to die」の情感豊かな歌声は彼女の実力を十二分に発揮。このへんはやっぱりブルーアイズドよりも黒人である彼女に分がありそうだ。そしてバカラックのB-4「Don't make me over」。これについてもディオンヌの例とあげるまでもまく黒人女性との相性のよさを披露。ソウルというよりはブラック・ポピュラーといったかんじのアルバム。

  「Flashlight」 Flashlight (1978)

70年代後半、リアル・フィリーの砦を守って来たSalSoulレーベルからリリースされたフィリーマジックに溢れた名盤。おなじみの軽快なフィリーのメロディーから少しだけマイナーへ振られたA-1「Beginner's Luck」はダンサーでノリノリなのにせつなさが漂う「泣き疾り」な1曲。メンバーの女性がリードをとるB-1「Who am I?」やミディアムのB-3「Beware she's pulling my strings」や続くB-4「Thank you baby」などどこを切っても溢れてくるキラキラとしたフィリーミュージック。さすがシグマ・メイド。スローならA-2「Don't Feel Nothing」のダイナミックなオーケストレイションのメロディーをバックに歌う男性リードにからむ女性コーラスがドラマティク。

「Harmony Grits」 Street Corner Symphony (1975)

ドウアップを下敷きに70's的解釈で歌うコンセプトをもったこのグループは、本アルバムの為にメンバーが集合したパートタイム・グループ。
A-2「The train」でのスローバラードはドウアップの骨太でだけどやさしい雰囲気が良く出ていて、このアルバムでやりたかったことがストレートに現われているとおもう。そしてオールドタイミーなA-3「I'm not ready」やB-6「Farewell my love」などのアカペラのハジける瑞々しさは、山下達郎のアカペラスタイルに近い。とっても不思議なメロディーにジャズ・コーラス的なアレンジを加えたA-4「Stevie's Wonder」。オールディーズの曲A-6「Earth angel」のスウィートとはひと味ちがう正統バラードは当時のこのグループのヒットシングル。

  「Foster Sylvers」 Foster Sylvers (1973)

Jackson 5にインスバイアされて登場したグループの中でも成功した部類であろうファミリーグループthe SylversのメンバーFoster Sylversのソロアルバム。Jackson 5の「ABC」タイプのA-1「Misdemeanor」は微妙なマイナーリズムが逆に今聴くといいかんじ。全体的にウマイという印象より、ときおり金切り声に近い子供特有の声を駆使して元気よく歌うという、「お稚児趣味のソウルファン」の為のアルバムという印象が強い。全体的にカワイイらしい曲が多い。このあたりがニュージャージ界隈でその後登場したキッズ・グループのソウルと違うところ(あっちは大人顔負けのスウィートメロディーを歌う(歌わせる)。変態性強し)。かなり健全なキッズ・ソウル。そんな中、しっとりとしながらもキレイにまとめたB-5「Only My Love Is True」のスロウ具合はグット。

「Best Kept Secret」 New Orleans (1982)

80年代という時代のせいか、いくぶんアーバンな雰囲気をもつスウィート・ソウル。フィラデルフィア産(シグマスタジオ)だが、じつにしっとりとしたバラードを聴かせてくれるA-1「Who has the answers」はボーカルとコーラスのバランスが絶品。バリトンとファルセットのボーカルが交互にリードを取り合いめくりめくスウィート・ワールドを展開するA-2「Runin Slipin Slidin Through」。オールド・スタイルのコーラスにシグマの素晴らしいストリンングスがとってもドリーミーなA-4「Its all in the way」などボーカル物はすべてよし。他はA-3とA-4のインストが収録されています。