【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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租 税 判 例 研 究 16「請求人らの母親の預金口座から出金された金員が請求人らの債務の返済に充てられているが、両当事者はその事実を知らなかったのであるから、請求人らが対価を支払わないで経済的利益を受けたとはみとめられないとした事例」 −国税不服審判所 平成24年11月7日裁決− 1.事案の概要 本件は、審査請求人Eの母Jの預金口座から出金された金員が、請求人E及び審査請求人G(Eの妻)の預金口座に入金された後、請求人らの債務の返済に充てられているところ、原処分庁が相続税法第9条の贈与に該当するとしてそれぞれ贈与税の決定処分等を行ったのに対し、請求人らが当該入金は請求人Eの兄Kから使途不明金の返還を受けたものであるとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。 2.経緯 請求人E及び兄Kの亡父Hは、Kの主導により生前所有していた土地に建物を建て、K夫婦、E夫婦ら6人に当該土地建物を生前贈与した。その賃料収入や借入返済の預金口座の通帳及び印鑑を、(一時期請求人Eらに返却されたが)Kが保管していた。母J口座からの入金及び請求人Eらの借入返済は、Kによる署名押印により行われていた。当時母Jは介護老人保健施設に入所しており、請求人GはJに債務の返済の援助は求めていない。請求人Gは平成12年以前の未収賃料について息子であり、公認会計士であるMに相談し、過去の通帳記載を確認するよう助言を受けるが、Kが過去の通帳の返還に応じない。Mの助言により銀行で預金元帳の入手をすると異常な出金が繰り返されていた。使途不明金の返還を求めたがKがこれに応じないため、Mが再び通帳と印鑑をKに預け返した。その際このままでは資金ショートする旨を説明し、この口座に資金を戻してくれればことを荒立てるつもりはないことを伝えた。Kは本件債務の連帯保証人であり、また、これらの銀行口座の支店の初代支店長であり、当該銀行に対して10億円以上の債務を負っていた。 3.判断 当該入金及び債務返済時、Jが軽度の認知症の状態にあったと認められる上、当審判所の調査の結果によっても、他にJが本件返済を認識し、事前事後に本件出金を承諾していたと認めるに足りる証拠も見当たらないから、結局、請求人らが本件返済によりJから実質的に贈与と同様の経済的利益を受けた事実を認めることはできない。 したがって、本件においては、請求人らが本件返済によりJから「対価を支払わないで・・・利益を受けた」(相続税法第9条)とは認められない。 |
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