Harmonica

偉人の足跡にはまってみる

Virtuosos



道端で、ハモニカを持ったじいさんが、奇妙な声でうなっている。何事だろう。

Harmonica vertuosos

じいさん;バブーっ、プシュ、プシュー、ひゅーひゅー。パッパ、プップ、パッパ、プップ、ピー。

サラリーマン;ちょっとあなたっ。大丈夫ですか。

じいさん;ダカドコダカドコダカドコダカドコ。プルッ、パ。プルッ、パ。プルッ...

サラリーマン;どこか調子悪いんでしたら、お医者でもお呼びしましょうか。

じいさん;バッププ。バッププ...。どうしたお若いの。

サラリーマン;どうしたってあなた。ハモニカ持って、苦しそうにうなってらっしゃるから。

じいさん;今のは汽車の音じゃよお若いの。

サラリーマン;ああそうですか。それじゃ、気をつけてくださいね。私はこれで。

じいさん;ちょっと待て。もう少し聴いていかんか。

サラリーマン;他にもなんかできるんですか。

じいさん;そりゃあ、キツネ狩りとかな。囚人を追う猟犬なんていうのもあるな。ネタは色々あるんじゃよ。

サラリーマン;変なこと考えたもんですねえ。お孫さんが泣くでしょう。

じいさん;馬鹿なことをいうもんじゃない。戦争が終わった頃なんかそりゃあ神様みたいなハモニカ芸人がわんさかいたもんだ。

サラリーマン;戦争ってあの原爆が落ちたあれですか。

じいさん;うんにゃ、第一次大戦じゃ。





3CDs for Pre-War Harmonica Blues



BVCP8733-34
RCAブルースの古典
BVCP8733-34
有名どころはやっぱりそれだけのことはある。
サニーボーイ#1、ノアルイス、ウィルシェイド...
天才のスタイルを知るために、こんな丁寧な編集の定番CDから入ってみてはどうでしょう。
NO. Player
/Song Title
Year Song
Key
Harp
Key
Comment Note
1-20 MEMPHIS JUG BAND
/JUG BAND WALTZ
1928 C C ハモニカはウィルシェイド。1stポジション8穴吹き音のベンドビブラートは、この時期のスタイルに共通の技。 more informations!
1-21 CANNON'S JUG STOMPERS
/VIOLA LEE BLUES
1928 G C ノアルイスのぴしっと芯の通った音色が堪能できる名作だ。2ndポジションハープの可能性を垣間見させてくれる。 more informations!
1-22 CANNON'S JUG STOMPERS
/GOING TO GERMANY
1929 G C これも同様にノアルイス。より哀感を表現したというところか。 more informations!
1-23 CANNON'S JUG STOMPERS
/WALK RIGHT IN
1929 C C ノアルイスによるダンスチューンの典型的な例。ハモニカはオカズ的な使われ方だけど、ほんとに器用な人なんだね。 more informations!
1-24 DADDY STOVEPIPE & MISSISSIPPI SARAH
/THE SPASM
1935 B B "YOU RASCAL YOU"の翻案。これ、おそらくホルダーをつけて吹いているのだけれど、どうしてこんなに音が大きいのか? more informations!
2-4 BIG JOE WILLIAMS
/HIGHWAY 49
1941 A D ハモニカは天才、ジョンリーサニーボーイ。圧倒的なアイディア。とうとう2ndポジションはここまできた。特筆すべきはオブリガートの音色。ここまでふくよかな音は他にない。
2-19 ROBERT LEE McCOY
/TOUGH LUCK
1937 G C これもジョンリーサニーボーイ(1)。ソロのメロディに注目したい。3穴半音ベンドを中心に組み立てられたリフによるスタイルだが、戦後とは違い、2穴ベンドの7thはあまり使われない。
2-20 SONNY BOY WILLIAMSON
/GOOD MORNING LITTLE SCHOOL GIRL
1937 C F イントロのテーマだけでもコピーしようとしては、はじき返されることを繰り返すハモニカ吹き(これ私のこと)がどれだけいることだろう。そんな深さを持った名曲。
2-21 SONNY BOY WILLIAMSON
/ELEVATOR WOMAN
1945 G C ワイルド。エルモアジェイムズのスライドギター三連符の元祖はここにあるのでは?とまで思う。
2-22 SONNY BOY WILLIAMSON
/EARLY IN THE MORNING
1945 G C とにかく音が大きそうだ。細かいテクニックよりも、むしろトーンとダイナミクスに浸りたい曲。
2-23 JAZZ GILLUM
/KEY TO THE HIGHWAY
1940 E A この人には珍しく2ndポジションで訥々と語る。最初のソロの真ん中で、一瞬吹き癖が出かかるが、何とか抑えることに成功。結果、しっとりした情感が生み出され名曲となった。


yazoo1053
HARMONICA BLUES
YAZOO1053
有名どころをおさえたら、いよいよハモニカ芸人の泥沼へ。
戦前ハモニカ吹き珠玉の14曲。
どれをとっても、今や信じられない芸の連続。
あらゆるスタイルのオリジナルがここにあります。
NO. Player
/Song Title
Year Song
Key
Harp
Key
Comment Note
1 FREEMAN STOWERS
/RAILROAD BLUES
1929 Bb

