BCJフォーラム(7) ['99/06/01〜]


ご意見・ご感想のコーナー
BCJファンの皆様からお寄せいただいたご意見やご感想などを集めてみました。内容をできる限りBCJのみなさんにもお伝えして、お返事などを頂けましたらあわせてこのコーナーでご紹介していきたいと思っています。是非こちら[makoto-y@mxi.mesh.ne.jp](または[ニフティID:DZE01555])までご意見等をお寄せ下さい。特に投稿フォームは設けませんが、お送りいただいたメールの内容をこのコーナーで紹介させていただこうと考えておりますので、掲載をご希望されない場合は、その旨お書き添えいただけますようお願いいたします。(ご意見・ご感想No.127〜)

*ご意見・ご感想の中の太字表記は、当ホーム・ページの制作者によるものです。

149 《マタイ、遂にゲット》
 
 矢口さん、ご無沙汰しています。(前回も同じ書き出しだったと思います。) BCJのマタイ、遂にゲットしました。 昨晩まずMDにダビングしながら聞き通し、今日今度はカーステレオ用にカセットテープにダビングしながら聴き、4回目の通し聴きです。全編約2時間45分あっと言う間ですね。

 実は前回4月のメールで、「リヒターのマタイには馴染めない」といった趣旨の発言をしたのですが、その後の数ヶ月間、殆ど「リヒターのマタイ以外の音楽を聴かない」生活を送りました。言ってみれば、敢えてリヒターのマタイ=バッハのマタイのような刷り込みを自分自身に施してみたわけです。100回とは言いませんが数10回は聴いた筈です。
 荘重な(重苦しい)、ゆったりした(鈍重な)、響きの豊かな(規模が桁違いに大きい)、二面性を持った、若い頃のミュンヒンガーのような、「どうだ、これがバッハだ。参ったか」と言わんばかりの押し出しで迫ってくる演奏は、確かに訴えるもの十分で、最初は毛嫌いしていた筈なのに、いつの間にか引き込まれていってしまう魅力に圧倒されました。これはこれなりに実に素晴らしい…。

 さて、BCJは…というと…
何だこりゃ…全然別な音楽ではないか…今まで聴いてきたのは何だったんだ。テンポもピッチも違う、楽器の音色も全く違う。そしてソリスト、合唱の声質が全く別世界のもの。にわかには馴染めずに聴き始めたのですが、2曲目のテュルク氏のレチタティーヴォが耳に入った頃からまさに「目から鱗」の心境です。「世紀のエヴァンゲリスト:ヘフリガー」は勿論説得力に富み、素晴らしいの一言ですが、テュルク氏優しく透明感のある響きは、物語の先導役としての性格を考えるとむしろヘフリガー氏よりも控えめでより聞き良い…と印象を強く持ちました。
ヨハネのライブ版、クリスマス・オラトリオ、一連のカンタータ集と聴き続けていると、この方、あと10年後にはどのような形で我々を楽しませてくれるのか、背筋がぞっとするほどの期待を持たずにはいられません。
ロビン・ブレイズ氏についても、前回のカンタータを聴いた印象で随分失礼な発言をしたのですが、全く素晴らしい。米良氏に(今でも)傾倒しているので、どうしても別な見方をしてしまうのですが、今後はじっくり“ロビン”を楽しみたいと思います。

 実は、第2部の途中からダビングのモニターを落として付録のビデオを見てしまいました。
これがいけなかった。キングさんも随分罪深いことをやってくれますね。
固唾を呑んでビデオにかぶりついたなんてことは生まれて初めてのことです。
欲を言うと、美登里さんのインタビューが欲しかった。 当分ハマリそう。

このビデオをみた後での聴き直しがどんなものだったかは想像にお任せしますが、今はまだ100年も待った恋人をやっとゲットできたような嬉しさのあまり興奮しながら…の状態ですから、時間をかけて今後一生楽しみたいと思います。

 矢口さん、小生が無人島に持っていくレコードは決まりです。BCJのマタイ…とは言いません。一連のBCJ全てです。それとスコアと。数えてみたら、BCJのCDがちょうど20枚になりました(20タイトルではありません)。
ヨハネVer.4マニフィカートも発売日に手に入れています。カンタータ10巻目も既に予約してあるので、ゲットは時間の問題です。

 ヨハネVer.4は、Ver.2と比べると、どこがどう違う…といった単純な問題ではなく、似てはいるけれど全く別な作品という印象です。バッハの音楽で印象的なものの一つはいわゆる“パロディ”で、マタイにしてもクリスマス・オラトリオにしてもどこかで聴いたことのあるフレーズ共通するパーツとして構成されています。このような観点からすれば、ヨハネのVer.2と4は、パロディではあるが全く別な作品…という見方も出来るかも知れませんね。

 余談になりますが、コンピュータのプログラムは、どのアプリケーションでも共通で使える部分の内部プログラムを一つのパーツと考え、ランタイム・ライブラリとかダイナミック・リンク・ライブラリといった形で独立したプログラム扱いをすることがあります。別なアプリケーションで同じプログラムがパーツとして使われているケースがあるわけです。バッハは、既に250年前にこのような考えで仕事をしていたのかな…などと考えると実に楽しいですね。

 いま、偶然CD1・12曲目(8)ソプラノのアリアが流れています。
リヒターのゼーフリートは、声に独特の太さがあって、それも魅力なのですが、アージェンタさんまっすぐな響きがいい。ガーディナーのクリスマス・オラトリオでも十分魅力的な声を聴かせてもらいました。フリンマーさん、シュミットヒューゼンさん、美登里さん、このような素晴らしい人が続々集まってくるのがBCJの魅力の一つでもあると思います。勿論男性ソロも素晴らしいですよ。
次のエヴァンゲリストの短いレチは「バラが咲いた」にパロってしまわれたと思いますが如何でしょうか。

 またまた散漫な便りになってしまいましたが、この興奮は、生演奏に接する機会に恵まれないだけ、いち早く誰かに伝えたかったのです。

 来春3月5日に、ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団と、聖トーマス教会聖歌隊マタイが札幌で公演され、米良氏もソリストに名を連ねています。チケットは既に入手していますが、今から年甲斐もなくわくわくしている今日この頃でした。

(越野義貴様) (99/10/23)
 越野さん、さっそくの「マタイ」のご感想、ありがとうございました!
いやぁ、本当に素晴らしい出来映えの演奏ですね。私はまだ2回しか通して聴いておりませんが、付録のビデオの中で雅明さんもおっしゃっていたように、本当に1小節1小節が発見の連続ですね。CD収録という場面にもかかわらず、終始積極的な音楽づくりで、じつに深く掘り下げられた表現を実現されていることに感嘆の念を禁じ得ません。特にひとつひとつのコラールの多彩な味わいの素晴らしさは最高です。また、ドイツ語がきちんと聞こえてくることにも驚きました。「マタイ」は今までに何度も聴いてきて、およその歌詞(単語のならび)はわかっているつもりだったのですが、CDを聴いて改めてスコアを見て、ああ、ここはこんな単語だったんだ、と確認したことが何度もありました。素晴らしいことです。特に収録にもご苦労されたという1曲目のリピエーノオルガンと少女たちの歌声の響きは実に得がたいものですね。 ・・・と聴きどころを書き連ねていくときりがありませんので、まだまだ奥深い楽しみをたくさん秘めているこのディスクを私も生涯楽しんでいこうと思います。
 越野さんも手に入れられた特典のビデオですが、地域やお店によって扱っていないところも多かったようです。私が承知している範囲では、越野さんのお住まいの札幌では扱いがあったようですが、仙台では扱いがなかったようです。東京近辺でも、例えば同じタワーレコードでも町田では扱っていなくて、新宿や渋谷ではついていた(ついている:まだ残っているかも知れません!)ようです。山野楽器でも銀座店や博多のイムズ店ではついていたようですが、多摩地区のお店では扱いのないところもあったようです。キングレコードの方にも様々な問い合わせがいっているようですので、ビデオの特典に関してどのように扱われたのかなど、わかりましたらご報告差し上げたいと思います。
 来春のトーマス・コールの「マタイ」も楽しみですね。関東近辺では3/9,10東京芸術劇場公演3/11横浜みなとみらい公演が予定されているようです(他には、3/5:札幌、3/6:秋田、3/12:大阪、3/13:兵庫)。米良さんのご出演は関東近辺では3/11だけのようですので、私も久しぶりにバッハに取り組む米良さんを聴きにうかがいたいと思っています。10/29から前売り開始(3/9,10,11分)とのことですが、チケットとれるかしら?
 来年のBCJ「マタイ」も楽しみです。札幌でもBCJの公演が再び行われる日がまた来るといいですね。「kitaraホール」の担当者のみなさん、よろしくお願いいたします!! (矢口) (99/10/26)

148 《大変印象に残ったカンタータ119番》
 
 演奏会に行く機会がしばらくありませんでしたが、やっと久しぶりにBCJの演奏を聴く事ができました。いつもながら大変すばらしい演奏でした。最近はCDばかりを聴いているだけでどうも…、やはり機械の音よりも生が一番です!
 演奏会ではカンタータ119番がプログラムの中では一番良かったでした。このカンタータは、ライプツィヒの市の公の行事に組み込まれたような背景を持っているようで、テクストの内容は町の権威と神の権威をたたえようというものでした。おそらく当時の聴衆たちはこのカンタータの主旨を知っているので、華やかなフィナーレを飾ったかのように思える第7曲目の合唱が終わったあと盛大な拍手が起こったのかもしれません。(もしかしたらどんなに華やかでも「カンタータ」には変わりないので、拍手は無かったかもしれませんが、曲は終わったものだと当時の人たちは誰しもが思ったに違いありません) しかし曲は終わらずに、すぐにゆっくりとした口調でアルトが「最後に!」と言い、レチタティーボと穏やかな合唱で幕を閉じたのでした。あのカンタータの構成は本当にすばらしいです。半ば強制的に作らされたとも思える前半の内容とはまったく異なる性質の後半の2曲にこそ、バッハの祈りのような、一番主張したいことが歌われたのだと思います。バッハはどこまで行っても教会の式典よりもキリストへの信仰のことを考え たかったのではないかと思います。
 よくよく見ると、コラールの歌詞ルターによるものでした。今回の演奏会でも演奏されたカンタータ69a番という曲がありましたが、その最終版カンタータ69番バッハの最後の教会カンタータと言われているそうですが…)の最後のコラールもルターの歌詞によるものだと、鈴木雅明さんの「制作ノート」にありました。本当にバッハはルターという人を尊敬していたことを伺わせてくれました。
 また今回の演奏でひとつ気がついたことなのですが、それはカンタータの中でのアルトの役割です。カンタータの中で、バスはイエスとか神の言葉、もしくは権力者の言葉を代表し、テノールは聖書の記事を伝える福音記者的役割、ソプラノは聖霊や魂の歌、賛美を歌っていると思っていましたが、今一つアルトは何なんだろうと常々考えていました。しかし今回演奏された119番の第8曲目、「最後に!」と歌い始めたのはアルトでした。それを聴いて、カンタータの中でバッハの意図したことやメッセージを伝えるという役がアルトなのかなと、ふとそう思いました。私の私見ですので偏っているかもしれないし、また必ずしもそうでないことも多いとは思うのですが、私は今回そのように感じました。
 カンタータ119番は、バッハという人を良く知ることのできる曲でした。またこうしたバッハの主張があったことをうれしく思いましたし、ますますバッハが好きになりました。
 あと、最後のアンコールで合唱曲のみのカンタータ50番の演奏を聴くことができました。2つの合唱というなんとも贅沢なカンタータでした。各パート2人ずつの4声の合唱が2つ、なにか神戸で演奏されるマタイの構成を見た気がしました。確かブレーメンで各パート2人ずつ(ソリスト込み)の合唱で演奏し、成功したと鈴木雅明さんのコメントがコメントがこのHPにありましたが、それを再現したようにも思えました。
 最後に、今回の演奏会のプログラムの中で、前回の続編でマタイを歌ったソリストの方々のインタビューが掲載されていました。前回のプログラムでは、ペーター・コーイさんとゲルト・テュルクさんの並外れたマタイへの理解と、どうしてあんなにすばらしい演奏ができるんだろうという秘訣などが語られていました。今回のプログラムでは、アルトのロビン・ブレイズさんとペアの形でテノールの桜田亮さんとバスの浦野智行さん、3名の方のインタビューが載っていました。ブレイズさんのコメントも良かったのですが、やはりペアで答えられた桜田さんと浦野さんのコメントを楽しく読むことができました。お二人ともすばらしい才能の持ち主であることがわかりました。先日目にした来年度のカンタータのプログラムに、特に桜田さんの名前があっても良さそうなのにどこにも見当たらない理由もわかりました。これは留学のせいなんですね。これからも楽しみなお二人の、今後もコレギウムを続けていきたいというありがたいコメントがあり、大変うれしかったでした。
 今週末は、いよいよマタイ受難曲が売り出しになりますが、私も早速予約を入れており、まだかまだかと待っている状況です。肌に来年のバッハ・イヤーの熱を感じながら、失礼させていただきます。
 
