【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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租 税 判 例 研 究 21役員への冬季賞与が事前確定届出給与に該当しないとされた判例 事件番号平成23(行ウ)652 事件名 法人税更正処分取消等請求事件 裁判年月日平成24年10月09日 裁判所名東京地方裁判所 1.概要 超硬工具の製造業をする原告Xが、取締役会で事前確定届出給与を定めたが、冬季賞与は届出の金額の通りに支給したものの、経営悪化に伴い夏季賞与の金額を減額した際に、変更する旨の届出を提出しなかったため、事前確定届出給与の全体が損金の額に算入されない処分を受けたため、取消しを求めた。 2.争点 届出通りに支給した冬季賞与は事前確定届出給与に該当し、損金の額に算入されないか否か。 3.基礎事実(要約版) @ 役員給与の支給の定め 原告Xは、本件事業年度の直前の事業年度の定時株主総会(平成20/11/26)で、a及びbに対して支給する役員給与を年間合計8000万円の範囲内と定め、冬季・夏季の賞与をaは各季500万円、bは各季200万円を支給すると定めた。
A 事前確定届出給与に関する届出 原告Xは平成20/12/22、川崎北税務署長に対し、事前確定届出給与に関する届出をした。 B 役員給与の支給(冬季) 原告Xは、平成20/12/1及び同月9日、冬季賞与として、aに対し500万円、bに対し200万円を支給。 C 役員給与の支給(夏期) 原告Xは、平成21/7/6に開催された臨時株主総会において、本件事業年度の業績の悪化を理由に、夏季賞与の額をaは250万円、bは100万円に減額する決議をし、それぞれ支給した。 原告Xは、夏季賞与については事前確定届出給与に関する変更届出をしなかった。 4.判旨 → 棄却 @ 役員給与の支給が、所轄税務署長に届出がされた事前の定めに係る確定額を下回ってされた場合であっても、届出の通りに支給していない以上、事前確定届出給与に該当しないというべきである。 A 事前確定届出給与が一の職務執行期間中に複数回にわたる支給がされた場合、特別の事情がない限り、個々の支給ごとに判定すべきものではなく、当該職務執行期間の全期間を一個の単位として判定すべきものである。 → つまり、事業年度単位で判定するのが原則という考え方。 B 本件各役員給与については、一の職務執行期間中に2回にわたる支給がされ、そのうち本件夏季賞与の支給は、所轄税務署長に届出がされた事前の定め通りではないから、全体として定め通りではないこととなる。 → 夏期が間違ってたら、すべて当期の損金にはしない。 C したがって、本件冬季賞与を含む本件各役員給与は法人税法34条1項2号の事前確 定届出給与に該当しないというべきである。 5.関連法案 ・法人税法第34条(役員給与の損金不算入)(平成18年改正後) 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与及び第五十四条第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する新株予約権によるもの並びにこれら以外のもので使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの並びに第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。 ・法人税法施行令69-2-1 (法34条の届出の期限について) 法第三十四条第一項第二号 に規定する届出は、(本件に限れば)株主総会の1ヶ月以内に届出を出す必要があることを定めた施行令。 ・法基通9−2−14(事前確定届出給与の意義) 法第34条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与をいうのであるから、同号の規定に基づき納税地の所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合にはこれに該当しないこととなり、原則として、その支給額の全額が損金不算入となることに留意する。(平19年課法2−3「二十二」により追加) |
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