科学哲学


philosophy of science

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作成日 2003/1/3

科学の基礎・方法・構造などについて研究する哲学の一分野。科学一般についての方法論的研究のほか、物理学の哲学や経済学の哲学なども含まれる。」 広辞苑 第5版より

「広い意味では、歴史哲学や芸術哲学などとならんで、科学にかんする哲学的考察、つまり、哲学的科学論のことであるが、実際にはもっとせまく、現代の資本主義諸国で有力な分析哲学の立場からの科学論をいう。この見方には、科学が人間の社会的生活過程から生まれそだっているという観点、したがって科学が成立し、存立している社会的基礎や科学の社会的機能を明らかにする必要があるという観点がほとんどなく、科学といえば、研究活動の成果としての科学の理論だけを思いうかべるのがつねである。そこで科学哲学の主要課題は、科学における概念命題法則理論演繹帰納仮説検証などの論理的分析に帰着する。たとえば、<力>や<電子>などという概念の認識論上の身分とか、社会科学における法則の性格とか、理論と事実との関係とか、モデルの機能とか、演繹や帰納の論理的構造とか、などという問題が論じられる。 不可知論実証主義の見地、および形式論理的思考の絶対視という見地に立脚する分析という制約をまぬかれていない。こうした科学の形式的側面の分析とならんで、また科学の内容がもっている哲学的意味の解明もおこなわれる。たとえば、相対性理論や量子論の哲学的意味、サイバネティクスや宇宙・生命にかんする新理論などが人間のものの見方・考え方にあたえる影響などについて論じられる。この点では科学哲学は、実存主義などとちがって、科学、とくに自然科学の価値を高く評価し、そこに科学的哲学(scientific philosophy)の根拠と発展方向とをそれなりに見ている。このような科学哲学は、現代ブルジョア哲学を代表する科学論をなしている。」
   
哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より




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