(金原秀行様) (99/10/18)
 金原さん、こんにちは。いつもお便りありがとうございます!
 119番は本当に充実した曲ですね。しかもご指摘の最後の二曲のバッハのアイディアは、本当にしみじみした素晴らしい雰囲気をこの華やかなカンタータに与えてくれていたと思います。これも鈴木雅明さんの「ニコライ教会」体験の賜物なのかもしれません。(40回定期「巻頭言」参照) また、バッハのルターへの想いの深さも改めて実感することができました。
 アルトパートはご指摘の通り、バッハの“言いたいこと”を担うことの多いパートだと思います。私はこのパート(アルト)につい聖母マリアのイメージを持ってしまうのですが、いずれにせよ“大切な人”のイメージですよね。だからこそバッハの真のメッセージがそこに託されているのでしょう。 CDも来年の演奏も楽しみな「マタイ」でも、アルトのパートは重要な意味を持っていますよね。前回定期と今回定期公演のプログラム冊子に掲載された「マタイ」のソリストたちのインタビューも本当に興味深いものでした。
 いよいよ明日BCJ「マタイ」CD発売です! 是非CDをお聴きになっての感想などもお寄せください。
(矢口) (99/10/21)

147 《クルト・ヴェトマー》
 
 矢口さんこんにちは。仙台のほりかわです。(中略)来春のマタイになんとクルト・ヴィトマー先生(バス)が出演なさるんですね。 以前にも書き込みしたように仙台にはバッハアカデミー協会というものがあり、わたしも、ここ何年か毎回欠かさず演奏会に通っています。6年ほどまえから彼のマスタークラスも開講されてるようです。何年か前、彼のここでの演奏会 シューベルトの『冬の旅』を聴き感動してすっかりファンになって毎回通ってるんです。 この前 9月には 1日目ベートーベンの歌曲。2日目に現代歌曲と即興演奏の夕べ(この日、私のお琴の師匠が、琴・ピアノ・サックスでの即興演奏で出演してました。) 師匠の楽屋にうかがったとき偶然にお会いしましたが、大変おおきなかたで、とても暖かな雰囲気の笑顔が素敵なかたでしたよ。残念ながら恐れ多くて、お話はできませんでしたが。 毎回大変深い表現力で、何と表現したら良いかわかりませんが、かれの持つ不思議な力を感じさせてくれます。きっとBCJのマタイでも深く説得力のある、彼のすばらしい歌声がきけるはずです! お楽しみに

 【予告】
  第15回仙台バッハアカデミー 2000春のコース
    開講クラス:声楽 3月6日〜14日 講師:クルト・ヴィトマー
    卒業演奏会:3月14日若林文化センター 18:30〜
    演奏会:クルト・ヴィトマー バスリサイタル バロックプログラム
         3月11日 弦アンサンブル、チェンバロ:川崎操

(堀川まり様) (99/10/14)
 堀川さん、こんにちは。ヴィトマーさんについてのお便り、ありがとうございました!
私はヴィトマーさんについてはお名前をお聞きしたことがある程度で、残念ながらあまり存じ上げておりませんでした。しかし、仙台でのご活躍をおうかがいすると来春のBCJとの共演が本当に楽しみになってきました。まもなく発売される今年の春のBCJ「マタイ」の演奏での浦野さんの、真摯でかつ気迫と気品に満ちたバス・ソロとの聴き比べも楽しみですね。
 来春のバロック・プログラムのリサイタルでは、どんなナンバーを聴かせてくださるのでしょうか。よろしかったら教えてください。その演奏会とマスタークラスのあと、BCJと合流されるのですね! 暖かな包容力にあふれた歌声を期待したいと思います。  (矢口) (99/10/19)

146 《ヨハン・セバスティアン・バッハよ 我が秋よ》
 
 VIVA! BCJ の矢口様、ヘッセの素晴らしい「パイプオルガン」の矢口訳読ませていただきました。鈴木雅明氏のCDのオルガン演奏を拝聴しながら、その詩の奥深さをそして、オルガンの素晴らしさを実感しています。本当にありがとうございました。私も、いつか独語でも読んでみたいと思います。そんな夢も抱いてしまえるような出会いに日々感謝致します。また、「ガラス玉遊戯」もあらためて読みますと、モンテヴェルディ等音楽家の名前も出てきて本当に興味深く読むことが出来ます。BCJがどこからか聴こえてくるような至福の時間が流れてゆくような気が致します。

 さて、今日の、BCJの Tokyo Opera City の定期演奏会も、終演の時間でしょうか。私も今、mail を書きながら、一昨日(10/9〔土〕)の松蔭チャペルコンサートを蘇らせているところです。 「まさにこれが、10年もの歩みの正真正銘のBCJのカンタータなのだ!」 BCJのカンタータ第10巻までのCDもこのような形で演奏会があり、録音がありと、歩んでこられたのですね。その完結の日を目指して聴衆の一人として、偉大なるJ.S.Bach のカンタータを学んでゆけることは、幸せなことだなと実感致します。
 コンサートの2〜3日前「VIVA! BCJ」のHPを拝見しますと、雅明先生の巻頭言があり、早速読ませて頂きました。行間から溢れる想いを心に抱いて出かけて参りましたが、心温まるBCJの精神神戸の松蔭チャペルという空間の中で、また感じ得たことは喜びでした。wowwowwow...という合唱が始まり、マエストロ雅明先生の指揮に、ステージ中央のアルトの奥様、環様終始うなづくように呼応し歌っておられるのが印象的で、全体の温かな雰囲気を醸しだし、包み込んでゆくような優しさを感じました。プログラムの曲目が終了し、これらの心深きカンタータを理解するには、私にはまだまだ年月が必要でしょうという想いが残りました。 そして、満場の拍手の中、満面に笑みをたたえてメンバーが再登場、雅明先生のご説明があり、アンコール曲カンタータ第50番が演奏されました。Bachともう一人どなたかわからない方の書かれた譜面による演奏ということでさらに興味深く聴かせていただきました。 Bach の作品には謎解きのようなミステリアスなところがあって それも魅力の一つなのでしょうか?(私も、「音楽の捧げ物」とか、大好きです。) 雅明先生の どんな難問にも探求心を抱いて進まれるお姿と、音楽を心から楽しんでおられるご様子に圧倒されます。どれほど多くの方々が多大な影響を受けたことでしょうと、拝察致します。
 ソプラノソロの緋田芳江さんの素敵な声、アルトソロのアヴェラさんの奥深い響き、(私は、どちらかというとカウンターテナーの方々よりステキだと思います。勿論、カウンターテナーの方方も素晴らしくてステキですが・・・・・・) 櫻田さんののびやかで美しいテノール、ペーター・コーイさんの包容力溢れるバス。合唱の方々の美しいハーモニー、コンサート・マスターの若松夏美さん(秋の日のヴィオロンの美しい音色に魅了されました。我が娘,菜摘が憧れています。ヴァイオリンのイラストをありがとうございました。) 東京バッハトランペット・ソサイエティ の皆さんの華やかなブラスの響き、リコーダーの花岡さんの音色(リコーダーの音色も大好きなのです。) コントラバスの櫻井さん(Musica Pacifica の pre-lecture ではガンバの詳しい説明をありがとうございました。残念ながら、演奏会当日は聴きに行かれませんでした。)、そして、ベルギー・カラーのシャツが dandy な、楽しい会話と、チェロを極めた鋭い眼差しが瞳の奥に輝く秀美さん(皆様、勝手に「さん」で呼ばせていただき失礼いたしました。)、本当に素晴らしい演奏と、お疲れのところの後援会主催の懇親会のひとときをありがとうございました。
 秀村ご夫妻、お世話になりました。知子様、11月23日のオルガン演奏会のご成功、お祈りしています。雅明先生に師事なさって、チャペルでのコンサートも実現されるなんて、素晴らしいですね。(私にも、お会いする度に、オルガンの素晴らしさをお話下さり、また、オルガンの練習へのお誘いをしていただいて、有り難うございます。私は、リコーダーやピアノで気に入ったフレーズを楽しむ程度の楽器遊びしかできないので残念です。)

  最後になりましたが、雅明先生が神戸のEU賞を受賞されたとのご報告がありました。本当におめでとうございました。矢口様、また、HPでお祝いしましょう!

   秋澄むや 汝がくれしカンタータ     晶子拙句                         
(Akiko Suzuki様) (99/10/11)
 Akiko Suzukiさま、ついにBCJのカンタータを生演奏でお聴きになったのですね! さっそくの神戸公演のご感想、ありがとうございました。BCJとともにバッハのカンタータという宝物の山を一つ一つ愛でていく喜びは、本当にかけがえのないものですね。ゆっくり、しかし確実に、そして心豊かにその歩みをすすめていきたいと思います。
 今回の祝典的な色合いの濃いカンタータ集も、あの松蔭のチャペルで聴くと、またいっそう深い味わいがあったのではないかと推察いたします。いつものようにチャペルで録音されたCDを聴くときが楽しみです。オペラシティでは、朗々と鳴り渡るトランペットとティンパニの響きがとりわけ爽快でした。新しいティンパニハーグの楽器博物館にある1720年頃の楽器のコピーだとのことですが、切れ味も響きの存在感も、これぞ“バロックの音”という感じで気に入りました。もっとも今回日本に来てからの湿気で皮がゆるみ気味で、演奏にあたってはずいぶんご苦労されていたとのことです。そういえば、曲の最中でも何度も音程と皮の張り具合を調整されていましたね。チャペルの中ですっきりした音を出すのはなかなか難しいのではないでしょうか。「クリスマス・オラトリオ」のレコーディング(彩のくにさいたま芸術劇場)の時、ティンパニの下にじゅうたんを敷いていたのを思い出します。
 ソリストでは、いつもながらのコーイさんの名唱や、留学の奨学金の関係でしばらくうかがうことのできない櫻田さんの美声もさることながら、緋田さんとアヴェラさんの活躍も聴きどころでした。東京ではやや緊張されていた感もあった緋田さんの歌声からは、主への確かなメッセージが感じられましたし、アヴェラさん表現豊かな歌唱も大変説得力に満ちたものでした。
 私もまた松蔭にうかがいたくなってきました! Akiko Suzukiさま、是非これからも、ともにBCJを楽しみ続けていきましょう。 またのお便りもお待ちしております。 (矢口) (99/10/14)

145 《落壁事故の犠牲者!?》

 矢口さんお久しぶりです。今頃はオペラシティでカンタータを堪能していることでしょう。
ああ、本来なら神戸でのカンタータがどんなに素晴らしかったかお先にレポートしているところなのに!!! 仕事の都合で、前日に神戸まで行くことができず、高速バスも4月から小倉−三ノ宮間が運行廃止になり、当日新幹線で行くしかないと切符を買っておき、朝6時半に起きてテレビをつけるとニュースで博多−小倉間が落壁事故のため、運転見合わせとの仰天ニュース! 駅に電話して様子を聞くやら、航空会社に電話して空席がないか問い合わせるやら、てんやわんやでした。そのうち9時頃、広島までは運転し始めたとのことなのでとにかく駅まで行ってみようと出かけました。在来線を乗り継いで行けないものかと駅員さんに聞くと、下関で乗り換えて、特急で行っても広島には14時過ぎになるとのこと、結局神戸行きはあきらめました

 今回は、演奏はもちろんですが、ブレーメンからの鈴木さんのレポートと、第40回定期演奏会巻頭言をホームページで読ませてもらっていましたので、懇親会で鈴木さんにお話しできたらと、とても楽しみにしていたのです。4年前ドイツ旅行をしたとき聖トマス教会とともに聖ニコライ教会にも足を運び(といってもほんの近くです)あの美しい教会に見とれてきたことがあったのです。そのとき現地のガイドの方がこの教会では○○のお祈りの会があっているとおっしゃったのですが、何の集会かそのときにはわかりませんでした。鈴木さんのレポートによってそれが、月曜の祈り会のことだったのかとわかりました。そして歴史を動かす力となる「祈り」について、深い感動を覚えました。ちょうど昨日NHKのニュースで「シュレーダー首相も出席して、ニコライ教会で、ベルリンの壁崩壊の原動力となった「市民のデモ」と「月曜祈り会」を覚える祈念碑(あの美しい教会の柱をかたどったもの)の除幕式があった」と報道していました。
 そういうわけで、演奏会には残念ながら行くことができませんでしたので、BWV119は1年後の(?)CDを楽しみに待つことにします。演奏会に行かれた皆様、ぜひご感想をお聞かせ下さいね。

