渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所
       
【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属)              



                                                                                                                                                                                                   
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租 税 判 例 研 究 12



破産宣告を受けた会社の株式の譲渡損を他の株式に係る譲渡益の金額から控除することはできないとした事例

平成18年12月27日判決/東京高等裁判所(控訴審)

 

事案の概要

1) X(控訴人・原告)は、平成8年7月10日、山一證券鰍フ株式5000株を3605668円で買い,平成9年4月8日、1万株を3152109円で買った。

2) 山一證券鰍ヘ、平成9年1124日、自主廃業に向けて営業を休止することを決定、平成10年3月27日に株式の上場が廃止され、同月31日すべての支店が閉鎖された。

3) 山一證券鰍ヘ平成11年6月1日、破産を申し立て、同年5月21日時点における債務超過額が1602億円であると発表した。

 その後、同年6月2日午前10時破産宣告を受け、平成17年1月26日破産終結の決定を受けた。

4) Xは、平成15年6月30日Bに対し、山一證券鰍フ株式1万5000株を1500円で譲渡した。

 Xは、平成16年3月15日譲渡により株式等に係る譲渡所得の金額の計算上損失が生じたとして、これを他の株式に係る譲渡益の金額から控除して株式等に係る譲渡所得の金額を計算し、平成15年分所得税の確定申告を行った。

5) 税務署長は、Xに対し、譲渡による損失は株式等に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失と認められないとして、平成15年分所得税に係る更正処分を行った。

6) Xは、適法な不服申立手続を経て、本件訴えを提起した。

 

判決の要旨

1) 譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものであるから、譲渡所得の基因となる資産は、一般にその経済的価値が認められて取引の対象とされ、上記キャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスを生ずるような性質の資産をいうものと解される。

 そして、株式とは、株式会社の社員である株主の地位を割合的単位の形式にしたものであり、原則として自由に譲渡され、株主においては、利益配当請求権、残余財産分配請求権等の自益権や株主総会における議決権等の共益権を有することから、株式は、上記権利を基礎として一般にその経済的価値が認められて取引の対象とされ、キャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスを生ずるような性質のものとして、譲渡所得の基因となる資産に当たるものと解される。

 

2) ところで、株式会社が破産宣告を受けて解散した場合には、破産の目的の範囲内において存続するものとみなされるから、破産宣告によって、法的に株主の地位が失われるものではないが、破産宣告を受けた株式会社の株主が、利益配当、残余財産分配等を受けることを目的とする自益権及び株式会社の意思決定に参画することを目的とする共益権を現実に行使し得る余地は、一般的にはなくなるというべきである。

 そうすると、破産宣告を受けた株式会社の株式は、その後同社が再建される蓋然性があるなど特段の事情が認められない限り、自益権や共益権を基礎とする株式としての経済的価値を喪失し、もはや、キャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスを生ずるような性質を有する譲渡所得の基因となる資産ではなくなるものといわざるを得ない。

 

3) これを山一證券鰍フ株式についてみると、平成9年1124日に自主廃業に向けて営業を休止、平成10年3月27日には株式の上場が廃止により市場流通性がなくなり、平成11年6月2日に破産を宣告されたが、同年5月21日時点における債務超過額は1602億円であったというのであり、平成17年1月26日に破産終結の決定を受けたが、その時点において、日本銀行が実施していた特別融資のうち約1111億円が回収不能となる債務超過の状態にあったことが認められ、本件譲渡の当時再建される蓋然性があるなどの特段の事情を認めることはできないから、同時点においては、自益権や共益権を基礎とする株式としての経済的価値を喪失していたというべきである。

 そして、Xから株式を譲り受けたBは、株式に資産価値がなく、株式市場で流通するものでないことを認識しており、趣味として切手や宝くじを収集しているのと同様に、破産した会社の株券を記念として買ったことが認められ、この事実も、上記経済的価値を有するものとして譲渡されていないことを裏付けるものということができる。

 したがって、本件譲渡に係る山一證券鰍フ株式については、株式としての経済的価値が失われ、もはや、譲渡所得の基因となる資産としての株式ではなくなっており、単に好事家が記念品としての価値を認める株券として譲渡されたにすぎないというべきである。



       

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