【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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租 税 判 例 研 究 4「実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例」 −平成24年5月15日裁決 国税不服審判所− 1.事案の概要 本件は、遺言により被相続人のすべての財産を取得した審査請求人(以下「請求人」という。)が、他の相続人(被相続人の配偶者)から遺留分減殺請求されたことから、取得した財産の価額から遺留分の額を控除して相続税の申告をしたところ、現処分庁が、遺留分減殺請求に基づく変換又は弁償すべき額が確定していないため、相続税法基本通達11の2−4(裁判確定前の相続分)の定めにより遺留分減殺請求がなかったものとして課税価格を計算すべきであるなどとして公正処分等を行ったのに対して、請求人が、その一部の取消しを求めた事案です。 2.基礎事実 (1)法定相続人は、請求人と被相続人の配偶者(以下「本件配偶者」という。)の2人。 (2)被相続人は、生前公証人役場にて、被相続人の全ての財産を請求人に相続させる旨を記載した遺言公正証書を作成している。 (3)本件配偶者は、請求人を相手とする「遺留分減殺請求訴訟」を提起、本件更正処分時において判決が確定していない。 3.争点 本件葬式費用は、請求人の課税価格計算上控除すべきか。 4.判断 (1)認定事実 本件遺留分減殺請求訴訟において本件配偶者が提出した「遺産目録」には当事者間で争いがある葬儀費用として、本件葬式費用を含む10,346,619円が記載されている。 (2)請求人等の答述 請求人及び本件配偶者は、当審判所に対し、本件葬式費用は本件配偶者が支払っているが、本件遺留分減殺請求訴訟において、本件葬式費用を誰がいくら負担するかについて係争中である旨答述した。 (3)判断 @相続税法第13条第1項は、相続又は遺贈により取得した財産について課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人に係る葬式費用等のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による旨規定し、基本通達13-3は、「その者の負担に属する部分の金額を控除した金額」について、相続又は遺贈によって財産を取得した者が実際に負担する金額をいい、この場合において、これらの者の実際に負担する金額が確定していないときは、民法第900条から第902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合に応じて負担する金額をいう旨を定めている。 Aこれを本件についてみると、上記(2)によれば、本件遺留分減殺請求訴訟の両当事者の答述は、本件葬式費用を誰がいくら負担するかについて係争中である点で一致しており、上記(1)のとおり、本件遺留分減殺請求訴訟において、本件配偶者が葬儀費用については当事者間で争いがあるとして本件被相続人の財産目録を作成していることからすれば、本件葬式費用は、本件更正処分時において、請求人と本件配偶者との間でどちらがどれだけ負担するか確定していなかったと認められる。 そうすると、本件葬式費用は、基本通達13-3の定めに基づき、民法第900条から第902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合に応じ、各人の課税価格の計算上控除すべきであるところ、本件遺言書における遺言は、遺産分割方法の指定と同時に同上第1項に規定する相続分を指定したものと認められることから、当該指定された相続分に応じ、請求人が本件葬式費用を負担するものとして、その全額を請求人の課税価格の計算上控除するのが相当。 |
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