(北九州市、大庭美登里様) (99/10/11、15:13)
 大庭さん、こんにちは。やっぱり引っかかってしまいましたか。あの事故のニュースを聞いて真っ先に思い浮かんだのが、「大庭さんは無事に神戸にいらっしゃれたのだろうか」ということです。聞くところによれば神戸公演も盛況で、終演後の懇親会も、まだ録音が翌10日まであるために多くのメンバーも参加して楽しいものだったそうです。・・・と、こんなことを書き連ねているとますますくやしくなりますね。ごめんなさい。
 大庭さんがこのお便りを送ってくださった頃は、まさに東京公演の真っ最中。ちょうど休憩になったあたりでしょうか。このあと華麗なフランス風序曲で始まるBWV119をうかがい、にぎやかな讃美のあとの、巻頭言でも紹介された最後のレチタティーヴォとコラールがことのほか胸に深く響きました。そしてアンコールに再び大規模な讃歌のBWV50が演奏されてコンサートがしめくくられました。
 終演後雅明さんにおうかがいしたところ、今回取り上げた3(4)曲はそのままCD1枚になるのではなく、5月の定期で演奏されたBWV25、64と今回のBWV69a、77が組み合わされてカンタータCDの第13巻になる予定だそうです。BWV119BWV50も?)は来年11月に演奏予定(!)のBWV194と組み合わせ、第14巻か第15巻になる予定とのことでした。・・・ということはBWV119をCDで聴けるのはもう21世紀のことになりそうですね・・・。新しい世紀に向け、新幹線にも是非しっかり頑張ってもらいたいものだと思います?! 
 さて、今回話題になったライプチッヒの聖ニコライ教会ですが、ちょうど神戸定期の当日、10月9日が、旧東ドイツの政治体制に終止符を打つことになった「月曜集会」とデモ行進の10周年にあたるということで、日本時間の10日早朝、そのライプチッヒ・ニコライ教会で行われた記念コンサートがNHKのBSで生中継されていました。そのコンサートの休憩時間に放映されたドキュメンタリーでは、巻頭言にも登場されたフューラー牧師のインタビューなども紹介されており、とても興味深いものでした。この教会の、今日に続くアクチュアルな姿勢・活動は、きっとバッハの時代からのものだったのだろうな、と感慨深く感じた次第です。そうこうしているうちに、何とニコライ教会のHPを見つけましたのでご紹介しておきますね。こちらをご覧になってみてください。
 今回除幕された祈念碑の、記念ために演奏されたとも言えそうなBCJの119番。ライプチッヒのバッハ像が除幕された時にメンデルスゾーンによって演奏されたのもこの曲だったそうですね。少々時間はかかりますが、この曲のBCJの演奏をCDで再び味わえる日を私も楽しみに待ちたいと思います。 (矢口) (99/10/13)

144 《ちょっと変わったコンサート》

 今晩は、お久しぶり、宮崎です。
 9月に入り、いよいよコンサートシーズンが始まりました、7月後半からの夏休みの辛かったこと。
 来年の定期演奏会の申し込みも始まり、気分はだんだん盛り上がってきています。

 さて、皆様の的確なレポートを拝見しては私如き出る幕もないと遠慮していましたが、先日の土曜日(9月18日)少々変わり種のコンサートに行ってまいりましたのでそのレポートを。

 このコンサートはBCJが東京での本拠地として使っている東京オペラシティの自主企画リンガ・リング・コンサートと言い、東京オペラシティの自主公演の内幾つかを選んでリハーサルに子供達を招待するものです。
 尤も、リハーサルとは言っても解説付のミニコンサートと言った趣ですが。

 今回のコンサートは「プレストン&ハーデンベルガー」通訳・司会がわれらの鈴木雅明氏でした。
 このコンサートは4歳児から入場可能ですので全部で1時間ほど、今回のプログラムはバッハ2曲と現代曲でした。

 で、鈴木雅明氏の解説ですが、いかにも鈴木雅明氏と言うべきなのでしょうが非常にまじめに曲の内容や、オルガン・トランペットのことを解説していました。
 ただ、聴衆(この場合は子供達)の大半が学齢前、そこに鈴木氏の非常にまじめな解説。ハッキリ言って子供達は解説の間中がさごそしていました、せめて音楽好きの高校生なら(このコンサート高校生まで入れます)まだ我慢もきいたのでしょうが。
 ただ、流石に良い音楽は子供達でも分かるのですね、曲が始まると一斉に静かになりました。
 プレストンもハーデンベルガーも子供相手だからとあえて判りやすいような演奏ではなく、まさに正面切っての全力投球。 小さな子に良い音楽と考えると本当に嬉しい音楽会です。

 そして次のコンサートはなんとBCJの聖母マリアの夕べの祈り
 そう、12月23日クリスマス・コンサートの日の13時からです、BCJのファンの方で小さなお子さんがいてなかなかコンサートに行けないと言う方には是非ともお勧めです。
 東京オペラシティへ往復葉書で申し込めば抽選で招待だそうです(尤も外れるのは考えにくいですが)、詳細は東京オペラシティのHPに出ています。

(宮崎正生様) (99/09/21)
 宮崎さん、こんにちは。なかなかうかがい知ることのできない(?)コンサートのレポート、ありがとうございました!
9月に入り私も、「アントネッロ&鈴木美登里」「ミト・デラルコ」などでやっと音楽の"夏枯れ”の渇きを癒しているところです。9月18日(土)には、午後4時から、新装オープンした上野・東京文化会館での「レストロ・アルモニコ」のヴィヴァルディコンサートを聴き、その後ダブルヘッダーで初台に向かい、宮崎さんのお聴きになった「プレストン(Org)&ハーデンベルガー(Tp)」の本番のコンサート(午後7時開演)を聴きにまいりました! 東京文化会館ではステージで見事な歌声を披露してくださった鈴木美登里さんのご主人、鈴木秀美さんをはじめ、オーボエの三宮さん、アントネッロの濱田さんのお姿なども客席でお見かけしました。かわってオペラシティでは、このオルガンシリーズの企画監修をされている鈴木雅明さんにもお会いしました。上野で鮮烈なヴィヴァルディを聴かせてくださった「レストロ・アルモニコ」も、若松夏美さん高田あずみさんをはじめとしたBCJオケのメンバーがた くさん出演されていましたので、BCJメンバーのみなさんの活躍の幅広さと奥の深さを改めて感じた一日でした。
 オペラシティの「リンガリング・コンサート」は有意義な企画ですね。私も本職(?!)ではこどもたちにかかわっているわけですが、“本物”に触れることがいかに大きな体験となるかは身をもって感じています。その大切さをわかってくださっているからこその企画であり、演奏者の方々の真摯な姿勢なのだろうと思います。
 ベテランの味のプレストンと、瑞々しさにあふれたハーデンベルガーの共演は本番のコンサートでも素晴らしいものでした。コンサート前半はバッハ、テレマンといったバロック(の編曲)もの、後半はジョリベ、トマジ、デュリュフレ、ハーキムといった近・現代の作曲家の作品によるプログラムでした。私としては、もともとこのトランペットとオルガンの組み合わせを想定して作られた(ハーキムの作品はこの2人のコンビで初演され、献呈もされている)後半の曲目の方により感銘を受けました。当日の本番はNHKが収録を行っており、来る11月18日(木)NHK衛星第2放送AM 8:05〜放映の予定だそうです。楽しみに待ちたいと思います。 (矢口) (99/09/23)

143 《ようやくヨーロッパから帰ってきました。》

 矢口さん
 お久しぶりです。ようやくヨーロッパから帰ってきました。今回は、かなり遅くから話の始まったプロジェクトだったので、いつもとはだいぶん様子の違うバッハ・コレギウム・ジャパンになりましたが、ともかくカンタータのプログラムと器楽曲など、それなりによろこんでもらいました。何しろ、ドイツでの初公演ということで、一体いくつインタヴューを受けたかわからないほどでした。それぞれのインタヴュアーが、必死で色々な角度からの質問を試みてきましたが、畢竟、なぜ日本人なのにバッハを、つまり、日本人なら宗教的にも文化的にも非常に異人種だという先入観が未だに抜けていない、ということがよくわかりました。その中では、しかし、イギリスのGramophon誌のインタヴューが、最も内容の深いものになったと思いますので、そのうちご覧頂けるとうれしいです。
 Cappelという町でのオルガンコンサートカンタータ2日目のコンサートが特に印象深いものでした。Cappelは、Bremenから60キロほど北の小さないなかの村ですが、Arp Schnitgerのすばらしいオルガンがあります。BremenのFestivalの一環としてコンサートが行われるのは初めてとのことで、非常に教会の人も誇らしげに、いろいろと世話を焼いてくれました。3日間そこに通って練習と本番をしましたが、ヨーロッパの田舎でのオルガンコンサートする時の、最高に楽しい雰囲気でした。コンサート後のレセプションもBremenからの重要人物達と地元のじっちゃん、ばっちゃんたちのコントラストが実にユニークで、このような機会を実現してくれたのが、Thomas Albertという、Bremen Festivalの音楽監督、かつてのバロックヴァイオリン弾きです。
 カンタータアーベントの1日目は、コンサートの場所が変更され、Bremen中心のUnsre Liebe Frau教会(フランス語式にいうならノートルダム)で行われました。ラジオ録音もあり、聴衆も超満員で雰囲気はなかなかのものでした。何しろ、76番も147番も出だしは、華やかだけれど、どんどん沈んでいってしまうカンタータなので、ぼくは若干聴衆の反応がつかめなかったのですが、終わってみると、皆非常に喜んでくれたことがわかりました。今回は、我々としては最小の編成、つまり歌も弦楽器もソロを入れて2人ずつ、というものでしたから、かなり実験的な試みでしたが、とりあえずは成功したといっていいのでしょう。ゲッティンゲンのバッハ研究所所長のKlaus Hoffman氏やオランダの友達など大勢の人が駆けつけてくれました。
 2日目は、またまた北の方へ40キロほど行ったBremerhavenでの本番。こちらは、チェンバロコンチェルトと管弦楽組曲1番を入れたプログラム。さんちゃん、江崎君、村上さんというオーボエとファゴットのトリオが大健闘。歌の人々も前日よりのびのびして、素晴らしいコンサートでした。イスラエル、イギリス、スペイン、スウェーデンからそれぞれ我々のエージェントやその関係者が集まり、期せずして、北ドイツの一角での極めてインターナショナルな出会いとなりました。Robinも、初めてBISの社長Robert von Bahrとの出会いを果たしました。
 さてぼくはその後、わずかに残ったフリーな日を家族と共にライプツィヒへ。ここでも実に、すばらしい出会いがありましたが、それについてはまたの機会に。

(鈴木雅明様) (99/09/13)
 鈴木雅明様より、「ブレーメン便り」をいただきました! ありがとうございます。そして、初のドイツ公演のご成功をお祝いさせていただきます!
 ヨーロッパの方が集まりやすい(?)とも言われているBCJのみなさんですが、ヨーロッパでの「現地集合」は、実際には「アーレ」のレコーディングの時だけだったのではないでしょうか。(フランス公演は合唱だけだったはずですので) しかし、何よりも、今回の公演でバッハの国ドイツ「BCJのバッハの調べ」が鳴り響いたことが感慨深く感じられます。
 Gramophon誌のインタヴュー、今年中に創刊される「グラモフォン・ジャパン」(HPはこちら)にも掲載されるといいですね。楽しみです。 また、充実したそれぞれのコンサートの様子も、楽しく拝見させていただきました。実験的な小編成での演奏を、日本でも是非うかがってみたいものです。バッハイヤーに向けて、BCJから世界へのメッセージがまた一つ発信された、記念すべきツアーが終わり、いよいよ来月は、いずれも1723年8月に初演された祝祭的なカンタータのコンサートです。 期待が脹らみます! (矢口) (99/09/17)

142 《GRAMAPHONE EARLY MUSIC 第2号》

今日 ちょっとタワーレコードに寄ってみたところ GRAMAPHONE EARLY MUSIC の第2号目が出ていました。ご存じでした? 私は初めて見たのですが、鈴木さんのカラー写真と共に MONTEVERDI の 1610 VESPERS が 来年早々発売予定 とのニュースがありました。そして またまた 大褒めの MAGIFICAT CDレビューが掲載されています。

先日 エジンバラ祭で文化村による日本のプロダクションであるオペラ トゥーランドット はかなりの悪評でした。。 このプロダクションを観たわけではありませんが、やはり わざわざ日本から公演にやってきて受け入れられないのを知るのはやはりちょっと悲しいものがあります。。  

そんなこともあり 辛口の評論家の多い英国の中でBCJ への批評を読むのはいつもうれしくなります
(後略)