F
Bb 圧倒的なトレインピース(汽車の物まね)。強烈に速く、かつ持続するタンブロックは、余人の追随を許さない。音色も生なのにアンプリファイドしたみたい。 more informations!
2 STATE STREET BOYS
/CRAZY ABOUT YOU
1935 Bb Bb なぜか評価されないジャズジラム。でもこの人のオクターブ奏法は、真似しようとしても意外に難しい。
3 CARVER BOYS
/WANG WANG HARMONICA BLUES
1929 Bb Bb 美しいメロディ。中音域を存分に使ったタンブロックの見本みたいな演奏。夕日が似合うと思うのは私だけ?
4 LEE BROWN
/MY DRIVING WHEEL,
1939 Bb Bb St.Louis Blues マナーのジャズ臭いブルースに1stポジションがよくあってる。7thの使い方がとてもかっこいい。ちなみにハモニカはRhythm Willie。 more informations!
5 ASHLEY & FOSTER
/BAY RUM BLUES
1933 C C 途中に多用されるトレモロが強烈に早くて、正確。どうやってるんだろう?
6 ROBERT HILL
/I'M GOING TO WRITE AND TELL MAMA
1936 G G 今日よく聞かれる1stポジションの元祖ともいうべき演奏。
7 CHUCK DARLING
/BLOWIN' THE BLUES
1930 G G すばらしいラグ。上から下まで完璧なピッチコントロール。丸く豊かな音。大好きです。
8 CHUCK DARLING
/HARMONICA RAG
1930 G G 最初のソロは低音。次のソロは高音を責める。ラグの楽しさを徹底的に掘り下げてくれる。
9 JAYBIRD COLEMAN
/MAN TROUBLE BLUES
1930 G C 現代2ndポジションのルーツともいえるスタイル。重く、粘るブルーズは、この人の十八番。 more informations!
10 JAZZ GILLUM
/I WANT YOU BY MY SIDE
1936 C C Careless loveマナーの曲。オクターブ奏法を随所にちりばめ、とても明るい高音を響かせる。この音を明るく出すのはとても難しい。
11 ALFRED LEWIS
/FRIDAY MOAN BLUES
1930 Bb Bb どうやっているのかまったくわからないブルーズ。上下オクターブを縦横に使い、かつ声との境がどこにもない。謎だ。 more informations!
12 CHICKEN WILSON & SKEETER HINTON
/HOUSE SNAKE BLUES
1928 B B あっけらかんとしたブルーズ。1stポジションのアイディアがいっぱいつまってる。
13 BOBBY LEECAN
& ROBERT COOKSEY
/NEED MORE BLUES
1926 F F Fで高音使いというのは比較的珍しい。か細い音だが、ラインが明るくてとてもきれいな曲。 more informations!
14 DE FORD BAILEY
/DAVIDSON COUNTRY BLUES
1928 E A 2ndポジションソロハープの金字塔。正確なリズム。深いトーン。豊富なアイディア。どれをとってもワン&オンリー。"Grand ole opry"出演は肌の色を超えた評価の証。 more informations!



