薄いカーテンからもれた朝日が部屋の中を静かに照らす。そのオーロラの様な光の幕が慈しむように絨毯を撫でる。昨日までここを満たしていたピリとした冬の緊張感は薄れ、冷たい空気と暖かい空気が何層にも重なり合い、この部屋の中を漂っていた。電線に雀が2羽とまっていた。仲良く並んで、お互いの羽を繕ってあげている。チチチと楽しそうだ。何をしゃべっているんだろうか? 天気の話かな、身の上話かな、それとも恋の話かな。「いい天気だね」不思議と俺達はいつもよりもゆっくりとした歩調で歩いていた。すぐに家に着いてしまうのが何かもったいない気がしていた。春が俺達の背中を押そうとうずうずしている。優しい風にあおられて街路樹がゆらゆらと梢を揺らしていた。窓の外では木々の芽も喜びに膨れ、小鳥達がもうすぐ訪れる季節の噂に胸をときめかしていることだろう。極薄く霞が掛かった空には円い綿雲がぽつりぽつり浮かんでいた。幸せか?
この小説はソフトハウスLeafが発売した、Win95用ゲーム「ToHeart」をもとにしてます。
命かけて書いたので、第1章だけでも良いから目を通して欲しいです。
それで「この程度なら我慢できる」と思ったら、是非とも最後まで読んでください。思い入れの程はあとがきに書いてあります。
§ 目次 §
ブラウザがie5.5以上の方のために縦書きバージョンを用意しました。表示が少し重いですが、ご希望の方はこちらをどうぞ。
第1、2、3、4、5、6、7章
校正記録
98年10月 8日 上梓
25日 第1〜4章とあとがきを校正
11月 1日 第5〜7章とあとがきを校正
99年 5月11日 一部のブラウザであった見苦しい所を修正
01年 3月17日 縦書きバージョン追加
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