(奥村道子様) (99/09/01)
 「Q&A」の30でもご質問をお寄せくださった、ロンドンの奥村さまよりお便りをいただきました。ありがとうございます!
 ご紹介いただいたGRAMAPHONE EARLY MUSIC の第2号は、私はまだ拝見していないのですが、興味深い一冊ですね。同誌の第1号にはBCJの「ヨハネ」第4稿のCD評が掲載されていたことは、以前やはり頂戴したお便りでうかがいました。 先日BCJ事務局にうかがった時、「グラモフォン」誌の日本版が今年の暮れあたりに発刊されるとのことで、関係者に配られた試作版を見せていただくチャンスがありました。すると、この日本版には「アーリー・ミュージック」からの記事も掲載されるらしく、まさに以前ご紹介していただいたBCJの「ヨハネ」第4稿のCD評も載っていたのです。・・・ということで、今回ご紹介いただいたBCJ関連の記事も、正式発刊の日本版第1号に掲載されるかもしれませんね。どうも英語は苦手なものですので(^^;;)、こちらを楽しみに待ちたいと思います。しかし、もしよろしかったら記事のポイントなどをもう少し詳しく教えていただけると幸いです・・・(ずうずうしくてすみません・・・)
 いずれにせよ、1900年代をしめくくる今年の暮れのBCJのプロダクションがいち早くリリースされるということは、本当に楽しみなことです! 12月にレコーディングされると思いますので、“来年早々”とはいっても春先ぐらいにはなるのではないかと思われますが、これについては詳しいBISのリリース予定がわかりましたらまたお知らせいたします。 日本にいるファンとしては、まず実演に触れることができることが楽しみですね。BCJとして3度目のチャレンジになる「聖母マリアの夕べの祈り」(VESPERS)期待したいと思います。新作のアンティフォンとの競演になる横浜での演奏会は残席が少なくなっているようですが、オペラシティでのコンサートのチケットはまもなく発売です。お聴き逃しなく!
 「トゥーランドット」のプロダクションは、日本では井上道義さんの指揮で上演されたものですね。そちらでも道義氏が指揮を執られたのでしょうか。日本でも色々な感想が飛び交った話題のプロダクションだったようです。はたして、2001年、21世紀の幕開きと共にイギリスにも乗り込むBCJはどのような評価を受けるのでしょうか。・・・等々、これからも“ロンドン情報”、よろしくお願いいたします! そうだ、ちょうど今、BCJは初のドイツ(ブレーメン)公演の真っ最中ですね。どうかいつも通りのBCJトーン“バッハの国”ドイツにも響きわたらせてほしいと思います! (矢口) (99/09/04) 

141 《BCJ定期、モンテヴェルディ「倫理的宗教的な森」(7/12 オペラシティ)》
 
 モンテヴェルディ「倫理的宗教的な森」から
  S:鈴木美登里、野々下由香里
  A:太刀川昭、波多野睦美
  T:櫻田亮、谷口洋介
  B:浦野智行、小田川哲也
 
  Vn:若松夏美、高田あずみ
  ガンバ:福沢宏、
  リュート:野入志津子
  Org:今井奈緒子
  Cem:指揮:鈴木雅明

 今年BCJはバッハとともにモンテヴェルディをテーマに取り組んでいるのですが、そのモンテヴェルディの最初の演奏に今回はあたります。
 会場で矢口さんからBCJがこの曲集をやるのが2回目であることを教えていただきましたが、前回と違って今回は少数精鋭、声楽はパートひとりという編成。実はこの曲集の録音でこれだけ少人数のアンサンブルでやられていることは少ないと思われます。今回、特に女性パートには普段ソロ活動をしている、おそらく日本でもっともレベルの高いかたが並んでいて、舞台で見ていてもよくこれだけのメンバーを集めたものだと感心しました。客席はこの滅多に演奏されない曲ということもあるのでしょう、ほぼ満員。終演後の拍手もそれは暖かいものでした。

 この「倫理的宗教的な森」は、例えば全曲と銘打っているコルボ盤ではCDにしてじつに6枚を数える膨大な曲集です。ここには宗教的マドリガーレありミサ曲ありモテットありとその曲も非常にバラエティの富むもの。当然編成も声楽、器楽とも曲によって変わりますので、今日の演奏でも1曲ごとに配置が変わっていました。もちろん今日は全曲の中からの抜粋の形、その合間にメールラ、ウッチェッリーニ、カステッロといった作曲家の器楽作品が演奏されています。

 さて、この宗教的マドリガーレというジャンル、何気なくみればどうということはないのですが、マドリガーレというのはもともと世俗曲のジャンルでありそれが宗教曲になるというのは、実はルネッサンスの時代には考えられないことでした。このことはオペラとマドリガーレというジャンルに名作を残したこのモンテヴェルディの生きた時代を知るうえではとても重要なことと思いますし、彼の作品を演奏する上ではこのことを理解することは避けて通れないと思います。
 この世俗曲については例えば合唱をやっている方ならおわかりのように、ジャヌカンのシャンソンを例にするまでもなく、掛け合いの妙と申しましょうか、「あのさ」といえば「なんだよ」と応えるその掛け合いが何とも楽しいのですが、ポリフォニーの時代にあって、モノディ様式を作り上げたモンテヴェルディの晩年のそれも宗教曲であるこの作品においても、この掛け合いの妙がとても重要な要素であると思うのです。そして実は今日の演奏のもっとも不満に思ったのもこの点が少し物足りなかったことにありました。
 もちろん美しい演奏なのです。しかし以前聞いたコンチェルトイタリアーノの演奏したモンテヴェルデイはもっと、人間の喜怒哀楽を聞くものに感じさせましたし、それが例え宗教曲であってもモンテヴェルディの命だと私は思います。そう言う点で今日の演奏は私にはあまりにも美しくて禁欲的すぎました。モンテヴェルディはもっと世俗的であるべきではないかと。

(けいいち様) (99/07/13投稿、99/08/26転載)
 このBCJ7月定期公演のご感想は、けいいち様がクラシックファンのためのBBSホームページ「クラシック招き猫」の演奏会感想の掲示板「音の余韻館」にご投稿されたものを、お許しを得て転載させていただいたのものです。ありがとうございました。
 “宗教的マドリガーレ”というジャンルの持つ微妙な側面とモンテヴェルディの生きた時代を考えた場合、なるほど、とうなずかされるご指摘です。先日、鈴木雅明さんがいみじくも、モンテヴェルディは非常に感覚的な音楽だ、という趣旨のことをおっしゃっていらっしゃいましたが、まさにけいいちさんのご感想と重なるお話ですね。
 今回のBCJの演奏は色々な意味で画期的なものでした。各パート一人のアンサンブルでの演奏。しかも会場はよく響くとはいえ大きな空間であるオペラシティ。 しかしそういった意味での危惧は私にとっては杞憂に終わりました。ピュアな響きの中からソロから8声までの様々な形での祈りが伝わってきました。そして、その祈りには確かにある種ストイックな厳しさも色濃く漂っていましたね。(私は曲集のテーマからして決して違和感は感じませんでしたが・・・。)
 またBCJがこの素晴らしい曲集を取り上げる機会があるときには、今回の祈りのメッセージの深さはそのままに、さらに感覚的な響きあいの楽しみをも聴かせてくれる懐の深さを感じさせて欲しいもの、と期待したいと思います。その両立へのポイントは、今回祈りの声楽曲に挟み込まれるように披露された器楽曲で示された“掛け合い妙”を、歌い手のみなさんにもさらに楽しんで実践してもらうということにあるのではないでしょうか。12月の「聖母マリアの夕べの祈り」の公演では曲のドラマティックさもあり、躍動的な喜びの交響の実現を期待したいところです。東京公演のチケット発売ももうすぐですね!  (矢口) (99/08/26)

140 《仙台ミュージアムコンサート》
 
 矢口さんこんにちは。仙台のほりかわです。おひさしぶりです。
 先日8月7日仙台の閑静な住宅街にある中本誠司個人美術館にて雅明先生のチェンバロリサイタルが行われました。中本氏が作り上げた作品の一つ、真っ白いおしゃれなスペイン風の建物の1Fの部屋で行われました。70人限定の完全予約制、休憩にはお庭でケーキと飲み物が用意されていて、とてもアットホームなものでした。(中略)
 大好きなバッハの平均律からはじまりました。曲のはじめには雅明先生の解説もありました。マイクも使わず聴いた生のチェンバロの響きは肌に染み込むような響きでとても柔らかく、CDやラジオで聴いたものとの違いを感じました。大変テンポの早い曲でも、澱むことなく心地よいリズムで、1曲1曲は大変表情豊かな演奏で暖かみのあるすばらしい演奏でした。私自身はテレマンのファンタジアが心に残りました。アンコールで弾いてくださった1曲もとても美しい曲でした。
 終了後はその場で打ち上げとなり、周りのかたともお話させていただいたり、雅明先生ともドキドキしながらお話もさせていただき、ミーハーの私はチャっカリお写真まで御一緒に撮らせていただいたり。大満足の1日でした。

 その時、聞いたお話によると、なんと雅明先生の仙台後援会が発足されるそうです!また11月には仙台の白百合学園チャペルにてコンサートがあるそうですよ!楽しみです。
 
(ほりかわ まり様) (99/08/15)
 ほりかわさん、こんにちは。お便りありがとうございます!
いやぁ、贅沢なコンサートをお聴きになったのですね。東京でたとえるなら、近江楽堂の演奏にお庭とケーキと打ち上げ付き、といったところでしょうか。いや、美術との係わりで考えれば下北沢のマカギャラリーでのコンサートの感じでしょうか。
 鈴木雅明さんはいよいよ今週ヨーロッパに向かい、ブレーメン他でのオルガン、チェンバロのリサイタル、そしてBCJのコンサートに臨まれるそうです。東京後援会(?)も力を込めて応援しなくては! 秋の日本での演奏会までにまたたくさんの収穫を持ち帰って来てくださることでしょう。11月の仙台でのコンサートはチャペルが会場ということで、オルガンリサイタルでしょうか。こちらも本当に楽しみですね。またのお便りをお待ちしています! (矢口) (99/08/16) 
上記のお便りにある、11月の仙台でのチャペルコンサートについての情報をお寄せいただきました。
(前略)フォーラムにあった11月の演奏会は、仙台バロックアンサンブルの演奏会です。
一昨年はブクステフーデの Membra Jesu Nostri 中心のプログラムでしたが、今回はバッハモテット3番 Jesu meine FreudeシュッツMusicalische Exequien 中心のプログラムです。もちろん雅明さんのオルガン・ソロもあります。 いずれ詳しいプログラム等決まりましたたら、ご連絡差し上げます。では、また。 (高橋治彦様) (99/08/23)
 高橋様、ありがとうございます! 楽しみなプログラムですね。詳細情報をいただきましたら「関連コンサート情報」のコーナーでもご紹介させていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 (矢口) (99/08/24)

139 《BCJとタヴァナー・コンソート》

 矢口様こんにちは。先日、ようやくBCJのマニフィカトを聴くことができました。感想としてはゼレンカの二つのマニフィカトすばらしいのひとことでした。ただニ長調の曲は東京オペラシティー・ホールでのライブではないとのことで、少し印象が違うように思えました。演奏というものは生物なのだなと思い、一瞬一瞬の出会いというものを思いました。

 またクーナウのマニフィカトはすばらしく、ちょっと聴いているとモンテヴェルディのオペラの一節か、マドリガルのようにきこえました。バッハの曲古楽器の演奏としては一番よかったように思えます。ガーディナーのマニフィカトは曲の細部をきくことができずにあっという間におわってしまう、という感じで残念です。アーノンクール版は少々もっさりとした演奏で推進力に乏しい気がします。またペーター・シュライアーの演奏はガーディナーと同じ印象に思えます。ジョシュア・リフキンの演奏はシンプルな響きで一時の清涼感があり、ロ短調ミサの素晴らしい出来栄えを思い出させます。合唱のパートをそれぞれ一人で歌うというリフキンの構想にはびっくりしました。また、カール・リヒターのマニフィカトにはこれも慟哭させられます。第一楽章はD管トランペットの独壇場で、これに清冽な響きのフルート・オーボエなどが加わり合唱と弦が揃ってマリアの為の讃歌が喜ばしく歌われていきます。現代楽器でこの曲を演奏したものではリヒターの演奏が最高なのではと思います、でもヘルムート・リ リングの演奏だけは聴いたことがないのです。CDも廃盤になっているようですし。どなたかお聴きになられたかたはいらっしゃいませんか?。それにつけても終曲の決然とした終りかたを聴くとバッハのマニフィカトはカトリック音楽とプロテスタント音楽の合致のようなものを感じます。

 BCJのマニフィカトをきくたびに思うのですが、ソプラノの歌いかたがパロットのタヴァナー・コンソートを聴いているように一瞬思わされます。タヴァナー・コンソートは私が以前良く聴いたものですが、特にソプラノのパートの生命力溢れる歌いかたが大変気にいっていました。バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱、そしてオーボエの方たちの演奏も特に今後注目 したいと思います。

 前にゲオルク・ベームのオルガン曲についてちょっとした疑問を投稿したのですが、それについてご返事があったことを知らずにおりまして失礼いたしました。でも、恐れ多いことに詳しい情報を紹介していただきありがとうございました。折り返しフォーラムでお礼を申し上げます。

(渡辺冬ニ様) (99/08/01)
 渡辺さん、マニフィカト聴き比べ(?)の楽しいお便りをありがとうございました。「マニフィカトづくし」という画期的な企画で、とてもユニークな仕上がりのCDになりましたね。ライブ演奏との違いについては私はバッハの曲についても感じたのですがいかがですか。ライブで感じたパワーが、CDでは幾分おとなしくなってしまっていたように感じました。リフキンの演奏の精妙さリヒターの演奏の熱い想いを兼ね備えた演奏を、BCJがこれからも実現していってくれることを期待したいと思います。 パロットの演奏を私はあまり聴いたことがないのですが、機会を見てうかがってみたいと思います。
 カトリックとプロテスタントの合致ということでは、なんと言っても来年暮れ、20世紀のしめくくりにBCJが満を持して取り組む「ロ短調ミサ」が楽しみですね。これからもご意見、ご感想、ご質問等、是非お寄せください! (矢口) (99/08/03)