YAZOO2019
HARMONICA MASTERS
YAZOO2019
次に欲しくなるこの1枚
大物から、なぜか無名のハーモニカ吹きまで23曲。
どう聴いても、ハーモニカが一本だとは思えない曲の連続だ。
NO. Player
/Song Title
Year Song
Key
Harp
Key
Comment Note
1 DE FORD BAILEY
/ICE WATER BLUES
1928 A A 1stポジションソロハープのお手本。これも圧倒的に正確なリズムと深みのあるトーン。なぜ、録音が11曲しか聴けないんだろう。 more informations!
2 PALMER McABEE
/LOST BOY BLUES
1928 E A きつね狩りモノの変形。牧歌的な雰囲気が持ち味。迷子の子どもがトコトコ駆けてくところの形態模写? more informations!
3 ALFRED LEWIS
/MISSISSIPPI SWAMP MOAN
1930 Bb Bb 1stポジションに裏声で唄を織り交ぜるフーピングスタイル。"Lord have marcy"の辺りは、声とハープの区別がつかない。上から下までホンとにすばらしい。 more informations!
4 KYLE WOOTEN
/CHOKING BLUES
1930? A A ダンスチューン。フィドルをハモニカに置き換えた芸。この手の白人(おそらく)ハモニカ芸人の常として、正確なブレスとかつ抜群のスタミナを誇る。
5 NOAH LEWIS
/CHICKSAW SPECIAL
1929 A D トレインピース(汽車の物まね)の代表曲。不思議なことに吸い音のグロウルが出てくるんだけど、人間って息吸いながら舌をうならせることってできます? more informations!
6 SIX CYLINDER SMITH
/PENNSYLVANIA WOMAN BLUES
1929 F# B 2ndポジションのブルース曲。ちょっと他では聴けないメロディの宝庫。コード進行にちゃんとラインが展開している辺り、ジャズメンなのか?そのくせベンドのトーンが怪しかったりして変な人だ。
7 DR.HUMPHREY BATES' POSSUM HUNTERS
/TAKE YOUR FOOT OUT OF THE MUD &PUT IT IN THE SAND
1928 C C バンジョー又はフィドルのラインをハモニカにのせたダンス曲。ブレスの練習に是非。(筆者にはたどれませんが…)
8 BLUES BIRDHEAD(BUBBLING OVER FIVE)
/DON'T MISTREAT YOUR GOOD BOY FRIEND
1929 A A 当時の1stポジションブルースの典型。今は失われてしまった伝統。クラリネットにも負けないジャズ楽器として機能するハーモニカは、ほんとにカッコイイ。
9 MURPHY BROTHERS HARP BAND
/THE DOWNFALL OF PARIS
1930-31 C C これもフィドル真似芸のダンスもの。この曲はさすがに2本ハモニカが入っていると思うんだけど、どうでしょう。
10 GEORGE "BULLET"WILLIAMS
/TOUCH ME LIGHT MAMA
1928 Eb Ab 少しハモニカの音量バランスが小さいのが残念。怪しく粘るブルーズ。この情念はいったいどこから? more informations!
11 DUTCH COLEMAN AND RED WHITEHEAD
/BOONEVILLE STOMP
1929? D G あふれるスピード感のきつね狩りもの。音色やドライブするリズムはさすが。
12 JED DAVENPORT
/HOW LONG BLUES
1929 C F 現代2ndポジションのルーツともいえるスタイリストの一人。でも、この人ってアナーキーな芸をいくつも持っていて結構笑える。 more informations!
13 ASHLEY & FOSTER
/EAST VIRGINIA BLUES
? E E とてもきれいな1stポジションの例。この曲でもやっぱり素晴らしく速い高音のトレモロが多用される。どうやってるのかね?
14 CROOK BROTHERS
/GOIN' CROSS THE SEA
? C C フィドルをハーモニカに置き換えたダンス曲。スピード感抜群。
15 WILLIAM McCOY
/JUST IT
1928 E A これは変な曲だ。八分音符のタンブロックを最初から最後まで続けるというのも並みじゃないが、それよりも、ハーモニカがEの12小節ブルーズを吹いているのにバックのギターは、永遠にAで弾き続けるというのはどういう了見か? more informations!
16 GWEN FOSTER
/ WILKES COUNTY BLUES
? G G ソロハープに必須の各種の技を圧倒的な完成度で盛り込んだ名演。特徴的な技としては、「タンブロックでベース音だけトレモロ」「一穴飛ばした速いパッセージ」など。更に音色もとても美しい。◎
17 JAYBIRD COLEMAN
/MAN TROUBLE BLUES
1927 Bb Eb 現代2ndポジションのルーツ。リフで決めるスタイルはまったく古さを感じさせない。◎ more informations!
18 SALTY HOLMES
/I WANT MY MAMA
? E A 2ndポジションで軽いブギをどう吹くかの見本。途中でトレインピースを織り交ぜる。
19 DAVID McCARN
/GASTONIA GALLOP
? G G 楽しいラグ。これは、とっても難しいこと。メロディが印象的で明るいし、ブリッジの処理も素敵だ。
20 LEECAN & COOKSEY
/DON'T LET YOUR HEAD HANG DOWN
1927 C C 高音の1stポジションのラグなのに、とてもやさしい音色。 more informations!
21 CARVER BOYS
/SISCO HARMONICA BLUES
? E A 2ndポジションによるダンス曲の例。こもったような丸い音色が特徴。
22 SLEEPY JHON ESTES
/DOWN SOUTH BLUES
1935 B E サニーボーイ#1→ウォルターへと続く系譜の端緒。素晴らしく新しく聞こえたはず。 more informations!
23 FREEMAN STOWERS
/MEDLEY OF BLUES
1929 F Bb 2ndポジションソロハーモニカのショウケース。ブルーズから汽車真似まで、技の宝庫。音程も正確無比。◎ more informations!





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