田園みどり共生国だより

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天皇の刺客

  • 2017年08月12日(土)16時51分

書名:天皇の刺客
著者:澤田 ふじ子
発行所:徳間書店
発行年月日:2013/4/30
ページ:611頁
定価:2,000 円+税

舞台は江戸後期(維新の70年ほど前)の京都。内憂外患の波が押し寄せる時代。朱子学には「主君には忠・忠義、親には孝行」というのがある。明智光秀の主殺し、秀吉の織田家の乗っ取り、など見てきた徳川家康は主君には忠・忠義を前面に、朱子学を奨励した。そして紀州徳川、尾張徳川は将軍家の後継。万が一天皇家と相争うことがあったら徳川が滅びないように水戸徳川には天皇家につけと。また自身を神に東照宮を作り、徳川家が存続するように考えた。完璧だと思われていたこの朱子学には大きな矛盾があった。

主君とは誰か?将軍家(徳川はそう考えていた)、でも1800年頃から幕府の財政破綻、暮らしも悪くなってくると主君?徳川は覇者(奪い取った)では、王者は1000年以上も続いている天皇家ではと考え始める人たちが出てきた。中国では覇者が政権を取ってもいい。徳があれば。という考え方。でも幕末の日本では徳川は覇者ではないか?
本当の主君は天皇家。尊皇という思想が出てきた。

この物語は1800頃が舞台。幕閣は尊王思想を増長させる『日本書紀』を秘かに焼き尽くす計画を進めていた。刷り師、彫り師、版木などを取り締まって中には版元などをつぶしたり、市中に出回る『日本書紀』を焼いてしまったりしていた。これはお庭者(隠密)が密かに動いていた。しかし草莽の志を抱く植松頼助・猿投十四郎たち一団はそれを阻止すべく、天皇の功績を北前船で刷り物にして湊々で頒布することを始めた。尊王の志士たちと幕府隠密たちとの熾烈な戦いがはじまった。そんな時代の物語

澤田ふじ子の小説は冗長系が多くて、ページ数ばかり多い。直接関係ないことの説明など延々と始めてしまう。それはそれで面白いのですが、何となくすっきりしない。読み終わっても何が言いたかったの?という感じがします。これもその1つです。原稿を手書きではなくパソコンで書くようになってきたのでそんな作家が多くなったのかも?推敲が甘い、書き殴ってそのまま出版という手抜きが感じられる。もう少し練って欲しい感じがする。

天皇の刺客 澤田ふじ子著 今日的テーマ、力強く :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55023080U3A510C1NNK001/

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「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

  • 2017年08月12日(土)16時22分

書名:「司馬遼太郎」で学ぶ日本史
著者:磯田 道文
発行所:NHK出版
発行年月日:2017/5/10
ページ:187頁
定価:780 円+税

歴史学者が論じてこなかった「司馬遼太郎」を、歴史家磯田道文が論じている。『太平記』の作者である小島法師、頼山陽、徳富蘇峰と並ぶ、日本人の歴史観に強い影響を与える歴史学者であると。司馬遼太郎のことを「歴史をつくる歴史学者」司馬遼太郎の歴史観を司馬史観と呼ばれている。戦国時代の下克上を描いた「国盗り物語」、幕末の転換期「竜馬が行く」明治の大村益次郎を描いた「花神」、秋山好古、真之を描いた「坂の上の雲」、「峠」などを題材に司馬遼太郎の視点を分析している。でも司馬さんが小説に描かなかった「鬼胎(きたい)の時代」(昭和前期)とは何だったのか-。自分の戦争体験からか、昭和前期は決して描いていない。

乃木希典(203高地)を無能な将軍の頃から段々日本人の病いである「前例主義」、合理主義、リアリズムが消えて、精神主義が台頭して、集団的に一方向に進んでしまった。統帥権という化け物を明治の頃は元老が押さえていたが、昭和に入ると西園寺公望しか元老は残っていなかった。三権分立の外部に統帥権、そしてそれは天皇の権限もない。軍の独断で何でも出来た時代。これは明治時代に軍隊、制度をプロシア(ドイツ)に、明治時代に確立した制度、仕組みの中に腐敗構造を持っていた。昭和前期にその悪いところが出てきて、戦争に突入、敗戦となった。
でも長い長い目でくると当時戦勝国といわれた国々、本当に勝ったのか?また敗戦国は本当に負けたのか?どちらとも言えないのでは?多くの犠牲を払ってやるほど価値あることだったのか?

これからも合理主義、リアリズムの視点から判断していかないととんでもない方向に集団で導かれてしまう。日本は神国、装備がなくてもやる気さえあれば。一生懸命やればとか気を付けないといけない資質を持った日本人という事を自覚すること。勇ましいのが賞賛されてくるときは気をつけないと。「西郷どんに伝えておくれ、勝は臆病で、心配で仕方ないのだ」と。これは江戸無血開城の交渉前、薩摩の益満に伝言した。威勢の良いとき、臆病だといえる勇気を持とう。著者の視点で「司馬遼太郎」を分析紹介している。「司馬遼太郎」を読む1つの案内書です。

本書より
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戦国時代の下剋上、幕末維新の大転換、明治から昭和への連続と断絶……歴史のパターンが見えてくる
当代一の歴史家が、日本人の歴史観に最も影響を与えた国民作家に真正面から挑む。戦国時代に日本社会の起源があるとはどういうことか? なぜ「徳川の平和」は破られなくてはならなかったのか? 明治と昭和は本当に断絶していたのか? 司馬文学の豊穣な世界から「歴史の本質」を鮮やかに浮かび上がらせた決定版。

序 章 司馬遼太郎という視点
第一章 戦国時代は何を生み出したのか
第二章 幕末という大転換点
第三章 明治の「理想」はいかに実ったか
第四章 「鬼胎の時代」の謎に迫る
終 章 二一世紀に生きる私たちへ

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