138 《「バッハの或るトッカータに」》
 
 VIVA!BCJご担当の矢口様、先日は、早速フォーラムでのお返事を頂きありがとございました。また、北九州の大庭美登里様(ソプラノソロの鈴木美登里様と同じお名前ですね。)のお便りも楽しく拝見いたしました。伊藤美子様と3人で六甲の坂道を阪急の駅まで15分程歩きましたが、途中、教会の前で、マエストロが中学時代よりオルガニストを務めていらしたのはここ? どこの教会なのかしら?と...大庭様、もうお尋ねになりましたか? 大庭様も教会でオルガンを弾いていらしゃるとのこと、又、ジュネーヴ詩編歌の会では、雅明氏のオルガン演奏でBCJのごとく合唱されたとのことなど以前のお便りも拝見させて頂きました。素晴しい時間を過ごされたのですね。また、演奏会でお会いできること楽しみにしております。

 さて、素晴しいものに接していると、行動したくなるのが人間の常のようです。BCJのCDを聴いていると、一緒に歌いたくなったり、雅明氏のチェンバロやオルガンに憧れ、バッハヘの道を....と、時々思い出したように(これでは上達しませんね。)ピアノやクラビノーバのチェンバロモードで弾いたりするのですが。(気に入ったメロディを少しだけ片手で弾いてみたりしても楽しいですので。) BCJファンは、専門的に音楽を勉強された(されている)方が、とても多いようにフォーラムを拝見して思います。私は、専門的なことはわからないのですが、BCJの音楽は、感性が研ぎ澄まされ、心が鼓舞されるようで魅かれるのだと思います。幸いにも、神戸の演奏会には4時間程で行くことができますので、これからも可能な限り伺いたく思っております。BCJの音楽の一語一語を心のエネルギーとして充実した日々を!

 チェンバロについてですが、中学生の頃その音色、響きに出会いました。その頃は、英語名のハープシコードというのが、自然なのだと思っておりました。 Love Story という映画をご存じですか。(続 LOVE STORY もありますが..) 

What can you say about a twenty-five-year-old girl who died ?
That she was beautiful. And brilliant. That she loved Mozart and Bach.
And the Beatles And me.
Once,when she specifically lumped me with those musical types, I asked her what the order was, and she replied, smiling,"Alphabetical."  (エリックシーガル著「LOVE STORY」より)


私のバッハへの傾倒とハープシコードヘの憧れの原点(?)の一つです。
...モーツアルトとバッハとビートルズとそして僕...とありますが、ジェニーに誰が一番好きなのかオリバーが尋ねると、彼女は、アルファベット順と笑って答えます。
映画の中で、主人公のジェニーは、教会でハープシコードを伴奏し、子供たちが賛美歌を歌っているシーンがありますが、BWV何番なのでしょうか。最後は、病床で、確かバッハの作品番号を忘れてしまっていることに病の悪化を自覚します。
Love means never having to say you're sorry. という言葉と、チェンバロの音楽が印象的でした。

 さて、私の音楽の傾向を回想してみますと、小学時代は、ベートーヴェンの喜びの歌、中学時代はバロック音楽ロック。高校時代にヴァイオリンのシャコンヌ BWV1004(S.クイケンのバロックヴァイオリンであったこと、随分後で知りました。)に出会いました。そして、PPM等フォークソング。大学時代も、その後もバロックとフォークでアコースティックな音に魅了されるのです。バッハ、ヴィヴァルディ、テレマン、等。そしてリコーダーやガンバやリュートと興味が湧き地元の18世紀アンサンブルやバロック協会主催の演奏会に出かけるようになったのです。その中で最も感動したのは、浜松のルーテル教会でのXmasコンサートでした。声楽とリコーダーとチェンバロのアンサンブルでした。その時、牧師さまが、「音楽は神の賜物」というルターのことばを引用されたのでした。家族で聴きにいったのですが、本当にこころに残るものでした。
 そして、1998年12月29日「朝のバロック」でのバッハ特集の特別番組。第2日目の鈴木雅明氏ご出演の放送に深い感銘を受けました。これが、私とBCJの出会いです。鈴木美登里様の透明感溢れるソプラノソロに驚きました。ラジオからこんなに素晴しい音楽が流れてくるとは...! [朝のバロック」は、朝食の準備や子供たちを起こしたりと忙しくしているので、BGM感覚で聴くことが多いのですが、BCJがかると一層素晴らしい一日のスタートとなります。(勿論、車には、BCJが10枚も入っているのですが。4/29には、カンタータBWV131(マエストロのお気に入り?) 7/3松陰のチャペルコンサート当日の朝も美登里さんのソプラノソロのカンタータ BWV71(?)がかかりました。美登里さんに申し上げましたら、驚かれるとともに嬉しそうでした。(ベルギー在住でいらっしゃるのですからお聴きになられる機会もあまりありませんね。) ヘンデルのメサイアがつい先日。まだ、CD化されていないモンテヴェディやBWV147はどうでしょうか? テープを流して頂けるかどうかリクエストしてみますね。(賛助会員の大庭様も147のコンサートには行かれなかったようですね)BCJの心地よいテンポの147、是非聴いてみたいです。
 マエストロのお話によれば、BCJのCD制作が今後も順調に運んでいくだろうとのことでした。宗教音楽部門では稀有なことだそうですが、とても明るい未来であるということ。そして、ブランデンブルク協奏曲の演奏のご予定もあるということ。我々聴衆も心待にするという未来を共有できますね。時とともに、私のドイツ語も進歩していますように!

最後に、矢口様を初めBCJを愛する人々(私も含む)は、ヘッセを愛読されると伺いました。彼の作品(詩)にあるトッカータはBWV何番なのでしょうか。あの有名なトッカータでしょうか。 この詩は1940年頃の作品のようですが。

  バッハの或るトッカータに

太古の沈黙が凝縮している....暗黙が支配している.....
と、ぎざぎざな雲の割れ目から一条の光線がほとばしって、
めしいた虚無から世界の深淵を掴みとり
空間を構築し、光明をもって夜をうがち、
山陵と山嶺、絶望と峡谷とを予感させ、
大気を柔らかな青に、大地を緻密なものたらしめる。

光線は芽ぐみつつある妊娠体を真二つに
創造の力をかって行為と戦闘とに切りはなつ。
愕然とした世界は点火されて燃え上がる。

光の種子の落ちる処に変化が起こり、秩序がうまれ、
壮麗な音楽が生命への賛歌、
創造者 光への勝利の歌を鳴り響かせる。

そしていよいよ広々と揺れながら神に向かって引き戻され、
この偉大な衝動は
あらゆる被造物の組織を縫って父なる霊へと殺到する。
それは悦楽となり、苦痛となり、言葉となり、形象となり、
 歌となって、
世界から世界へと円頂の凱旋門を弓のように張る。
そしてそれは本能の力であり精神であり戦いであり、又  
 幸福でもあれば愛でもある。
                  
                 ヘッセ詩集より
 息をするのに空気が、食べるのにパンが存在するのと同様に、私には重要であり不可欠である、とヘッセがある書簡の中で記した「マタイ受難曲」が、私のBCJの初めての演奏会でした。また、BCJ第2のテーマ、モンテヴェルディを初めてのチャペルで拝聴することができました。夢の実現に感謝します。次は初めてのカンタータです。

 本日は、冗長と大変ながいお手紙を書いてしまい、おつきあいくださいましてありがとうございました。
是非、皆様、仙台や東京のコンサートの様子をレポートしてください。
また、BCJのみなさまの音楽回想録マエストロとの出会いなどお話しして頂けたら幸いです。語学必勝法語学講座なども海外からもレポートしていただけないでしょうか?ご多忙の皆様にお願いしてすみません。瞬時に全世界と交信できるコンピュータの存在にも感謝致します。      From Jubilo Iwata City  Akiko Suzuki

P.S. すべての芸術の始まりは愛である。それぞれの芸術の価値と範囲は、
   何よりもまず芸術家の愛する能力により決定する。
(By ヘルマン.ヘッセ)


( Akiko Suzuki様) (99/07/18)
 Akiko Suzuki様、こんにちは。いつもBCJ、バッハへの深い思いに満ちたお便りをありがとうございます。
 松蔭のチャペルへのあの坂道は、BCJ詣での思い出で欠かせないものですね。私の記憶には、坂の途中の教会の、入口の塔の中にあった阪神・淡路大震災の犠牲者のためのマリア像が印象に残っています。
 映画「Love Story」は「ある愛の詩」という邦題で公開されたものだと思うのですが、ご紹介いただいたシーン、なかなか味わい深いものですね。BachはBeatlesよりもアルファベットで前に来ますものね。Mozartよりも me の方が前に来るのも、なるほど、という感じです。
 「朝のバロック」での鈴木雅明さんとBCJとの出会いも印象的なお話ですね。しかし、雅明さんの誕生日(4/29)にBCJのカンタータをかけてくださっていたとは知りませんでした。何といきなはからいでしょう。7/3の放送はうかがっていないのですが、ソプラノのソロカンタータであれば、BWV71ではなく、BWV199ではないでしょうか。あれも名演ですね。BWV147がCDになるにはまだしばらく時間がかかると思いますが、いずれきっとかけてくださるのではないかと思います。みんなでリクエストしましょう! 正式な発表はまだのようですが、来年度「ブランデンブルグ協奏曲」をBCJの演奏で聴けるようですね。これも楽しみです! バッハ・イヤーの2000年、他にもきっと盛りだくさんな楽しみを味わえるのではないかと、期待がふくらみます。まずは10月の"初”カンタータ体験をお楽しみください。
 ヘッセの詩にあるトッカータが具体的にどの曲を想定しているのかは、残念ながらわかりません。しかし、私自身はなぜか、例のBWV565(「タリラ〜・・」で有名なやつです!)を思い浮かべてしまいます・・・。ちなみにこの「バッハの或るトッカータに」は、ヘッセ最後の大作にして最高傑作(と私は思っています)である『ガラス玉遊戯』の本編の後に、ガラス玉遊戯名人:ヨーゼフ・クネヒトの遺稿の一つとして発表されたものです。是非『ガラス玉遊戯(演戯)』もお楽しみください!
 ヘッセの音楽関係の詩では、「パイプオルガン」という大作があります。一般には“難解な詩”とされているようですが、私はとても共感をもって味わっています。先日ドイツ語の原書を入手しましたので、すでに出ている翻訳を参考にしながら何と自分で訳してみました。よろしかったらこちらをご覧ください。(「クネヒトの部屋」からもリンクを作りました)
 それでは、またのお便り、お待ちしております!  (矢口) (99/07/28)

137 《モンテヴェルディ神戸公演》
 
 矢口さんこんばんわ。
 6月の演奏会は日曜日のため、残念ながら行けませんでした。7月3日待ちに待ったモンテヴェルディ演奏会でした。
 バッハのカンタータとは一味違った(中から聞こえるバッハと外から聞こえてくるモンテヴェルディかな?)教会音楽ですね。久しぶりの鈴木美登里さんの情感豊かなソプラノと野々下由香里さんのさわやかなソプラノ、テノールの位置まで含むアルトの波多野睦美さん、ニューフェイスのテノールの谷口さん、大坂マタイでは浦野さんに代わって見事に勤めた小田川さん、8人のソリストたちのそれぞれの持ち味が十分に発揮されたすばらしい演奏会でした。前半は一番前で聞きましたが一人一人の表情や息遣いまで、間近に感じられました。後半は後ろのオルガンの少し前で聞きましたが、本当に天から歌声が降ってくるようでした。もちろん、波多野さん以外の演奏者の姿はほとんど見えませんが・・・。わずか8名の合唱とは思えないほどの力と広がりを感じさせてくれました。
 鈴木さんの巻頭言に有るように「トゥッティの壮麗な響きと優美なソロの情感の変化 ・・・言葉にしたがって一瞬一瞬に絡みあう小さなモティーフの集合は、聖マルコ教会のモザイクに比する」ような一つ一つが光によって輝いているような詩編でした。間に「二つのヴァイオリンと通奏低音のための・・・」ガンバの福沢さん、リュートの野入さん、そして若松さん高田さん、すばらしい演奏で、楽しかったです。BCJのモンテヴェルディ、いいですね。12月も楽しみです。演奏会後の懇親会で鈴木美登里さんと波多野睦美さんに(サリーガーデンのCD解説書に)サインをしてもらった! のです。それから野々下由香里さんを同じ九州(野々下さんは大分出身)という事で、鈴木さんが私たち(いつも一緒に行く伊藤美子と)に紹介して下さったのですが、よくお話を伺うと北九州市にも住んでいた事がおありになるそうで、なんと伊藤さんと同じ戸畑にいらしたことがわかり、ますます親しみを感じた次第で、松蔭の懇親会ならではの楽しいひとときでした。akikoさんとも(鈴木ご兄弟のお母様と同じ名前だそうです)お近付きになり、お互いBCJのすばらしい演奏を聞きに来て、豊かに満たされた気持ちで六甲の坂を下って行ける幸せを語り合った事でした。

