【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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租 税 判 例 研 究 6土地の評価における広大地の判断基準 -東京地裁 平成24年6月20日判決- 事案の概要 原告は平成16年7月の相続に係る相続税の申告に際し、本件相続資産である土地A.Bを相続税評価通達に言う「広大地」として相続税の申告をしたところ、課税庁は該当しないとして更正処分及び過少申告加算税付加決定処分を行った。 (A土地) <事実> 本件土地は面積約1,227uの二方路地で、前面道路より25mまでの範囲が第2種住居地域、それ以外は第1種中高層住居専用地域であり、いずれにおいても容積率200%、建ぺい率60%であり、土地区画整理事業地内にある宅地である。土地区画整理事業においては、この土地の利用について「中・高層住宅ゾーン」として中高層など非接地型の住宅や一部店舗などが形成されることが期待され、換地については1,000u以上の割り込みを主に行うものとされていた。 <判断> 本件相続時において、「中・高層住宅ゾーン」を含む周辺地域内の42区画の土地については1区画当たりの平均面積は約927uであり、戸建を除いた場合の1区画平均は約1,012u、マンション敷地の用に供された21区画の1区画平均は約1,032u。21区画のうち8区画は本件土地よりも面積が大きく、そのうち1,500uを超えるものが3区画あった。 上記からすれば面積約1,227uである本件土地は、地域内における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地に当たるとは認めがたく、たとえ開発許可面積基準以上の土地であっても、その属する地域内の他の土地の規模の状況いかんによっては、広大地に該当しないと判断されることもある。 (B土地) <事実> 本件相続時、B土地上には、賃貸アパートとして2棟の木造2階建ての建物が存在、それぞれ前面に駐車場があり、各建物は、昭和49年8月頃に建築され、建築に当たって約343u、約511uとして、それぞれ新築計画に係る所定の確認手続きがなされていた。 本件相続税申告の際、2棟の敷地を分けて申告し、その後、B土地を売却し、6戸の戸建住宅の敷地とされたが、潰れ地は生じていない。 <判断> 評価単位について、B土地は2棟の各建物の敷地の用に供されていたほか、各建物の前面の駐車場の用に供されていたものであり、各建物は同時期に建築されたものの、建築に当たっての所要の確認手続きも別個にされたそれぞれ独立の建物であり、各建物の入居者が両建物の前面の駐車場をその入居する棟との関係を問うことなく利用していたとの事実を認めるに足りる証拠はない。各建物の敷地について、それぞれをもって1画地の宅地に当たると評価すべきであり、またいずれも開発許可面積基準である500uに満たないため、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるとは認めがたく、広大地に該当するとは言えない。 参考 1 広大地とは 広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいう。ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除く。 (注) @都市計画法第4条第12項に規定する開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう。 A公共公益的施設用地とは、道路、公園等の公共施設の用に供される土地及び教育施設、医療施設等の公益的施設の用に供される土地をいう。 B大規模工場用地とは、一団の工場用地の地積が5万以上のものをいう(ただし、路線価地域においては、大工場地区として定められた地域に所在するものに限る。)。 C中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものとは、その宅地について経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいう。 2 評価方法 広大地の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額によって評価する。 (1) 広大地が路線価地域に所在する場合 広大地の価額=広大地の面する路線の路線価×広大地補正率×地積 広大地補正率=0.6−0.05×広大地の地積/1,000u (2) 広大地が倍率地域に所在する場合 その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1当たりの価額を、上記(1)の算式における「広大地の面する路線の路線価」に置き換えて計算する。 (注) @上記(1)の広大地の面する路線の路線価が2以上ある場合には、原則として、最も高いものとする。 A広大地として評価する宅地は、5,000以下の地積のものとされている。したがって、広大地補正率は0.35が下限となる(地積が、5,000を超える広大地であっても広大地補正率の下限である0.35を適用して差し支えない。)。 B広大地補正率は端数整理を行わない。 「16年情報」 広大地に該当しない条件の例示として、次の4つの土地を具体的に掲げています。 ・すでに開発を了しているマンション・ビル等の敷地 ・現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地(例えば、大規模店舗、ファミリーレストラン等) ・原則として容積率300%以上の地域に存する土地 ・公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められる土地 「17年情報」 評価対象地について、中高層の集合住宅等の敷地、いわゆるマンション適地等として使用するのが最有効使用と認められるか否かの判断は、その土地の周辺地域の標準的使用の状況を参考とすることになるのであるが、戸建住宅とマンションが混在している地域(主に容積率200%の地域)にあっては、その土地の最有効使用を判断することが困難な場合もあると考えられる。 このような場合には、周囲の状況や専門家の意見等から判断して、明らかにマンション用地に適していると認められる土地を除き、戸建住宅用地として広大地の評価を適用することとして差し支えない。 |
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