渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所
       
【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属)              



                                                                                                                                                                                                   
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租 税 判 例 研 究 13



建物のみを譲渡して土地等を取得した場合にも、買換資産に係る面積制限の規定(措置法条の7第2項)が適用されるとした事例

平成20年2月15日判決/高松高等裁判所(控訴審)

=控訴棄却(確定)=


事件の概要

 税務当局はX会社(控訴人・原告)の平成14年5月期及び平成15年5月期の法人税に関し、譲渡資産を建物のみとし買換資産を土地とした買換えについては、租税特別措置法(平成15年5月20日法律54号改正前)65条の7第2項の規定の対象となり、譲渡資産である土地の面積が零となって取得した土地の面積の全部が零を超える部分に対応するものとなることから、買換資産には該当せず、したがって、固定資産圧縮損加算の特例の適用は認められないとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。

 X会社は、適法な不服申立手続を経て、本件課税処分の取消しを求めて本件訴訟を提起した。

 

争点

 建物を譲渡資産、土地を買換資産とする買換えの場合、措置法第65条の7に規定する、圧縮損の損金算入が認められるか否か

 

控訴人・原告の主張

1 本件特例第1項の表の22号では、同号上欄の資産から同号下欄の資産への買換えが認められており、本件特例第2項は、「前項の規定を適用する場合において、・・同項の規定に関わらず、・・同項の買換資産に該当しないものとする」としており、本件特例第1項の規定を適用する場合の要件を加重的に定めたものでなく、本件特例第2項に規定する場合を第1項の適用から除外する趣旨の規定であるから、建物から土地等への買換えについて圧縮記帳をすることは本件特例第2項による制限を受けることなく、本件特例第1項によって許容されている。

 

2 本件特例第2項の趣旨は、土地等から土地等への買換えが無制限に行われることのないよう一定の面積制限措置を設けたものであり、建物から土地等への買換えについては面積制限を行うことができず、面積制限の措置に親しまないものであるから、同項の趣旨は妥当しない。

 

3 「零面積論」によると、本件特例第1項は「建物」と「土地等」とを別個の資産として明確に分けて規定しているのに、本件特例第2項及びこれを受けた政令においては、「土地等」に「建物」が含まれるという解釈をとらなければならなくなり、同一法条内で用語の意味を統一的に理解できない事態を生ずるが、本件特例の規定にそのような著しい立法の過誤があるはずがない。

 

本件判決の要旨

1 立法の経緯や趣旨及び条文の文言に照らすと、本件特例第2項は、土地等を譲渡資産とし、土地等を買換資産とする場合に、譲渡資産である土地等の面積に比較して不相当な面積の土地等が買換資産とされた場合だけでなく、建物のみを譲渡資産として土地等を買換資産とした場合も適用されると解すべきである。

 

2 譲渡資産が建物のみである場合を同項が想定しておらず、買換資産に土地が含まれる場合であってもおよそ面積制限が働く余地がないとの解釈を採るとするならば、譲渡資産中にわずかでも土地が含まれていれば同項の面積制限が働くこととの間で権衡を失し同項の趣旨に悖ることとなり、むしろ、同項が土地等を買換資産とする場合を一般的に対象とする規定であり、土地等が譲渡資産である場合に限定した規定ではないことに照らせば、同項の適用を譲渡資産が土地等の場合に限定するという解釈は相当でなく、以上によれば、建物を譲渡して土地等を取得する場合にも適用があり、その場合には、譲渡資産に係る土地等の面積が存在しないから、買換資産である土地等の全面積に相当する部分が買換資産に該当しないことになると解するのが相当である。

 

3 X会社が指摘するように、本件特例第2項の面積制限を定めている部分の文言だけをみると、「上欄に掲げる土地等」と定めており、「建物」をあげていないが、同項の面積制限の文言は、要するに、「買換資産の土地等に係る面積が」、「面積を超えるときは」、「その超える部分の面積に対応するものは,・・・買換資産に該当しないものとする」というものであり、同項の立法趣旨は、建物を譲渡資産とし土地等を買換資産とする場合にも妥当するのであり、立法者が、この場合を除外して同項を規定したとは解することができない。

 また、X会社が主張する法の規定内容は、いずれも、建物から土地等への買換えのみを個別的に規定したものでなく、土地等あるいは構築物などを選択的にあるいは併存的に譲渡資産又は買換資産の対象とできるように規定されているから、本件特例第1項で建物から土地等への買換えが認められるからといって、本件特例第2項について、建物から土地等への買換えが否定されるような解釈をとるべきでないということはできない。

 

4 X会社は、「零面積論」によると、本件特例第2項の「土地等」に「建物」が含まれるという解釈をとらなければならなくなり、法解釈の統一性に反すると主張するが、同項の「前項の規定を適用する場合」には「建物」を譲渡資産とする場合が含まれており、そのうち買換資産である土地について「当該事業年度において譲渡した当該各号の上欄に掲げる土地等に係る面積」を比較するという趣旨であるから、「土地等」に「建物」が含まれると解釈する必要はなく、主張は採用できない。       

 

関係法令

1 租税特別措置法(平成145月期については平成15年法律第8号による改正前のもの、平成155月期については平成16年法律第14号による改正前のもの、以下「措置法」という。)第65条の7《特定の資産の買換えの場合の課税の特例》第1項は、法人が、昭和4541日から平成18331日までの期間内に、その有する資産で同項の表の各号の上欄に掲げるものの譲渡をした場合において、当該譲渡の日を含む事業年度において、当該各号の下欄に掲げる資産の取得をし、かつ、当該取得の日から一年以内に、当該取得をした資産を当該各号の下欄に規定する地域内にある当該法人の事業の用に供したとき又は供する見込みであるときは、当該買換資産につき当該事業年度終了の時において、その圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じて計算した金額の100分の80に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその帳簿価額を減額することに代えてその圧縮限度額以下の金額を損金経理により引当金勘定に繰り入れる方法により経理したときに限り、その減額し、又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。

 

2 措置法第65条の71項の表の第22号には、上欄において、国内にある土地等、建物又は構築物で、当該法人により取得された日から引き続き所有されていたこれらの資産のうち所有期間が10年を超えるものを、下欄において、国内にある土地等、建物、構築物若しくは機械及び装置又は国内にある鉄道事業の用に供される車両及び運搬具のうち政令で定めるものと規定している。

 

3 措置法第65条の72項は、同条第1項の規定を適用する場合において、当該事業年度の買換資産のうちに土地等があり、かつ、当該土地等をそれぞれ同条第1項の表の各号の下欄ごとに区分し、当該区分ごとに計算した当該土地等に係る面積が、当該事業年度において譲渡をした当該各号の上欄に掲げる土地等に係る面積を基礎として政令で定めるところにより計算した面積を超えるときは、同項の規定にかかわらず、当該買換資産である土地等のうちその超える部分の面積に対応するものは、同項の買換資産に該当しないものとする旨規定している。

 



       

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