(北九州市、大庭美登里様) (99/07/08)
 大庭さん、こんにちは。ごぶさたしております。松蔭でのモンテヴェルディ、素晴らしいコンサートだったようですね。今日盛岡で、そして月曜日(12日)にはいよいよ東京でその妙技が披露されます。8人という少人数での声楽アンサンブルはBCJの演奏の中でも初めてではないでしょうか。しかもそのすべてが日本人のメンバーBCJのパワーアップを実感させてくれるキャスティングです。加えて選りすぐりの器楽メンバー。万全のシフトですね。
 懇親会では、和やかさの中で多くの出会いがあることも大きな魅力ですね。先日お便りいただいたAkikoさんともお会いになられたとか。BCJの素晴らしさをめぐって、きっと楽しいひとときを過ごされたことでしょう。神戸公演ならではの楽しみですね。私もまた神戸にうかがいたくなってしまいました! 最近入手できたBCJカンタータCDの10巻(私が神戸でもうかがったコンサートのCDです)を聴きながら、あのステンドグラス越しの美しい光に彩られたチャペルの様子を思い浮かべています。そうそう、小学館の「バッハ全集」の最終巻に収録された「ルカ受難曲」のコラールBWV200もチャペルでうかがったものでした! 是非またお便り、お寄せください。 (矢口) (99/07/10)

136 《梅雨の星 モンテヴェルディを聴きをれば 於:神戸松蔭女子学院大学 chapel July 3,1999
 
 矢口様、今晩は!お元気でご活躍のことと存じます。申し遅れましたが、Forumでのお返事をありがとうございました。VIVA!BCJはほぼ毎日拝見しております。
 3月末のマタイ受難曲concert以来の私とBCJとの星の時間も、早3ヵ月が過ぎました。CD を愛聴し、心温めていた想いと共に、本日は、ついにchapel concertに出かけてまいりました。約1時間遅れの到着でしたので、もうすでに後半の部が始まっていました。「本当にこの世のものかしら?」と思う程美しい5声がchapelの入り口より聞こえてきました。BCJのCDはここで録音されているのですね。チャペルの高きところより、ステンドグラスのモザイクが、星の光のように降り注いで我々聴衆を包み込み、BCJの音楽と融合したハーモニーが空間を溢れんばかりに満たしていくのを実感し、私も同じ時間と空間を共有させて頂き、この崇高な、忘れ難い瞬間を神に感謝致しました。
 さて、モンテヴェルディですが、<聖母マリアの夕べ>はCDで聴いており、私なりにイメージを抱いておりました。しかし、BCJの<倫理的、宗教的な森>圧倒的な素晴しさでした。(BCJの<聖母マリア.の夕べ>も心待ちにしております。) バッハだけでなくモンテヴェルディの音楽の素晴しさまで、マエストロ鈴木雅明氏とBCJに教えて頂き、私のバロック音楽の視野も広がってきました。洗練された演奏家のオリジナル楽器の響きとヴォーカルアンサンブルの誠実な響きが、マエストロの精神性を通して我々聴衆の心の中に浸透し、共鳴してゆく感動を実感しました。降り注ぐステンドグラスの虹のような光が、マエストロの指先から創造する音楽の光と交差して、まばゆいばかりの透き通った輝きでした。全く我を忘れ音楽に陶酔していました。マエストロいわくの聖マルコ教会のモザイク!? 「魂のことをする場所」という言葉を聴きますが、大切な日常とはまた別の、もうひとつ大切な機会としてBCJのコンサートは、私の中で存在してゆくだろうという想いを確信したチャペルコンサートでした。バッハが、大切な仕事を任せ、遠く何日 も歩いてブクステフーデを聴きにいったこと、ふっと思い出します。それだけ、大切で、未来の夢に溢れ、価値のあることだったのでしょう。
 懇親会では、代表の秀村様や北九州の方とも親しくお話しすることができ、嬉しい、出会いでした。いろいろと会の企画等、ありがとうございます。マエストロをはじめ、それぞれのメンバーの方々の飾らない、あたたかなお人柄に接することが出来、恵まれた機会に感謝致します。お疲れのところ、本当にありがとうございました。私は、素晴しい音楽の感動に、言葉ではどう表現してよいのかわからず、満ち足りた想いで茫然と夢の続きの中にいるようでした。皆様笑顔がステキでした。
 BCJとの音楽の出会いを通して、私も様々な言語に興味関心が湧きました、きっとものすごく勉強されておられることと思います。原語の響きに、想像力が喚起されるようで、原語で一緒に歌う楽しみを共感したいと、CDを聴きながら勉強したり。でも、とても難しいですね。BCJの10年もの歩を半年でCD全部を聴こうという充実感を満喫しながら勉強しよう!!と思います。矢口様は何語がお得意ですか? それにしても、"Music is the universal language"ですね。
音楽を通して世界平和を! BCJと共に!
本日は、chapelconcert の感想を書かせて頂きました。BCJの皆様にもよろしくお伝えください。 かしこ
 
梅雨の星 モンテヴェルディを聴きをれば   晶子  (拙句ですが、、)
 P.S.シュテファン.ツヴァイクならば、「人類の星の時間」に、鈴木雅明&BCJの演奏会のことをどんなふう
に書いたことでしょうか。
( Akiko Suzuki様) (99/07/05)
 Akiko Suzuki様、こんにちは。新鮮な感動に満ちあふれたお便りをありがとうございました!
松蔭のチャペルモンテヴェルディをお聴きになったのですね。うらやましい! 12日の東京公演がますます楽しみです。きっと"国境を越えた言葉"から生まれたメッセージだからこそ、BCJの演奏もまた深く私たちの心に響くのでしょう。そしてその響きが平和と未来へのてがかりにもなっていくにちがいないと思っています。これからもBCJとの「星の時間」を味わい続けましょう! 
 前回(6月)の神戸公演ではレコーディングの関係で開催できなかった「神戸公演後援会」懇親会にもご参加くださったのですね。“夢の続き”とはまさに言い得て妙な表現です! 懇親会は原則として神戸でのカンタータコンサートの終演後に開かれているそうですので、神戸公演にお出での皆様は是非終演後、チャペル向かいの建物の2階にお立ち寄りください。あなたも“夢の続き”を味わえます! AKiko Suzuki様、是非またお便りください。お待ちしております。 (ちなみに私は語学(外国語)には弱く、何とかカンタータのテキストのドイツ語をたどたどしく発音する程度です・・・!)
(矢口) (99/07/08)

135 《「米良美一バロックアリア集2」について》
 
 こんにちは。 米良美一さんのファンのものです。
 久しぶりにこのHPを訪れました。米良さんがBCJを去られて1年以上たつというのに、まだメンバー紹介にも載せてくれていてCDの新譜(BCJに関係の無いもの)も紹介されており、とても嬉しかったです。
 そして、フォーラムに寄せられているご意見に「米良さんには古楽を歌っていただきたい」というのがあり、私も米良さんの1ファンとしてぜひBCJの皆さんに聞いていただきたくペン(キーボード)をとりました。
 「バロックアリア集2」ですが、「1」同様あまりの素晴らしさにため息 ...です。BCJの演奏は「きりり」としています。楽器の一つ一つの音が生き生きとしていてめりはりがあります。特に「メサイア」は最高です!1年間「バロックアリア集1」をほぼ毎日、それこそ何十回、何百回と聴きましたが全然飽きがこない、それどころか聴けば聴く程深みにはまっていく... 本当に美しい音楽、素晴らしい音楽とはそんなものかも知れないと、このごろ感じています。
米良さんのCDは発売されたもの全て持っていますが、やはり「バロックアリア...」が格段にいいです。米良さんの声の良さを最大限に引き出していると思います。 ここに収められている米良さんの声は官能的ですね。(というかユニセックスの弥勒菩薩を感じさせるような...) 日本の歌のようにメロディーが美しいからとか、歌詞が叙情的とか抜きにして米良さんの声質そのもの、歌い方そのものが堪能できます
 結論からいうと私も米良さんが古楽を歌わなくなったのが残念でならないのです。BCJを去られたことが他人事とは思えないほど残念なのです。本当にどうにかならないのものかと...これらCDが素晴らしければ素晴らしいほど「もう、これは過去のことなんだ...」と悲しくなってきます。
 彼のコンサートも最近は疲労?花粉症とかで今一つです。 このサイトで「彼が歌い出すと他の外国人歌手が可愛そうな位にかすんで見えたものだ」と、どなたかが書いておられたと思うのですが本当にそんな時があったのて゛しょうか(-_-;)遠い目。
 ピアノや伴奏に負けてアカペラ状態で無いと聞き取れない。彼には自分自身に厳しく、演奏に厳しい人であって欲しい。最近は演歌やポップスを歌っていて、秋には演歌コンサートのツアーがあります。 なぜ演歌なの?と聞きたい。1度、クラシックから離れて、高い声とか再び復活できるのですか? 美しい声がでる限られた貴重な年月を大切にして欲しい。そして、やっぱり鈴木雅明さんのように優れた指導者によって才能を導きだしてもらいたい。
 彼の歌手人生にとって「もののけ姫」の大ヒットは長い目で見ればいいことだったのか、悪いことだったのか...。もちろん「もののけ姫」は名曲で米良さんにしか歌えない、私も「もののけ姫」で米良さんを知ったのですが... 鶏が先か、卵が先かみたいなことをついつい考えてしまいます。
 2000年3月に「マタイ受難曲」を歌うのですね。どうかいい演奏でありますように。そしていつかまた、BCJで歌って欲しい。(BCJで米良さんが歌っているマタイ受難曲のCDは発売されていますか?)  
 
(IZAWA & MATSUMOTO様) (99/06/30)     
 IZAWA & MATSUMOTOさん、米良さんへの思いのこもったお便り、ありがとうございました。
お便りをいただいてからもう一週間が過ぎようとしていますが、Webへの掲載(というお返事)が遅くなってしまい、申しわけありません。 その間、私も久しぶりに米良さんについてあれこれと考えてみていたのです。
 結論から申し上げれば、私もIZAWA & MATSUMOTOさんと同じ思いでいっぱいです。もう一度BCJとの共演で彼の歌声を是非聴いてみたいと思います。しかし、それには様々な条件もしくは環境が整うことが必要だと思います。
 色々な面が考えられますが、私がもっとも重要だと思うのは、米良さん自身の気持ちの問題ではないでしょうか。米良さん自身が本当にバロック音楽での自身の歌声のかけがえのなさを理解し、全身全霊をかけて勝負してくださる気持になっていただけるかどうか、がポイントだと思います。そうなれば、その歌声のインパクトはかつて以上に強いものとなるに違いありません。
 「もののけ」のブレイクで彼は一人のアーティストとして独立したのだ、と思っています。ですから、導き手としての鈴木雅明さんにではなく、それぞれがかけがいのない個性をもったアーティストとして鈴木雅明&BCJと“再会”して欲しいのです。そのためには、米良さんが本当にバロック音楽にご自分から積極的にアプローチし、自身を律し鍛えることが必要になってくるでしょう。きっと時間がかかると思います。しかし、彼の声が本当に“天からの賜物”であるのなら、いつの日にか天の“主”はそれを実現してくださるのではないか、とも思っています。
 ともあれ、やはり米良さんはBCJのカンタータCDに欠くことのできないアーティストですから、これからも「メンバー紹介」にずっと情報を掲載させていただこうと思っています。
 ちなみに、米良さんがBCJで活躍された時期('94.10〜'98.4)にはBCJは「マタイ」を演奏しませんでしたので、米良さんとBCJの共演での「マタイ」はありません。そういった意味でも、来年3月のライプチッヒ・トーマス教会合唱団との「マタイはとても貴重な機会ですね。また、現在の米良さんのバロック音楽へのスタンスを知るためにも絶好の機会になるものと思います。(私もうかがうつもりです。) しかし、その前には今年の秋など、多彩なジャンルでご活躍ですね。(東京ではアートスフィアで連続コンサートも開かれるそうです。) いずれにせよ、米良さんにはご自身の納得のいく活動にこれまで通り全力投球していただきたいと思います。 (矢口) (99/07/06)

134 《海外に勇名をとどろかせるBCJ》
 
こんにちは矢口さん。
BCJ名古屋公演での「マタイ」についてメールして以来になりますね。 そういえば名古屋公演で終末合唱が終わっても拍手すら忘れた聴衆に事寄せて、4月のメールではマーラーの第九を引合いに出しましたが、そこで矢口さんがバーンスタイン/イスラエルフィルの公演に触れられていたことを知り、まったく御同慶の至りです。 顔を合わせたことも無いのに私信になっちゃった....

