【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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租 税 判 例 研 究 20常時勤務には該当しないため、役員報酬は国内源泉所得と判断された事例 国税不服審判所、2012.05.10裁決 1.事案の概要 これは、国外勤務の役員に支払った報酬が、国内源泉所得に該当するか否かの判断が争われた事件です。取締役が「国外で使用人として常時勤務をしていた場合」、国内源泉所得としなくても良い例外規定があります。 しかし原処分庁は、支払われた役員報酬は国内源泉所得に該当とした納税告知処分を下します。これに対し、審査請求人が、取締役は「国外で使用人として常時勤務」しているため、役員報酬は国内源泉所得に該当しないと主張して原処分の取消しを求めましたが、国税不服審判所は常時使用人として勤務しているとは認められないことを理由に、国内源泉所得に該当すると判断、審査請求を棄却した。 2.争点 国外勤務の役員に支払った報酬が、所得税法施行令285条1項1号に規定する「使用人として常時勤務を行う場合」に該当し、国内源泉所得となるかどうかが争点です。 3.判決の要旨 請求人は、取締役が海外営業本部長等として海外で常時勤務しており、所得税法施行令285条1項の「使用人として常時勤務する場合」に該当するために、役員報酬は国内源泉所得には該当しないと主張。 しかし裁決は、国内の取締役会等への出席など、国内業務に基因する部分は所得税法第161条8号イに規定する国内源泉所得に該当すると指摘。また、取締役が海外子会社の社長としても勤務していたものの、子会社の社長としての勤務は使用人勤務に当たらないとしました。 国外における法人の実態も不明瞭で、取締役の実質上の地位・役割・職務の内容をも併せ考えると、国外の勤務は経営判断等の役員としての勤務と認めるのが相当で、その勤務内容は「使用人として常時勤務する場合」には該当しないと判断し、取締役に対する役員報酬は国内源泉所得に該当すると判断して審査請求を棄却。 4.関係法令等の要旨 ○所得税法第161条《国内源泉所得》第8号イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するものは、国内源泉所得に該当する旨規定している。 ○所得税法施行令第285条《国内に源泉がある給与、報酬又は年金の範囲》第1項第1号 所得税法第161条第8号イに規定する政令で定める人的役務の提供は、内国法人の役員としての勤務で国外において行うもの(当該役員としての勤務を行う者が同時にその内国法人の使用人として常時勤務を行う場合の当該役員としての勤務を除く。)とする旨規定している。 ○所得税基本通達161−29 《内国法人の使用人として常時勤務を行う場合の意義》 所得税法施行令第285条第1項第1号かっこ内に規定する「内国法人の使用人として常時勤務を行なう場合」とは、内国法人の役員が内国法人の海外にある支店の長として常時その支店に勤務するような場合をいい、例えば、非居住者である内国法人の役員が、その内国法人の非常勤役員として海外において情報の提供、商取引の側面的援助等を行っているにすぎない場合は、これに該当しないことに留意する旨定めている。 ○所得税基本通達161−30(例外) 《内国法人の役員が国外にあるその法人の子会社に常時勤務する場合》 内国法人の役員が国外にあるその法人の子会社に常時勤務する場合において、@その子会社の設置が現地の特殊事情に基づくものであって、その子会社の実態が内国法人の支店、出張所と異ならないものであること、Aその役員の子会社における勤務が内国法人の命令に基づくものであって、その内国法人の使用人としての勤務であると認められることの要件のいずれをも備えているときは、その者の勤務は、所得税法施行令第285条第1項第1号かっこ内に規定する内国法人の役員としての勤務に該当する旨定めている。 |
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