さて私は今、出張先にノートPCを持込み矢口さんのホームページを楽しみながら当メールをタイプしています。 出張先というのは、実は米国サンフランシスコ郊外のサンタクララで、この辺はハイテク企業が密集しており「シリコンバレー」と呼ばれていますが、この呼称は矢口さんもご存知でしょう。 またしても私信になっちゃった.... それにしても、こうやって世界のどこでも情報を共有できるとは、すごい世の中になったものですね。

さて、暇を見つけては当地の「タワーレコード(サンフランシスコ近辺に何軒かある)」を覗いてみました。 誰かに以前聞いたことがあるのですが、日本のソフト屋さんの豊富な品揃えは世界でも類をみないようで、これは実感です。 英国出張に際しロンドンの「タワーレコード」を覗いた折も、そう感じたものです。

試しに例のイエローレベル(ドイツグラモフォン)のCDを購入してみると、あるべきはずの欧文解説が、解説ブックレット内に見当たらず、英文解説のみ。 よくみるとCD製造も装丁も米国で全部やっているらしい。 英文解説だけでは物足りないファンもいると思います。 一般的にレーベルは米国でなくてもCDは米国製というのが幅を利かせています。

でもあるぞあるぞBISのCDも健闘しています。 BCJのもあるぞあるぞ。 売れ残っているわけ無いか。 「YOSIKAZU MERA」の区画もある。 BCJの区画もそのうちできることを期待しましょう。 BISといえばCDは(たしか)オーストリア製で、レーベルはスウェーデン、それに録音しているBCJは日本ですね。 ブックレットには当然、礒山雅先生の解説(当然ながら日本発)が英語を含む欧文で。

その「タワーレコード」で見つけた書籍が「EARLY MUSIC QUARTERLY」。 英国グラモフォン誌系列(?)の、ずばりA5サイズで112ページの季刊誌です。 日本では無理して英語を読むことはしませんが、今回は食指が動いて衝動買い。 $10はちょっと高いか。

その中に、ありました、BCJの新録音「ヨハネ受難曲」に関する記事が。 それも特選扱いで。 私は音楽とは関係の無い職業の人間で、米国出張しているからといっても英語は猛烈に下手なので、ちょっと難しい言い回しもありますが、非常に好意的な記事と見受けられます。

Bernard D.Sherman氏は解説の中で、まず、鈴木雅明さんのテクスト重視の姿勢が合唱の表現の味わいを深めていることに敬意を払っています。 ソリストでは緋田、浦野、テュルク、コーイ各氏への好意的な言及があり、特にテュルク、コーイ各氏に至っては「かつて経験した中で卓絶して」おり、シュミットヒューゼン、米良、櫻田各氏それから器楽への言及が無いのは物足りませんが、緋田さんへのコメントは嬉しいところ。 おしなべてソリスト陣は強力で、合唱も同様とのこと。 ともかく批判的な表現が見当たりません。

ここまでタイプしながら思うのですが、BCJへの賞賛で度々指摘される「テクスト重視の姿勢」というのは、洋の東西を問わず同じなんですね。 そのことが実によくわかる記事です。

最後にSherman氏は、鈴木さんが今回1749年版を取上げたのに言及し、そのなかで、こう書いています。 こればかりは原文にしましょう。

" Suzuki, however, makes an excellent first choice, regardless of the version one prefers. "

私の帰国予定は7月4日、絶対に買うぞ邦訳解説つきのBCJの新録音「ヨハネ受難曲」を。

(KOSHIMIZU様) (99/06/29)
KOSHIMIZUさん、こんにちは。「シリコンバレー」からのお便り、ありがとうございます! 
米国でのCD販売事情、興味深く読ませていただきました。BCJの「ヨハネ」第4版のCDは好評のようですね! 先日国内盤ももう発売されていますので、帰国されましたら是非早くお買い求めください。
この「ヨハネ」第4版のCDのリーフレットに掲載されている鈴木雅明さんの「制作ノート」は、実はもともとこのHPにお寄せいただいた文章です。(こちらに載っています!) 
しかし、その「EARLY MUSIC QUARTERLY」誌の批評もうれしいものですね。緋田さんシェフの奥様です!)のソロといえば、第一部の後半にたった一ヶ所だけ出てくる“女中”のせりふのところですよね。この小さなワンフレーズにも注目し、評価しているのはなかなかすごいことですね。今年中には「グラモフォン」誌の日本版も刊行されるようになるとのことですから、この「EARLY MUSIC QUARTERLY」からの記事も掲載されるようになるといいな、と思います。
「ヨハネ」第4版については、リーフレットの礒山先生の解説でも、この版のもつ意義が熱く語られています。晩年のバッハの心持ちに思いをはせながら「ヨハネ」の魅力をじっくり味わえる素晴らしいCDですね。是非またお便り、お寄せください。 (矢口) (99/07/03)

132 《秀美さんのマスタークラス》

去る5月25日、近江楽堂で行われた、鈴木秀美先生によるバッハの無伴奏(2番)のワークショップは、まさに「目からうろこがおちる」といったものでした。バッハの音楽というものについて、というかバッハを題材にバロック音楽、18世紀音楽についてといった話は、大変興味深いものでした。その様なことについて、これほどたくさんの話を聞き、そしてこれほどいろいろと自分で考えさせらりたりしたのは初めての経験でした。

バッハの無伴奏、この作品を演奏する難しさに、大変数少ない音によって書かれたこの曲の背後に鳴っている音(和声)をどう感じ、その感じたものをどうやって表現するのかというものがあると思います。実際演奏してみても、演奏を聴いても、ロマン派以降の音楽と同じように表現したところで、(バッハ、バロックだけでなく古典音楽でも)その作品の面白さというものを感じることが、僕はあまりできないのです。
今回のワークショップで、受講生の弾くのに合わせて、秀美先生が伴奏をつけることを何度もやっていました。これは、曲の構成、流れを理解するのに僕にとってたいへん大きなヒントとなりました。自分で、楽曲分析をしてみて、鍵盤をたたいて和声を鳴らしてみても、よく分からなかったことが、このコンティーノを付けるのを聞く事によって、頭の中が整理された感じでした。もちろんこれは、今回の曲だけでなく、他に曲について考える場合の参考にもなったと思います。
これと、秀美先生がはじめにお話になられた、音の「ヒエラルキー」のこと。「スラー」のアーテキュレーション、フレーズ、その表現の仕方をあわせて考えることによって、このバッハの作品を表現する語法のようなものを、多少なりとも感じることが出来ました。

もうかなり前から、いわゆる古楽器の演奏と言うものはたいへん良く聞いており、実際自分でも古楽器を少しだけ手にしたこともあるのですが、そのようなときに感じたいろいろなものが、今回のワークショップで得たヒントによって、自分の中で結びつけることができたような気がしました。もちろん僕が分かったことなんかは、まだ、バロック、18世紀音楽の入り口にも満たない程度のことなのですが。

今回は、受講生が二人と少なく、一人二時間以上と大変内容の濃いものでした。二人とも、古楽器でしたが、これをモダン楽器の人が受けたらどうなっていたのか、是非見てみたいと思いました。また、このワークショップは音楽を勉強する人、演奏家、特にあまり古楽器などになじみのない様な人たち、古楽器などをはじめからあまり受け付けようとしないような人たちに、是非聞いて欲しいと思いました。

(すなふきん様) (99/06/10)
すなふきんさん、こんにちは。「フォーラム」へようこそ! 秀美さんの「ワークショップ」の率直なご感想、ありがとうございました。
今回の第2回は私は5時ごろから参加させていただきました。さすがに平日の午後2時からの参加はきついものがありますが、うかがってみましたら今回もとても多くの聴講生が集まっていらっしゃって、うれしく思いました。
私は昨年のマスタークラスからもう何度も秀美さんの公開レッスンを拝見させていただいておりますが、今年の「ワークショップ」は本当にスリリングな体験です。
一つ一つの音の役割やその置かれている位置の持つ性格(和声上も拍節上も)を理解して実際の音に表すことの大切さを、今回も実感をもって理解することができました。
今回の「ワークショップ」の冒頭では、「Listener on the period」と題された秀美さん執筆の文章をもとにお話があったそうですが、その文章の中に「音のヒエラルキー」に関する部分があります。幸いこの文章は近日発行の古楽情報誌「アントレ」に全文が掲載されるそうですので、皆様も是非ご覧ください。なかなか刺激的な内容ですよ!
2人の受講生への密度の濃いレッスンのあと、やや時間が余ったので、聴講生の質問に秀美さんが答えてくださる時間も設けられました。こちらも多彩な話題に話が盛り上がり、とても充実したひとときでした。
次回は9月20日(月)、やはり午後2時から8時まで、東京オペラシティ3階の近江楽堂で、組曲第3番を題材に開催されます。詳細はこちらです。ふるってご参加ください! (矢口) (99/06/14)

131 《あれから…》

バッハファンでありBCJのHP担当の矢口様 金原秀行です。先日はどうもありがとうございました。所沢はやっぱり遠かったでした。楽しみにしていたカンタータ21番も11番目のコラールが終わって、速攻走って会場を出ていって、何とか12時に横浜の家に着きました。1回目の拍手のときにいそいそと出ていってしまうというのは、BCJを愛する者にすれば反しているとは思いましたが(すみません!)、やむをえずあのようにさせていただきました。(中略)

さて、演奏会についてですが、東京の定期所沢と2回もBCJを楽しむことができて良かったでした。最近は、ソプラノのソロで鈴木美登里さんが出なくなってしまいましたが、どうしたのでしょう? ソプラノの主力ソリストは野々下さんになったということなのでしょうか? 私個人としては、鈴木さんのほうが少し柔らかい表情の演奏をされるという印象があり、個人的には好きです。以前は重要な演奏会のソリストは、S:鈴木美登里、CT:米良美一、T:Gerd Turk、B:Peter Kooyだったのですが、S:野々下ゆかり、CT:Robin Brazeに変わったのですね。
さて、カンタータ147番は、ガーディナーのCDしか持っておらず、ソロのパートもなんか難しそうだなと感じていました。しかし、Gerd TurkやPeter Kooyの演奏は、全くそんなことを感じさせない、表情豊かで本当に私達に伝わってくるような演奏でした。大変すばらしかったです。来年ぐらい出るであろうCDが楽しみになりました。
所沢は、会場が響かないところで、初めての演奏会場であんなに響かないところだったからメンバーがとてもつらそうに見えました。だからいつもに無いほど、ミスが多かったのかなと思いました。こうしてみると、あの大勢の人を収容してもなおすばらしい響きを持つ、東京オペラシティーは偉大ですね。小田川さんや浦野さんをはじめとしたバスパートの、あのなんとも言えないほどの深い響きがオペラシティーだとホールいっぱいに広がります。所沢ではそれが聴けなかったのが残念でした。私はBCJのコーラスではきれいなソプラノなんとも言えずきれいで深い響きをしたバスが魅力です。
それでもカンタータ21の11曲目のコラールは、本当に体の芯にゾクッとくるほどものすごい迫力とすばらしい演奏で、聴くほうも十分楽しめました。良かったでした。あの2曲だけは、特に21番東京オペラシティーでまたやって欲しいと思いました。(なんで所沢だけなんだ!というぐらい、もったいない!) 

ということで、長々と失礼しました。(後略)

(金原秀行様) (99/06/09)
 カンタータ21番の演奏会の到来を見抜いていらっしゃった([Q&A25])金原さん、お便りありがとうございます!
当日会場で休憩時間にお会いできたのですが、終演後お姿をお見かけしなかったのは急いでお帰りになったからだったのですね。無事にお帰りになられたようでなによりです。・・・ということは、あのコンチェルト・パラティーノのみなさんによるアンコールはお聴きになっていらっしゃらないのかしら? この日のアンコールは2曲。まず出番の少なかった(21番の9曲目だけ!)コンチェルト・パラティーノの4人(濱田芳道、シーメン・ファン・メヒェレン、シャルル・トゥート、ヴィム・ベキュ)のアンサンブルでサミュエル・シャイントの「ルディ・ムジチ」よりアルマンドとクーラントが演奏されました。そして最後に、お約束の147番の10曲目のコラールでしめくくられたのでした。コンサートが終わったのはもう午後9時30近くだったと思います。
 礒山先生のポイントを押さえたプレトーク(「I教授の家」のコンサート訪問記もご参照ください!)に始まったこの所沢公演(後半のはじめに演奏されたオルガン曲のデータをUPしました!)、前日までの厳しいレコーディングのためか、BCJらしからぬ事故もままありましたが、音の純度の高い美しい演奏を聴かせてくれました。しかし、会場の様子は、この所沢のシリーズが「バッハ入門」というコンセプトでもあるためかやや残念なことも多く、携帯電話の音が響いたり、ものの落ちる大きな音が静かなアリアの間に響きわたってしまったり・・・。中でも21番1曲目のシンフォニアの最後の部分、オーボエがトリルの音をフェルマータしてから速いテンポで音階を駆け上がったあとのわずかな全休符に、見事に「せき」の音が入った時には“まいりました”という感じでした(ーー;)・・・。でも多くのかたがこの日のBCJの演奏で「カンタータも面白いな」と感じてくださったならうれしいですね。私は3階席で聴いていたので すが、すぐ横の席の女性は、21番が終わるやいなや盛大な拍手で立ち上がって声援を送ってくださっていました。
 21番は、11曲目(終曲)の解放感も格別でしたが、私にとっては贅を尽くした9曲目のコラールがもっとも印象に残りました。このコラールのみは同じくコンチェルト・パラティーノを加えた形で5月31日の定期公演のアンコールとしてすでに耳にしてはいたのですが、やはり本来の曲の流れの中で聴くことができ、感慨を新たにいたしました。特にこの曲に織り込まれたコラールの最後の一節「時が経てば、多くが変わり、すべてがしかるべく落着するのだ(訳:礒山雅先生)」に心を打たれました。ソロでは野々下さん気品溢れる歌声が印象に残りました。鈴木美登里さんは今回は来日されなかったようですが、来月のモンテヴェルディではその豊かな歌声に触れることができます! (矢口) (99/06/12)

130 《6月6日の神戸松陰チャペルコンサートに行って来ました。》
 
矢口さん今晩わ、御無沙汰致しております。レスパス・エラン オープニングシリーズの際にはご協力下さいまして有り難う御座いました。事務処理等でご挨拶が遅れて御免なさい。
鈴木さんの素晴らしい演奏のおかげでレスパス・エランの信用もつきチェンバロを知らなかった方も知っていた方も氏の演奏を聴き(京都でのコンサートは初めて)チェンバロファンが増えました

ところで、6月6日の神戸松陰チャペルコンサートに行って来ました。超大入り満員で、2階のパイプオルガンの置いてあるバルコニーも開放してそれでも立ち席が出ました。シンフォニーホールのコンサート大成功でファンも益々増えて、神戸松陰コンサートを知らなかった人もこれで定期演奏を知る事が出来、来られたのでしょうね。
モービル賞も受賞され、人気急上昇の鈴木氏とBCJに乾杯!

(レスパス・エラン:三宅設子様) (99/06/09)
三宅さん、こんにちは。オープニングコンサートのご成功、遅ればせながらお祝い申し上げます。今後も意欲的な企画で京都の音楽シーンを豊かにしていってください! 
6/6のチャペルコンサート大盛況だったようですね。なによりなのですが、私などが東京からのこのこ行っても入れなくなってしまうのではないかとちょっと不安になりました。でもBCJが“ふるさと”のみなさんに支えられる様子はうれしいですね。今後も、宗教センターのみなさんがうれしい悲鳴を上げるぐらいチャペルコンサートがにぎわうといいですね。
6/6にはアンコールとしてBWV64番の冒頭合唱曲コンチェルト・パラティーノの面々も交えて演奏されたとのことです。ただ、今回レコーディングがコンサート前に終わらなかったそうで、コンサート後にBWV147のコラールの収録が行われたため、神戸公演後援会の懇親会は中止になったそうです。残念ですが、CDの素晴らしい仕上がりに期待しましょう。
お話をうかがっていたらまた神戸に伺いたくなってしまいました。その時はどうかチケットがありますように! (矢口) (99/06/10)

129 《こんにちは、テレマンの曲あれこれ》
 
矢口さん、私もテレマンの曲は大変好きです。
私は中学のときテレマンのトランペット協奏曲を聴いて、テレマンの音楽世界に魅せられたと思います。現在気に入っているのは沢山ありますが、「フルート、オーボエ、ウ゛ァイオリンと通奏低音のための四重奏曲、ト長調」、ホルン協奏曲ニ長調(一本のための)」ホルンを吹いているのはヘルマン・バウマンです。また、4本のトランペットと弦楽合奏のソナタという曲は楽器の旋律が賑やかで、屈託がないようでいてしかも飽きさせないものを感じています。パリ四重奏曲フルートのための12の幻想曲もときどきですが聴きます。ただターフェルムジークはまだCDがそろっていないきらいがあります。テレマンはまだそれほど聴かれていない作曲家だとは思いますが、隠れテレマンファンは多いと思います(笑い)。
バッハの話題ですが教会カンタータのCDを全曲揃えようとしています、あと30曲くらいになりました。(中略)
それではまた 。 楽しいホームページを続けてください。

(渡辺冬ニ様) (99/06/03)
渡辺さん、こんにちは。テレマンは本当に色々な種類の曲をたくさん書いていますが、テレマンのカンタータなどもいかがでしょう。私も余り多くを聴いたことはないのですが、バッハとはまた違った素晴らしさがあるように思います。BCJにも、機会があったら是非演奏してみて欲しいですね。
ところでバッハのカンタータのCDがあと30曲ほどでそろうとのこと。誰の演奏でそろえられたのでしょうか。私は取りあえず小学館の「バッハ全集」でアーノンクール/レオンハルトの演奏でひと揃い持っています。それ以外には、リヒターの選集全部と、ヘレヴェッヘコープマンのすでに発売されているもの、そしてBCJとそろえつつあります。リリングの演奏はほんの一部しか持っていません。あとはリフキンが少々にリチェルカーレ・コンソートなどです。本当にカンタータは聴いていてあきないですね。さあいよいよ本日BCJ神戸カンタータ公演、そして明日は所沢公演です。私は所沢でBCJのカンタータの世界をじっくり味わおうと思っています。 (矢口) (99/06/06)

128 《6月7日のミューズ》
 
矢口様、こんばんは
私の最近のお気に入りはテレマンの管弦楽による協奏曲集です。
また、バッハの教会カンタータゼレンカのミサ曲などです。オルガンの曲は少しご無沙汰ぎみかもしれません。CDからテープに録音したものを聴いたりしています。私事的なことですが高校のころブラスバンド部におりフルートを吹いていました。先輩とバロックアンサンブルをつくろうとしたことがありましたが情報不足と資材不足からはたせませんでした。現在も、楽器をもって演奏できる仲間がいたらなぁと考えています。
6月7日のミューズのコンサートには現地まで出かける予定です。(中略)
5月29日の教育テレビで放送された「シャルル・デュトワの若者に贈る音楽事典」(中略)、貴重な映像が放送されたのに後半しか録画できませんでした。(後略)

(渡辺冬ニ様) (99/06/01)
渡辺さん、こんにちは。いつもお便りありがとうございます。
テレマンのコンチェルト、いいですねぇ。たくさんある名作のうち、どの曲がお好みですか。テレマンの曲などはアマチュアの音楽愛好家が演奏しても楽しめることがうれしいですね。私もリコーダーのデュエット曲などを、高校時代の“バロックアンサンブル”仲間と楽しんでいました。やはり自分で音楽をすることも無上の喜びです。BCJや古楽とはまったく関係ないのですが、私、来る7月18日の日曜日に、「シンフォニカ」というアマチュアオーケストラの友人から誘いを受けて、マーラーの交響曲第6番の大太鼓を演奏することになりました。(すみだトリフォニーホール14:00開演、指揮:十束尚宏) 楽しみです!
さて、6月7日のミューズのコンサートでは、いよいよカンタータ21番のハ短調のライプチッヒ稿の完全演奏が披露されますね。複雑な成立過程を持っているこの名作は、'97年6月のBCJ定期公演では、トロンボーン抜きの形ではありましたが、1723年のライプチッヒ版(ハ短調)で演奏されました。しかし同時期に行われたCDへのレコーディング(第6巻では、ケーテン時代の1720年にハンブルグで演奏されたニ短調の稿をもとに演奏されており、さらにワイマール時代のテノール用の稿を付録でつけてありました。今回は1723年のカンタータとしてトロンボーンを含んだ完全な形でライプチッヒ稿がレコーディングされるので、そのお披露目としてただ一回、所沢でだけこの稿での全曲演奏が行われるのです。(神戸ではレコーディングのみ) もっとも、一昨日の東京定期でもアンコールの一曲目として、ライプチッヒ稿で唯一トロンボーンの入る第9曲のコラールを披露してくださったので、'97年6月の定期での演奏と合わせ れば、きちんとした形のライプチッヒ稿の演奏が“律儀にも”(!)完結したわけです。でもやっぱり全曲通して聴きたいですよね。みなさん7日の月曜日は所沢にGOですよ!
5月29日の「シャルル・デュトワの若者に贈る音楽事典」第2回はドイツ・ザクセンがはぐくんだ音楽として、主にバッハワーグナーのことが取り上げられていました。バッハについてはトーマス教会の様子や、現カントールのビラー氏へのインタビューと演奏、さらに「小フーガ、ト短調」を題材にしてのフーガ講座など、盛りだくさんな内容でした。ちなみにそのフーガ講座ではわれらが高田あずみさんをはじめとして、トラヴェルソの朝倉さんなど、オリジナル楽器奏者が登場していたことが驚きでした。ご覧になれなかった方も今週の土曜日、5日の午後3時からの再放送を見てみてください。(NHK教育TV) きっと楽しめると思いますよ。 (矢口) (99/06/02)

127 《明日からレコーディングです》
 
 矢口様、いつもたいへん楽しく拝見しております。メールをお送りするのは今回が初めてです。アンサンブル・ヴォックス・フマーナでアルトを歌っております宮崎恵美子と申します。BCJのレコーディング中には、臨時スタッフとしてお手伝いもしていますので、少し様子を書いてみようと思い、お便りします。いよいよ明日からカンタータの録音が始まりますで、その状況は後日お知らせするとして、最近のレコーディングのことを書きましょう。
 このごろ「緋田シェフのカンタータ料理日記」がないことにみなさんお気付きだと思います。何故かといいますと、それは緋田さんでなく我々が料理をしているからなのです。さすがの緋田さんも、自分の乗り番の時まで料理するわけにはいきませんので、そういう時にはサブマネージャーの深畑さんを筆頭に、ヴォックス・フマーナのソプラノ入澤真美さん、そして当初は「味見係」を称していた私の3人で、みなさんの食事を作っています(前回の「マタイ」もそうでした)。「三人寄れば」とはいうものの、稀に見る食通集団・BCJの皆様に満足して頂けるものを作るには、なかなかきびしいものがあります。メニューは料理の本を見たり、緋田さんの二番煎じで「料理日記」を参考にしたりと、あまり独創的なものは出来ませんが、一汁一菜の食事になるべく変化を持たせるように心がけております。でも前回作ったオリジナルメニュー「イカナゴの玉子とじ丼」はなかなか好評でしたよ。
 調理設備は、メンバーの方々のカンパでガスコンロが新しくなったり、電子レンジが来たりと回を重ねるごとに立派になっていきます。矢口さんが下さった浄水器も大活躍で、おかげさまでおいしいご飯が炊けるようになりました。本当にありがとうございます。ちなみに「マタイ」のときは毎日6升(!)のお米を炊きました。ただ、一度に炊くと宗教センターのブレーカーが下りてしまうので、炊飯器を大学じゅうに分散させて対処しました。廊下の隅で湯気を上げる炊飯器が松蔭の学生さん達の目にどう映ったかは分かりませんが...。
 作る量もさることながら、難しいのはタイミングです。レコーディングはタイムスケジュールこそ組まれているものの、こういったことは計画どおりに行かないのが常で、いつ食事休憩がやってくるのか予測がつかないのです。作るのが早過ぎても味が変わってしまいますし、遅いと疲れて戻ってくるアーティストの士気にかかわります。この前も間に合わなくて迷惑をかけてしまったことが何度かありました。みなさん「いいのよ恵美ちゃん」と言ってくださるのですが、言葉とは裏腹に目は怖い。今回はこんなことのないように頑張ります!
 明日はソリストのみのレコーディングと聞いていますので、多分私の出番はないのですが、顔を出すつもりにしています。今度は録音の様子や、個性的なメンバーのみなさんのことなどもお伝えしたいと思います。ではまた。

(堺市・宮崎恵美子様) (99/06/01) 
宮崎さん、こんにちは。「フォーラム」にようこそ! BCJの“ふるさと”神戸の素敵なスタッフのみなさんからのお便り、とても楽しく拝見させていただきました。
なるほど、緋田さんがのり番だから「料理日記」のつづきがなかったのですね。でも、「イカナゴの玉子とじ丼」のレシピはうかがってみたいものです。あの厳しい創作の場であるレコーディングの中にあって、メンバーのみなさんがホッと緊張をゆるめて舌鼓を打てることの大切さは言うまでもありません。宮崎さんたちのご活躍がBCJのCDの大きな支えになっているのですね。今日のソリストのみなさんのレコーディングはいかがだったでしょうか。やがてBCJの“ふるさと”にメンバーが集結してレコーディングが佳境に達した時がみなさんの書き入れ時ですね。そして6日の神戸公演を終えて、再び所沢でBCJのカンタータを味わえることを楽しみにしております! 録音の様子やメンバーのみなさんについてのお便りも楽しみにお待ちしております! (矢口) (99/06/02)
 約束通り、宮崎さんが「味見係のカンタータ録音日記」を送ってきてくださいました! 是非、こちらをご覧ください! (99/06/16)

 


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